レンジフードの汚れがひどくなり、換気能力も衰えてきたと感じたら、そろそろ交換の時期かもしれません。
レンジフードには、さまざまな形や大きさがあり、内部の換気システムや機能もそれぞれ異なります。
また、ものによっては取り付けられなかったり、排気口工事を伴う場合があるので、何を基準に選べばよいかわからない方も多いのではないでしょうか?
この記事では、レンジフードの種類や特徴、交換する際に気を付けるポイントをまとめました。
自分の住まいに合ったレンジフードをミスなく選び、毎日の調理時間を快適にしましょう!
目次
レンジフードとファンの種類
キッチンのレンジ(コンロ)の真上には、強制的に換気をするためのファン(換気扇)が取り付けられています。キッチンの換気扇は一般のものとは違い、「レンジフード」と呼ばれます。大きな特徴は「天蓋(てんがい)」があることです。天蓋はレンジフードのフード(英語で「Hood」、発音は「フッド」に近い)にあたります。
コンロから発生する汚れた空気を天蓋で受け止め、内蔵されたファンによって強制的に室外に送り出すのです。
レンジフードの「フード」と「ファン」には、どのような種類があるのでしょうか。下記で説明していきます。
1-1. フードの種類
フードには、スリム型、ファルコン型、ブーツ型、フラット型の4種類の形状があります。
スリム型
引用元:サンワカンパニー
現在主流になりつつある、すっきりとしたデザインのフードです。凹凸のないスタイリッシュな形状のため、インテリアとしても人気があります。溝や継ぎ目が少なく、汚れを拭き取りやすいのが特徴です。
スリム型のフードには、主にシロッコファンが使用されます。価格は80,000円~150,000円程度です。
ファルコン型
引用元:リンナイ
低い位置に設置できるので、お手入れが楽なタイプです。IHクッキングヒーターとの相性がよいです。
使用されるファンは主にシロッコファンで、価格は60,000円~120,000円程度です。
ブーツ型
引用元:サンワカンパニー
スリム型が流行り出す前に一般的に普及したタイプです。あらゆるキッチンに取り付けられるので、現在でもよく採用されます。フード本体とファンが一体化しているものと分離しているものがあり、煙を集める機能に優れているのも特徴です。
しかし、上下に広がった形状であるため、内部を掃除しにくいことが欠点です。
シロッコファンやプロペラファンが使用され、価格は50,000円~90,000円程度です。
フラット型
引用元:ノーリツ
平らなデザインのため、天井高があまり確保できない場合に有効なタイプです。掃除がしづらく音が大きいことがデメリットとして挙げられます。
ファンはシロッコファンかターボファンが使用され、価格は20,000円~70,000円程度です。
1-2. ファンの種類
ファンには、シロッコファン・プロペラファン・ターボファンの3種類があり、それぞれで換気量や静音性が異なります。
シロッコファン
引用元:BTOマニア
円形の枠内に幅の狭い羽が数十枚ついています。風量があり、空気を押し出す力が強いため、風の影響を受けやすいマンションで多く採用されるようになりました。音が小さく自由な位置に取り付けられることも、メリットとして挙げられます。
また、気密性の高い一般住宅用にも適しているため、現在ではほとんどのレンジフードがシロッコファンを使用しています。
プロペラファン
扇風機のようなプロペラが付いたレンジフードです。建物の外壁と接した部分に設置するタイプで、昔の戸建て住宅によく使用されていました。
風量はシロッコファンより大きいのですが、押し出す力は弱く、風の影響を受けてしまいます。強い風が吹くとファンが止まったり、逆回転したりするのを経験された方もいらっしゃるでしょう。
ダクトを通さずに排気するため、換気扇が外壁に接していなければ取り付けることができません。
ターボファン
引用元:iPROS製造業
シロッコファンと同じような構造をしていますが、風量や押し出す力はシロッコファンとプロペラファンの中間です。ファンの中では最も効率の良いタイプですが、今では使用される数は少なくなりました。
