施工事例

A様邸漆喰補修の施工事例-兜の屋根は赤備え

はじめに-備えあれば憂いなし

屋根の補修工事を行われたA様邸は、赤い外壁が映えるお家です。そんな赤い外壁を武具の赤い胸当てとするなら、その兜にあたる屋根も赤い瓦、いわゆる赤備えです。
戦国時代の甲冑の赤備えで有名だったのは、最強軍団と言われた甲斐・武田信軍の騎馬武者隊でした。武田家が滅亡した後は、それが曲折を経て、昨年の大河ドラマで有名になった井伊直虎の義理の嫡子である直政軍に受け継がれ、やがて井伊の赤備え軍団として、関ヶ原合戦での大活躍で名を馳せるようになりました。
A様邸のその赤備えにも似た赤い兜の屋根は今、瓦そのものは大丈夫であるものの、それを固定している漆喰が劣化していました。兜の恰好は良くてもそれがほころびては戦になりません。敵は手ごわい大軍です。雨や嵐、夏の強烈な紫外線や厳しい冬将軍の強襲。酸性雨もあれば放射性物質も襲ってきます。家の兜である屋根はそれらに対抗して戦わねばなりません。武田節の一節にも、「♪ おのおの馬は飼いたるや~」とある通りです。戦の準備はいつも万端でなければなりません。


Before

本来、漆喰は白いものです。漆喰が純白であればまだ、その機能が維持されていることを表わしています。ところがA様邸の漆喰は経年劣化で黒くなり、ところどころひび割れています。これではいくら瓦が頑張っても下で支える漆喰から雨水が浸水する可能性があります。限界です。


After

新しい純白の漆喰に塗り替えられて、赤い屋根が元の美しさによみがえりました。

漆喰の取り換え工事

漆喰の劣化





以上の写真は、屋根の経年劣化による漆喰の惨状を物語っています。瓦そのものは焼き物ですから50~100年という単位で長持ちしますが、屋根瓦に使用されている漆喰は 屋根瓦と比べると短期間で劣化します。漆喰は瓦の波形に沿ったかたちで塗装され、固形化して屋根の雨風を守りますが限界があります。10年に一度は見直さなければならないでしょう。瓦を剥がさなくとも一見して黒ずみがひどければ、ひび割れは生じている可能性が高く、放置しておくとそこから雨水が侵入して屋根内部を損ねる原因となってしまいます。

古い漆喰の撤去




新しく漆喰を塗布する前に、古い漆喰を丁寧に取り除きます。
劣化状態が酷くなければ打ち増しで問題ないのですが、劣化した古い漆喰の上から新しい漆喰を塗ってしまうと、せっかくの新しい漆喰がはがれやすくなってしまいます。

新しい漆喰の塗装




新しい漆喰が塗られました。目の覚めるような白さで輝いています。真っ直ぐで、正義や大義のためなら命さえ惜しまない若武者を連想させます。この屋根の漆喰も、自らの命を賭してA様邸の屋根を守ってくれるでしょう。

仕上がり





瓦のつなぎ目やねじ止めの部分に施されているコーキングも傷みやすい部分です。漆喰はある程度、棟瓦で守られていますが、コーキングはむき出しの状態で瓦を守っているのです。ただ、屋根のコーキングは多少劣化しても、中の漆喰が、ある程度は雨水の浸透を防いでくれます。でも、せっかくの良い機会ですからコーキングも打ち直します。

完成


出来上がりました。もとのきれいな漆喰の白が鮮やかに光っています。

■ まとめ

漆喰がすべて塗り終えられて、A様邸の赤い兜のような屋根がよみがえりました。赤い胴の外壁と共に、見事な赤備えとなりました。手ごわい敵たちも、戦場でその赤備えの騎馬軍団に遭遇したなら、戦う前に戦意を喪失させて撤退してしまうかもしれませんね。
屋根に対する自然界の多くの敵たちも、きっと恐れおののくに違いありません。
「おのおの馬は飼いたるや~妻子につつがあらざるや~」の武田節が再び聞こえてきそうな、そんな見事な出来映えとなりました。 

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