ガス調理に慣れている人にとっては、IHクッキングヒーターでの調理は火加減が難しかったり、鍋の動かし方に慣れなかったりするという声をききます。ですが、実際に使い始めてみると、掃除が簡単、キッチンが暑くならないなど、意外と使いやすい面が多く、年配の方でも気軽に料理ができるのです。
このIHクッキングヒーターですが、実は目に見えない電磁波を発しています。
電磁波というと、何となく体に悪影響を与えるのではないかと考えがちですが、実際はどのようなものなのでしょうか。
電磁波とは?
電気のあるところには電界が発生し、さらに電流を流すと磁界が発生します。この電界と磁界を合わせて電磁界といい、この中で、電気と磁気の両方の性質をもつ波が発生します。これが電磁波です。
電磁波には、人工的に作られたものばかりではなく、自然に発生しているものもあります。そのひとつが太陽光です。紫外線、赤外線といった光は、全て電磁波です。
また、人工的につくられた電磁波で代表的なものには、テレビやラジオの放送波があります。そして、IHクッキングヒーターから発生する電磁波も人工的につくられたものの1つです。
電磁波にはどんな種類があるの?
電磁波の種類は、周波数で分けられています。周波数とは、1秒間に発せられる電磁波の波の数で、
「ヘルツ」という単位で表されます。
身近な例としては、家庭用の電気があります。これは60ヘルツや50ヘルツの超低周波と呼ばれるもので、1秒間に60回または50回の波がある電気が送電されることを示しています。
また、周波数の高い電磁波には、医療用のX線やγ線などがあります。これらは、周波数が10の16乗ヘルツ以上にもなり、電離放射線と呼ばれます。私たちが普段、健康診断などでレントゲンに使用している電磁波は、電離放射線であるX線です。
さて、IHクッキングヒーターはどれにあたるかというと、電離放射線、テレビやラジオ、携帯電話よりも周波数が低い「長波」と呼ばれる電波です。これは、船舶などの無線に使われている電波と同じような周波数のものです。
電磁波の安全性
IHクッキングヒーターが電磁機器と呼ばれていることと、電磁波、いわゆる放射線についた悪いイメージから、IHクッキングヒーターから人体に影響を及ぼすような電波が発せられているのではと考えがちです。しかし、そのようなことはありません。
電磁波には、国際的に限度値のガイドラインが指定されています。この値は、電磁波が人体に影響を及ぼすぎりぎりの値ではなく、安全係数を織り込んだ十分大きな値なので、数値に収まれば安全とされているのです。
さらに、IHクッキングヒーターからの電磁波は、部分的なものです。全身に与える影響を考え作成されているガイドラインから見ても、その値は極めて小さい数値なのです。
ほかの電化製品と比べてもほとんど差がありませんし、むしろ電動歯ブラシの方が電磁波だけを見ると高い値を示しています。それでも十分にガイドラインからみると低い値です。
放射線といえば、発がんの危険性が問いただされています。
これに関しても、IHクッキングヒーターが発する電磁波は、可能性があるかもしれないというレベルから発がん性を分類できないというレベルにあたります。
可能性があるかもしれないというものにはコーヒーやわらびなどが含まれていますし、分類できないと言うレベルには、お茶やコレステロールが含まれています。
そう考えてみると、IHクッキングヒーターは安全に使える調理器具といえるのではないでしょうか。
まとめ
IHクッキングヒーターで懸念されている電磁波は、人体に悪影響を及ぼすような値に達しないことがわかりました。
しかし、これで必ず安心ということではなく、電磁波が発生している事実を理解した上で、安全に使用できるよう心がけましょう。