1-3. レンジフードの取り付けタイプ
レンジフードの取り付け方には、壁面取り付けタイプ、横壁面取り付けタイプ、天井取り付けタイプの3タイプがあります。
壁面取り付けタイプ
正面の壁面に取り付けるタイプのレンジフードです。壁面取り付けタイプは、比較的シンプルなデザインのものが多いのが特徴です。また、建物の外壁と接している場合は、プロペラファンの取り付けも可能になります。
壁面取り付けタイプとなるのは、正面に壁面がくるI型・L型キッチンです。
横壁面取り付けタイプ
横の壁面に取り付けるタイプのレンジフードです。横壁面取り付けタイプとなるのは、横の壁から半島のように突き出たペニンシュラ型のキッチンです。
リビングから見て目立つ位置にレンジフードがくるため、リビングやキッチンと調和の取れたデザインのものを選ぶようにしましょう。
天井取り付けタイプ
天井に取り付けるタイプのレンジフードです。天井取り付けタイプとなるのは、アイランド型キッチンやコンロが壁側にないペニンシュラ型キッチンなどです。天井に設置すると音が漏れやすくなすため、できるだけ音量を抑えることができるものを選ぶ必要があります。
1-4. レンジフードのサイズについて
レンジフードのサイズについてですが、高さ、横幅ともに消防法によって規定が定められています。しっかり確認しておきましょう。
レンジフードの高さ
高さについては、レンジフードからコンロのトップ面まで80㎝以上離すことが定められています。
レンジフードの横幅
レンジフードの横幅は、コンロよりも長くなければいけません。規格サイズとして60㎝、75㎝、90㎝の3種類があります。価格は、横幅が長ければ長いほど高くなります。
レンジフードの選び方
レンジフードは、毎日の調理で使用するものですから、できるだけ使い勝手のよいものを選びたいものです。
まずは使用する人の身長や手の届く範囲を確認し、ボタン操作や掃除などを容易に行えるものを設置しましょう。油汚れが付きにくい表面加工のものや掃除がしやすいものを選ぶと、日々のメンテナンスも楽になります。
さらに、下記のように便利な機能が付いたレンジフードもあります。
自分のライフスタイルに合ったものを選択していきましょう。
同時吸排気機能
吸気と排気が同時に行える機能です。排気だけを行った際に家の中の気圧が低下し、冬場に冷たい外気が隙間から室内に入ってしまうことを防ぎます。高気密住宅にお住まいの方や、24時間換気をしたい方におすすめです。
自動運転機能
コンロやIHクッキングヒーターを使用し始めると自動的にONになり、使用が終わると自動的にOFFになる機能です。スイッチのつけ忘れ、消し忘れを防ぐことができます。
省エネ運転機能
調理時の煙や油の量をセンサーで測り、自動的に快適な風量に調整してくれる機能です。電気代の節約にもなります。
リモコン機能
リモコンでレンジフードの操作ができる機能です。高い位置にあるレンジフード本体のボタン操作が困難な方におすすめの機能です。
常時換気機能
24時間継続的に換気をしてくれる機能です。家の中を常に換気したい、または湿気が気になる場合にあると助かる機能です。
エアカーテン機能
レンジフードの端部から弱い風を繰り、油煙が外に逃げるのを防ぐ機能です。火力が弱いコンロ、もしくはIHクッキングヒーターをお使いの方におすすめです。
セルフクリーニング機能
セルフクリーニング機能とは、ファンとフィルターが一体になっており、自動洗浄が可能になっている機能のことです。自動洗浄されるのはフィルターとファンの部分で、レンジフード内の約8割の汚れを除去してくれます。
ノンフィルター機能
整流版に油分を付着させ、オイルトレーに回収する機能です。フィルターのメンテナンスが不要になり、トレーに溜まった油を捨てるだけでよいのでお手入れも楽ちんです。
レンジフードの交換は簡単?
さて、レンジフードが古くなったとき、新しいものと簡単に交換できるのでしょうか?
