引っ越しのときに誰もが困るのは冷蔵庫の管理です。
引っ越し前のどのタイミングで電源を切ればよいのかがわからないと、食品を無駄にしてしまう可能性もあります。電源を切った後の水抜きや、引っ越しの際の運び方を間違えると、故障の原因にもなることもあるのです。
せっかく新居に運んだのに、新しい冷蔵庫に買い換えなければならないことのないように、引っ越しまでの管理方法と正しい運送方法をぜひ確認してみてください。
引っ越し1週間前から行うこと
冷蔵庫の中の食品は、引っ越しの1週間前くらいから減らすようにして、前日までには空っぽにします。
中身の整理をしながら、賞味期限・消費期限切れのものを処分しましょう。引っ越し当日まで生ものが残っていると結局ゴミとなり、新居まで運ぶことになってしまうのです。
引っ越し前の1週間は、食べきれる分だけの食品を計画的に買うようにしましょう。
味噌やマヨネーズ、マーガリンなど使い切るのが難しいものは、クール宅配便を利用する、クーラーボックスで保管しておくなどの方法があります。
引っ越し前日に行うこと
引っ越しの前日には、冷蔵庫の中の水を抜いたり、掃除をしたりしなければなりません。引っ越しを機に冷蔵庫を処分する場合には、そのための手配も必要です。
冷蔵庫の掃除
引っ越し前日の朝には、製氷機を含め冷蔵庫の中を全て空っぽにし、電源を切る必要があります。
電源を切るのには2つの意味があります。1つは霜取りのため、もう1つが結露対策のためです。
霜取り
庫内や冷蔵庫内部の配管などは、庫内の湿気や食品の発する水蒸気が原因で生じた霜が付着することがあります。霜が付いたまま電源の切れた冷蔵庫を運び出すと、運搬途中で霜が解け、漏れた水が床や他の家具をびしょ濡れにしてしまうかもしれません。
霜取りの一般的な方法は、冷蔵庫の電源を落として12~16時間放置し、蒸発皿に溜まった霜の解けた水を捨てる方法です。
ただし、機種によっては霜取りの仕方が少し違うこともあるため、説明書を読んだりメーカーに問い合わせたりしてやり方を確認した方がよいでしょう。
自動霜取り機能のついた機種でも、万が一霜が残っていた場合を考慮し、前日には電源を抜いておくべきです。温度が低いと霜は溶けにくいため、冬場は早めに電源を切る方がよいでしょう。床に水が漏れても大丈夫なように雑巾を敷いておくと安心です。
結露対策
冷蔵庫が稼働している間は心配ありませんが、電源を切ると冷蔵庫内に結露が発生することがあります。電源を落とすのが引っ越し当日になってしまった場合、結露で庫内が水浸しになったり、霜が残っていた場合と同様、水が漏れて床や他の家具を濡らしてしまう恐れがあるのです。
霜取りと結露対策のために、冷蔵庫の電源は引っ越し前日の朝に切っておき、運び出す前に蒸発皿の水を捨てたり庫内の水気を拭き取ったりしておきましょう。
加えて、庫内をきれいに掃除しておけばより安心です。冷蔵庫の中は、食品のカスや汁がこぼれた跡があると臭いが発生する恐れがあるからです。
冷蔵庫を処分する方法・費用
冷蔵庫の処分の仕方にはいくつか方法があります。主な4つの方法と、それぞれの方法にかかる費用を見ていきましょう。
家電量販店に回収してもらう
ヨドバシカメラ、ヤマダ電機など各家電量販店が、不用になった冷蔵庫の回収業務を承っています。冷蔵庫の大きさや販売店によって変わりますが、料金相場は4,000~6,000円前後です。
ただし、このサービスを利用できるのは、店で対象商品(新品の冷蔵庫など)を購入した場合のみとなっている量販店がほとんどです。ケーズデンキは回収のみでも受け付けていますが、出張費が別途3,300円(税別)かかります。
詳細:「ケーズデンキ リサイクル回収について」
リサイクルショップで買い取ってもらう
故障していたり古くなければ、リサイクルショップに買い取ってもらうのも手です。状態が良く新しければ、処分費がかからないどころかちょっとした収入になることもありえます。
