施工事例

瓦屋根漆喰補修の施工事例


Before


After

瓦屋根漆喰補修の施工事例

今回のご依頼は瓦屋根の補修です。雨漏りがするというご依頼を受けたためにお伺いしました。
瓦と瓦が交わる屋根の頂点の部分を棟(むね)といいます。棟は日本瓦の屋根において最も重要な個所であり、地震の際の影響を受けやすい箇所でもあります。雨漏りする場合は、棟に何かトラブルがあることが多いです。
今回の屋根では表面の漆喰がすべて取れてなくなってしまっており、水がしみこんでしまっている状態です。
漆喰(しっくい)とは、洋の東西を問わず、古来から使われている天然の接着材料です。紀元前1万2千年前のメソポタミアの遺跡からも見つかっているものです。
日本では、古くから城や土蔵などの白い壁に使われてきました。
瓦屋根では、瓦の隙間を埋めて防水するといった役割で用いられます。今回補修を行った屋根では、漆喰の下の葺き土(ふきつち)が露出してしまっています。葺き土には防水する機能はありませんので、雨水はすべてしみこんでしまう状況になっています。


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棟の瓦をいったんすべて取り外す必要があります。わずかに残っている漆喰をまずは取り除きます。写真の左側にあるのはテレビアンテナを屋根に設置するための架台の屋根馬です。こちらも作業の妨げになるのでいったん外します。


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まずは棟瓦を取り外します。
そのあと、古くなった漆喰を取り除きます。できる限り既存の葺き土を減らさないように、丁寧に漆喰をはがしていくのが重要なポイントです。古い漆喰が残ったままだと、その上から漆喰を塗っても強度が強くなりません。
漆喰をとリのぞいてみると、葺き土が湿っているのがわかります。漆喰が取れてしまっている瓦屋根ではこのように葺き土が湿っていることがよくあります。
上に乗っている板を棟板(むねいた)といいます。棟板が腐ってグズグズになってしまっている場合は、取り換えが必要になる場合もあります。今回の棟板は強度が保たれていたのでそのまま使っています。


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新しい漆喰を塗り込みます。
あらかじめ葺き土との付きをよくするため、スプレーなどで水分を含むよう吹きかけてから、塗りこみ作業は行います。
漆喰の塗りこみで重要なのは塗りすぎないことです。施工技術が未熟な業者では漆喰を塗りこみすぎてしまうという誤った施工を行う時があります。塗りこみすぎると、棟瓦の両端から漆喰を伝わって雨が流れるようになります。漆喰は水には強いのですが、漆喰と棟瓦の間の面から徐々に水が浸透するようになります。
この程度の漆喰の量が適正です。このように塗ることで棟瓦に降った雨は、漆喰を伝わることなく、瓦の端から下の瓦に落ちるようになります。
この後、はみ出た漆喰やこぼれた葺き土を丁寧に掃除し、アンテナを取り付けなおせば終了です

■ 職人さんからひと言

きれいに仕上がりました。
漆喰の工事は一見簡単そうですが、実は仕上がりに差が出る工事でもあります。きれいに仕上げるためには手間がかかります。
今回の現場は屋根の傾斜が緩やかだったので作業が楽でした。勾配がきつい屋根の場合は屋根用の専用の足場を組んで作業しなければならないときもあります。

■ まとめ

日本瓦は耐久年数や、日光の熱を遮る働き、雨音を軽減するといった働きにおいて非常に優れた素材です。
しかし、定期的なメンテナンスを行わないと、雨漏りが発生しやすいともいえます。瓦は自体は劣化しなくてもこのように漆喰が先に劣化してしまうのです。特にこの家のように伝統的な工法で建てられている場合は、瓦の下にルーフィング(防水シート)といった耐水構造物がありません。そのため漆喰の劣化によって家の内部への雨の浸透につながります。
特に築年数の古い日本家屋にお住まいの方は、雨漏りの兆候がなくても漆喰の状況に目を配っていただくことをお勧めします。

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