水道管のサビの放置は赤水の発生に!きれいな水を維持する対策

日常生活で必ず使う水道ですが、水道管は長く使っていると劣化してしまうことがあります。水分によって水道管内部の金属の劣化が引き起こされ、水道管の内側から剥がれたサビは水を濁らせるのです。

水道管の劣化を放置しておけば、サビで水道管そのものが詰まることもあります。水道管の詰まりは、漏水などの深刻な事態につながり、自宅内の被害だけならまだしも、近隣の住宅にまで迷惑をかけてしまうかもしれません。
通常、水道管はフローリングの下など床下を通っています。床下の水道管から漏水が発生した場合は、床を剥がして行う大規模な工事が必要になるのです。
できる限りそのような事態は避けたいものですよね。

水道管に発生するサビや、サビが引き起こす詰まりにはいくつかの対策・対処方法があります。
この記事では、水道管のサビとその対策・対処について紹介していきます。水道管のサビについて知り、的確な対処をしていきましょう。

赤サビ・赤水とは?

水道からサビの混じった水が出てくるのは、気持ちのよいものではありません。細かいサビの粒が浮いている水は飲む気になれず、シャワーや洗濯、台所の洗い物に使用するのも抵抗がありますよね。

ここでは、水道管内部に発生する「サビ」について解説します。サビについて正しい知識を持ち、対策に生かしてください。

赤サビとは?

鉄に付くサビには大きく分けて黒サビと赤サビがあり、赤サビはその名の通り見た目が赤みがかっており、非常にもろく剥がれやすい点が特徴です。

黒サビとは、化学的には「四酸化三鉄」という呼び名がついています。鉄の表面にできる膜のようなもので、黒皮とも呼ばれます。

日常的に目にするサビのほとんどは、赤サビです。
赤サビを放っておけば、金属組織の奥にまでどんどん広がり、鉄全体を蝕んでボロボロにしてしまいます。

赤水とは?

赤サビが溶けだして濁った水を赤水といい、築年数の経っている建物でよく見られます。
見た目はもちろん、「鉄の味がする」など、味も変化します。鉄バクテリアなどの微生物が存在している可能性も高いです。

しかし、意外にもサビが健康被害の直接の原因となることはほとんどありません。鉄は人体への吸収率が低く、大部分が排出されてしまうからです。
少量の赤水を誤って飲んでしまっても、直ちに有害ということはありません。ただし、大量の赤水や、鉄の濃度が異常なまでに高い赤水を誤って摂取してしまった場合は、医師への相談が必要です。

※参考:
千葉県水道局
都市拡業株式会社

赤サビ・赤水チェックリスト

  • 水の流れが悪い
  • 水が臭う
  • 水がまずく感じる
  • 水から鉄の味がする
  • 洗濯物に色がつく
  • 数日ぶりに水道を使うと、最初だけ赤っぽい水が出る
  • 洗面台や便器などに赤い筋が残る

以上の例に一つでもあてはまるものがあった場合、水道管にサビの被害が出ている可能性があります。早めに洗浄などの対策を取ることをおすすめします。

水道管のサビの原因

水滴

では、どうして水道管がさびてしまうのでしょう。
原因は、酸化です。鉄はそのままでは不安定な存在であるため、酸素と結合して酸化物となろうとする性質があります。水道管に使用される鉄に水と酸素が触れることで、酸化が起こり、サビが発生してしまうのです。

サビを放置するとこんな被害に!

頭を抱える女性

ほんの少しのサビでも、放置していると思いがけず重大な被害につながるかもしれません。
以下の例を確認して、水道のサビが原因となる事故を未然に防止しましょう。

鉄分の過剰摂取による健康被害

鉄分は赤血球を構成するヘモグロビンの材料となるミネラルです。健康な生活に鉄は欠かせませんが、鉄分の過剰摂取は健康に害を及ぼすこともあるのです。

鉄分の1日の摂取量は、成人男性で10ミリグラム、成人女性は12ミリグラム(妊娠中・授乳中は20㎎)とされています。
この量を越えて過剰に摂取してしまうと、嘔吐・下痢・吐き気などの症状が現れることがあります。これらの症状を感じたときには、必ず医師に相談しましょう。

