外壁塗装を検討しているとき、気になるのが塗料の種類や選び方ですよね。
外壁塗装に使われる塗料の種類や選び方などを知っておくと、ご自宅に合った塗料選びに役立ちます。
今回は、外壁塗装に使われる塗料の種類、選び方のポイント、こだわり別のおすすめ塗料をお伝えします。
塗装替え工事を行う際の基礎知識として、お役立てください。
目次
外壁用の塗料の種類
外壁塗装に使われる塗料の、種類ごとの特徴、単価相場、耐久年数を解説します。
アクリル系塗料
耐久年数 | 5~7年 |
相場 | 1,500円/平方メートル程度 |
主成分にアクリル樹脂が用いられている塗料です。
安価ですが耐久年数が短いため、外壁を長持ちさせたい場合には不向きです。外壁に使うとすれば、「数年後に解体が決まっている建物の外観をきれいにしたい」など、短いサイクルで安く工事を行いたい場合でしょう。
アクリル系塗料は、透湿性が高い(水分を通しやすい)ため、通気性を確保したい内装や軒天(屋根の軒先の裏面にある天井)の塗装に使われることが多いです。
ウレタン系塗料
耐久年数 | 8~10年 |
相場 | 2,000円/平方メートル |
主成分にウレタン樹脂が用いられている塗料です。
とくに柔らかい素材のため、塗料が定着しづらいアルミや動きのある木材など幅広い種類の材質に適応しやすく、ひび割れしにくい特徴があります。
モルタル・鉄・アルミ・コンクリート・木材の素地に適していて、ツヤありタイプのものは強い光沢があるのも特徴です。
シリコン系塗料
耐久年数 | 10~15年 |
相場 | 2,300円/平方メートル |
主成分にシリコン樹脂が用いられている塗料です。
価格帯と耐久年数のバランスが良く、戸建て住宅の塗装工事でよく使われます。
アクリルやウレタンに比べると多少価格は高いですが、耐久年数が長いぶん塗装工事が必要になる頻度が減ります。このため、外壁メンテナンスを30年や40年など長期で考えた場合のトータル的な費用を抑えることができる点がメリットです。
実績が豊富で信頼がある点もメリットです。
透湿性に優れ、結露が発生しにくい特徴もあります。
フッ素系塗料
耐久年数 | 15~20年 |
相場 | 4,000円/平方メートル以上 |
フッ素樹脂が含まれた塗料です。
非常に高耐久で、汚れをはじきやすく落ちやすい利点もあります。
耐薬性、耐候性、耐熱性、耐寒性などにも優れ、鉄塔や高層ビルなどの塗り替えに用いられることもあります。
1回の工事あたりの塗料代が高いので、戸建て住宅の塗装で使われることはやや少ないです。
無機系塗料
耐久年数 | 25~30年 |
相場 | 5,500円程度/平方メートル |
セラミックなどの無機物を配合して作られた塗料で、劣化しにくく、耐久年数が長い特徴があります。
カビや藻の付着を制御する効果があり、燃えにくいです。
つや消しが選べないことや、色のバリエーションの少なさ、価格の高さがデメリットとして挙げられます。
ラジカル制御型塗料
耐久年数 | 12~15年 |
相場 | 2,500~3,200円/平方メートル |
※ラジカル制御型のシリコン系塗料の場合
「ラジカル制御」と呼ばれる技術で、経年劣化の速度をゆるめ、耐用年数を延ばしたタイプの塗料です。
ただし、同じラジカル制御型塗料でも、主原料の合成樹脂の種類(アクリルやウレタン、シリコン、フッ素など)によって、耐久年数は異なります。
シリコンを主原料とするラジカル制御型のシリコン塗料は、優れた耐久年数と、選びやすい価格帯で主流になりつつある塗料です。
光触媒塗料
耐久年数 | 20~25年 |
相場 | 5,000円程度/平方メートル |
紫外線や雨の力で、壁面の汚れを自然に洗い流し、美観を保つ効果がある塗料です。
とても高額なため、戸建て住宅の塗り替えで使われることはあまりありません。
また、屋外での施工が難しいことがあり、扱うためには一定の技術力が必要になります。
抗菌効果があり、室内の施工に用いられることが増えました。
多彩模様塗料
耐久年数 | 15~20年 |
相場 | 5,500円程度/平方メートル |
一般的な塗料の単色で塗りつぶす仕上がりと違い、外壁表面に模様や凹凸をつけることができる塗料です。
【一般的な塗料の色見本の一部】
【多彩模様塗料の色見本の一部】
多彩模様塗料のメリットは、次の3点です。
・汚れがつきにくいこと
