昨日まで普通に生活していたのに、朝起きたら水道管から漏水していて大変な目にあった…。
そう多くあることではありませんが、誰でも経験する可能性のあることです。
水道管が漏水してしまった際は、落ち着いて水道業者に連絡し、指示を仰ぎつつ応急処置をして業者の到着を待つようにしましょう。
水道管の漏水への対応をできるだけ早く行うことで、被害を最小に抑えることができます。
ここでは、水道管破裂の原因や症状、水道管破裂が起きたときの対処法、火災保険適用や水道料金の減免制度など、知っておくと得する情報も併せて紹介します。
目次
水道管破裂の原因とは?
水道管破裂の原因には、以下のようなものがあります。
- 水道管の経年劣化
- 水道管の凍結
- 地震の衝撃
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
水道管の経年劣化
水道管は永久に使用できるわけではなく、年数の経過とともに劣化します。
材質や太さによっても耐久年数が異なるため、特定の寿命があるわけではありませんが、基本的には10〜15年程度で寿命を迎えるといわれています。
ただ、その後についてはケースバイケースです。築10年程度で破裂することもあれば、築50年でも問題が起きない場合もあり、漏水予防や対策が難しいのが現状です。
ある日突然水道代が上がった場合には、見えないところで水道管が破裂して漏水していることもあるので、水道代の変動にも気を付けましょう。
水道管の凍結
水道管破裂の原因は、凍結がかなり多いです。特に寒冷地だと凍結による破裂の可能性が高くなります。
水の入ったペットボトルを冷凍庫に入れて凍らすと、ペットボトルがパンパンに膨らみます。これと同じことが水道管内でも起こると、水道管内で膨張した氷によって水道管が割れたり、接続部が破損したりしてしまうのです。
一般に、水道管が凍結して破裂する温度はマイナス4℃以下といわれ、冬場の寒い日には凍結による水道管破裂に注意が必要です。ただし、日陰や風の吹き付けるところにある水道管は、マイナス2℃程度でも凍結する危険があります。
予防策は、寒くなりそうな日の前に水道栓を少し開いておき、ちょろちょろと水が流れる状態にしておくことです。また、外に露出している水道管であれば、布や保温チューブを被せてテープで巻いておいたりするとよいです。
地震などの衝撃
地震などの天災によって水道管が破裂したり亀裂が入ったりすることもあります。
特に、元々経年劣化が進んでいた水道管であれば、少しの衝撃で壊れることもあります。地震が小さいからといって安心するべきではなく、新築であっても地震で強い衝撃を受けると破裂することがあるのです。
地震が起きたら、揺れがおさまるのを待って、水道管が破裂していないか確認するとよいでしょう。
水道管が壊れて漏水していないかを調べるためには、すべての水道を止めて水道メーターを確認します。これで水道メーターが動いていれば、どこかで漏水していると判断できます。
水道管が破裂したらどうなる?
水道管が破裂してしまったら、どのような症状が起こるのでしょうか?
水道管破裂による水漏れ
水道管破裂の症状として見られるのは水漏れで、特にキッチンやお風呂、トイレなどの水回りからの水漏れの可能性が高くなります。
キッチンやお風呂、トイレからの水漏れ
トイレから水漏れした場合、汚物が逆流する恐れがあるので早急に対応したいところです。
また、水漏れにより家財にまで影響が及ぶと、補修費用が膨大になってしまう可能性があるため、できるだけ早いタイミングで対処しましょう。
なお、漏水したときは最初に止水栓を止めますが、止めている間はトイレやお風呂、キッチンが使えなくなり、生活に影響が及びます。
屋外の水回りの水漏れ
屋外の水回りは毎日使うわけではないので、屋内の水回りよりも気付きにくく、気づかぬ内に漏水していたという可能性もあるため注意が必要です。
埋没している配管からの漏水が原因であれば、掘り起こして調査・修理する必要があります。
大量の水漏れには要注意!
大量の水漏れになった場合、床に水が溜まり、建物に甚大な問題を引き起こす可能性があります。
また、アパートやマンションの場合、下の階にまで被害を及ぼし、かなりの補修費用を請求されてしまう可能性もあります。
家具など、家財にダメージを与える程度であれば20〜30万円程度、柱を腐食させてしまうような被害にまで発展すると、100万円以上かかるような場合もあります。
水道メーターの外側で起こる水漏れには注意!
