雨漏りの調査は、信頼できる業者に依頼しなければなりません。調査技術が未熟な業者に依頼すると、雨漏りの原因をきちんと特定できないこともあります。
そこで知っておきたいのが、雨漏り診断士の資格についてです。
雨漏りの調査業者を探してみると、雨漏り診断士の有資格者がいることをアピールしている業者が目につくでしょう。資格を持っているスタッフが対応してくれると安心できます。
ただ、雨漏り診断士はあまり知名度の高い資格ではありません。どのような資格か気になる人もいるでしょう。
ここでは、雨漏り診断士の資格についてくわしく解説していきます。雨漏り調査の優良業者を探す際にぜひ役立ててください。
目次
雨漏り診断士は“民間の”専門資格
資格は国家資格と民間資格に大別できますが、雨漏り診断士は、民間資格のひとつです。民間資格はNPO法人などの民間団体が試験を実施しています。
雨漏り診断士の資格試験を実施している団体や試験の内容について見ていきましょう。
NPO法人雨漏り診断士協会が実施する試験
雨漏り診断士の資格試験は、NPO法人雨漏り診断士協会が実施しています。試験を受けて合格した人は、雨漏り診断士協会に登録され、雨漏り診断士認定登録証と雨漏り診断士資格証が発行されます。
- 認定登録証:額縁に入れて事務所などに飾るためのもの
- 資格証:顔写真入りで持ち歩くためのもの
雨漏り診断士協会の公式サイトはこちらです。
NPO法人雨漏り診断士協会と試験の内容について見ていきましょう。
NPO法人雨漏り診断士協会とは
NPO法人雨漏り診断士協会は、雨漏りの予防や修理、原因究明などに関して研究や教育などを行う民間の団体です。設立されたのは2006年です。
雨漏り診断士協会がとくに力を入れているのが、雨漏りの調査や修理を行う人材の育成です。その一環として、雨漏り診断士の資格試験を実施しています。
合格者は、雨漏りに関する一定の知識を持ち合わせたプロであることを証明されるのです。
どんな内容の試験を実施しているのか
雨漏り診断士の試験では、主に次の3つの分野の問題が出題されます。
- 建築の基礎知識
- 雨仕舞い(※)と防水・塗装の基礎知識
- 雨漏り診断の実例・実務
建設や塗装などの仕事に携わっている人なら、普段の業務で使う知識も多いです。
雨漏り調査の実務経験がない人でも受験可能ですが、出題の内容から、実務経験がある人の方が有利でしょう。
※雨仕舞(あまじまい):建築物などの内部に雨水が入らないようにすること。屋根に勾配(こうばい)をつける、軒(のき)を深くする、庇(ひさし)をつける、雨水の流れる経路を作る、屋根に防水処理を施すなど。雨仕舞いが適切に行われないと、雨漏りの原因となる。(出典:講談社 家とインテリアの用語がわかる辞典について)
定期的に講習会も実施している
雨漏り診断士協会は、ただ試験を実施して資格を付与するだけの団体ではありません。定期的に講習会を実施して、雨漏りの調査や修理に関して学びたい人に、学ぶ場の提供も行っています。
講習会には、雨漏り診断士の資格取得を目指す人はもちろん、すでに雨漏り診断士の資格を取得済みの人も参加可能です。
雨漏りの原因は千差万別で、経験豊富な人でも、見たことがないような状態に出くわすことがあります。そのため、雨漏りの調査や修理の仕事に携わる人は、常に新しい知識を増やしているのです。
講習会に参加することで、自分が見たことがないケースについても学ぶことができるでしょう。
雨漏り診断士の資格が設立された背景
雨漏り診断士協会や、雨漏り診断士の資格が設立された背景について見ていきましょう。
専門知識がないと雨漏りの調査や修理は難しい
雨漏りの原因を特定したり修理したりするのは難しく、専門的な知識や経験が必要になります。
雨漏り診断士協会が設立される以前までは、雨漏りに関して専門的に学べる場はありませんでした。大半の職人は、親方や師匠などの技術を見て盗む形で、技術を身につけていたのです。
ただし、親方や師匠の知識や技術も完全ではありません。専門的に一通り学ばないことには、対応できないケースも多いです。
そのようななかで、雨漏りに関して専門的に学べる場として雨漏り診断士協会が設立されました。
建築様式が以前よりも複雑になっている
最近ではデザイン性の高い住宅が増えており、使用する建材なども多様化しています。そのため、昔ながらの木造でシンプルな構造の建物と比べると、雨漏り調査も難しくなっているのです。
