施工事例

屋根が耐えている痛み-屋根の葺き替え工事施工事例

屋根が耐えている痛み

屋根の構造をご存知でしょうか。例えば一般的な屋根の構造で考えてみますと、屋根の垂木(:たるき。屋根の骨組みのこと)の上には、まず「野地板」が貼られます。その上には雨漏れを防止するための「ルーフィング」が被せられます。そして最後にその上に、屋根の表皮となる「瓦」などが葺かれる結果となります。そのように屋根は幾重にも重ねられて家を守っています。
人間の体もそれと同じです。例えば体の皮膚ですが、皮膚は何重かをご存知でしょうか。大きく分けると二つです。それはよく知られている「表皮」部分と、その下の「真皮」部分です。でも本来はもっと複雑です。詳しく述べるならその「表皮」部分はさらに4層でできていますし、「真皮」も5つの成分から組成されているのです。もしケガをした場合、皮膚の表面をちょっと擦ったくらいなら、すぐに痛みの消える程度ですみますが、さらに深く傷つけて真皮にまで及んだ場合は、いつまでもひりひりと、あるいはうずくような痛さを耐え忍ばなければなりません。ときには、病院へ駆け込むことさえ必要となってきます。
それでも人間の場合は神経が通っているのでその痛みがすぐに分かりますが、家にはそれが分かりません。屋根もそうでしょう。ですからそこには人の知覚や知性が必要です。どんな知覚や知性でしょうか。それは物事を学び、推測し、推論する、そして洞察するという人の脳と神経の働きなのです。つまり家の主は、屋根の痛みを推測し、推察し、深慮して、その屋根の身になってあげることが大切と言えるかもしれません。そこでどうか「屋根の耐えている痛み」を分かってあげてください。


Before 屋根の色褪せ。水の浸透によるシミも。


Before 屋根の素材は薄い板金製のようですが劣化がすすんでいます。早めの葺き替えが必要。

After 二階屋根。同じく金属製の屋根材ですが、時代の進歩とともに性能は向上しています。

After 一階屋根。二階の屋根は見えませんが、この部分は毎日見ることができます。家の人の気持ちも違ってきます。

葺き替え工事の工程

古い屋根材の撤去


1 古い屋根材が撤去されます。

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どうかこの劣化した防水紙の状態を見てください(3)。人間の皮膚に例えるなら表皮の下の真皮部分と言えるでしょう。真皮の傷は堪えます。痛い! 痛い!とわめいているように思えます。

野地板貼り


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ルーフィングがそのような状態でしたから、その下にある野地板が無傷でないわけがありません。雨水が長い間に浸み込んで一部は腐ってさえいました。とても屋根材を支えることはできません。野地板が新しいものに取り換えられました。

ルーフィングの取付


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痛い痛いと叫んでいたルーフィングを取り替えてあげます。よく頑張ってくれました。感謝のうちに取り替えます。人間の場合なら真皮が傷んだときは、神からの治癒力が働いて自然に治りますね。辛い痛さの感覚でさえ必要な警告です。私たちはくすしく造られていることに感謝しなければなりません。屋根は、自らの痛みを訴える事ができませんから。


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棟の桟木が取り付けられました。これで新しい屋根材を貼る準備は万端です。


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素晴らしい出来映えとなりました。今度はこの屋根がしっかりとした表皮となり、真皮と体を守ってくれます。この屋根材はアルミ、シリコン、亜鉛 で構成された優れものの鋼板です。ガルバリウム鋼板といいます。時代の移り変わりとともに、進化したもので、以前の鋼板とは耐久性も耐候性も違います。しかも軽量なので地震に強くそして安価です。また従来と同じ薄い鋼板ではありますが、今では「カバー工法」によって断熱性や遮音性を補うように施工することが多くなっています。


9 雪止めも設置

一階屋根の工事

一階屋根も同じように葺き替えられていきます。そこにはバルコニーが乗っていますので、その古い床材を外さなければなりません。その床材も新しいものに変わります。葺き替え工事は大屋根の場合と同じ方法と順序で行われます。


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鋼板製の破風板や軒樋も新しいものに取り換えられました。

■ まとめ

人の痛みを分かってあげたいと、よく言います。いい言葉です。弱い立場の人に対する愛は、そしてその感情移入は、その人の高潔さや憐れみ深い高貴な人柄の表れとなっています。その事はまた家を守ることについても共通して考えられると思います。 わたしたちは隣人に対しても、また家に対してさえも、そのようでありたいと願います。どうかお願いです。屋根の人知れず耐えている痛みをぜひ分かってあげていただきたいと思います。

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