自宅の太陽光発電の発電量が低下してるかも?6つの原因と対処法解説

自宅で電力を発電できる太陽光発電。電気代の節約を期待して導入したけど、

  • 「最近、発電量が下がっている気がする」
  • 「発電量が下がっている原因はなんだろう?」
  • 「発電量を上げる対策はあるのかな?」

などお悩みではないでしょうか?

当コラムでは、太陽光発電の発電量低下の原因や対処法などについて説明します。

太陽光発電の発電量が気になっている人は、発電効率を高め、自宅の太陽光発電をよりよく活用するために、当コラムを参考にしてください。

発電量が低下する原因

太陽光発電の「発電量が低いかも」と感じたら、発電量が低下する原因を探りましょう。適切な対策をとることで発電効率を上げ、発電量が大幅に低下することを防ぎます。
ここでは発電量が低下する主な6つの原因を説明します

原因①天気

曇天

太陽光発電の発電量は天候によって大きく左右されます。太陽光発電は太陽光パネルに太陽の光が吸収されて発電するシステムだからです。

例えば、雲ひとつない晴れの日の発電量を100%とした場合、天候別に発電量を比較すると以下の通りです。

  • 晴れの日 100%
  • 曇りの日 30%
  • 雨の日  10%
  • 雪の日  0%

このように天候によって発電量が大きく変化することがわかります。梅雨の時期や雪が降り続く地域などでは、日射量や日照時間が少なく、発電量は必然的に低下します。

そのため、季節や天候からの影響を考慮しつつ、前年度の同じ時期の発電量と比較して、大幅に下がっていないかなどを確認するとよいでしょう。

原因②気温

温度計

太陽の光を吸収し、発電する太陽光パネルですが、高温に弱く、パネル表面の温度が高くなりすぎると発電効率が下がる性質があります。

太陽光パネルの発電効率が最大となるのは25度です。太陽光発電の各メーカーが示している太陽光パネルの性能も25度で計算され、シミュレーション値などのデータを算出しています。

パネルの表面温度が25度を1度超えるごとに発電量は約0.5%低下し、外気温が30度を超える夏ではパネル表面温度は70度近くまで上昇するため、発電量は最大時に比べ30%ほど低下します。

太陽光パネルの性能や日照時間を考えると、1年の中で最も発電量が多い時期は、日照時間が長く、外気温もそれほど高くない春先の5月であることが多いです。

一見、日差しの強い夏は発電量が高くなると思いがちですが、逆に真夏はパネル表面温度が高くなりすぎて、発電量は低くなることを知っておきましょう。

※参考:太陽光発電協会 表示ガイドライン(2021年度)|太陽光発電協会
太陽電池モジュール温度上昇の推定|J-Stage

原因③周辺の環境

太陽光発電は周辺の環境にも大きく影響します。太陽光発電は太陽の光がエネルギー源となるため、太陽光パネルにしっかりと太陽の光が当たる環境でなければなりません。

太陽光パネルに陰ができると発電量は著しく低下します。陰ができたパネルの発電量だけが低下するのではなく、直列に組み合わせた他のパネルまで発電量が低下するからです。

もし陰になっている部分が一部だとしても、同じ回路全体に影響が及んで発電量は大幅に低下します。そのため建物や樹木、電柱や電線などで太陽光パネルに陰ができていないことが重要です。

原因④経年劣化

太陽光パネルの寿命は20〜30年とされています。基本的に劣化が緩やかで、実際に30年以上稼働しているパネルもありますが、寿命が長い機器とはいえ、徐々に発電量が低下する傾向があります。

太陽光発電設備の劣化は太陽光発電協会によると1年間で0.27%低下、水産庁では0.5%低下するとされています。メーカーや製品の種類によっても異なりますが、1年間で約0.3〜0.5%の発電量の低下があると考えておきましょう。

猛暑や積雪、台風、豪雨など厳しい環境や気候が原因で劣化が進む恐れがあります。屋外に設置されているので、これらの要因は避けられないですが、定期的なメンテナンスや点検・清掃をすることで太陽光パネルの寿命を伸ばすことにつながります。