冷蔵庫をリサイクルショップにまで運ぶのが苦であれば、自宅まで引き取りに来てくれるショップを選ぶとよいでしょう。
指定引取所に持ち込む
指定引取所とは、いくつかの主要家電メーカーで構成されたグループによって、古くなった家電の引き取り・リサイクルを行う場所に登録された所を指します。
家電リサイクル法は、各家電メーカーに製品の指定引き取り場所の設置と引き取り、リサイクルを義務づけています。これらを各メーカーで個々に行うのは非効率的であるため、主要メーカーが共同で引き取り場所の運営を行っているのです。
サイズやメーカーによって異なりますが、冷蔵庫の引き取り費用は4,000~6,000円です。
個人で指定引取所に持ち込む場合、手順は次のようになります。
- 郵便局でリサイクル料金を振り込む
- リサイクル券を引き取ってもらう家電製品に貼る
- 家電製品を指定取引所にまで運ぶ
最寄りの指定引取所の場所は、以下から検索できます。
「最寄りの指定引取場所検索」
不用品回収業者に処分を依頼する
不用品回収業者に冷蔵庫の処分を依頼した場合、料金の相場は6,000~10,000円程度です。
ただし冷蔵庫1点のみの処分だと、別途出張費を請求されることがあります。不用品回収業者に依頼するのは、冷蔵庫のほかにも処分を頼むものがある場合にした方がよいでしょう。
冷蔵庫を買い替える手もある
冷蔵庫がもう古くなっていたり、何か不具合が起きていたりするのであれば、既存の冷蔵庫は処分して新しいものを購入するのも選択肢の1つです。
今ある冷蔵庫に以下のどれかに当てはまったら、買い替えを検討してみましょう。
- 買ってから10年以上経っている(一般に冷蔵庫の寿命は10年)
- 中が冷えにくい、一部が冷えていないなど、性能が落ちている
- 水漏れが起きている
- 以前よりも電気代がかかるようになった
冷蔵庫にそれほど不具合が起きていなくとも、以下のように冷蔵庫が比較的安く買える時期であれば、買い替えを考慮に入れてみるのも手です。
- 新年度を前に在庫処分が行われる2月
- 秋の新機種販売を前に、古い機種の安売りが行われる8・9月
引っ越し当日に行うこと
引っ越し業者に全て任せるならよいですが、自分で運ぶ場合には運ぶ前の準備をしなければなりません。必要な準備や運ぶ方法、階段での運び方や注意点を抑えていきます。
運ぶ前の準備
冷蔵庫の中の棚がガタつかないように、養生テープなどで固定させます。ガムテープは、のりの跡が残ることがあるので、使用を避けた方がよいです。
養生テープは粘着力が弱いので、剥がした後ものりが残りません。ドアも移動中に開いてしまうことがないように、養生テープで留めます。
冷蔵庫はキャスターで移動できますが、普段は動かないように前輪にストッパーが付いているので、ネジを緩めて外します。冷蔵庫を手前に移動させ、裏側のほこりを掃除機できれいに吸い取っておきましょう。
また、束ねた電源コードもテープで冷蔵庫本体に留めておくと、トラックに積む時に邪魔になりません。
いらなくなった毛布などで冷蔵庫を包むと、移動中に壁や床に傷つけることを防ぐことができます。
冷蔵庫を自分で運ぶ方法
何キロくらいまでの荷物であれば自力で安全に運べるのか。中央労働災害防止協会が1994年に以下のような通達を出しています。
満18歳以上の男子労働者が人力のみにより取り扱う重量は、55kg以下にすること。また、当該男子労働者が、常時、人力のみにより取り扱う場合の重量は、当該労働者の体重のおおむね40%以下となるように努めること。
「職場における腰痛予防対策の推進について(平成25年6月18日 基発0618第1号により廃止)」より(2018/5/9現在)
取り扱う重量の上限は55㎏ですが、引っ越し業者などではない素人が運ぶことを考えると、安全に運び得る重量は自分の体重の40%分まで、と思っておくとよいでしょう。なお同通達によれば、「一般に女性の持ち上げ能力は、男性の60%位である」そうなので、こちらも考慮に入れる必要があります。