子どもが誤って大人用のサプリメントを摂取した際などに起こる「急性鉄中毒」は、重度の臓器障害や死亡につながる恐れもあり、注意が必要です。

詰まり

「赤サビ・赤水とは」の章で紹介した通り、サビは放置しておくとどんどん広がり、水道管全体に侵食します。サビによってもろくなった水道管は内側から剥がれ落ちていき、大量に剥がれたサビは水の流れを塞ぎます。

さびる水道管、さびない水道管

水道管は、古くから生活に欠かせないライフラインとして、人々の生活に関わってきました。
ここでは、水道管の歴史を振り返るとともに、水道管のサビ、およびサビによる水道管の詰まり対策の歴史について紹介します。

昭和の中頃まで

水道管には、亜鉛でメッキされた「亜鉛メッキ鋼管」が使用されていました。この亜鉛メッキ鋼管は劣化が激しく、赤水や水道管内の閉塞をよく引き起こしてしまう物でした。

昭和50年以降

「硬質塩化ビニルライニング鋼管」の水道管が主流となりました。

水道管
※引用元:モノタロウ

「管内が塩化ビニルでできているためサビが防げる」画期的な水道管でした。しかし、管と管の接合に使われる継手部分やバルブの部分などにはサビが発生してしまうため、サビを完全に防ぐことはできませんでした。

現在でも、この硬質塩化ビニルライニング鋼管は新築マンションなどで使用されている場合があります。

平成5年以降

平成5年以降に登場したのが「コア内蔵継手」です。


※引用元:シーケー金属株式会社

これは上記で紹介した「硬質塩化ビニルライニング鋼管」の欠点であった継手部分のサビを抑える用途で使用されるものです。コア内蔵継手の登場で、水道管内のサビ発生率は大幅に減少しました。

しかし、取り付け時のねじ込みの甘さなどが原因でサビが発生してしまうケースも見られるため更なる改善が望まれました。

平成10年以降の水道管

ステンレス鋼管やポリエチレン管などの、ほぼ完璧な防食対策ができている管材が使われる建物が増えてきました。さびない「耐衝撃性塩化ビニル管」での施工をしている建物もあります。

ステンレス鋼管やポリエチレン管などの給水管を使っていても、サビの発生確率が0%なわけではありません。
防食管材での施工は当たり前になってきましたが、管内のぬめりやバクテリアの発生を完全に防げるわけではありません。定期的な洗浄が必要とされるのは、ステンレス鋼管やポリエチレン管、その他の配管でも同様です。

※参考:日本リニューアル株式会社

水道管がさびていないのにサビが出てくる原因!

「水道管がさびていないのに、蛇口からサビが出てくる」ことがまれに起こります。この場合は、前面道路での工事などが原因と考えられます。

道路内には水道局が管理する水道本管が敷設されていますが、この水道本管自体が古ければ、内部にサビが発生している可能性は充分にあるでしょう。

配管図
※引用元:千歳市

水道本管のサビが、道路工事の振動などで崩れ落ち、各家庭の水道に混入することで、家庭内の水道にまでサビが出てしまうのです。

この場合は水道局に相談するのが第一です。ただし、根本的な解決には水道管の交換、つまり本管の交換が必要です。解決には時間がかかってしまうことを覚悟しておいた方がよいでしょう。

水道管のサビ対策方法

実際に行うことのできる水道管のサビ対策には、どのような方法があるのでしょうか。ここでは代表的な方法を紹介します。

オゾン洗浄

オゾン洗浄
※引用元:NORITZ

サビに鉄バクテリアが付着することで、サビコブ(スケール)と呼ばれるスライム状のコブが形成されてしまいます。
オゾン洗浄は、オゾン水でバクテリア類・雑菌類を殺菌し、洗浄することでサビコブの形成を抑えることができます。オゾン水は薬品とは違い、有害物質や残留物を残さないため安全な洗浄方法といえます。

