• 屋根リフォームの基礎知識

屋根リフォームの基礎知識

1.屋根のライフサイクル ― メンテナンスが必要な時期の目安・チェック方法
2.屋根リフォームの詳細
2-1.屋根塗装
2-2.カバー工法
2-3.葺き替え
3.適宜行うリフォーム
3-1.瓦のずれ
3-2.瓦の割れ
3-3.漆喰の補修
3-4.棟の取り直し
3-5.太陽熱温水器の撤去
3-6.雨どいの清掃・落ち葉除けカバー設置・修理
4.費用を浮かす方法
4-1.火災保険の活用
4-2.外壁塗装と同じタイミングで行って費用を抑える

1.屋根のライフサイクル ― メンテナンスが必要な時期の目安・チェック方法

住宅の屋根は常に雨風や直射日光に晒されているため、徐々に劣化し変色や割れ・ずれを引き起こすことがあります。屋根の小さな不具合を放っておくと、雨水の浸入や屋根全体の破損につながり、最後には取り返しのつかない事態を招いてしまうのです。
特に、大地震が発生したときには、屋根の不具合による被害は顕著に現れます。瓦数枚の不具合と思っていたものが、屋根全体の崩壊を引き起こすケースもあるようです。
屋根を葺いた後そのまま放置するのではなく、定期的なメンテナンスや修理を欠かさず行うことが大切なのです。

屋根のメンテナンスを行う目安については、下記項目をチェックしましょう。
1つでも当てはまる場合は、一度専門業者にみてもらうことをおすすめします。

  • 屋根材を新調してから15年以上メンテナンスしていない
  • 屋根材にひび割れやずれがある
  • 屋根材が色あせている
  • 室内にカビが発生している
  • 屋根にカビやコケが生えている
  • 屋根が錆びている
  • 風が吹くと屋根から異音がする

2.屋根リフォームの詳細

屋根には、不具合が生じた際に修理するものだけでなく、トタンやスレートのように定期的な塗装が必要なものもあります。屋根材を購入するときは、メンテナンス方法を知ったうえで、適切なものを選ぶことが大切なのです。

以下に、屋根リフォームの種類を解説していきます。

2-1.屋根塗装

屋根塗装とは、経年劣化により剥がれ落ちた塗装をもう一度上から塗り直し、屋根の耐久性を保つ方法です。
定期的に塗装が必要な屋根材は、トタン、スレート、セメント瓦です。これらの屋根材は、新調してから10~20年程度で再塗装が必要な時期に差し掛かるので、専門業者に塗装を依頼します。

1 塗料の種類

屋根の塗料には、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料、遮熱塗料、断熱塗料などがあり、ウレタン・シリコン・フッ素・遮熱・断熱の順に耐用年数と価格が増加していきます。
現在主流なのはシリコン塗料とフッ素塗料ですが、高耐久・高機能な遮熱塗料や断熱塗料を選択する人も増えているのが現状です。

2 塗装の工程

屋根塗装は、以下の工程で行います。

  1. 足場を組み安全を確保する
  2. 高圧洗浄機などで屋根の汚れを取り除
  3. ひび割れや穴を補修する
  4. 塗装しない箇所に塗料が飛ばないようにマスキングする
  5. 下塗り塗料を塗る
  6. 塗料を中塗りする
  7. 塗料を仕上げ塗りする

2-2.カバー工法

カバー工法とは、既存の屋根材を残したまま上から新しい屋根材を取り付ける方法で、近年では、第三者機関や大手ハウスメーカー、屋根材メーカーにも推奨されています。
近年は、耐用年数の短いトタンやスレートなどの屋根材から、比較的耐用年数の長いガルバリウム鋼板に変更するカバー工法が主流です。

1 カバー工法のメリットとデメリット

カバー工法には、以下のようなメリットがあります。

  • 廃材が出ないため、処分や撤去費用を節約できる
  • 既存屋根材を取り除く作業が省けるため、工期が短くて済む
  • 屋根材が色あせている
  • 遮音性や断熱性を向上させることができる
  • アスベストの処理が発生しない

