キッチンの汚れの原因と対策

掃除機は数日に1回しかかけなくてもキッチンだけは毎日掃除している、という方は多いのではないでしょうか。しかし、油や水を使うキッチンは毎日掃除をしていても汚れが日々蓄積し、気付いた時には手に負えなくなることも多いもの。このコラムでは、台所汚れの2大原因である「油」と「カビ」を中心に、その原因や掃除を減らすための汚さない工夫についてご紹介します。
キッチンの汚れは放置すれば悪臭やカビ、虫の心配があるだけでなく、『台所が汚い人』というレッテルを貼られたらママ友付き合いも危うくなります。このコラムできれいなキッチンを実現する第一歩を踏み出しましょう!

キッチン汚れの原因

1-1.油

レンジフード内の油汚れ

キッチンの汚れと言えばまず思い浮かぶのが油汚れ。調理で油を使うとその粒子があちこちに飛び散り、空気中の埃などとくっついていろいろなところを汚すやっかい者ですね。
油の粒子は広い範囲に飛び散ります。キッチンのある部屋中全部といってもいいくらいです。
もしキッチンがオープンスタイルなら間違いなくダイニングやリビングまで油分が飛んでいるでしょう。そうなるともうあちこちが油でべとべと、たまったものではありません。

キッチンで発生する油の粒子を含む空気中のゴミは拡散する前に外部に出す必要があります。
そのための装置がレンジフードで、十分な性能を持ち、適切に設置されていればかなりの割合で汚れた空気を外に出してくれます。

1-2.カビ

キッチンのカビ

キッチンの汚れのもう一つの困りものはカビです。
カビは暗くじめじめしたところに発生するもの。シンクで水を使ったり、コンロでお湯を沸かしたりするたびに水滴や湯気が周りに付着し、放置しておくとそこからカビがはえてくるのですね。
キッチンなど水まわりでよく見られる黒いカビは好湿性のカビで、特に湿気のある場所を好みます。
ほかにはお餅やみかんなどにはえる「青カビ」や、湿度がそれほど高くないところにはえる「かわきこうじカビ」という橙色のカビなどがあります。

カビの胞子はハウスダストと一緒に空気中に漂っているので家中どこにでも存在するとのこと。
そしてその発生の必要条件は「酸素」「温度」「栄養分」「湿度」「時間」の5つの要素ということで、人間の生存、生活にも必要なものばかりです。
ということはカビを発生させないためにそれらの5つの要素を取り除くということができないのです。取り除いたら人間も生存できませんからね。

1-3.その他

キッチンの2大汚れである油汚れとカビの他に、水垢やステンレスのサビなどがあります。

水垢

水垢は、水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分を主成分とし、水分が乾燥すると現れます。その名の通り、水を使うキッチンや浴室、洗面所などには必ず発生する厄介者です。油汚れのように部屋中に拡散するものではなく、カビのように健康被害を及ぼすものでもありませんが、見た目が悪いだけでなく放置すればするほど取れなくなるので、こまめな掃除が有効です。
水垢には炭酸カルシウムを主成分とするアルカリ性のものと、マグネシウムと洗剤成分が結合してできる酸性のものがあります。どちらも見た目は同じですが、性質が違うので落とし方が異なります。それぞれ汚れとは反対の成分のもので掃除をする必要があるのです。

アルカリ性の水垢にはお酢やクエン酸など酸性の液体をつけ、ラップでパックする方法が有効です。
酸性の水垢にはアルカリ性の重曹やセスキ炭酸ソーダが有効です。汚れに振りかけて1時間ほど置いて、こすり落としましょう。

ステンレスのサビ

シンクやキッチントップに多く使用されているステンレスは水に濡れても錆びることがありません。これは、ステンレスに含まれているクロムやニッケルなどの成分によって表面に薄い酸化被膜ができ、空気や水分などから金属を守る働きをしていることによります。この保護膜のおかげでステンレスが錆びることはめったにありませんが、空き缶やフライパン、ヘアピンなど錆びやすい金属でできたものを置いていると、サビが移る「もらい錆」という現象が起こるので、注意が必要です。

ステンレスのサビは、軽いものであればメラミンスポンジなどで擦って落とすことができるほか、クエン酸を使ったパックでも落とすことができます。サビが進行すると擦っても落とせなくなる場合もあるので、ステンレスのキッチントップやシンクの上に金属製品を置かないようにするのが一番の対策です。

キッチンはどこが汚れる?

さて、キッチンを汚す原因についてみてきましたが、具体的にはどういうところが汚れるのでしょうか。

2-1.油汚れ

油汚れの元である油煙はコンロで油を使って調理するときに、コンロの火(熱)によって発生した上昇気流に乗って上方に拡散します。
ということで、一番汚れるのはやはりコンロまわりの壁やレンジフードでしょう。
ガスコンロで調理する場合、発熱量が大きく上昇気流も強いので発生した油煙はより高く、より遠くまで運ばれます。レンジフードの能力が不足していたり、適切に使用しなかったりすると捕捉できない油煙が多くなるので汚れはひどくなります。
その場合、汚れやすいのは食卓の上の照明器具(ペンダントライトのかさの上など)、食器戸棚や冷蔵庫の上面などです。
リビングのほうに向かってコンロが設置された対面型キッチンだとリビングにも油煙が飛んでいくと考えたほうがいいでしょう。