・軽量性シリコン樹脂を主成分とするため、軽量で、建物への負担が少ないこと
ただし、次の2つのデメリットがあります。
・作業工程が多く、かつ塗料が高価なため、施工費用が高い
クリアー塗料
耐久年数 | 10~12年 |
相場 | 2,500円/平方メートル |
※クリアー塗料シリコン系の場合
透明な塗料であるため、外壁のデザインを塗りつぶすことなく、外壁を保護できる塗料です。
アクリル系・ウレタン系・シリコン系・フッ素系など、合成樹脂の成分に応じて、グレードと耐久年数は異なります。
外壁材の模様や質感をそのままに塗装ができますので、意匠性や建物の印象を変えずに塗装替え工事を行うことができます。
塗料には「水性と油性」「1液型と2液型」がある
塗料の種類は、さらに「水性と油性」「1液型と2液型」に分けられます。
ここから、施工性のよさや、臭いの強さなど、塗料の特徴を読み取ることができます。
水性と油性
前の章でウレタン系塗料やシリコン系塗料を紹介しましたが、これらの塗料には「水性」と「油性」があります。
外壁塗装に使われる塗料は、必ず希釈(薄めること)して使用されます。このとき、水で希釈するのが水性塗料、シンナーなどの溶剤で希釈するのが油性(溶剤)塗料です。
外壁の塗装では、ほとんどの場合「水性塗料」が用いられます。
水性塗料には、次のような特徴があるためです。
- 施工しやすい
- 水洗いで片付けができる
- 臭いが少ない
- 比較的安価
油性塗料は、住宅の外壁塗装に用いられることは少ないですが、屋根塗装には多く用いられます。また、サビに強いため、手すり・外階段・棟・水切り・出窓屋根などの鉄部にも油性塗料が使われます。
油性塗料は強溶剤系と弱溶剤系の2種類があります。
弱溶剤系塗料は、「臭いが強い」「価格が高い」などのデメリットの面を抑えてあるので、弱溶剤系塗料がおすすめです。
1液型と2液型
水性塗料・油性塗料は、さらに「1液型」と「2液型」に分けられます。
1液タイプは、開封後に希釈するだけですぐに使えるものです。
1液タイプのメリットは次の4点です。
・価格は比較的安価
・乾燥して固まるまでの時間が長いので、余裕をもって作業できる
・開封翌日でも硬化しない
開封翌日でも缶の中身の塗料は固まらないので、塗料が余った場合や1日で終わらなかった作業の続きを翌日に行いたい場合、そのまま使うことができるメリットがあります。
1液タイプのデメリットは次の点です。
デメリット・2液型に比べると、耐久性が低い場合がある
2液タイプは、希釈する前に、塗料と硬化剤の2つを混ぜる作業が必要なタイプです。硬化剤を混ぜることで、塗料が固まりやすくなります。
2液タイプのメリットは次の3点です。
・混ぜた後はすぐに硬化反応を起こすため、しっかりとした塗膜が作れる
・適応する素材が多い
2液タイプのデメリットは次の3点です。
・混ぜ合わせる手間が必要
・一度混ぜたら固まってしまうため、余っても保管ができない
外壁の塗料の選び方のポイント
外壁塗料の種類を知った上で、住まいに合った塗料を選ぶためのポイントをお伝えします。
塗料の耐久年数と外壁のライフサイクルコスト
外壁のライフサイクルコスト(家を解体するまでの間で発生するメンテナンスコスト)を考えて、塗料を選びましょう。
たとえば、約30年後に家を解体するとして、耐久年数が10年の塗料で定期的な塗り替えをする場合、解体までの間に3回の塗装工事のコストが発生します。
一方で、耐久年数が15年の塗料で塗り替える場合には、2回の塗装工事のコストが発生します。
耐久年数が短い塗料は安価な傾向にあるので、1回の塗装工事の費用が低く済むのは前者です。しかし、塗装工事は塗料代のほかに足場代や人件費などもかかるので、解体までの間の塗装コストの合計が低いのは後者になります。
このように、塗装メンテナンスのトータル費用を押さえるためには、外壁のライフサイクルコストを考えることが必要です。
艶(ツヤ)の有無
外壁塗装に使われる塗料には、5段階の艶があります。
光沢が多い順に、艶あり・7分艶あり・5分艶あり・3分艶あり・艶なし(ツヤ消し)となっています。
艶が強い塗料ほど、汚れがつきにくく、耐候性に優れています。
ただし、艶が強いほど、光を反射してテカテカした雰囲気になりがちです。家の意匠性を重視している人やマットな質感が好きな人は気をつけた方が良いでしょう。
塗料を作っているメーカーは?