またデメリットとしては、屋根が重くなることが挙げられます。屋根が重いと耐震性が低くなってしまうので、屋根材を選ぶ際には注意が必要です。

2 カバー工法を推奨しているメーカー

カバー工法を推奨している第三者機関・大手ハウスメーカー、屋根材メーカー一覧

●第三者機関

住宅産業協議会

一般社団法人日本金属屋根協会

一般社団法人日本住宅工事管理協会

一般社団法人日本屋根診断士協会

●大手ハウスメーカー

旭化成リフォーム株式会社本屋根診断士協会

積水ハウスリフォーム株式会社

ダイワハウスリフォーム株式会社

トヨタホームリフォーム株式会社

ミサワホーム株式会社

●推奨している屋根材メーカー

ケイミュー株式会社 (クボタと松下電工の住宅外装建材部門の事業統合によって設立されたメーカー

ニチハ株式会社

またデメリットとしては、屋根が重くなることが挙げられます。屋根が重いと耐震性が低くなってしまうので、屋根材を選ぶ際には注意が必要です。

3 カバー工法の工程

  1. 足場を組み安全を確保する
  2. 既存の棟板と棟板金を取り外す
  3. 新しいルーフィング(防水シート)を貼る
  4. 新しい屋根材を取り付ける

2-3.葺き替え

葺き替えとは、既存の屋根材を取り除き、新たに屋根材を葺きなおす方法です。
近年は、重量が重くメンテナンスが大変な日本瓦からスレートやガルバリウム鋼板への葺き替え、耐用年数の短いトタンやスレートから比較的耐用年数の長いガルバリウム鋼板への葺き替えなどが主流です。

1 葺き替え工事のメリットとデメリット

既存の屋根材を取り除き、最新の比較的軽量化された屋根材に葺き替えることで、地震に強くなることがメリットです。
デメリットとしては、カバー工法と比べ工期が長く、廃材も出るので費用が高くつくことが挙げられます。

2 葺き替えの工程

  1. 既存の屋根材とルーフィング(防水シート)を取り除く
  2. 野地板に傷みや腐食がないか確認する(不具合がある場合は、野地板を取り替えます)
  3. 新しいルーフィングを貼る
  4. 新しい屋根材を取り付ける

3.適宜行うリフォーム

3-1.瓦のずれ

瓦がずれた場合は、ずれた瓦の隙間から雨水が浸入しないように、瓦を元の位置に戻す必要があります。
ずれた瓦を取り出し、再度ビスで固定していきます。

3-2.瓦の割れ

瓦が割れた場合は、割れた瓦の隙間から雨水が浸入しないように、割れた瓦を新しいものと交換する必要があります。
割れた瓦を取り除き、新しい瓦をビスで取り付けていきます。

3-3.漆喰の補修

瓦を固定する漆喰は、経年劣化により崩れてしまうことがあります。漆喰が崩れると、漆喰と接する瓦が不安定になり落下する恐れがあるので、できるだけ早く補修する必要があります。
劣化した部分の漆喰を取り除き、新たに漆喰を詰め直します。

3-4.棟の取り直し

棟瓦の歪みは、棟瓦を支える漆喰や屋根土が劣化していることが原因で起こります。放っておくと、崩れた漆喰の部分から雨漏りしたり、鬼瓦が落下したりする恐れがあるので、棟の取り直しを行う必要があります。
棟瓦を一度取り外して漆喰と屋根土を新たに詰め、棟瓦を設置し直します。

3-5.太陽熱温水器の撤去

使わなくなった太陽熱温水器を放っておくと、劣化し屋根に負担がかかってしまいます。撤去・処分する場合は、屋根に上って太陽熱温水器の固定金具や配管・給水管などを取り外し、解体したのち屋根から降ろします。

3-6.雨どいの清掃・落ち葉除けカバー設置・修理

雨どいは、雨が降った際に雨水を軒先から排水管までスムーズに流す重要な設備です。雨どいは落ち葉やゴミがたまりやすく、また少しの衝撃で破損しやすいので、定期的にメンテナンスする必要があります。
雨どいにたまった落ち葉やゴミを高圧洗浄機などで取り除き、必要に応じて落ち葉除けカバーの設置、取り付け金具の調整などを行います。

4.費用を浮かす方法

4-1.火災保険の活用

台風や強風、ヒョウ、豪雪などで屋根が破損してしまった場合は、火災保険を適用し、無料で屋根を修理することが可能です。火災保険に加入している場合は、「風災補償」「雪災補償」「ヒョウ災補償」の欄をよく読み、保険会社へ申請しましょう。

>>詳しくは屋根の修理が無料に!?火災保険の上手な使い方

4-2.外壁塗装と同じタイミングで行って費用を抑える

屋根の修理は、必要に応じて足場を組む必要があるため、費用が高額になります。少しでも費用を抑えるためには、外壁塗装などの足場を組む必要がある工事と同じタイミングで行うことをおすすめします。足場を何度も組む手間と費用、人件費を賢く省きましょう。

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