シンクの大きさはどのくらい?

新築でどのようなキッチンがよいか検討するとき、キッチンのリフォームを考えるとき、どんなことに着目するでしょうか。

キッチンの形をどうするか。ガスにするか、IHにするか。どのような素材にするか。収納をどこにつけるか。
さまざまなポイントがありますが、今回はキッチンシンクの大きさについてのお話です。

シンクの大きさは、キッチンの広さや作業のしやすさに影響してきます。
家族人数や、日常的にどのようにキッチンを使うかによって、シンクの大きさを決めていきましょう。
ここでは、キッチンシンクの大きさを検討する際の、基本的な考え方について解説していきます。

シンクの大きさの変化

自宅のキッチンのシンクの大きさは、どのくらいありますか?おそらく、幅80cm前後という方が多いでしょうね。
それは、シンクの幅80cmというのが現在製品として出回っているシステムキッチンの標準のようになっているからです。

キッチンのシンクには、1980年代は「ジャンボシンク」という幅が1m以上あるものや、逆に小さめのシンクが2つ並んだ「ダブルシンク(二層式シンク)」というものがあったりしました。2つのシンクを、食品などきれいなものを洗うシンクと、生ごみや食べ終わった食器などを洗うシンクに分けて使っていたのです。
飲食店では、現在でもこのダブルシンクの設置が義務付けられています。

今では一般家庭でこのようなシンクはほとんど見かけなくなりました。しかし、オーダーキッチンの世界では、特大のシンクやダブルシンクなどを特注で制作したり、大きさや形状の種類がたくさんある輸入シンクを使ったりしている例もあります。実に、さまざまな寸法のシンクが出回っているのです。

システムキッチンのシンク

システムキッチンの場合、シンクは標準装備品なので、他から自分が気に入ったものを購入して取り付けてもらうことができません。
たとえば、T社のシステムキッチンを選びたいけど、シンクだけはS社のシステムキッチンについているものにしたいといっても無理なのです。
システムキッチンはセットでしか購入できないのですね。

ちなみに、欧米ではキッチンのパーツは全部別々に購入できます。キャビネットはA社製、ワークトップはB社製、シンクはC社製、キッチン水栓はD社製という具合です。
日本でこのようなことをしたいなら、オーダーキッチン屋に頼むしかありません。しかし、きっと高価なキッチンになってしまいますよね。

日本と海外のシンクの違い

そもそも、欧米に比べて日本のシンクは大きいです。
日本は、水資源が豊富で水道をジャブジャブ使うことにあまり抵抗がありません。しかし欧米、特にヨーロッパでは水が貴重で、水道も効率良く少しずつ使います。
なので、大きなシンクは必要なく、代わりに食洗機が発達してきました。
ドイツでは、食洗機の普及率が80%近くあるというのも、水資源が貴重だからこそなのですね(ドイツ製食洗機の標準コースの水の使用量はたったの10リットル前後!)。

普段何気なく使っているキッチンシンク。大きさや使い方、さらには歴史や文化などについて考えてみるのも、面白いかもしれません。

適切なシンクの大きさとは?

さて、シンクの大きさはどのくらいが適当なのでしょうか?
システムキッチンの標準シンクの幅80cmというのは、無難なところ。食器、お鍋、フライパンなど大体のものを無理なく洗える大きさです。

とはいえ、シンクの適切な大きさは、家族人数や調理の頻度、生活スタイルなどによって決まってくるものです。
単身で外食が多い場合は、幅が80cmもあるシンクは必要ありません。大家族で毎日料理をする場合は、幅80cmでは足りない可能性も出てきます。
幅が必要以上に広いシンクは掃除も大変なので、一般論ではなく「自分にとって適切なものを選ぶこと」を念頭に置き、色々な製品を見に行きましょう。

使いやすいキッチンの基本寸法

使いやすいキッチンとは、使う人にとって適切な広さ・高さ・配置を兼ね備えています。その基準となるのが「ワークトライアングル」という考え方です。

ワークトライアングルとは、キッチンの基本となる「冷蔵庫」と「コンロ」と「シンク」を結ぶ作業動線のことです。この3つがバランスのとれた位置に配置されていれば、キッチンでの作業がスムーズになるといわれています。
理想的なワークトライアングルとは、冷蔵庫・コンロ・シンクを結ぶ三角形の辺の長さの合計が360~660cmに設定されていることです。
さらに、それぞれの距離も重要です。シンクとコンロの間は少なくとも60cm以上取れることが望ましいです。

225cmや210cmのワークトップに80cmのシンクを付けると、作業スペースが狭くなり、とても使いにくいキッチンになってしまいますよね。この場合のシンクは、幅60cmくらいのものにしましょう。
60cmでは小さい?そんなことはありません。お鍋やフライパンも十分洗えますよ。

また、キッチンのシンクや作業台の高さも、人間工学に基づいた適切な寸法が定められています。
作業台の高さは、「身長 ÷ 2 + 5cm」が適切であるとされています。例えば、身長が160cmの人なら、「160cm ÷ 2 + 5cm = 85cm」が適切な高さとなります。

また、シンクは作業台よりも3~5cm高い方が作業しやすいです。というのも、シンクで洗い物をするときは手を伸ばしかがむ姿勢になるので、体に負担がかかりやすいからです。

寸法を決定するときは、ショールームなどに行き実際の高さを体験するとわかりやすいです。長年使うものですから、慎重に決めたいですね!

まとめ

時代によって、さまざまな大きさに変化してきたシンク。現在ある基本的な寸法は、その時々により良いものを求め続けた結果、生まれたものなのです。
家族人数や生活スタイルによって適切なものを選択し、暮らしやすい住まいを目指しましょう。

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