太陽光発電の『発電効率』とは|発電効率高める方法も解説

太陽光発電システムを導入する際にチェックしたいポイントのひとつが発電効率です。今回は太陽光発電の発電効率についてくわしく解説。発電効率とはなにか、また、同様に気にすべき変換効率との違いや、発電効率が悪くなる原因を紹介します。

すでに太陽光発電を設置している人や、最近発電量が低下したと感じている人は、発電効率を高める方法を参考に、発電量を増やすための対処をしましょう。

太陽光発電の『発電効率』と『変換効率』違いは?

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太陽光発電システムを導入する際のポイントのひとつである「発電効率」はどのようなものか、また「変換効率」との違いについて説明します。

太陽光発電の発電効率とは

太陽光発電の発電効率は、太陽光を電気に変換できる割合のことです。太陽光を電気エネルギーに変換する際の一般的な発電効率は、15~20%程度といわれており、発電効率が高いほど、一定の条件下でより多くの電力を生成できることになります。

ちなみに一定の条件下とは、モジュールの表面温度が25度など、太陽光パネルが最大出力で発電できる条件がそろっている状態です。パネルが南向き、周りに日光を遮るものがない、1日の発電量がピークを迎える正午頃、などの条件がそろうと発電効率が高くなります。

太陽光発電の変換効率とは

変換効率とは、太陽光パネル(ソーラーパネル)が太陽光を電気エネルギーに変換できる割合のことです。太陽光を電気エネルギーに変換するうえで、発電効率は全体的な効率であるのに対して、変換効率は太陽光パネルの変換効率を表します。同じ面積の太陽光パネルにおいて変換効率が高いほど、より多くの電気を得られることになります。

2024年現在で変換効率は15~20%程度が目安ですが、研究開発が進むことで、今後さらに向上する可能性が高いでしょう。変換効率の割合が高いほど、太陽光パネルの発電性能は高いといえます。

変換効率を表す指標は、モジュール変換効率とセル変換効率の2種類です。各変換効率の計算方法は以下の通りです。

モジュール変換効率

太陽光パネル(太陽電池モジュール)の1平方メートルあたりの変換効率を表す指標です。モジュール変換効率は、以下の式で求められます。

モジュール変換効率(%)=(モジュール公称最大出力(W)×100)÷(モジュール面積(平方メートル)×1000(W/平方メートル))

パナソニックの太陽電池モジュール『MODULUS(モデュラス)』(MS410αhttps://sumai.panasonic.jp/solar/lineup.html)を例に計算してみましょう。公式サイトで公称最大出力(一定の条件下で発揮できる最大発電能力)と面積を確認できます。

  • 公称最大出力:410W
  • 面積:約1.95平方メートル(幅1,722mm×奥行1,134 mmより)

モジュール変換効率は以下の式で計算でき、公式サイトの変換効率21%と一致しています。

モジュール変換効率:410×100÷1.95÷1000=21.0(%)

セル変換効率

セル(太陽電池モジュールを構成する最小単位)1枚あたりの変換効率を表す指標です。1枚のセルがどれぐらい太陽光を電気エネルギーに変換できるかを表し、以下の式で求められます。

セル変換効率(%)=出力電気エネルギー ÷ 太陽光エネルギー×100

セル変換効率はセルをつなげたときの電気抵抗の影響を受けないため、モジュール変換効率よりも数値が高くなる傾向にあります。実質的な性能を判断したいときは、モジュール変換効率を参考にしましょう。

太陽光発電の『発電効率』が悪くなる原因

太陽光発電の発電効率が悪くなる、代表的な5つの原因を紹介します。使用するうちに発電効率が低下したと感じた場合は、以下のポイントをチェックしてみましょう。

太陽光パネルの汚れ

太陽光発電の汚れ

太陽光パネルの汚れは、発電効率が低下する原因になります。汚れが付着した部分は太陽光が当たらず、発電量が低下するのです。

屋外に設置されている太陽光パネルには、鳥のフンや落ち葉、黄砂などの汚れが付着します。少しの汚れであれば雨で洗い流されますが、雨がなかなか降らない時期などは、頑固な汚れとなって蓄積することがあります。

さらに長時間汚れが付着したままの状態になると、その部分だけ電気の流れが悪くなり、大きな抵抗がかかる「ホットスポット」と呼ばれる現象が起こります。熱をもって高温になり、発電量が低下するだけではなく、故障や火災の原因にもなるため、注意が必要です。

日射量不足

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太陽光発電は、曇りや雨、雪の日などが続いて日射量が減少すると、発電量も減少します。気象条件が原因の場合は一時的な問題で、天候が回復すれば発電量も回復します。