単純に計算すると、日本人男性の平均体重は69.6kgなので、持ち運べるのはその40%の27.84kgまで。女性の平均体重は54.0kgなので、その40%に当たる数値の60%で12.96kgまでとなります。
参考:「日本人の平均身長・平均体重の推移」
ただしこれはあくまで一般論であり、万人に当てはまるものではありません。冷蔵庫は80L程度の小型でも25㎏前後の重さがあります。たとえ男性であっても、力や腕力に自信がなかったり、普段運動をしない人には、冷蔵庫を自力で運ぶことはオススメしません。落としたりぶつけたりした衝撃で冷蔵庫が故障したり、運搬の最中にけがをしたりする恐れがあるからです。
一般に冷蔵庫は背負って運びます。持ち上げたり背負ったりしやすいように、作業の際には必ず手袋をはめましょう。軍手でもよいですが、オススメなのは背抜き手袋です。軍手に比べると高額ですが、軍手よりもさらに滑りにくく、通気性に優れており蒸れにくくできています。
※引用元:TRUSCO
1人で確実に安全に運びたいのであれば、冷蔵庫運搬用のベルトを使う方法もあります。
素人2人で運ぶことを検討している場合、運搬可能なのは2人の体重を足した数値の40%までと思っておくのが無難です。女性2人の場合はさらにその60%までと計算するのが安全でしょう。
たとえば69.6kgの男性2人で運ぶのであれば55.68kgまで。54㎏の女性2人で運ぶのであれば25.92kgまでが安全です。ただし、こちらもあくまで一般論の話のため、それぞれの体格や筋力を考慮して運搬可能か判断しましょう。運ぶ際には片方が冷蔵庫の背面上部を持ち、もう片方が冷蔵庫の底の足の部分を持つとやりやすいです。
階段での運び方
エレベーターがないアパートなどからの引っ越しの場合、冷蔵庫を階段で運ばなければなりません。転倒事故などのリスクが高いため、階段を使わなければならないのであれば。業者に依頼することをオススメします。
どうしても自力で運ぶのであれば、背負子や専用の台車を用いると楽になります。ただし階段の幅が狭いと、台車は使えないかもしれません。
2人で運ぶ場合は、冷蔵庫は下側の方が重いので、階段の上り下りは力のある方が下側を持って行うようにしてください。
冷蔵庫はできるだけ縦向きで運ぶ
冷蔵庫は長時間横にしておくと、内部のコンプレッサー(圧縮機)内のオイルが漏れてシステム内に入りこみ、故障してしまうことがあります。
天井の低い廊下を通る間、階段を降りる間など、限られた時間なら横にしても大丈夫ですが、長時間横向きのままにするのはやめましょう。
ぎっくり腰に注意
重いものを持ち上げるとき、怖いのがぎっくり腰です。非常に強い痛みで動けなくなってしまうことが多く、その突然さと激痛から、ドイツ語では「魔女の一撃(Hexenschuss)」と呼ばれています。
ぎっくり腰が発症するのは多くの場合、重いものを持ち上げた瞬間です。動けないほどの痛みが突然腰に走り、回復には1~2週間かかります。
ぎっくり腰を防ぐのに重要なのが、ものを持ち上げるときの姿勢です。
ひざを伸ばしたまま、上半身だけを傾けて持ち上げるのはやめましょう。ひざを曲げて体を持ち上げるものに近づけ、真上に持ち上げるのがベストです。
物の運搬で腰などを痛めるのは、多くの場合、体の1カ所だけに強い負荷がかかってしまったときです。冷蔵庫のみならず重いものを運ぶ際には、体全体を使うことを意識しましょう。
トラックに積むときの準備や積み方
冷蔵庫を家の外に出したら、次はトラックで新居まで運ばなければなりません。トラックで運ぶのに必要な準備や積み方を紹介します。
必要な準備
レンタルの軽トラックで冷蔵庫を運ぶとき、必要なものと費用は以下の通りです。
- 軽トラック : 1日のレンタルで4,000~7,000円程度
- トラック用固定用ロープ/ベルト : 1,000円程度
