瓦の割れ補修

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お客様からのご依頼は漆喰の塗り直しでした。
工事に先立って、屋根をチェックしている際に瓦が1枚割れているのがわかりました。
瓦は昔から耐久性の優れた屋根材として多く使用されています。瓦の寿命は半世紀以上(50~100年)といわれています。長持ちする素材ではあるのですが、万能ではありませんので外的な衝撃が加われば割れることもあり得ます。
その原因は主に4つあります。
- 瓦自体の老朽化
- 瓦を留める釘の劣化
- 自然災害(台風・地震)
- 屋根に上ったりする際に踏みつけたことでの瓦への無理な負荷
瓦が割れたまま放置していると、瓦の下にある下地まで傷み、腐らせてしまったり雨漏りする恐れがあります。
漆喰補修
Before

After
漆喰(しっくい)は、タイルを貼ったりレンガやコンクリートブロックを積んだ際にできる、継ぎ目を埋める接着剤として使います。天然の素材として古来から使われており、城や土蔵の壁などで使われている白い建材といえばわかりやすいかと思います。
瓦屋根の棟瓦(向きの違う瓦屋根が合わさる部分の上にかぶせる瓦)の部分には、雨水が屋根にしみこまないように漆喰を使って防水処理が行われています。この漆喰が劣化したり剥がれたりすると隙間から雨水がしみこみやすくなります。また、台風などの強い風で瓦がずれたり落ちたりすることがあります。漆喰補修はこれを防ぐ工事です。
瓦の割れ補修・漆喰補修の施工事例
瓦の割れ補修
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割れた瓦を取り除き瓦を補修します。
瓦用の接着剤でとめました。近くに寄ってみないと補修したことがわからない仕上がりとなっています。
補修だけではなく交換するのみならず、1枚だけの交換より承ってもおります。
伝統的な日本瓦には大きさの規格があります。60枚判や56枚判などといった大きさがあり、JIS規格として定められてもいます。この規格のサイズの瓦であれば容易に手に入るため交換が可能です。
しかしながら、交換するとその瓦だけ色が変わってしまって目立ってしまうことが多いため、接着剤で修理するケースの方が多いです。
漆喰補修
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漆喰が劣化して完全に脱落してしまっています。屋根を接着する働きも、水の侵入を防ぐ働きもいずれもはたしていない状況です。
棟瓦(異なる向きの屋根が合わさっている部分の上にかぶせる瓦)の下の漆喰が取れているだけではなくて、棟そのものが曲がってしまっています。

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新しい漆喰を塗る前に古い漆喰を全て取り除きます。古い漆喰を取り除かないと上から新しい漆喰を塗っても、古い漆喰ごとはがれてしまったりします。また、漆喰が厚塗りになってしまいます。漆喰は厚く塗ればいいというものではなく、適正な塗る量があります。厚く塗りすぎると、瓦の上に落ちた雨水が瓦の下部の漆喰を伝わって流れるため、雨水が侵入しやすくなります。
漆喰の下には瓦を留める葺き土(ふきつち)があります。漆喰を取ってみると湿っており、雨水が侵入していたことがわかります。
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葺き土の表面を馴染ませます。漆喰との接着を良くするため葺き土を濡らして、漆喰を均等に塗り込みます。
一見簡単な工事のようでもきれいに仕上げるのは技術と丁寧な施工が必要です。
棟瓦の曲がりを修正したのちに、ずれないように固定する処理を行いました。
棟瓦(一番頂点にある半円上の瓦)及び熨斗瓦(棟瓦の下にある平らな板状の瓦)に瓦止めの接着剤を止めて補強を行いました。
瓦とほぼ同じ色で、横にところどころ点線状に引かれているように見える部分が瓦止めのボンドです。べたっとすべて塗らないのは理由があります。すべて瓦止めで接着してしまうと隙間がなくなって、瓦の下に侵入した水分が蒸発できなくなってしまうからです。それは雨漏りの原因になります。
■ 職人さんからひと言
瓦の割れですが、幸い発見が早かったためあまり大きな問題になっていなかったのは幸いでした。
瓦が割れてしばらく放置されていると、下の葺き土だけではなく、家の構造まで雨がしみこんでしまったりといった問題が起こってしまうからです。今回はそのような兆候は見られなかったのがよかったです。
漆喰の劣化についてはずっと晴れていたにもかかわらず葺き土が湿っていました。瓦屋根の下にあるルーフィング(防水シート)は傷んでいなかったのは幸いでした。もしルーフィングまで傷んでしまっていたら、瓦を取り外してルーフィングの取り換え工事が必要になってしまいます。
■ まとめ
屋根は家を守る大切な部分です。
漆喰の劣化・はがれ、瓦のズレなどがあると、雨が大量に浸透し屋根の寿命を著しく縮めてしまいます。その結果、家の構造を支える木材を腐朽させたりして、家そのものの寿命を縮めてしまいます。
屋根は見えにくいところなのですが、定期的に確認をして、修理・メンテナンスを行うことで家全体を長持ちさせることができます。
10年以上屋根について何もチェックをしていないといった場合は、一度専門家に見てもらうことをお勧めします。もちろん、イエコマでも相談を受け付けております。お気軽にご相談ください。
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