太陽光パネルに樹木や建物の影ができていないかも確認しましょう。回路の組み方や影のかかり方によっては、一部分の影でも発電効率が大きく下がることがあります。

晴れの日が続いていてパネルに影ができていないにもかかわらず、発電量が回復しない場合は、ほかの原因を疑いましょう。

気温が高い

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気温の高さも発電効率が悪くなる原因のひとつです。太陽光パネルの半導体は高温に弱く、気温が高い日は発電量が落ちがちです。発電に最適な気温は25度とされており、それ以上の気温の場合は、1度上昇するごとに約0.4~0.5%、発電効率が低下するといわれています。

真夏など、条件によっては太陽光パネルの表面が70度以上になる可能性があります。25度の場合と比べて、18~22.5%程度も発電効率が下がる計算です。

経年劣化

劣化した太陽光発電

経年劣化も発電効率が悪くなる原因です。長寿命といわれる太陽光発電システムですが、少しずつ劣化が生じます。とくに劣化が生じやすいのは、太陽光パネルやパワーコンディショナー、ケーブルなどです。設置環境や気候でも変わりますが、太陽光パネルは一般的に年間0.5%程度劣化するといわれており、10年で5%程度劣化するでしょう。

発電効率を高める方法

太陽光発電の発電効率を高めるための方法を紹介します。太陽光発電はさまざまな要因で、発電効率が下がります。より効率的に発電するためにも、以下のような対策をして、発電効率を下げないようにすることが大切です。

太陽光パネルの設置場所を見直す

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太陽光パネルに影が重なっている場合は、設置場所の見直しを検討しましょう。太陽光パネルは、日中どの時間帯でも影ができず、日射量の多い場所に設置するのがおすすめです。

設置した当初はパネルに影ができていなかった場合でも、年月が経つにつれて、周辺に高い建物ができたり、草木が伸びたりして影ができていることがあります。夕方など影が伸びる時間帯や、影が長くなる冬の時期に、パネルに影がかかっていないかもチェックしましょう。

太陽光パネルの向きや傾斜角度を変える

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効率良く発電するには、太陽光パネルの向きや傾斜角度も大切なポイントです。パネルの向きや傾斜角度によって、太陽光パネルに当たる太陽光の量が変わるためです。

一般的には、太陽光パネルの向きは真南、傾斜角度30度で設置すると日射量が多くなり、最適とされています。ただし地域によって最適な向きや角度は変わるため、設置条件を見直したい場合は、経験豊富な業者に相談してみましょう。

発電量のデータを取る

発電量をチェックしている様子

最適な発電量を知るためには、日々の発電量を把握しておくことが大切です。発電量はパワーコンディショナー本体やリモコン、モニターなどでチェックできます。定期的に発電量をモニタリングすることで、急激に発電量が低下した場合や、トラブルが生じた場合などに素早く気がつき、対処できるでしょう。ちなみに一般的な家庭で設置する太陽光パネル1kWあたりの1日の発電量の平均は、2.7kWhが目安とされています。

発電量は気候や時間帯などで変わります。発電量のデータを取る場合は、同じ条件で比較することも大切です。

蓄電池を併用する

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蓄電池を利用して発電効率が高まるわけではありませんが、効率的に発電した電気を使うことができるようになります。蓄電池とは、昼間に太陽光発電で発電・利用して余った電気を貯めておき、夜間や曇りの日など日射量が少ない時間帯でも電気を使うことができる装置です。

定期的にメンテナンスを行う

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太陽光発電システムは、定期的なメンテナンスも重要なポイントです。

太陽光パネルに汚れが付着すると、発電効率が下がります。定期的に洗浄して発電効率を下げないようにしましょう。

また太陽光パネルの内部の破損やパワーコンディショナーなどの機器のトラブルは、放置すると大きな故障に発展する可能性があります。定期的にメンテナンスをして、発電効率を良い状態に保つことが大切です。

太陽光発電のメンテナンスについて、頻度などくわしく知りたい方は以下のコラムを参考にしてください。

まとめ

太陽光発電の発電効率とは、太陽光を電気に変換できる割合のことです。一方、変換効率とは、太陽光パネルが太陽光を電気エネルギーに変換できる割合のことをいいます。発電効率や変換効率は、太陽光発電システムを導入する際にチェックしておきたいポイントのひとつです。

太陽光発電システムは、以下が原因で発電効率が悪くなることがあります。

  • 太陽光パネルの汚れ
  • 日射量不足
  • 気温が高い
  • 経年劣化

発電効率を高めるためにも、太陽光パネルの設置場所や向き、傾斜角度などを見直し、発電量のモニタリングや定期的なメンテナンスを行うことが大切です。

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