水回りで家電を使いたいのにコンセントにアース線がついていなかったとき、どうしたらいいのか悩みますよね。「アース工事を行うにも交換するのにもお金がかかるのでは?」と心配になる人も多いことでしょう。
この記事では、アース工事の費用やアース工事の種類、役割について解説します。アース線を増やすか検討する際に、ぜひお役立てください。
目次
アース線は感電・火事を防ぐ安全装置!
アース線とは、家電製品から漏れた電気を安全に地面に流すための線です。
アース線には、漏電した電気を地面に逃がし、感電事故や火事を防ぐ非常に重要な役割があります。
漏電とは家電の表面など、電気が流れるべきではないところに電気が流れることです。
漏電は、感電や火事につながる恐れがある大変危険なものです。
アース線がないと、次のようなことが起こる恐れが高くなります。
- 漏電した電気が家電表面に流れ、その家電に触った人が感電してしまう
- 漏電した電気がもとで火花が発生し、火事に発展しまう
感電すると痛いですし、やけどをする恐れもあります。最悪の場合は死に至ることもあります。
アース線を活用するには、アース付きコンセントが必要になります。
アース付きコンセントとは、コンセントプラグの差し込み口の下に、アース線の差し込み口がついているコンセントのことです。
水回りなど、感電が起きやすい場所のコンセントは、アース線の差し込み口がついているアース付きコンセントであることが多いです。なるべくアース線付きのコンセントを使用して未然に事故を防ぎましょう。
なお、アース線を使っていれば漏電による火事を100%防げるわけではありません。
たとえば、「トラッキング現象」と呼ばれるものがあります。
トラッキング現象とは、コンセントと電源プラグの隙間にたまっていたほこりが、吸気中の湿気を吸収することで電気を通しやすい状態に変化し、最後はショートが起き発火する現象のことです。
トラッキング現象の予防には、コンセントと電源プラグの隙間にほこりが溜まらないよう定期的に掃除したり、使っていないコンセントは抜いておいたりすることがおすすめです。
アース工事とは?費用と施工内容
アース付きコンセントの増設に、アース工事が必要な場合があります。住宅のアース工事であれば、費用は1カ所あたり2~3万円程度になることが多いです。
アース工事が必要かどうかは、住宅の状況やアース付きコンセントを設置したい場所にもよるので、判断は現地調査が必要です。
アース工事とは、「アース棒(接地棒)」と呼ばれるものを建物や設備の周辺の地中に埋設し、建物や設備の電線と接続する工事です。接地工事とも呼ばれます。
アース棒は、銅や鉄などの電気をよく流す金属で作られています。異常電流や雷などの電気的な危険が発生した際、地中の電気を流す性質を利用して、安全に電気を逃がす役割を果たします。
アース工事は電気設備の安全性を確保するために欠かせない作業であり、施工するには電気工事士の資格が必要です。
アース工事には、「A種」「B種」「C種」「D種」と種類があり、住宅で施工されるアース工事は「D種(D種接地工事)」がほとんどになります。D種接地工事は、300V以下の電圧の電気を対象とする工事です。
D種接地工事は、「単独打ち込み工法」という工法が使われることが多いです。1本のアース棒を打ち込む工法になります。
アース線が必要なのは主に水回り
アース線が必要な家電としては、以下が挙げられます。
- 冷蔵庫
- 電子レンジ
- 電気給湯器
- 洗濯機
- 食洗器
- 温水洗浄便座
- エアコン
- テレビ
- パソコン
水回りのものが多いですね。
水回りは漏電が起こりやすい環境です。理由は、水は電気を通しやすいためです。そのため、水回りではアース線のないものは使わないほうがよいでしょう。
アース付きコンセントを増やす方法3つと費用
アース付きコンセントを増やすには、以下の3つのケース別に方法があります。
- アース付きの延長コードを購入する場合
- アースなしコンセントをアース付きコンセントに交換する場合
- アース付きコンセントを新しく設置する場合
アース付きの延長コードを購入する
「今あるアース付きコンセントが、アース付きコンセントにつなげなければならない家電から遠すぎる」という場合は、アース付きの延長コードを使う手もあります。アース付き延長コードとは、アース線が付いた延長コードのことです。
延長コードを購入するだけなので、かかる費用は2,000〜4,000円ほどです。
アース付きの延長コードを使用する際は、アース線をきちんとアース端子につなぐことに注意しましょう。
アースなしコンセントをアース付きコンセントに交換する
アースなしコンセントをアース付きコンセントに交換する工事は、次の2パターンがあります。
- 既存のコンセントの内側にアース線が通っている場合
- 既存のコンセントの内側にアース線が通っておらず、分電盤(住宅内に電気を配分する機器)からアース線を引き込む必要がある場合
既存のコンセントの内側にアース線が通っている場合の工事費用は、5,000円〜10,000円になることが多いです。
既存のコンセントの内側にアース線が通っておらず、分電盤からアース線を引き込む必要がある場合の工事費用は、15,000~40,000円程度になることが多いです。
アース付きコンセントを新しく設置する
アース付きコンセントを新しく設置する工事は、分電盤からアース線を引き込む必要がある場合と、D種接地工事が必要な場合との2パターンがあります。
分電盤からアース線を引き込む必要がある場合は、分電盤の役割である安全に電気を分配するためには、分電盤の先にある電子機器がしっかりアースされている必要があるからです。
かかる費用は、コンセントの数など、自宅の状況によって変動します。10,000~30,000円ほどかかります。
D種接地工事が必要な場合、加えてD種接地工事の料金も必要です。
アース付きコンセントの工事の依頼先
アース付きコンセントの工事の依頼先としては、電気工事店・地元の電気屋さん・家電量販店・ホームセンターなどがあります。
電気工事店は、ネット業者も含みます。地元の電気屋だと地域密着なため、電気周りのことを気軽に相談しやすい地元の電気屋さんと付き合いがあったり、近所に評判のいい電気屋さんがあったりしたら、その電気屋さんに相談してみるのもよいでしょう。
家電量販店やホームセンターは、普段から電気製品を扱っているので工事依頼もしやすいです。また、値引き交渉がしやすい点も魅力です。
依頼先は、複数の業者から見積もりをとり、よく見比べてから依頼することをおすすめします。
理由は、提示された金額や内容の妥当性を測りやすくなり、不当な条件による契約を防ぎやすくなるからです。また、市場の適正な価格を知るという意味でもあります。
まとめ
アース線は、電気設備や機器における重要な役割を果たす配線の一つです。
アース線の費用は、工事や設備の規模、使用する材料などによって異なりますが、一般的には数千円から数万円程度がかかることがあります。
アース線の設置や交換は、電気工事の専門家に依頼することがおすすめです。安全性を確保するためにも、アース線の適切な設置や保守管理が重要です。
アース線は、漏電を防いで安全に家電を使うために必要不可欠です
ぜひこの記事を参考にアース工事を行い、水回りの家電を適切に利用しましょう。