これはケース・バイ・ケース。同じ種類のファンを搭載したレンジフード同士ならスムーズに交換できる場合が多いです。しかし、古いレンジフードがプロペラファンやターボファンだった場合に、新しいシロッコファン式のレンジフードに取り替えるときは要注意です。
一番の問題は、外壁に開けられた穴の大きさや形状の違いです。
たとえば、シロッコファンのレンジフードは直径15cmの丸い筒状のダクトで排気するため、外壁に開ける穴は直径17cm前後の丸穴になります。一方、プロペラファンは25~30cm四方の四角(正方形)の穴です。
よってプロペラファンからシロッコファンへ取り替える場合は、一度四角い穴をふさいでから丸穴を開け直す必要があります。外壁の補修を伴う場合もあり、かなり大変なのです。
また、同じシロッコ式でも、穴の開口位置が違う場合もあります。これも穴を開け直さなければならず、簡単な作業ではありません。
RC(コンクリート)造のマンションなどでは、天井の梁(はり)がレンジフードのところにあり、深型のシロッコ式が取り付けられないこともあるので注意が必要です。
レンジフードの交換方法
レンジフードを交換する手順をみていきましょう。
自分で行う場合は、レンジフードに付属している取扱説明書をよく読んで行ってください。レンジフードやファンの種類によって、取り付け方法が異なる場合があります。
必要なもの
新しいレンジフード・ファン
マイナスドライバー
ハンマー
カッター
養生テープ
ビニール袋
交換方法
1. コンロ等が汚れないよう、まずはキッチン周りをビニール袋で覆い、養生テープで止めましょう。
2. 壁とレンジフードの間にコーキングがあれば、カッターで除去してください。
3. コーキングが除去できたら、既存のレンジフードを取り外す作業に入っていきます。レンジフードはネジで固定されているため、ドライバーで外すことができます。最初にレンジフード本体の奥にある前幕板を外しましょう。前幕板を外したら、横幕板も外してください。
4. 次に、レンジフード本体を外します。レンジフード本体は重いため、複数人で行うようにしましょう。
5. レンジフードの次は、ファンを外してください。
6. 既存のレンジフードとファンが取り外せたら、新しいレンジフードに換気口を開けます。たいていのレンジフードには切り込みが入っているので、切り込みにマイナスドライバーを当て、ハンマーでマイナスドライバーを軽く叩くと外れます。
7. 新しいレンジフードの電源プラグをコンセントに差し込みます。
8. 新しいレンジフード本体をネジで固定し、取り付けます。
9. レンジフード本体を取り付け終えたら、ファンも取り付けてください。
10. レンジフードとファンの取り付けが完了したら、ダクトをつなぎます。つないだ後は、養生テープでダクト周りをしっかり補強しておきましょう。
11. 横幕板、前幕板を取り付けます。
12. 換気扇や照明の電気配線をつなぎ、必要に応じてフィルター板などを取り付けたら作業完了となります。作業完了後は、試運転を行ってください。
レンジフードの交換時期は?
古くなったレンジフードは汚れが蓄積しているだけでなく、換気能力も衰えます。そのため、10年以上経っていたら、そろそろ換え時かもしれません。
いずれにしても、レンジフードを交換するときはプロに現状を確認してもらい、機種選びや工事内容について適切なアドバイスを受けることが重要です。
最新のレンジフードは掃除がしやすく、省電力設計で捕集効率もよいです。さらには、LED照明が付いているなど、機能・性能ともに向上しているので、使い勝手のよいものを選びましょう!
レンジフード交換の相場は?
交換取り付け作業費だけで見ると、38,000~120,000円程度の業者が多いようです。
この価格に、本体代金や排気口工事費などが上乗せされていきます。
業者に依頼するときは、作業内容と金額を必ず確認し、本体購入前に本当に取り付けが可能か見てもらうことが好ましいです。
交換以外にはどんな方法がある?
