太陽光発電の点検費用は約4.7万円!点検内容と頻度も解説

「太陽光発電を設置してしばらく経つけど、発電量が減っている気がする…点検したほうがいいのかな?」
「点検を業者に頼むといくらかかるだろう?」

太陽光発電システムは、寿命が長く手間がかからないイメージをもたれることがあります。しかし、長く安定的に発電量を維持するためにも、太陽光発電の点検は必要です。
点検をすることで、故障や不具合を早期発見でき、どのようなメンテナンスを行えばいいのかがわかります。
メンテナンスを行うことで、発電効率も維持できますが、点検やメンテナンスにかかる費用が気になる人も多いですよね。

そこで本記事では、太陽光発電の点検にかかる費用を解説。点検内容や点検すべき頻度も解説するので、ぜひ参考にしてください。

住宅の太陽光発電設備の点検費用は約4.7万円

経済産業省の調査によると、住宅用の太陽光発電(一般家庭に多い設備容量5kWを想定)の定期点検の費用は約4.7万円が相場です。

太陽光パネルの寿命は約20年で、4年に1回の点検が望ましいとされています。

20年の間に定期点検を5回行うことを考えると、点検費用の総額は23.5万円ほど必要になります。1年間に換算すると点検費用は年間12,000円程度と考えておくとよいでしょう。

※参考:太陽光発電について|経済産業省資源エネルギー庁

太陽光発電設備の主な点検項目

太陽光発電設備の定期点検の主な点検個所は、次の通りです。

  • 太陽電池アレイ・架台
  • 接続箱
  • パワーコンディショナー
  • 電力量計

太陽光システムでは、パネル以外にも、さまざまな設備を点検しなければならないので、解説します。

※参考:太陽光発電システム 保守点検ガイドライン|総務省

太陽電池アレイの点検

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太陽電池アレイとは、太陽光パネルを複数枚、直列や並列に接続し、架台に設置したものです。複数のパネルの集合体のことを指します。

太陽電池アレイの点検では、次のようなことを目視で確認します。

  • 汚れ・破損・変形がないか
  • 太陽電池アレイがきちんと固定されているか
  • パネルに樹木や建物の陰ができていたり、鳥の巣などがないか
  • 防水処理に異常がないか
  • 配線・電線管に損傷がないか

パワーコンディショナーの点検

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パワーコンディショナーとは、太陽光パネルで発生した電気を家庭用の電気に変換する機器です。

パワーコンディショナーの点検では、次のようなことを目視・測定をして確認します。

  • 外箱の腐食・破損はないか
  • 設置の状況に問題はないか
  • 防水処理に異常がないか
  • 接続端子のゆるみがないか
  • 異常音はないか
  • 絶縁抵抗の値は正常か
  • 系統電圧は正常か

接続箱の点検

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接続箱とは、太陽光パネルが発生させた電気をとりまとめ、パワーコンディショナーに送る働きをする機器です。発生させた電気を一カ所にまとめる役割を持ちます。

接続箱の点検では、次のようなことを目視・操作・測定をして確認します。

  • 端子台・内部機器のねじのゆるみがないか
  • 内部機器に傷や破損はないか
  • 対雷対策があるか
  • 絶縁抵抗の値は正常か
  • 接地抵抗の値は正常か
  • 開放電圧に異常はないか

電力量計の点検

電力量計とは、太陽光発電の発電量を計測するためのメーターです。太陽光発電を設置する前からついているメーターは買電用(電力会社から買う電気)。太陽光発電を設置したときに新たにつけた電力量計は売電の量(電力会社に売る電気)を計測するものです。

売電用のメーターが正しく動作していることを目視で確認します。

清掃や部品交換など各種メンテナンスの費用目安

太陽光発電システムのメンテナンスとはパネルの清掃や部品の交換をすることです。太陽光発電の定期点検でシステムの状態に問題がないかをチェックし、点検の結果によって、パネルの清掃や部品の交換が必要な場合があります。

そこで、太陽光パネルの清掃や各部品の交換にかかる費用を解説します。
費用はあくまでも目安です。販売店・工務店・モジュールメーカーなどの専門業者によって価格は異なります
また、太陽光パネルのメーカー保証期間内であれば、修理や交換をしてもらえることがあるので、設置業者に確認しましょう。

太陽光パネルの清掃費用目安

住宅用太陽光パネルの清掃を業者に依頼する場合の費用は、パネル1枚当たり1,000円程度が目安です。パネル清掃は基本料金がかかることが多く、「基本料金+パネル枚数分の金額」が清掃費用となります。
基本料金は約2~6万円と業者によって金額の幅が大きいです。
基本料金を含むパック料金になっているところもあり、パネル230枚まで、一律5万円というプランの業者もあります。

