使用頻度が高く、生活において重要な場所なのに、どうしても掃除を敬遠しがちになるのが、ガスコンロです。
しかし、そのまま掃除せずにいると、早期の故障や害虫の発生につながります。
ガスコンロは、「掃除の仕方がわからない」「面倒くさそう」などの理由から、掃除を後回しにしてしまう人も多いでしょう。しかし、正しい掃除方法を知っていれば、簡単にキレイにすることができます。
この記事ではガスコンロと周辺の部品の役割から、掃除しないとどうなるのか、正しい掃除方法、部品の交換までをお伝えします。
ガスコンロの種類
ガスコンロには、大きくわけて2つの種類があります。「テーブルコンロ」と「ビルトインコンロ」です。まずは、お家のコンロがどちらのタイプかを知りましょう。
テーブルコンロ
引用:リンナイ
「テーブルコンロ」はキッチンに設置するタイプです。商品をお店やインターネットで購入すれば、キッチンに置くだけですぐに使用できます。「ビルトインコンロ」よりも価格が安く、壊れても買い替えるだけで済むのでお手軽です。
ビルトインコンロ
「ビルトインコンロ」は、キッチンにはめ込むタイプです。内蔵式のコンロで、キッチン全体に統一感がでるので、見た目の美しさが際立ちます。
しかし、キレイに設置できる分、必ず工事が必要です。設置費用に加えて、コンロ自体の値段も高いです。
どちらのコンロが良いかという問題ではありません。
自宅のキッチンによって設置できるコンロのタイプが決まっているので、買い替えや工事を検討する際には、必ず確認しましょう。
ガスコンロと周辺の部品の主な役割
ガスコンロやその周辺には、細かい部品が多いです。部品によっては、材質を傷つけることもあるため、使用できる洗剤や掃除方法が限られます。
ここでは、それぞれの部品の名称と役割をおさえましょう。
トップレート(天板)
ガスコンロの中で最も面積を占めるのがトップレートです。
材質によって、いくつかの種類があります。種類によってもお手入れ方法が異なるので、あらかじめ自宅のトップレートの種類を確認しておきましょう。(「4、部品ごとの掃除方法」で説明します)
代表的な材質は、「ガラストップ」、「ホーロートップ」、「ガラスコートトップ」、「フッ素コートトップ」です。
ガラストップ
「ガラストップ」は、現在主流の材質です。
凹凸がないので見た目が美しく、耐久性、耐熱性に優れています。
塗装が剥げにくく、天板に触れてしまいやけどをする心配もありません。
デメリットは一点に集中した衝撃に弱く、価格が高い点です。
ホーロートップ
「ホーロートップ」は、鋼板にガラス質をコーティングした昔ながらの材質です。
ガラスコートトップ
「ガラスコートトップ」は「ホーロートップ」に、さらにガラス質をコーティングした材質です。
いずれも「ガラストップ」に比べ、価格は安いですが、耐久性が悪く、表面の塗装が剥がれてしまうとさび始めます。
フッ素コートトップ
「フッ素コートトップ」は、鋼板にフッ素をコーティングした材質です。
水や油をはじく性質を持っているので汚れがつきにくいです。
しかし、「ガラスコートトップ」、「ホーロートップ」と同じように、耐久性が悪く、表面の塗装が剥がれるとさび始める欠点があります。
グリル排気口カバー
引用:ぼん家具
グリルの排気口に食材などが落ちるのを防ぎます。
汚れないようにアルミホイルでふさいだりすると、グリル内の熱や煙を逃がすことができなくなってしまうので逆効果です。グリルがついていないタイプのガスコンロにはついていません。
グリル皿(グリルプレート)
引用:リンナイ
グリルの中にいれる皿です。落ちてきた魚の油などが多く付着します。
グリル焼き網
引用:リンナイ
グリル皿を乗せる台です。油に加え、焦げつきが多く付着します。
グリル扉
引用:リンナイ
グリルの開閉扉です。見落とされがちですが、油のはね返りなどで非常に汚れる場所です。
ゴトク(五徳)
引用:東彼セラミックス
鍋やフライパンなどを置くための台です。「汁受け皿」があるタイプとないタイプがあります。
