住宅用太陽光発電の寿命の目安を解説!長持ちのために定期的な点検を

近年、太陽光発電を導入する家庭や企業が増えています。長寿命といわれる太陽光発電ですが、実際にどれぐらいの寿命があるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。

今回は太陽光発電の寿命について解説。寿命のサインやシステムが劣化する原因についてもくわしく説明します。

丈夫といわれる太陽光発電ですが、破損や劣化が生じることもあります。システムを長く効率的に使う方法も紹介するので、ご自宅に太陽光発電を導入済みの人もこの記事を参考に、太陽光発電をより長く使うためのポイントを知りましょう。

太陽光発電の寿命

太陽光発電システムに搭載されている機器別に寿命を説明します。

太陽光パネルの寿命は20年以上

ソーラーパネル

太陽光パネルの寿命は20年以上です。構造はシンプルで可動部が無いため、故障が少ないのが特徴です。現存する太陽光パネルではそれ以上の使用期間のものがないため、今後さらに寿命が長くなる可能性もあります。

太陽光パネルはシリコンなどの半導体で作られており、モジュール(太陽光パネル1枚)を複数枚組み合わせて接続することで構成されています。太陽光が当たると光エネルギーを吸収して、電気エネルギーに変換する仕組みです。

パワーコンディショナーの寿命は10~15年程度

パワーコンディショナー

パワーコンディショナーの寿命は、10~15年程度です。

パワーコンディショナーとは、太陽光発電で発電した電力(直流)を、家庭で使用するための電力(交流)に変換するための装置で、パワコンやPCSとも呼ばれます。発電時間帯は常に稼働しているため、太陽光パネルよりも劣化が早く起こります。

蓄電池の寿命は15~20年前後

蓄電池

蓄電池の寿命は15~20年前後です。

蓄電池とは、太陽光発電で発電した電気を貯めて、使用するための装置です。日中に発電して余った電気を蓄えることができ、夜間や停電時は蓄電池で溜めた電気を家で消費することができます。

直射日光が当たる場所への設置や、過充電や過放電をするなどの使い方をすることで、蓄電池は劣化が進み、寿命が短くなってしまいます。

高温多湿になる場所への設置を避け、充電・放電をしすぎない使い方 を心がけることが大切です。

たとえば、電池容量が100%を超えているのにさらに充電を続けたり、0%の状態からさらに放電をしたりする使い方は避けましょう。

太陽光発電システムの法的耐用年数は17年

太陽光発電システムの法定耐用年数は17年です。

法定耐用年数とは、機械や設備などが本来の役割を果たすことができる年数で、減価償却費として費用に計上できる期間をいいます。耐用年数は資産としての価値がある年数で、機械や設備を使い続けられる「寿命」とは異なることを知っておきましょう。

※参考:自宅に設置した太陽光発電設備による余剰電力の売却収入(国税庁)

太陽光発電の寿命のサイン

モニターのチェック

太陽光発電の寿命は、設置環境や使用方法によって変わります。太陽光発電の寿命のサインを知っておくことで、適切なタイミングで修理や交換ができるでしょう。

破損している

太陽光発電設備が破損しているのを見つけたら、交換のサインです。

とくに、日当たりの良い屋外に設置される太陽光パネルは、パネルやフレームの破損が起こりやすいです。台風・地震・積雪などの自然災害の影響、木の枝やボールなど飛来物の衝突によって、損傷することがあります。

小さな傷が、寒暖差などによって大きなひび割れに発展するケースもあるでしょう。

発電効率が大きく低下した

発電効率が大きく低下した場合は、寿命や故障のサインです。

太陽光発電は年月が経つにつれて劣化が生じ、発電量も少しずつ低下していきます。一般的には、年間0.5%前後劣化するといわれており、10年で5%程度劣化します。その範囲を大きく超えて発電効率が低下した場合は、異常がある可能性が高いでしょう。

太陽光発電システムが劣化する原因

機能の低下

太陽光発電システムが劣化する主な原因は以下の種類です。

経年劣化

前の章でも説明したように、太陽光発電は、年月が経つにつれて少しずつ劣化が生じます。一般的な家電と比べて長寿命の太陽光発電ですが、発電量は年間0.5%前後低下していきます。