10年前まで通用していた調査方法が、現在でも通用するとは限りません。現在通用している調査方法が、10年後には通用しなくなる可能性も十分あるでしょう。
雨漏りの調査や修理に携わるプロは、常に新しいことを学んでいく姿勢が求められます。経験から得られることだけでは、十分ではありません。
雨漏り診断士協会が設立された背景には、そのような事情も関係しています。
業者の知識や技術レベルを判断するうえでひとつの目安になる
雨漏り診断士協会が設立される以前までは、主に建設業者やリフォーム業者などが、雨漏りの調査と修理を行っていました。
建設業者もリフォーム業者も、普段の業務で雨漏りに関する一定の知識は身につけています。しかし、雨漏りの調査や修理に特化した業者ではないため、調査しても原因が分からなかったり、修理しても直せなかったりすることも多いです。
きちんと原因を特定して修理できる業者を見つけるのは、そう簡単なことではありません。
雨漏り診断士協会が設立される以前も、雨漏りの専門家や専門業者と名乗る業者もいました。しかし、専門性を証明する手段はほとんどなく、誰でも専門家を名乗れる状況でした。
雨漏り調査や修理を依頼する側は、優良業者を見つけるのに苦労していました。
そのようななかで、雨漏りに関する専門性を証明する手段として設立されたのが、雨漏り診断士の資格です。
雨漏り診断士の資格を持ったスタッフがいれば、業者の知識や技術レベルが一定水準であることが分かります。優良業者かどうか判断するうえでひとつの目安になるでしょう。
雨漏り診断士と似ている名称の専門家を名乗る業者に注意
雨漏り調査の業者のなかには、スタッフが雨漏り診断士の資格を持っていることをアピールしている業者も多いです。しかし、雨漏り診断士と似た名前の専門家を名乗る業者もいるため注意が必要です。
どのような点に注意すべきなのか見ていきましょう。
専門家・専門業者と聞くとつい安心してしまう
雨漏りの専門家と聞けば、雨漏り診断士のことだと思う人は多いでしょう。専門家や専門業者であるだけで安心する人もいます。
しかし、専門家や専門業者を名乗っていても安心はできません。
名乗ろうとすれば誰でも専門家と名乗れる
雨漏り診断士は資格であるため、資格を取得済みの人しか「雨漏り診断士」と名乗ることはできません。しかし、雨漏り診断士とは明言せず、単に「雨漏りの専門家」と名乗るだけなら誰でもできます。
雨漏り診断士と似ている名称の専門家を名乗ることに関しても、同様です。
技術力が未熟な専門家もいる
雨漏りの専門家と名乗っていても、技術力が高いとは限りません。誰でも専門家と名乗ることができるため、技術力が未熟な人が専門家と名乗っていることもあります。
専門家と聞いただけで、すぐに安心しないようにしましょう。
意図的に勘違いさせようとする業者も
雨漏り診断士の資格は、雨漏りの調査や修理を行っている業者の間では、評価の高い資格です。有資格者であれば、似た名称の専門家を名乗ることはほぼないでしょう。
悪徳業者の場合には、意図的に雨漏り診断士と勘違いさせる目的で、似た名称の専門家を名乗ることも多いです。
本物の有資格者なら「雨漏り診断士資格証」がある
雨漏り診断士の有資格者は、「雨漏り診断士資格証」を持っています。調査や相談の際には、この雨漏り診断士資格証があるかどうか確認しておきましょう。
雨漏り診断士協会の内部規定では、雨漏り調査を実施する際に、雨漏り診断士資格証を提示するように定めています。
雨漏り診断士の資格以外でのチェックポイント
優良業者を見分けるうえで、雨漏り診断士の資格の有無は重要な要素になります。しかし、それだけで判断することはできません。
業者やスタッフについて全般的にチェックする必要があります。資格の有無以外のチェックポイントについて見ていきましょう。
スタッフの対応の仕方
雨漏りで業者に相談をすると、業者のスタッフが対応してくれます。このときの対応の仕方をよく見ておきましょう。
きちんとコミュニケーションが取れている
雨漏り調査を行っている業者のなかには、コミュニケーションが十分に取れない業者もいます。優良業者であれば、いつから、どの箇所で、どのような兆候が現れてきたのかくわしく聞いてきます。
そのような情報は、雨漏り調査を行ううえで非常に重要な情報です。ヒアリングをきちんと行わずに調査を行おうとするのであれば、あまり良い業者とはいえません。