「汁受け皿」がないタイプは、凹凸が少なく掃除しやすいのが特徴です。
「汁受け皿」があるタイプは、隙間に油がたまりやすく、汚れが落ちにくいです。
バーナー
引用:リンナイ
バーナーは「温度センサー」、「バーナーキャップ」、「点火プラグ」、「立消え安全装置」などの細かい部品から構成されています。
温度センサー
調理中の鍋やフライパンの底の温度を検知し、高温になりすぎないように火力を調整するための部品
バーナーキャップ
火がふき出る部品
点火プラグ
点火時に火元となる火花を出す部品
立消え安全装置
煮こぼれや弱火調理などにより火が消えてしまった際に、ガスを止めるための装置
普段は見落とされがちな部分ですが、バーナーに汚れがたまってしまうと、不完全燃焼やガス漏れを引き起こす可能性があります。
換気扇
換気扇には主に2種類、「シロッコファンタイプ」と「プロペラタイプ」のものがあります。
<シロッコファンタイプ>
引用:LIXIL
<プロペラタイプ>
引用:Panasonic
シロッコファンタイプは通常、レンジフードとよばれます。レンジフードは、コンロの上に覆いかぶさるように設置されているものです。ファンが回転し、レンジフードから煙や油を吸い取ってダクトに送り、換気する仕組みです。
「プロペラタイプ」は、外部に直接排気することができます。
汚れの種類
ガスコンロにつく汚れの種類は1つではありません。そのため、すべての部分を同じ洗い方や同じ洗剤で掃除しても、汚れがきれいに落ちないことがあるのです。
ここで剥がすコンロに付着する汚れに、どのような種類があるのかお伝えします。
食品汚れ
食品のこぼれ汁や、調味料などのこぼれによる汚れです。こぼれたときにすぐふき取れば問題ないですが、残ってしまうと固まって取りにくくなり、シミや変色などにもつながります。
油汚れ
ガスコンロの汚れでもっとも多いのが、調理のときに飛びちった油による汚れです。油汚れは、長い時間放置しておくと取りにくくなってしまううえ、ゴキブリをはじめとする害虫のエサになるので、できるだけ早く取り除くことが重要です。
焦げつき汚れ
食品のこぼれや、油などに熱が加わって炭化したものです。水だけで落とすことが難しい汚れです。
部品ごとの掃除方法
前章でお伝えしたように、ガスコンロの汚れは、汚した際にすぐふき取り、汚れを残さないようにするのが一番良い方法です。
しかし、どうしても目に見えない汚れや、避けられない汚れが付着してしまう場合があります。
ここではガスコンロ周辺の部品ごとの掃除頻度や掃除方法をお伝えします。
掃除の頻度
理想的な掃除頻度は、以下の通りです。
- もっとも汚れの付着するゴトク(五徳):週に1回
- トップレートやバーナー、グリル関連の部品:月に1回
- 使用後の水ふき:毎回
掃除方法
トップレートの掃除
まずはトップレートの掃除方法を紹介します。
「2-1、トップレート(天板)」でもお伝えしたとおり、トップレートにはさまざまな種類があり、種類ごとに掃除方法が違うので注意しましょう。
〈ガラストップレート〉
現在の主流材質で、汚れが落ちやすいため掃除がしやすいです。
- 必要な道具
- ・食器用中性洗剤
- ・布
- ・スポンジ
- ・クリームクレンザー
- ・ガラストップ専用クリーナー
- ・ラップ
ガラストップ専用クリーナーとは、ガラスを傷つけずに頑固な汚れを落としてくれる商品です。
リンク:ラグロン株式会社
1、スポンジに食器用中性洗剤や水を含ませたもので、トップレートの汚れをふき取ります。
2、汚れが落ちないときは、スポンジのかわりにラップを丸めたものを使用しましょう。
3、それでも落ちないときは、布にクリームクレンザーやガラストップ専用クリーナーをつけて、円を描くようにふき取ります。
ただし、クリームクレンザーは強力で、トップレートの塗装を剥がしてしまう恐れもあるので、常用するのは避けましょう。
4、乾いた布でトップレートを乾拭きして終了です。
〈ホーロートップ・ガラスコートトップ〉
