施工事例
N様邸スレート屋根にガルバリウム鋼板屋根の重ね葺き(カバー工法)施工事例
Before1
Before2
After1
After2
◼︎K様邸スレート屋根にガルバリウム鋼板屋根の重ね葺き(カバー工法)施工事例
K様邸の屋根には、ところどころに補修や交換したスレートがありました。割れてしまったり傷みの激しいスレートのみを補修することで一時的に機能を取り戻した屋根ですが、補修を行なっていない部分は改善されていない状態です。
少しの欠けであれば、補修だけで問題ないように思われますが、不具合が起きるたびにメンテナンスを重ねるのは、手間も費用もかかります。そういったことから、今回は重ね葺きを行う運びとなりました。既存の屋根はそのまま残りますが、新しい屋根材で覆ってしまうので、屋根は新築同様の状態になります。新しい屋根材には、軽量で丈夫なガルバリウム鋼板を使用しました。
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屋根の重ね葺き工法は、既存の屋根材の上に新しい屋根材を重ねる工法です。そのため、既存の屋根はフラットな状態にする必要があり、まずは雪止めを撤去します。(1)
同様の理由で棟板金も外していきます。屋根の頭頂部に設置されている棟板金ですが、下地には木材が使われています。一般的に塗装などの工事では棟板金が外されることはなく、貫板と呼ばれる下地の木材までメンテナンスが行き届いていないことがほとんどです。貫板が腐食し脆くなると、板金の固定が甘くなり、強風などで飛散してしまう危険もあります。重ね葺きでは、棟部分の材料はすべて新しいものに取り替えますので、棟部分のトラブルに関する不安も解消されます。(2)
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撤去した雪止めと棟部分の建材はすべて廃棄します。葺き替えのように大量の廃材を出すことのないカバー工法は、廃材処理費を抑えることができ、また、工期を短縮することのできる工法です。(3)
屋根全体がフラットな状態になったら、ルーフィングを設置していきます。屋根材の隙間から侵入した雨水が屋根内に入ってしまうのを防ぐ役割を持つルーフィングは、家を守るための重要な建材です。軒側から順に重なり合うようにしてタッカーでしっかり固定します。(4)
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屋根の形状に合わせ、全体に隙間なく取り付けます。屋根が谷になっている部分は雨漏りが起こりやすい場所です。そういった場所は、ルーフィングを重ねながら、隙間が生じないよう貼ります。(5)
谷だけでなく、棟も雨漏りが起こりやすい部分ですので、ルーフィングを二重に重ねます。(6)
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屋根材を被せてルーフィングが見えなくなってしまう前に、破けている部分はないかなど、小さな穴も見逃さないよう、しっかり最終確認作業を行います。(7)
次に、軒の板金施工に移ります。一般的に、見積書には「唐草」と記載されている工程で、屋根面を流れた雨水が、屋根の裏側に回って木材を濡らしてしまうことを防ぐために取り付けられています。(8)
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ケラバ部分には下地の木材を取り付けて、板金を設置するための準備をしておきます。(9)
軒唐草の設置が完了したら谷樋の施工です。谷樋は特に雨水や雪などが集中する部分になり、板金が劣化しやすいため屋根の中でも最も雨漏り原因となりやすい箇所です。雨仕舞には最新の注意を払い施工します。(10)
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いよいよ新しい屋根材を葺いていきます。軒側から30〜70㎝ほど離れた場所には雪止めを設置しながら施工します。(11)
新しい屋根材は、非常に軽量で重ね葺きに適したガルバリウム鋼板です。金属でありながら錆びにくく、耐久性の高い建材です。(12)
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屋根材が谷樋にかかる部分は、その場で形状に合わせた加工を行い、設置します。(13)
全面に取り付けが完了した様子です。屋根面が合わさる棟には棟板金という山形の板金を施工するため、ケラバと同じように下地の木材を設置しています。(14)
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ケラバ唐草を取り付け、最後に棟板金を設置します。棟は屋根の頭頂部に位置するため、建物の中で最も過酷な状況に置かれている部分です。大型の台風などで強風が吹くと、棟板金が飛散してしまうなど、トラブルも数多く発生します。取り付けに使用した釘が錆びてしまうと固定が甘くなり飛散の確率も高くなるので、錆びにくいステンレス製の釘を使うなどの対策が必要です。(15)
棟換気のための換気口確保に伴い、棟の中央に穴を開け、そこに換気棟と呼ばれる部材を取り付けます。屋根の棟で換気を行うこのシステムは棟換気と呼ばれ、小屋裏の空気を循環させるための効率的な換気システムです。(16)
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小屋裏には熱気や湿気がたまりやすいため、棟に空気の抜け道があるとカビの発生を抑制することができたり、室内の温度が上がり過ぎるのを防ぐことができます。棟換気は、快適な住環境を保つために有効な働きをします。(17)
換気棟の設置は、屋根の頂部に穴を開けるため、雨漏りのリスクが懸念されるお客様もいらっしゃいますが、適切な施工を行えば、換気棟が原因となる雨漏りが発生することはまずありません。(18)
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屋根の施工が完了しました。(19)
今回、雨樋にはカバーを取り付けました。雨樋に落ち葉などが溜まると雨樋が詰まり、雨漏りの原因となる場合があります。カバーがあれば、雨漏りのリスクを回避することができ、さらには手間のかかる雨樋の掃除からも解放されます。(20)
■ まとめ
スレート屋根は、ヒビや割れが起きてしまった箇所のみを部分的に交換することが可能です。しかし、部分的な補修はあくまでも応急処置になります。他の箇所も経年劣化により徐々に脆くなっていくため、その時傷んでいる様子が見られなかったとしても、いつ同じ症状が起きてもおかしくありません。
重ね葺きや葺き替えは大きな費用がかかる工事ではありますが、トラブルが起きるたびに部分補修を行うよりは、一気に葺き替えてしまう方が最終的にかかる費用は抑えられる場合もあります。屋根の寿命は建物の寿命にも大きく影響するため、メンテナンスは欠かすことができません。しかし、工事内容によっては高額な費用がかかってしまうのも事実です。屋根の状況に応じて、長期的な目線からメンテナンス方法を選択することが、家を守るための費用を最低限に抑えることのできる最善策であるといえます。