※参考:太陽光発電システムの調達価格、期間への要望|太陽光発電協会
漁港のエコ化方針(再エネ)ガイドライン事業性検討シートの利用法|水産庁

原因⑤太陽光パネルの汚れ

太陽光パネルは汚れがつきにくいように表面が加工されていますが、屋外に設置されているため、以下のような汚れの蓄積は避けられません。

  • 砂ぼこり
  • 鳥のフン
  • 黄砂
  • 落ち葉
  • 花粉

汚れが蓄積することで発電量が低下する原因となり、場合によっては故障のリスクにもつながります。

太陽光のパネルが汚れているとそれだけでパネルの劣化も進みます。定期的な点検やパネルの洗浄を行うことで発電量の低下をある程度防ぐことができるでしょう。

また、パネルの清掃を行うことは、太陽光のエネルギーを電気へと変換する際に生じる「発電ロス」を最小限にとどめ、太陽光発電の変換効率を高めることにもつながります。

太陽光パネルの洗浄は設置業者などに依頼すると良いでしょう。自分で行うと高所からの転落や、パネル表面を傷つけてしまうリスクが大きいので、避けるべきです。

また洗浄を依頼するタイミングとしては、梅雨明け直前がおすすめです。春先は花粉や黄砂などでパネルが汚れやすくなります。パネルについた汚れは雨で流れるものもありますが、雨で流れなかった汚れは晴天が続くと蓄積する恐れがあるので、汚れが蓄積する前に洗浄するとよいでしょう。

原因⑥パワーコンディショナーの不具合

パワーコンディショナーとは、太陽光パネルから作られた電気を一般的な家庭の電気として使えるように調整するものです。パネルが問題なく発電できていても、パワーコンディショナーが故障していると家庭で電気は使えません。

天候などその他の要因に問題が見当たらないのに発電量が低い場合には、パワーコンディショナーが故障している恐れがあります。

パワーコンディショナーの一般的な寿命は10年ほどとされているので、設置してから10年以上経過している場合は、パワーコンディショナーの故障を視野に入れましょう。

また、パワーコンディショナーが故障していると、電気代の節約や売電収入を得ることができなくなります。太陽光発電のメンテナンス業者や販売店などに早めに連絡して、修理または交換の対応をしてもらいましょう。

太陽光発電の発電量の目安

住宅の太陽光発電

太陽光発電の発電量はメーカーによってさまざまですが、おおまかな目安を知ることで、自分の家の発電量と比較ができ、不具合にいち早く対処することができます。
ここからは太陽光発電の発電量の目安について説明します。

太陽光発電の発電量の単位 kWとkWh

太陽光発電の発電能力を表す単位にkW(キロワット)とkWh(キロワット時)があります。

単位 意味
kW(キロワット) 電力の単位。太陽光パネルが瞬間的に最大どれだけ発電できるかを表す。太陽光発電の「システム容量」の単位として使われる。
kWh(キロワット時) 電力量の単位。1時間あたりに得られる発電量を表す。
「システム容量(kW)×時間」で算出する。

システム容量とは、太陽光パネルが最大どれだけ発電できるかを表します。システム容量の数字が大きいほど、大きな電力を発電できます。
一般家庭に設置されている太陽光発電はシステム容量が3kW〜5kWのものが多いです。

太陽光パネルの発電量の目安

太陽光パネルはシステム容量1kWあたり1年間の発電量は1000kWhが目安とされています。そのため、1日の発電量はシステム容量1kWあたり約2.7kWhとなります。

システム容量1kWあたり

1年間の発電量 約1000kWh
1日の発電量 約2.7kWh(1000kWh÷365日=2.7kWh)

※参考:太陽光発電協会

一般家庭に多く設置されているシステム容量3kW〜5kWの太陽光発電を例に挙げると、1日、1ヶ月、1年あたりの発電量の目安は以下の通りです。

自分の家に設置している太陽光パネルのシステム容量にあわせて算出してみましょう。
(2.7kWh×システム容量×日数)