スポンジ・布・クリームクレンザーを使用します。
1、スポンジにクリームクレンザーをつけて、こするように汚れを落とします。
2、乾いた布でトップレートを拭いて終了です。
〈フッ素コートトップ〉
油をはじく性質を持っているので、お手入れが簡単です。
スポンジ・布・食器用中性洗剤を使用します。
1、食器用中性洗剤と水を含ませたスポンジで、軽いタッチで汚れを拭き取ります。
2、乾いた布でトップレートを拭いて終了です。
バーナーの掃除
バーナーは細かい部品から構成されています。
目詰まりすると危険なので、部品ごとの細かい掃除を心がけましょう。
布・竹串・食器用中性洗剤を使用します。
- バーナーを全体的に軟らかい布でこすり、汚れを落とします。落ちないときは、食器用中性洗剤を布に軽く含ませるとよいでしょう。
- バーナーキャップを外し、穴の目詰まりを確認します。目詰まりがあれば、竹串や細いブラシなどで取り除きましょう。
- 温度センサーは、曲げないように片手で支えて掃除します。水で濡らし固くしぼった布で汚れを拭き取りましょう。
- 乾いた布で全体をよくふいて、水気を落としましょう。
ゴトク(五徳)の掃除
ゴトク剥がすコンロの部品の中で、もっとも汚れが付着する部品です。ついたばかりの汚れであれば、水や食器用中性洗剤で簡単に洗い流すことができます。しかし、油汚れや焦げつき汚れのような頑固な汚れは、なかなか落とすことができません。
汚れの種類ごとにゴトクの掃除方法を紹介します。
〈油汚れ〉
重曹・スプレーボトル・布を使用します。
また、ゴトクなどの複雑な形の部品は、手を傷つけてしまう恐れがあるので、手袋の着用をおすすめします。
- ぬるま湯100ミリリットルにつき重曹小さじ1杯をスプレーボトルに入れて混ぜ合わせます。
- ゴトクを外して、油汚れの目立つ箇所に重曹水をスプレーします。
- 水で濡らし固くしぼった布で拭き取って終了です。
重曹の代わりにセスキ炭酸ソーダを使用してもかまいません。
〈焦げつき汚れ〉
重曹・バケツ(または大きめのボール)・細めのブラシを使用します。
- バケツに40度前後のお湯を入れます。バケツやボールがないときは、大きめのビニール袋で代用してもよいでしょう。
- ゴトクを外し、バケツにすべての部分がつかるように入れます。
- お湯1リットルにつき大さじ1杯の重曹を投入し、1時間程度そのまま放置します。
- 細めのブラシやスポンジを丸めたものでこすって汚れを落とします。汚れが落ちないときは、スポンジにクリームクレンザーを含ませてこすりましょう。
- 水ですすぎ、食器と同じ要領でしっかりと乾かしたら終了です。
〈いろいろな汚れが重なったもの〉
アルミ製以外の鍋・重曹・細めのブラシを使用します。
- 鍋に水と、水100ミリリットにつき小さじ1杯の重曹を入れて沸騰させます。
- 鍋に外したゴトクを入れ、そのまま10分程度煮ます。
- お湯を捨てて、ゴトクを冷まします。
- 細めのブラシでゴトクをこすり、汚れを落とします。
- 水ですすぎ、食器と同じ要領でしっかりと乾かしたら終了です。
グリルの掃除
ガスコンロと同様に、グリルも定期的な掃除が必要です。
部品ごとの掃除方法を紹介します。
〈焼き網〉
焼き網は、焦げつき汚れが多く付着します。
手順はゴトクの〈焦げつき汚れ〉の項目と同様です。
塗装まで剥がしてしまわないよう、軽い力でこするのがポイントです。
〈皿(グリルプレート)>
グリルプレートは、食品から落ちる油汚れが多く付着します。
セスキ炭酸ソーダ・バケツ(または大きめのボール)・細めのブラシを使用します。
頑固な油がたまりやすい部分なので、重曹より強力なセスキ炭酸ソーダがおすすめです。
- バケツに40度前後のお湯を入れます。バケツやボールがないときは、大きめのビニール袋で代用してもよいでしょう。
- グリルプレートを外し、バケツにすべての部分がつかるように入れます。
- お湯1リットルにつき大さじ1杯のセスキ炭酸ソーダを投入し、1時間程度そのまま放置します。