相場は20万円程度~です。

水道管更新工事

水道管

水道水への赤水やサビ粒の混入には、水道管自体を新しいものに交換するのが最も根本的な解決方法となります。
ただし、水道管更新工事には数十万円~数百万円という多額の費用がかかります。

また、水道管は通常床下や壁の裏を通っているため、床や壁を取り壊さなければならないリスクも伴うのです。自宅内での工事なら我慢できても、賃貸マンションやアパートでの実施は現実的に考えると難しいでしょう。

フラッシング

フラッシングとは、水道の蛇口を限界まで解放して水を高圧力で出し続ける洗浄方法のことです。少なくとも数分間、水を高圧力で出し続けることで、サビを水道管内から押し出すやり方です。

しかし、高い水圧をかけることでサビを一時的に出すことは可能ですが、根本的な解決にはなりません。しばらく時間が経過すれば、再びサビの被害が出てくる可能性が非常に高いです。

また、水道管内のサビの程度がひどい場合は、フラッシングの圧力で大規模なサビの崩落が発生する可能性があります。崩落により漏水が引き起こされることもあるため、フラッシングを行う際には注意が必要です。

ライニング工法

より本格的なサビ対策の方法として、ライニング工法があります。
ライニング工法では、まずサビの付いた水道管に高圧力で砂を吹きつけてサビを除去します。サビを削り取っただけでは配管の強度が落ちてしまうため、配管の内部に樹脂の膜を張り巡らせていきます。

樹脂の膜を張り巡らせることで、古い水道管内にビニールホース状の強い膜が形成されます。古い配管をそのまま活かすので、見た目の変化はありません。サビの再発も樹脂の膜が劣化するまで防ぐことができます。
施工する業者にもよりますが、この樹脂の膜の寿命は数年、長くて10年程度です。

このように、ライニング工法は非常に画期的なサビ対策ですが、樹脂の膜を形成する機材が非常に高額なため工事費も高額になります。(1戸あたり約60万円~100万円)
また、砂によるサビの除去の際に水道管が損傷すれば、ライニング自体が不可能となってしまうこともあるため、他の工法に比べてリスクの高い工法といえるでしょう。

黒サビ化工法

サビには「赤サビ」の他に「黒サビ」が存在します。先ほど紹介したように、赤サビはもろく剥がれやすいです。
しかし、「黒サビ」は非常に強固に固まる性質があるため、水に溶け出すことはありません。

黒サビはその強さを生かし、漏水なども防ぐ働きがあります。水道水に人為的な手段を加えることで、発生した赤サビを黒サビに変化させてしまうのが黒サビ化工法です。

黒サビ化の方法は、工事を行う業者によってさまざまな種類がありますが、大別すると次の2つのタイプに分けられます。

  • 磁力(電気)を利用する方法
  • オゾンを使用する方法

どちらも特殊な装置によって黒サビを発生させますが、効果が出るまで半年から1年近く掛かるものが多く、即効性がないのが難点です。黒サビ化が完了しても細かいサビが水に混入することがありますが、これは上記で紹介したフラッシングなどで止めることができます。

水道管の管理は所有者が行う?

給水管の管轄

水道管の汚れやサビが気になっても、「水道管の管理は水道局がやるものだから、給水管の洗浄は自分でやる必要がない・やってはいけない」と考えている人もいるでしょう。
しかし、この考え方、実は間違っています!

水道局が管理しているのは水道メーター(水道料金)までです。各家庭に引き込んでいる水道管は、水道局のものではなく家庭の財産となります。
何もしなければ、水道局は各家庭内の給水管の洗浄まではやってくれません。つまり、水道管・給水管の洗浄は家庭内で、定期的に行う必要があるのです。4~5年おきの洗浄が目安ですが、赤水や詰まりが発生した場合は目安に関係なく早急な洗浄が必要です。

まとめ

建物の築年数や使用されている水道管の種類にもよりますが、水道管のサビはどの家庭にも発生する可能性のあるリスクです。鉄は生活の中でも欠かせない存在で、サビも同様に身近な場所で発生してきます。
サビについて正しい知識を持ち、的確に対処することが大切なのです。

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