施工事例
ソーラーパネルを引き立てる屋根-スレート屋根からガルバリウム鋼板への重ね葺き(カバー工法)施工事例

before

After
Before:
古くて色あせたスレート瓦に、新進気鋭の太陽光発電機が乗っています。なんだかチグハグ、そして安定感と安心感がありません。ミスマッチで両方ともが死に体です。
After:
黒くて端正でシンプルな鋼板製の屋根の上に、パネルが整えられています。この場合、太陽光発電機が主役かもしれませんが、それを引き立てているのが新しい屋根材です。物理的にもどこか落ち着いた安定感、安心感があります。控え目にしている屋根ですが、どこかに存在感を感じます。
ソーラーパネルを引き立てる屋根-スレート屋根からガルバリウム鋼板への重ね葺き(カバー工法)施工事例
物事には似合いのペアというものがあります。それは、とても大切なことです。例えば、家とそのロケーション、歌手とオーケストラ、ご馳走と器、役者と舞台、花と葉っぱ、などなど。それらはいずれも主と従の関係、主と脇の関係、引き立つものと引き立てるものとの関係、そうしたものが一対また一体の合致をなして、それぞれが存在の価値観を示し合っています。家の屋根にもそうした演じ分けがあるかも知れません。決してこじつけではありません。またそれは単に、そのような見た目だけの役割やバランス感覚を意味するだけでなく、機能的また物理法則的な意味においてさえ、しっくりとお互いが、その存在の役割を支え合う場合があるのです。
例えば、この度、屋根の改修工事を行われたS市のI様邸などは、その最も良いお手本となるでしょう。I様邸は元々が何の変哲もないスレート瓦の屋根でしたが、後日そこへ太陽光発電機を取り付けられたのです。ところが取り付けが終った直後に、業者に頼まれて確認のために屋根に上がられたところ、実は、そのパネルと瓦とが、見事なミスマッチなっていたことに驚かれたのでした。もちろんそれには屋根のデザイン的また美的な不釣り合いの意味もありましたけれども、それよりはもっと大切なこととして、薄いセメント瓦の上に重いパネルが取り付けられたことの物理的な違和感を、そうした不釣り合いを本能的に感じ取られたのです。そこでその時は、なるべく近いうちに、そのパネルにふさわしい屋根材に葺き替えようと計画されていたのでした。今回はその改修工事と結果とをご覧いただければと思います。
改修工事のプロセス

1 パネルを外す
パネルを外し、取付桟のみとなりました。新しい屋根材が葺かれた後に、再度、取り付けられます。

2 取付桟を外す

3 棟板金(棟カバー)を外す
アスファルトルーフィングの取付

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古い屋根材は残したまままで、その上にアスファルトルーフィングという防水紙を敷設します。
これを貼ることにより、もし仮に屋根に雨漏れが生じた最悪の場合でも、この防水紙が雨を受け止めてくれて、屋根内部は守られます。
古い屋根材を残したままにすることで、結果として屋根は二重になります。その分、当然、屋根は厚くなり、断熱性や防音性また耐久性が高くなります。
ガルバリウム鋼板の取付け

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ガルバリウム鋼板とは、アルミニウム亜鉛合金メッキ鋼板のことです。最近では既存のスレート瓦の屋根に直接取り付ける「重ね葺き(カバー工法)」が普及しました。今回のI様邸もそれで行います。またこの新しい屋根材の裏には断熱材が充填されているものが多く、断熱性、遮音性などの高さで人気を博しています。

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この鋼板製の屋根は、スレート瓦と違って取り付け方が釘打ちだけでなく、一枚一枚が緊結されています。そのためズレが生じません。したがって屋根の上にパネルなどの重量物を取り付けるのに適しています。
太陽光発電機の取付

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取付金具と取付桟が取り付けられました。
後は太陽光発電機のパネルが取り付けられます。
完成

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屋根も太陽光発電機も完成しました。
■ まとめ
改修工事は完成しました。太陽光発電機と鋼板屋根は、見た目にもまた物理的にも、見事にマッチしています。このI様邸の場合、その主役はこの屋根かもしれません。なぜなら敷地の条件が、北西の角地だからです。東南側には隣家が建て混んでいるために、お日様が殆んど当たりませんし目立ちません。したがって東面と南面の屋根に太陽光発電機を設置されて、太陽の光と熱を最大限に利用し、その条件を克服しようと努めておられます。そしてそこで活躍するのがソーラパネルであり、またそれをしっかりと支えるのがガルバリウム鋼板製の屋根なのです。お互いの関係は主と従、目立つ存在と引き立て役の関係かもしれません。けれども似合っています。何よりも太陽光発電機が屋根に感謝しているのが分かります。屋根にもそれぞれの役割分担があるのです。