一般家庭の発電量目安

システム容量 1日あたりの発電量 1ヶ月あたり(30日) 1年間あたり(365日)
1kW 約2.7kWh 約81kWh 約1000kWh
3kW 約8.1kWh 約243kWh 約3000kWh
4kW 約10.8kWh 約324kWh 約4000kWh
5kW 約13.5kWh 約405kWh 約5000kWh

ただし、これらの発電量はあくまでも一例として参考にしてください。季節や年度、地域によって日射量は大きく変化します。

また太陽光パネルの設置方角やメーカーや種類によっても発電量は異なるので、1つの目安として活用しましょう。

発電量が低下していないかチェックする方法

太陽光発電のモニター

日頃の発電量を確認することは、天気や季節による発電量の傾向を把握することができ、不具合にもすぐに気づくことができるので、とても大切です。

発電状況を確認する方法としては、メーカー付属品であるモニターを取り入れたり、メーカーによるインターネットサービスを利用したりする方法があります。
日々の発電状況の推移を確認したり、過去の同じ月と比べてみたりしましょう。

太陽光発電を導入したばかりで前年度の発電実績(発電量データ)がない場合は、オンラインの発電シミュレーションと比較すると良いです。

たとえば大手メーカーなどが行っているシミュレーションサイトでは、以下の項目を入力するとシミュレーション値が表示され、おおまかな目安を知ることができます。

  • お住まいの地域
  • システム容量
  • 太陽光パネルの設置方角
  • 1ヶ月分の電気料金

これまでの発電量の推移を確認したり、シミュレーション値と比較したりすることで、太陽光パネルの不具合を早期発見することにつながります。

実際の数値と比べてみて、データの見方がわからない場合や、発電量が不安な場合は販売店など専門業者に相談しましょう。

太陽光発電量が低下している場合の対処法

モニターのチェック

太陽光発電の発電量は悪天候や高気温で低下しますが、天候や気温に関係なく発電量の低下がみられる場合は、パネルの汚れやパワーコンディショナーの不具合の恐れがあります。

その場合、専門業者によるメンテナンスで発電量を回復させることができる可能性もあります。また、発電量低下の原因が周辺環境の変化による場合でも、太陽光パネル内の電気回路のつなげ方を変更できる可能性があるので、販売業者やメーカーに相談しましょう。

原則、太陽光発電はメーカー保証として最低でも10年の無料保証がついています。購入・設置から10年以内なら、無料で修理してもらえる可能性もあります。疑問や不安があるなら、早めに相談することが大切です。

発電量低下の防止のためにはメンテナンスが大切

笑顔の業者

太陽光発電の発電効率を上げるためには、定期的なメンテナンスが大切です。パネルの点検だけでなく、パワーコンディショナーや接続箱の点検も行いましょう。

パワーコンディショナーは故障しやすく、寿命も10年ほどとされています。万が一、パワーコンディショナーが故障すると、太陽光パネルで発電した電気を有効活用できなくなるので注意が必要です。

太陽光発電設置後1年、5年、9年といったように4年に1度の点検が推奨されています。販売店や工務店、太陽電池モジュールメーカーなどの専門業者に依頼し、発電量低下の防止につなげましょう。

まとめ

太陽光発電の発電量は天気や気温、周辺の環境など、さまざまな要因が関係して増減します。

太陽光パネルは、寿命が20〜30年と比較的劣化が緩やかですが、経年劣化は確実に起こり、砂ぼこりや花粉など屋外ならではの汚れの蓄積で発電量が低下します。

発電量低下の原因や発電量の目安を知った上で、日々の発電量をモニターで観察し、故障や異変に素早く気づけるようにしておくとよいでしょう。

天候や気温に関係なく、発電量が低下していると感じる場合は販売店や専門業者に点検や清掃を依頼しましょう。定期的なメンテナンスを行うことで発電効率を上げ、発電量の低下を防ぐことにつながります。

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