必要な経費は5,000~8,000円程度です。万が一、運搬中に冷蔵庫が転倒したときのために、冷蔵庫に巻き付けておく毛布もあるとよりよいでしょう。
荷台への冷蔵庫の積み方
- 荷台に冷蔵庫を積む際、運転席のすぐ後ろに冷蔵庫を縦向きに置き、固定用のロープやベルトでしっかりと固定してください。
- きちんと固定されているか、ロープの結び目が緩んでいないか、冷蔵庫を押すなどして確認してから出発しましょう。
- 安全のため、トラックの運転はスピードを抑えて行ってください。
- 高さのある冷蔵庫を縦向きに積んでの走行となるため、天井の低い場所は避けて目的地に向かいましょう。
自力で冷蔵庫を運ぶのは困難
1人暮らしで用いるような80L以下の小型であれば、素人1人で運ぶのも不可能ではありません。しかしそれより大きな冷蔵庫だと、運搬は大きなリスクを伴う作業になります。
たとえば4人家族の場合、適度な冷蔵庫の容量は450L前後ですが、この大きさだと冷蔵庫の重さは80kgを超えるものが多いです。運搬中誤って自分の足に落としたり、何かの拍子で冷蔵庫が倒れ誰かが下敷きになったりしたら、大けがを免れません。
せっかく苦労して運んだ冷蔵庫が、新居に着いてみたら落としたりぶつけたりした衝撃で壊れていた、などの残念な事態になることもありえます。
運ぶ冷蔵庫の容量が80Lを超えている場合や、普段の生活で運動したり重いものを扱ったりしない場合は、安全を考慮し、冷蔵庫の運搬は業者に依頼しましょう。
新居に運び終わってからの注意点
冷蔵庫を新居に運び入れ設置するとき、気を付けなければならないことが3点あります。
放熱スペースを確保する
放熱スペースとは読んで字の如く、放熱のためのスペースです。
冷蔵庫は内部を冷却するために外部に熱を放っています。この放熱がうまくできないと、庫内が冷えにくくなったり消費電力量が増えたりする恐れがあるのです。
必要な放熱スペースの広さは機種やメーカーによって異なります。説明書を読む、冷蔵庫を購入した店舗やメーカーに問い合わせるなどの方法で確認しましょう。
電源を入れるのは1時間以上待ってから
冷蔵庫の設置が完了しても、すぐに電源を入れてはいけません。冷蔵庫内には、コンプレッサー(圧縮機)と呼ばれる部分があり、中にオイルが入っています。
運搬の過程で冷蔵庫が斜めになったり横になったりすると、このオイルが圧縮機の外に流れ出てしまい、圧縮機内がオイル不足になります。この状態で電源を付けると、冷蔵庫が故障する恐れがあるのです。
電源を入れてから中が冷えるまで時間がかかる
冷蔵庫は、電源を入れてすぐに使えるわけではありません。冷蔵庫として使用できるレベルにまで庫内が冷えるのには、4~5時間かかります。
新居に着いてすぐ冷蔵庫に入れるつもりで食品を買っておくのはやめましょう。どうしても買っておきたければ、庫内が冷えるまでの間食品を保管しておくクーラーボックスを用意しましょう。
まとめ
毎日の生活に不可欠な冷蔵庫は、引っ越しのときはちょっと厄介な存在ですよね。食品をできる限り無駄にせず、かつ移動に伴う冷蔵庫への負担をなるべく少なくするためにも、管理方法と運搬方法をしっかり覚えておきましょう。
また、引っ越しの予定の有無にかかわらず、冷蔵庫は定期的に掃除が必要です。長い間掃除をしていない、自分で掃除するのは面倒、などといった方は、業者に依頼することもおすすめです。
イエコマは、初回であれば6,600円/カ所(税込)で、冷蔵庫まわり(床・壁、本体外装)の清掃を承っています。
掃除しにくい冷蔵庫まわりは、放置しておくといつの間にかゴキブリの住みかになっていたり、コンセントの周囲に溜まったほこりが火災の原因になったりする恐れがあります。キッチンの衛生面・安全性の管理のためにも、この機会にイエコマで冷蔵庫まわりを徹底的にキレイにしてみてはいかがでしょうか。
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