仕上げの材料
キッチンカウンターが壁面に取り付けられた場合、カウンターの後ろ(上)の壁(キッチンバック)の仕上げをどうするかということを考えなければなりません。
キッチンカウンターにはシンクやコンロがあり、料理をするとその後ろの壁には水しぶきや水蒸気や油はねが容赦なく飛び散り、付着しますね。
このキッチンバック、アメリカでは Backsplash(直訳すると「飛び跳ねの背面」でしょうか?)と呼ばれているのですが、そのままほうっておくと汚れてしまうので、汚れがしみ込まずふき取りやすい素材で仕上げることが必要になってきます。
また、キッチンは火気を使う部屋ということで、壁(天井も)は防火性能を満たした仕上げにしなければならないという決まり(建築基準法の内装制限の規定)もあります。
以上のことからキッチンバックには一般的に表面が滑らかなタイルが使われることが多いのですね。
タイルは大きさ、形、色などの種類がとても多くあって、キッチンの扉やカウンターの色に合わせたりできるのが楽しいのですが、目地(タイルとタイルの継ぎ目)は吸水性のあるセメント系なのでそこに汚れがしみ込みやすいというデメリットもあります。
最近はキッチンパネルという大判(たたみ一畳分以上)の不燃性化粧パネルがタイルに代わって人気を集めています。大判のため目地がほとんどなく汚れがしみ込む部分がないのが受けているのでしょう。
見た目?お手入れ?
タイルはいろいろなバリエーションでデザインを表現することができます。
キッチンの扉とトーンを合わせた無地のタイルを一面に張ったり、無地のタイルの中にワンポイントで柄物のタイルを入れたり、色違いのタイルを帯状に入れたり、長方形のタイルをレンガ積みのように張ったり、斜めに張ったり。キッチンにデザインの要素を取り入れたいときには欠かせないアイテムですね。
ただ、目地の汚れに気をつかわなくてはならないのが欠点と言えば欠点でしょう。
目地の汚れを気にする必要がないキッチンパネルは、色や柄の種類はそこそこあるものの深みのないのっぺりとした印象でタイルのようにデザイン性を求めるのはちょっと厳しいです。あくまでも機能重視の材料として理解するのが正解だと思います。
大判で薄いため壁に張る手間が少なくてすむし、タイル張りのような専門の職人さんも要らないので建てる側(施工業者)には都合の良い材料なのでしょう、ここ何年かで一気に増えた感じがします。
あと、少数派ではありますが、キッチンバック全体はタイル張りでコンロの後ろだけステンレスにしたり、ワークトップに天然石を使ってそのままキッチンバックにも同じ石を張ったり、わざとざらざらした擬似レンガのタイルを張るなどという例もあります。
キッチンバックは見た目重視派か、お手入れ重視派か、あなたはどちら?