業者が提案してきた塗料が信頼のおけるものかどうかを判断する基準の1つとして、「どこの塗料メーカーの塗料製品か」があります。
とくに信頼性の高い塗料メーカーは、次の3社です。
- 関西ペイント
- 日本ペイント
- エスケー化研
上記のいずれかのメーカーの製品であれば、品質の面で大きな心配はありません。3社とも、多くの実績と長い歴史をもつ老舗塗料メーカーです。
ただし、同じメーカーの製品でもさまざまな塗料製品があります。
メーカーだけでなく、その塗料の種類や、業者がその塗料を勧めてきた理由なども確認しておきましょう。
塗料の機能性を確認しよう
塗料には、次のように、さまざまな機能性を持つものがあります。
- ラジカル制御の技術で耐久年数を延ばしたラジカル制御型
- カビや藻がつきにくくなる防カビ・防藻機能
- 雨水で汚れを落としやすくする親水性
- 太陽熱を反射して建物の室内を暑くなりにくくする遮熱性塗料
- 建物の断熱効果を高める断熱塗料
機能性を持たない塗料よりも高価ですが、一般的な塗料よりも長く美観を維持する効果や、建物の性能をアップさせる効果があります。
どんな機能性をもたせたいか考えて、こだわりと予算に応じて塗料を選びましょう。
外壁との相性
塗料選びでは、塗料と外壁の相性にも注意が必要です。
外壁材(外壁に使われている建材)の種類や状態によって、適切な塗料は変わってきます。
たとえば、塗料は製品ごとに適用素材(その塗料を用いることができる外壁材の種類)が異なります。
最近の戸建て住宅で多い外壁材はモルタルと窯業系サイディングですが、「モルタルと窯業系サイディングの両方に使える塗料」もあれば、「モルタルには使えるが窯業系サイディングには使えない塗料」もあるのです。
外壁に合った塗料を選ぶには、プロの判断が欠かせません。
経験豊富で信頼できる塗装業者に現地調査や見積もりをしてもらうことが大切です。
ニーズ別のおすすめ塗料
外壁塗装を行う際の、ニーズ別おすすめ塗料を紹介します。
よく使われる安心の塗料が良い!
よく使われている塗料を選びたい方におすすめなのが、シリコン系塗料です。
実績が豊富で、価格と耐久性のバランスがよく、戸建て住宅の塗装で人気があります。
コスパの良さで選びたい!
コストパフォーマンスの良さでおすすめなのは、ラジカル制御型のシリコン塗料です。
ラジカル制御型のシリコン塗料は、戸建て住宅の塗装で多く使われてきたシリコン塗料とあまり変わらない価格帯ながら、従来のシリコン塗料よりも数年長い耐久年数を有します。
このため、ラジカル制御型のシリコン塗料は費用対効果が高い塗料といえるのです。
ただし、まだ開発されてから年数が浅いため、従来のシリコン塗料に比べると実績は少ないです。
長持ちしてほしい!