またパネルの耐久性も低下するため、梅雨の時期に受ける雨のダメージや、猛暑による高温のダメージ、大雪のダメージなどを受けやすくなるでしょう。

内部の配線の腐食や断線、ガラス表面の変形や変色などもよく起こる経年劣化の症状です。

パネル表面の汚れ

太陽光パネルに付着した汚れが原因でも、太陽光発電システムは劣化します。以下の理由などでパネルに太陽光が当たらず長時間発電できないと、日射量が減って発電量が低下するでしょう。

  • 鳥のフンや落ち葉などの汚れ
  • 内部配線の腐食・不備
  • 太陽光パネル表面のひび割れ
  • 周囲の建物や木の影

少しの汚れであれば雨で洗い流されますが、付着した汚れを放置することで、セル(太陽光電池を構成する最小の単位)の電気抵抗が非常に大きくなって局所的に発熱する「ホットスポット」という現象が起こる可能性もあります。ホットスポットは故障や火災につながる恐れもあるため、注意が必要です。

パネルの破損

強化ガラスで丈夫に作られている太陽光パネルですが、屋外に設置するため、以下の理由などで破損する可能性があります。

  • 落雷や雹(ひょう)
  • 強風による飛来物の衝突
  • 落石
  • 鳥が木の枝や石を落とした

パネルに傷が付くと、内部に雨や湿気などが侵入して樹脂が劣化し、パネルの劣化につながる可能性があります。見た目には傷やへこみがわからないケースもあり、内部の損傷で発電量が大きく低下して、異常に気がつくケースもあるでしょう。

太陽光発電システムを長く効率的に使う方法

太陽光発電システムの寿命を長く保ち、効率的に使う方法を紹介します。

定期的にメンテナンスする

パワーコンディショナーのチェック

太陽光発電システムを長持ちさせる方法のひとつが、定期的なメンテナンスです。太陽光発電は目視で状態が確認しづらい屋根の上などに設置されます。点検することで、劣化や異常を早く見つけられるでしょう。

また、FIT認定(余った電力を電力会社に買い取ってもらうための認定)を受けて売電をする場合は、定期的なメンテナンス(保守点検)が法律(改正FIT法)で義務化されています。
メンテナンスを怠ると、FIT認定が取り消されて売電ができなくなる可能性もあるでしょう。

メンテナンスの作業内容には以下のようなものがあります。

  • 太陽光パネルの清掃・洗浄
  • 目視による点検
  • 測定機器による数値測定
  • ストリングの組み方の変更(ストリングは、モジュールを配線で直列に組み合わせた単位。影の条件などを考慮して適切に組むことで、発電ロスを抑えることができる)
  • パワーコンディショナーの交換
  • PF管(パネルとパワーコンディショナーをつなぐ配線を保護する管)の交換など

こまめに発電量をチェックする

モニターのチェッ

太陽光発電には、発電量をチェックできるモニターが設置されています。発電量は天候や気候によっても変わりますが、あまりにも少ない日が続いた場合は異常が起きているかもしれません。

こまめに発電状況をチェックして過去のデータと比較することで、早期に異常を発見できる可能性が高まるでしょう。

メーカー保証を活用する

長期間使用する太陽光発電では、どのメーカーでも最低10年以上の無料保証を設けています。システムが故障したときの保証や自然災害補償、出力値が規定値を下回ったときの保証など、メーカーによって保証内容はさまざまです。

保証期間内であれば異常がある場合も無料で修理ができます。またメーカーによっては、保証期間内であれば無料定期点検ができる場合もあります。契約前に太陽光発電のメーカー保証をよく確認しましょう。

まとめ

太陽光発電の寿命は以下のとおりです。

  • 太陽光パネルの寿命:20年以上
  • パワーコンディショナーの寿命:10~15年前後
  • 蓄電池の寿命:15~20年前後

長寿命で丈夫といわれる太陽光発電ですが、太陽光パネルの汚れや破損・経年劣化が原因で劣化が生じます。

長く寿命を保つためには、定期的なメンテナンスと、こまめなモニターチェックが必要です。
またメーカーの保証期間内であれば異常がある場合も無料で修理ができ、無料点検が付いている場合もあります。ご自宅の太陽光発電システムの保証内容をチェックしてみましょう。

ページトップへ戻るTOP