太陽光パネルの清掃は2~3社ほどの業者に見積もりを依頼する相見積もりを取り、依頼先を検討しましょう。

太陽光パネルの交換費用

太陽光パネルの交換費用は、1枚当たり約10万~30万円です。
国内製か海外製か、メーカーや発電量などによってパネルの価格は異なります。

パネルの法定耐用年数は17年とされていますが、システムの寿命を意味するものではありません。太陽光パネルメーカーの多くは、20~25年の出力保証(太陽光パネルの出力性能を一定期間保証するもの)をつけており、太陽光パネルは20~30年使用できるとされています。

実際に、千葉県にある佐倉ソーラーセンターの太陽光パネルは30年以上稼働しています。

しかし、太陽光パネルは寿命が長いとはいえ、経年劣化やパネルの汚れによって徐々に発電量が低下します。
枝や小石が風で飛んできたり、鳥がものを落としたりすることで、パネルが破損すれば、修理が必要になるでしょう。

発電量のある程度の低下は仕方がないことだとしても、素人では判断するのが難しいです。発電量の低下が気になる場合は、点検のタイミングで専門知識があるプロに相談することをおすすめします。

パワーコンディショナー交換費用

住宅用のパワーコンディショナーの交換費用は、経済産業省の資料によると、34.5万円程度が相場です。

パワーコンディショナーの耐用年数は10~15年とされており、設置後10年程度で部品の経年劣化が見られます。少なくとも20年間で一度は交換すると考えておきましょう。

※参考:太陽光発電について|経済産業省資源エネルギー庁

太陽光発電の点検・メンテナンスは義務?

太陽光発電の点検・メンテナンスは、改正FIT法で義務化されています。改正FIT法とは、固定価格買取制度のことで、発電した電気を電力会社が一定価格で一定期間買い取ることを国が約束する制度です。

太陽光発電は一般的な家電と比べ寿命は長いですが、必ずしも「故障しない」「機能が低下しない」わけではありません。

太陽光発電の不具合や故障を避け、安定した発電量を維持するために、経済産業省が保守点検とメンテナンスを努力義務に定めました。

具体的には、住宅用を含む設備容量が50kW未満の太陽光発電のパネル清掃や部品交換を行います。

定期的な点検やメンテナンスを行うことで、運用や安全面に問題が起きるのを防ぐだけではなく、発電効率を維持できます。

せっかく設置した太陽光発電を大きなトラブルなく、最大限に活用するためにも、メンテナンスは重要です。

※参考:事業計画策定ガイドライン(太陽光発電)|資源エネルギー庁

太陽光発電の点検頻度の目安

太陽光発電は設置後1年目に点検を行い、それ以降は4年に1度の定期点検が推奨されています。

太陽光パネルは屋外に設置されているため、台風や積雪などの自然災害による影響や、鳥のフン・花粉などの汚れは避けられません。知らないうちに設備が故障したり損傷したりしているおそれがあります。不具合を早期発見するためにも、定期的な点検は重要です。

太陽光発電システムのメーカー保証は一般的に10年で切れることが多いため、設置後9年目の点検は必ず行うことがおすすめです。

※参考:太陽光発電協会

プロに点検を依頼するべき理由

太陽光パネルの点検はプロに任せることが一番です。自分で点検を行うことは、事故や故障の原因になるおそれがあります。

たとえば、太陽光パネルは屋根に設置されていることが多いため、点検の際には屋根に上っての作業になります。高所作業となるので、転落事故のリスクが高く、素人が行うには危険です。

太陽光パネルの清掃も、知識がない素人が行うと故障させることがあります。そのため、手が届くところにパネルが設置してあったとしても、専門業者に任せる方が無難です。業者は、専用の洗剤でパネルを傷つけることなくていねいに清掃してくれ、不具合があった場合にも対応してくれるでしょう。

また、太陽光パネル以外のパワーコンディショナーや接続箱の点検は、電気系統のメンテナンスとなります。電気系統のメンテナンスは電気工事士など有資格者が行う必要があるため、自分で行うことはできません。

太陽光発電システムの点検は専門性が必要な作業です。高所作業はもちろんのこと、屋根に上がらない簡易的な点検であっても、知識と経験があるプロに任せることが安心です。
プロに任せれば、発電量の推移のデータなどからも、太陽光システムの状態を把握できます。
安定的に太陽光発電を稼働させるためにも、自己判断せずプロに点検してもらいましょう。

まとめ

太陽光発電は、安全に効率よく長期運用できるように、設置後1年目の点検とその後4年に1回の定期点検が推奨されています。発電効率を維持したり、事故やトラブルを防いだりするためにも、定期点検・メンテナンスは必要です。

太陽光発電の点検費用は1回4.7万円が相場です。点検内容は、太陽光電池アレイやパワーコンディショナーなどに異常がないかを目視や機器類の操作で確認します。

また、太陽光パネルを洗浄するなどのメンテナンスも、重要です。太陽光パネルの清掃費用は、基本料金+パネル枚数分の金額が必要となります。
基本料金は2万円前後、パネル1枚当たりの清掃費用は1,000円程度が目安です。

定期的な点検やメンテナンスを行うことは、太陽光発電の発電効率を維持するために重要です。太陽光発電の点検やメンテナンスは専門知識と経験があるプロに依頼しましょう。

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