コンロがIHの場合はコンロから出る発熱量が少ないので、炎が出るガスコンロと比べると上昇気流がかなり弱くなり、そのため油煙は上方ではなく、コンロの周囲に飛び散る方が多くなります。
IHコンロと一緒に使うレンジフードは、コンロからの上昇気流が弱い分ファンの力が強いものを選ぶか、設置する高さを低くして(可能な範囲で)コンロに近づけるなどの工夫をする必要もあります。
IHコンロだと一番汚れるのはコンロまわりの天板の上とコンロの下の床というところでしょうか。

いずれにしてもコンロは対面側でなく、できる限り壁側に設置するようにし、キッチンがオープンスタイルの場合でもLDとの境に天井からの下がり壁を設けましょう。そうすることでリビングへの油煙の拡散を抑える効果が期待できます。

2-2.カビ

キッチンに多い黒カビがはえやすいのはシンクの前のタイル目地やワークトップと壁の間のシール(コーキング)です。
そのため、タイルの目地材やコーキング材にはわざわざ「防カビ」と銘打った製品もあるくらいです。
しかし、いくら防カビ仕様の製品を使ってもカビははえてきます。すぐにはえるかしばらくの間はえないで保つかというくらいの違いでしょう。

カビの発生条件の一つである「栄養」ということで言えばプラスティックも栄養になるそうです。冷蔵庫のドアのパッキンやキッチンの扉の防虫パッキンなどもカビが好きそうなところですね。
カビの発生を防ぐにはその発生条件を除去しなければなりませんが、上で示した5つの条件の内、人間がコントロールできるのは「湿度」と「時間」だけです。
カビがはえそうなところが濡れたら乾いた布などで拭いて乾燥させる、定期的に掃除しカビがはえる時間を作らないということが有効なようです。

ちょっと大変かもしれませんが、カビは一度はえてしまうとなかなか取れないし、あとから取るのはもっと大変です。
自分でできることは自分でしましょう。そして手に負えなくなったらそのときは業者さんに頼んでもいいのではないでしょうか。

キッチンを汚さない対策

キッチンの汚れ対策はこまめな掃除が一番ですが、そうは言っても掃除の手間はできるだけ省きたいですよね。

3-1.油汚れ対策

油汚れは洗剤で簡単に落ちるものではありますが、コンロ周辺の壁面やレンジフードは汚れを見逃しがち。気づいたときにはこびりついた油汚れを落とすのに一苦労、ということも多いでしょう。掃除が苦手な方やできるだけ手間を省きたいという方には、汚れそうな所に油汚れ防止シートを貼ってしまうことをお勧めします。この方法なら「汚れてきたな」と思ったタイミングで剥がして捨てれば一瞬で綺麗な状態に戻すことができます。

掃除の手間を劇的に減らす対策として、ガスコンロをIHクッキングヒーターに交換してしまう、という手もあります。プロでも掃除に苦労する五徳がなく調理後に拭き取ればいいだけのIHクッキングヒーターなら、キレイを維持するのが格段に楽になること請け合いです。費用はもちろんかかりますが、火が出ない、ガス漏れの心配がないなど、安全面でのメリットも多いIHクッキングヒーターへの交換も将来的な選択肢の一つとして検討するのも良いでしょう。

3-2.カビ対策

カビ掃除を減らすためには、カビを生やさない対策が有効です。具体的には防カビコーティングスプレーでカビを生えにくくする、除菌スプレーをこまめに使用する、などです。水回りを使うたびに布巾で水気を拭き取るのは面倒ですが、除菌スプレーなら吹き付けるだけなので手軽です。

ただし、防カビコーティングスプレーの場合は今あるカビを退治する製品ではないので、まずは綺麗に掃除をする必要があります。水回りを「リセット」するためにもプロに徹底的にクリーニングをしてもらった上で防カビコーティングを行えば、コーティングの性能も長持ちするのでお勧めです。

油汚れ・カビとりを業者に依頼した場合の費用相場

一旦汚れてしまったキッチンの原状回復には手間と時間がかかります。その上、苦労した割にはあまりきれいにならなかった・・・という残念な思いをされた方も多いはず。プロのクリーニングで汚れをリセットすればお掃除のモチベーションも上がるはずです。シンクの壁面の間のコーキングに生えたカビであれば、劣化してしまったコーキングを取り除いて新しく打ち替えるのもおすすめ。業者に依頼した場合の費用相場は、キッチンのサイズや清掃箇所によっても費用が変わってきます。あまりに安い業者は清掃内容に疑問もありますので、ご自宅近くの業者複数に見積もりを取った上で信頼できる業者に依頼するようにしましょう。

レンジフードクリーニング:2万円前後

キッチンクリーニング(レンジフード除く):1~2万円前後(キッチンの面積による)
シンクと壁面の間のコーキング打ち替え:1万円前後(打ち替えるm数による)

まとめ

「台所は女の城」と言われていた時代もあるほど、一日の多くの時間を過ごすキッチン。汚れる原因を把握し、掃除を減らす対策を取ることで、少ない手間で清潔に保つことができます。そして、どうしても困った時はプロの手でリセットするのも決して手抜きではありません。当コラムの読者の皆様に、清潔で快適なキッチンで過ごす楽しさを実感していただきたいと思います。

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