耐久年数の長さで塗料を選びたい場合は、フッ素系塗料や無機系塗料がおすすめです。
工事費用は高額になりますが、ほかの塗料に比べてダントツで耐久年数に優れます。
機能性にこだわりたい!
自宅の外壁にプラスアルファの機能性がほしい場合は、機能性塗料がおすすめです。
ラジカル制御型塗料や、遮熱塗料、断熱塗料、防藻・防カビ塗料など、住まいの環境と要望に合わせて機能性を持つ塗料を選びましょう。
外壁材のもともとの質感や色合いを残したい!
既存の外壁の質感や模様を大切にしたい場合は、顔料(色の成分)を含まない無色透明のクリアー塗料がおすすめです。
一般的な色付きの塗料で塗ると、外壁のもともとの質感や色合いは塗りつぶされます。しかし、クリアー塗料であれば、もともとの質感や色合いを残すことが可能です。
ただし、クリアー塗料を使えるのは、築7~10年程度で状態の良い外壁に限られます。
デザインにこだわりたい!
住宅のデザインにこだわりがある場合は、塗るだけで繊細な模様や凹凸を表現できる多彩模様塗料がおすすめです。
屋根の塗料の相談も必要
外壁塗装の際は、屋根もまとめて塗装するケースが多いです。
なぜなら、外壁が塗装時期を迎えている頃には、屋根もすでに傷んできていることが多いためです。
屋根は外壁よりも紫外線によるダメージを多く受けるので、外壁よりも早く劣化が進む傾向にあります。
また、外壁と屋根の塗装をまとめて行うことには、次のようなメリットもあります。
- 外壁のみを塗装した場合と異なり、住宅全体としての外観が整うこと
- 屋根と足場を別に塗装した場合には2度必要になる足場などの費用(木造2階建て床面積30坪程度住宅で10万~20万円)が一度で済むので、工事費を安くすることができる
このため、外壁塗装のときには、外壁だけでなく屋根の塗料についても業者と相談する必要があるのです。
屋根の塗料の種類は、先ほど紹介した外壁の塗料の種類と大差ありません。
外壁よりも紫外線を多く浴び、劣化が早い傾向があるため、耐久年数が長めの塗料が選ばれることが多いです。
【おまけ】塗料のメーカー保証
世の中には、時計や家電など、メーカー保証付きの製品が多くあります。塗料選びにあたって、「塗料の保証ってどうなってるの?」と疑問に思っている人もいるかもしれません。
外壁塗装の塗料で、メーカー保証がついている製品は限られています。
なぜなら、塗装・塗料が長持ちするかどうかは、塗料の品質だけでなく、塗装工事がきちんと正しく施工されたかどうかによるところも大きいからです。
このため、塗料メーカーが塗装に責任をもつのは難しいことなのです。
外壁塗装の保証は、塗料メーカーではなく、工事を実施した業者がつけるのが一般的になっています。
このため、業者選びの際には、「保証を用意している会社か」「保証の内容はどうなっているか」なども要チェックです。
まとめ
外壁塗装の塗料には、シリコン系塗料やフッ素系塗料、ラジカル制御型塗料やクリアー塗料などの種類があります。
戸建て住宅で多く使われてきた安心の塗料といえばシリコン系塗料ですが、ラジカル制御の技術で耐久性を高めたラジカル制御型のシリコン系塗料が、最近ではシェアを伸ばしてきています。
塗料選びの際には、外壁のライフサイクルコストを考え、メーカーなどもチェックしましょう。
イエコマは、戸建て住宅の外壁塗装を承っております。
お客様のご希望に応じて、屋根・付帯部分をまとめて塗装することも、もちろん可能です。
- もう築10年以上経つし、塗装を検討したい
- 外壁の黒ずみやひび割れが気になっている
- 今しっかりメンテナンスして、外壁を長持ちさせたい
上記のようにお考えの方は、イエコマまでお気軽にお問い合わせください。
お見積もりは無料です!