また、こちら側から疑問点に関して質問をすれば、優良業者なら的確に分かりやすい言葉で説明してくれます。質問したことに対してきちんと答えてくれない業者は、おすすめできません。
契約を急かさない
良くない業者は、都合の良いことだけを話しておいて、その場で契約を決めるように急かすことが多いです。わずかな情報から火災保険が使えると断言して、契約を迫る業者もいます。
後から業者について調べてみたら、信頼するには難しい業者だと判明することもあるでしょう。悪徳業者の場合もあります。
一方、優良業者なら、後から調べられても都合の悪いことはないため、無理に契約を急かすことはありません。
雨漏り修理業者のホームページ
雨漏り修理業者について知るには、業者の公式ホームページを見てみるのがおすすめです。公式ホームページからは、その業者についてさまざまな情報が分かります。
更新されているかどうか
業者について調べようとして、ホームページにアクセスしてみると、古い情報しか掲載されていないこともあります。
すでに終了しているキャンペーンなどの情報をそのまま掲載している業者は、避けた方がいいでしょう。1年以上更新されていない場合には、料金などが古い情報のまま掲載されている可能性もあります。
逆に、新型コロナウイルスに関する取り組みなど、最近のことに関する情報を掲載している業者は、安心して依頼できるケースが多いです。
実績が掲載されているかどうか
業者のホームページが掲載されている情報のなかで、必ず見ておきたいのがその業者の実績です。実績が豊富な業者であれば、それをアピールするため、ホームページに実績を掲載しています。
実績が掲載されていないようであれば、アピールできる実績がない可能性があります。
料金が妥当かどうか
雨漏り調査の料金は、相談時に金額を提示されますが、ほとんどの業者はホームページにも料金を掲載しています。相談をする前の段階で、相場と大きく離れた金額でないかどうか、ホームページに掲載されている料金をチェックしておきましょう。
雨漏り修理業者の選び方
雨漏り調査で雨漏りの原因が判明したら、次は修理業者に修理を依頼することになります。
その際に注意しなければならないのは、詐欺業者や悪徳業者に引っかからないようにすることです。悪徳業者などに引っかかるなどすると、雨漏りが直らなかったり、すぐに再発したりします。
詐欺業者や悪徳業者に引っかからないためには、優良業者との違いを押さえておきましょう。
雨漏り修理業者の選び方について、くわしくはこちらをご覧ください。
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雨漏りのサインや調査方法
雨漏りは早期発見することで、修理費用が抑えられます。そのためには、雨漏りのサインを見逃さないことが大切です。
雨漏りのサインと、調査方法について見ていきましょう。
雨漏りのサイン
雨漏りは、屋根から雨水が入り込んで、天井からポタポタと水が落ちてくるイメージが強いでしょう。
たしかに、そのような兆候は雨漏りのサインのひとつです。しかし、壁やクロス、窓枠などからも雨漏りすることがあります。
床や壁にシミができたり、室内がカビ臭くなってきたりした場合にも雨漏りを疑ってみましょう。
雨漏りのサインについて、くわしくはこちらに掲載しています。
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雨漏りの調査方法
雨漏りの調査方法は、最初にもっとも簡単な目視調査を行うことが多いです。
ある程度の場所や原因を絞り込んでから、散水調査や赤外線サーモグラフィ調査、紫外線投射発光調査、ガス調査などを行ってくわしく調べます。
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まとめ
雨漏り診断士は、雨漏りのプロであることを証明するための民間資格です。有資格者は、雨漏りに関してくわしい知識を持ち合わせており、日々勉強に励んでいる人が多いです。
雨漏り調査を業者に依頼する際には、雨漏り診断士の資格を持っているスタッフがいるかどうかチェックしておきましょう。
イエコマでも、雨漏り診断士の資格を持っているスタッフが在籍しています。イエコマでは、屋根・雨漏り診断を現地調査・お見積り無料で承っております。
雨漏りのサインが出ているようであれば、ぜひイエコマにお問い合わせください。相談は24時間365日いつでも受け付けております。