- 細めのブラシやスポンジを丸めたものでこすって汚れを落とします。
〈扉・庫内〉
扉や庫内の汚れも、同様に頑固な油汚れです。
セスキ炭酸ソーダ・スプレーボトル・キッチンペーパー・スポンジを使用します。
- スプレーボトルに水を500ミリリットル、セスキ炭酸ソーダを5グラム入れてよく混ぜ合わせます。
- セスキ炭酸ソーダ水を庫内や扉にまんべんなくスプレーし、キッチンペーパーを上から貼りつけて、30分から1時間そのままにします。
- 汚れが浮いてきたら、スポンジでこすり落とします。
- 仕上げにしっかりと水拭きして終了です。
換気扇の掃除
ガスコンロは掃除していても、換気扇の掃除に手が行き届かないことがあると思います。
しかし換気扇も油汚れがたまってしまう場所なので、定期的な掃除が必要です。
重曹・新聞紙・ブラシを使用します。
- フィルターを外して新聞紙の上に置きます。
- フィルターに粉の状態のままの重曹をまんべんなくふりかけ、1時間程度放置します。
- 油が浮いてきたら、フィルターの形に沿ってブラシでこすって汚れを落とします。
- お湯で洗い流し、キレイに乾かしたら終了です。
その他
ゴトクや汁受け皿、グリル排気口カバーなどの取り外せる部品は食器洗浄機を使用することで、手間をかけずに掃除できます。
ただし、アルミ製の部品は変色の可能性があるので使用できません。
バーナーキャップなどの部品はアルミ製の場合があるので、取り扱い説明書をよく確認してから使用しましょう。
ガスコンロを買い替えるタイミング
一般的にガスコンロの寿命は10年前後といわれています。
しかし、使用状況によっては5年程度で故障したり、使えなくなったりすることもあります。
ここでは寿命をのばす正しいガスコンロの使用方法と、ガスコンロを買い替えるタイミングを紹介します。
寿命を延ばすために
ガスコンロの寿命を延ばすもっとも効果的な方法は、ずばり「定期的な掃除」です。
第四章でお伝えした頻度を保ち、正しい掃除を行えば、キレイな環境で気持ちよく調理できるだけでなく、早期の故障の防止につながります。
修理・買い替えのタイミング
ガスコンロに以下の劣化があらわれたときは、修理または買い替えのタイミングです。
低価格のテーブルコンロをご使用の場合は、修理よりも買い替えの方がよいでしょう。
- 点火しづらい、できない
- 点火するときの音が以前と異なる、使用中に異音がする
- 勝手に消火する
- 不完全燃焼
- 鍋やフライパンの底がススで黒くなる
- ガスくさい
- エラーの表示が出る
ひとつでも当てはまる場合は、修理・買い替えを検討しましょう。
しかし、電池切れや目詰まりを起こしているだけの場合もあるので、よく確認しましょう。
ガスコンロの掃除を依頼する
ガスコンロは正しい方法と手順を知っていれば、簡単にキレイにできる箇所です。
しかし簡単とはいえ、汚れが期待通りに落ちなかったり、掃除する時間がとれなかったりすることもあるでしょう。
そんなときはガスコンロの掃除を業者に依頼しましょう。
業者に依頼することで、手の届かない場所の汚れや、今までに落ちきれなかった汚れを取り除くことができます。
キッチンクリーニングの相場は一箇所12,000円〜20,000円ほどです。
まとめ
ガスコンロは普段よく使用するにも関わらず、掃除を怠けてしまいがちな場所です。どうしても、汚く、面倒くさいイメージがあります。
しかし、ここで解説した方法は、どれも簡単に行えるものばかりです。正しい掃除方法を実践することで、キッチンを清潔に保つことができるとともに、ガスコンロ自体の寿命を延ばすことができます。
ガスコンロを掃除して、気持ちのよい調理生活を送りましょう。
ガスコンロと同様に、換気扇の交換や冷蔵庫周りの掃除は気持ちのよい調理生活に欠かせません。
イエコマでは、換気扇交換や冷蔵庫周りの掃除サービスを行なっています。
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