• O様邸スレートからガルバリウム鋼板への重ね葺き(カバー工法)施工事例

施工事例

O様邸スレートからガルバリウム鋼板への重ね葺き(カバー工法)施工事例

重ね着の魅力と効果

S市のO様邸は、温暖な神奈川県といえ県北の山間部の、冬場は結構寒さの厳しい所です。ですから建物には、それなりの断熱効果また保温性能が要求されます。それは人が冬場で服の重ね着をすることに似ています。重ね着は、一枚の厚手を着るよりは、むしろ薄手を何枚か重ねて着るほうが保温効果は高いとされています。つまり、重ね着による空気層を数多く作る方が保温性能は増すからです。でも夏はその反対です。真夏だと半袖一枚でも暑いくらいですから、とても夏の重ね着などは想像できません。
ところが家屋の場合は、冬場はもちろんのこと、夏場でもその「重ね着」効果は高くなります。つまり家は重ね着をすることにより、冬は暖かく、また夏は涼しいという断熱効果を発揮できるのです。なぜならその断熱には、家の中の気温を一定に保つという顕著な効果が伴うからです。
今回のO様邸の屋根は、まだ葺き替えるほど古くはないと思える程度でした。しかしそれでもO様が屋根を葺き替えようと考えられた背景には、あえて葺き替えを前倒しすることによって、その断熱性の先取りを望まれたからでした。そこで屋根の断熱性を高める「重ね葺き」工法(カバー工法)に着目されたのです。つまり、今の屋根は残したそのままで、さらにその上に、重ね着となる新たな屋根を葺かれることにしたのです。それではその興味深いその工事の状況を見てみましょう。


Before


before

現在の瓦は薄手のスレート瓦となっています。従来の日本瓦に比べると耐久性は弱く、また断熱性や保温性能は大分劣るものとなっています。これ一枚では見るからに寒々しいですね。



新製品の鋼板製の屋根となりました。素材が薄い鋼板ですとむしろ今のスレート瓦より断熱性は劣ります。しかしこの鋼板は断熱材が入っています。したがってその分、断熱性は高くなります。しかしこの工事における断熱性の意味は、その製品自体だけを指すものではありません。これから見ていくその葺き方にこそ、その核心が込められているのです。

屋根の重ね着の工事とは

足場掛け



工事の前に足場が設置されました。その周囲には養生シートが架けられました。この養生シートは、近所に対してゴミなどの迷惑を防止する役目を果たすのですが、同時に、屋根職人の眼下に対する恐怖感を減少するとともに、万一、落下した場合には、多少なりとも直接的な落下の緩衝となる役目も担うものとなっているようです。

現在のスレート瓦です。まだ十分、大丈夫なようですが、暑さ寒さの断熱性はあまり期待できません。

ルーフィング


現在のスレート瓦を取り除かず残したままで、その上に防水性の高いルーフィングが貼られてゆきます。このルーフィングは、現在のスレートの下にも屋根の野地板の上に貼られているはずです。ですからこれで、元のルーフィング、スレート瓦、ルーフィングの三重となります。つまり三枚の重ね着となるわけです。


ドーマの前にもルーフィングが敷かれました。

屋根の仕上げ

ルーフィングの上に、仕上げの鋼板製の屋根材が敷かれます。この製品は比較的新しいもので、亜鉛とアルミの合金製のところへ、さらにマグネシウムを加えて耐用年数を高めたもので、それをこのメーカーでは「スーパーガルバリウム」と呼称して販売しています。したがって従来のガルバリウム鋼板とは粗成材料が違うのでその以前のガルバリウムとは異なるのですが、そこはそれなりの科学的根拠を持って、ガルバリウム鋼板と銘打って製品化されています。またこの製品には、断熱材も組み込まれており、薄い鋼板の断熱性の弱点をカバーするものとなっています。さしずめ、ダウンジャケットを着用した鋼板ということになるのでしょうか、その分、保温性能を高めるものとなっています。


鋼板の屋根材がルーフィングの上に葺かれていきます。

屋根の全部に鋼板の屋根材が葺かれました。

屋根のドーマの部分にも葺かれました。

一階屋根も葺かれました。


屋根の軒先に、鬼瓦のようなボックスが取り付けられています。これは強制換気装置です。O様のように、家の断熱性を大切に考えられる方は、その分、家の換気についてもよく配慮されています。屋根の棟には、それに伴う換気棟が取り付けられています。

■ まとめ

いかがでしたか。こうしてO様邸の屋根は、屋根の野地板の上に、旧いルーフィング、旧いスレート瓦、新しいルーフィング、新しい鋼板製の屋根材、の4重となりました。つまり屋根が従来の2枚から4枚への重ね着となったのです。ですから真冬の酷寒からは、その4枚の重ね着によって強く守られますし、逆に夏はその断熱性を発揮して、真上からの強烈な太陽熱からも守られることになります。夏場でさえ人のように薄着になる必要もありません。またこの重ね着は、断熱性だけでなく、屋根を自然の風雨や嵐やまたそれらの音からもより防備を固める役割も果たします
新しい屋根はその美しさと同時に、その性能効果においても魅力的な屋根となりました。

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