• 粋(すい)を支えてこそ漆喰の本領―K様邸漆喰補修施工事例

施工事例

粋(すい)を支えてこそ漆喰の本領―K様邸漆喰補修施工事例


Before 小粋な「飾棟」。しかし肝心の漆喰の劣化が目立つ。


Before 粋な「反り棟」も漆喰の老朽化で残念な見た目に。

After 「輪違い」と呼ばれる飾棟の粋の神髄。

Afterどうだ!と言わんばかりの反り棟。新しい漆喰がしっかりと支える。

K様邸漆喰補修施工事例

F市にお住いのK様は建築関係の職人さんです。でも屋根の職方ではありません。そのK様はなかなかおしゃれな粋人(すいじん)さんです。K様がご出身の関西では、江戸での言い方である粋(いき)を、「すい」と称します。したがって粋人さんなのです。K様のポリシーは、見えないところに粋を張る、ということです。例えば、衣食住についても、衣については羽織の裏に浮世絵を入れて、表向きは普通の羽織に見えても、その粋を裏に秘めておくというバサラぶりです。また食についても、隠し味にこだわられます。一口食べたら途端にその調味が分かるという味付けではなく、長く噛みしめているうちに、じわーと舌と口全体に沁みてくるその味こそが、本来の味付けだといいます。
ですから、住の部分である家を建てるときにも、そのこだわりと、また、スイの本領が発揮されることとなりました。特に地面からは人には見えにくい屋根の造りにこだわられたのでした。その屋根とは、日本古来の寺社風また城郭風な鬼瓦や反り棟に、棟飾りの工夫など、細部までこだわって仕上げられたものとなっています。まさに粋の神髄です。
しかしその粋を支えるのは漆喰の本領です。いくら神髄でもその本領無くして粋は、はかれないからです。今回はその粋を支える漆喰の補修の事例をご紹介いたします。

粋(すい)を支える漆喰の施工


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鬼瓦の漆喰の劣化と破損です。雨の侵入が疑われます。(1)
たいへん複雑な瓦の組み方ですが、漆喰がこれではいけません。(2)


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隅棟の漆喰もコケやカビが生えたり割れたりしています。


4 古い漆喰は取り除きます。


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寸法の納まりに配慮しながら工事は進められます。その際汚れが付着しないよう熨斗瓦に養生テープを張るなどして、細かく気を配ります。

施工完了


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施工完了の写真です(7)。なんと鮮やかな出来上がりでしょう。


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9 千鳥破風も小粋ですね。


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11 良い漆喰の出来映えに、鬼瓦さえ笑っているようかのようです。


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出来上がりです。まるでお城の天守のような雰囲気です。何と粋でしょう。この飾り棟は、「輪違い」と呼ばれている特殊な瓦の組み方です。普通の熨斗瓦を、縦でなく横にした使い方となっています。互いの隙間から向こうが見えるような遊び心が配られているのです。スイですね、そして粋(いき)ですね。またそれは恰好ばかりではないようです。機能的には、高い棟瓦に強風が吹きつけても、その風を逃すよう、また風雨の場合の水捌けの良さを考えての組み方となっているとのことです。何と小憎らしいほどの粋の神髄ではありませんか。そしてそれを支えているのが漆喰の本領です。

■ まとめ

実にいいものを見せていただくことが出来ました。このような特殊な造りの屋根は、普通の民家では少ないものです。芸術的でさえあります。やはりモノづくりの職方さんでもあるK様のこだわりなのでしょう。多分、そのお心には、2000年に近い日本の歴史と伝統の、そうした上方文化の血が脈々と命打っているのかもしれません。思わず、関西弁で「粋でんなー」と褒めたくなるような屋根の造りでした。すると、思いがけずにK様から、「ようやってくれましたなー、おおきに」のお礼が返ってきそうです。

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