古くなったレンジフードは、交換する以外にも塗装をしたりカッティングシートを貼ったりすることで、汚れが目立たなくなり、おしゃれな仕上がりになります。
塗装やカッティングシート貼りは簡単な作業なので、「交換はまだ早いかな?」と感じている人は、一度試してみるのもよいでしょう。以下に方法を説明していきます。
7-1. レンジフードを塗装する
汚れが目立ってきたり傷がついたりしたレンジフードは、上から塗装を施すことで新品のような見栄えを取り戻すことができます。
塗料の色ムラができないように注意して塗っていきましょう。
塗料の選び方
塗料には、スプレータイプや液体タイプがあるので、自分が使いやすいものを選択しましょう。
ポイントは、耐熱性・防サビ性のあるものを選ぶことです。耐熱性・防サビ性がないと、コンロの熱で溶けたり、塗料が剥がれた部分にカビが発生したりするので注意が必要です。
塗料は、ホームセンターやネットショップなどで購入できます。
用意するもの
塗料
オレンジスプレー
養生テープ
ヤスリ
雑巾
方法
1. オレンジスプレーで汚れを落とす
オレンジスプレーをレンジフードに吹き付け、付着している汚れを雑巾で拭き取っていきます。
2. 養生する
塗装時に塗料がはみ出さないように、養生テープをコンロのまわりに貼ります。
できるだけ際に貼るのがポイントです。
3. ヤスリがけをする
ヤスリで古い塗料をしっかりと削り落とします。
4. 下塗りする
塗料を一度全体に塗り、乾かします。
5. 上塗りする
下塗りの上から、再度塗料を塗り重ねます。
上塗りが仕上がりの色となるので、色ムラや凹凸ができないように注意しましょう。
上塗りが乾いたら、養生テープを剥がして完了です。
費用
塗料は、500~1,000円程度で購入できます。必要な道具を一式そろえるには、2,000~3,000円程度をみておくとよいでしょう。
業者では、塗装のみ行うサービスは少なく、クリーニングなどと一緒に塗装を依頼する場合が多いようです。業者にクリーニングをお願いする場合の相場は、10,000~20,000円程度をみておきましょう。
7-2. レンジフードにカッティングシートを貼る
カッティングシートを貼ることで汚れや傷を隠し、レンジフードをおしゃれに見せることができます。カッティングシートは色や柄のバリエーションが豊富なので、自分好みのデザインにできることが最大のメリットです。また、塗装に比べ作業も簡単です。
ただし、カッティングシートは紙でできているため経年劣化しやすいです。汚れがこびりついたり剥がれたりした場合は、また貼り替えをする必要があります。
カッティングシートは、ホームセンターやネットショップ、画材屋などで購入できます。
用意するもの
カッティングシート
定規
カッター
ヘラ
方法
1. 寸法を測る
定規を使い、カッティングシートを貼る部分の寸法を測ります。
2. カッティングシートをカットする
採寸した寸法よりも四方に3~4㎝の余裕を持たせて、カッティングシートをカットします。
3. カッティングシートを貼る
ヘラを使って気泡を押し出しながら、カッティングシートをレンジフードに丁寧に貼っていきます。
4. 余分な部分をカットする
カッティングシートの余った部分をカットしていきます。まず、ふちにヘラを当てて折り目をつけていきます。そして、折り目に沿ってカッターできれいに切り取ります。
これで作業は完了となります。
費用
カッティングシートは、1,000~2,000円程度で購入できます。必要な道具を一式そろえるには、3,000~4,000円程度をみておくとよいでしょう。
レンジフードをDIYする際の注意点
レンジフードをDIYする際には、以下4点に注意しましょう。
キッチンとの相性やバランスを考えて、色やを選ぶ
レンジフードを新しく購入する、もしくは塗装を施す際は、キッチン全体の色合いや雰囲気に合うものを選ぶようにしましょう。
賃貸物件の場合は事前に管理人・管理会社に確認する
賃貸物件の場合、物件の所有・管理権は管理人もしくは管理会社にあり、住人が住宅設備を勝手に変更することは許されません。もし、レンジフードをDIYしたい場合は、事前に管理者に許可を取りましょう。
電気配線の工事が必要になるケースもある
レンジフードを交換する際、場合によっては電気配線の工事が必要になることがあります。ファンの形式を変更する場合、最新の機器に変更する場合などは、購入前に工事の有無を業者に確認しておきましょう。
型遅れの商品や業者の過剰在庫を購入すれば、費用を抑えられる
型遅れや過剰在庫の商品を購入することで、費用を安く抑えることができます。最新機種にそこまで興味がない場合は、これらの商品を探してみるのもよいでしょう。
まとめ
レンジフードにはさまざまな型や機能があるので、交換する際は費用と性能のバランスや、キッチンの形、設置工事の有無なども考慮に入れながら、最適なものを選ぶことが大切です。
レンジフードに不具合が見つかった場合は、まず専門家にみてもらい、どのような修理・交換が適しているかアドバイスをもらうと間違いがありません。
キッチンは住宅設備の中でも毎日使う場所なので、より良い製品を使い、快適に過ごせる場所にしていきましょう!
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