どこの水道管が破裂し、水漏れしたかによって対応が変わります。
水道メーターの内側で起こった水道管破裂は自分で対応する必要がありますが、一方、水道メーターの外側で起こった破裂については基本的に市町村の責任になります。
市町村の責任を負う水道管の破裂であれば、市町村が保障してくれるはずです。
水道管破裂が水道メーターの外側だと判断できたときは、速やかに市の水道課や水道事業者に連絡するようにしましょう。
水道管が破裂したらどうする?取るべき手順を解説!
ここでは、水道管が破裂した際に取るべき行動の手順をお伝えします。
知っていると被害を最小限に抑えられるので、慌てずに1つずつ行っていきましょう。
- 止水栓を止める
- 応急処置で水道を使うかどうか判断する
- 設備会社に連絡する
- 設備会社による点検
- 設備会社による見積もり
- 設備会社による修理
以下、詳しく見ていきます。
止水栓を止める
水道管が破裂していることが分かったら、まず止水栓を止めます。
止水栓の場所を探し、ドライバー等で栓を回して、水の流れを止めていきます。
止水栓ってどこにあるの?
止水栓は多くの場合、水道メーターの近くに設置されており、建物の端の方にあることが多いです。建物によっては、壁面や床下に設置されていたり、外に設置されていたりすることもあります。
建物の図面で配管図があれば場所は分かりますが、どうしても分からないときは業者にいち早く連絡するようにしましょう。
場所がわからなければ、建築会社や管理会社に聞こう
止水栓の場所が分からず、業者が到着するまでに時間がかかるようであれば、建物を建てた建築会社かマンションの場合は管理会社に連絡をして、止水栓の場所を聞くようにしましょう。
なお、建築会社であればアフターメンテナンス部隊に来てもらい、応急処置をしてもらえることもあります。
止水栓の3つのタイプ
止水栓には、以下の3つのタイプがあります。
- ハンドル式
- ドライバー式
- 内ネジ式
最も多く普及している止水栓は、止水栓と書かれた青い蓋のもので、蓋を開けるとバルブが見えます(蓋がないものもあります)。
ハンドル式の止水栓は蛇口のようにハンドルのついたタイプで、手で回すことができます。内ネジ式やドライバー式のものは、マイナスドライバーを使って回します。
いずれも、右回転で閉め、左回転で開けます。
応急処置で水道を使うか判断する
止水栓を止めると水が出なくなるため、トイレやキッチン、お風呂も利用できなくなります。業者が修理に来るまでの間ではありますが、戸建ての場合、ビニールテープや布を破損個所に巻き付け、針金かひもで縛ることで応急処置を施しましょう。この方法であれば、水を使うことが可能となります。
とはいえ、止水栓を止める方が安全であるため、どうしても水を使いたいときか、止水栓の場所が分からないときの対応法だと思っておきましょう。
設備会社に連絡する
水道管が破裂していることが分かったら、できるだけ早く設備会社へ連絡しましょう。場合によっては、上記の応急処置前に連絡してもよいです。
連絡先は、物件の種類や状況により異なります。
- 戸建ての場合:建物の水道を担当した水道業者へ連絡
- マンションの場合:管理人や管理組合に連絡、もしくは直接業者に連絡
- 連絡先が分からない場合:市の水道局に連絡し、対応の仕方を仰ぐ
戸建ての場合:建物の水道を担当した水道業者へ連絡
戸建ての場合、建物を建てた際に水道工事を担当した水道業者へ連絡するとよいでしょう。
担当の水道業者が分からないときは、建築を依頼したハウスメーカーや工務店、仲介を依頼した不動産会社などに確認しましょう。
ハウスメーカーや工務店であれば、営業担当者やアフターメンテナンスの担当者が対応してくれるはずです。
マンションの場合:管理人や管理組合に連絡、もしくは直接業者に連絡
マンションの場合は、管理人や管理組合に連絡するか、マンションの水道工事を担当した業者に直接連絡しましょう。直接水道業者に連絡した場合は、後で管理人や管理組合にも連絡しておくとよいでしょう。
連絡先が分からない場合:市の水道局に連絡し、対応の仕方を仰ぐ
水道工事を担当した業者や、建物を建てた会社が分からないときは、市の水道局に連絡すれば、市の指定業者の紹介を受けて、その後の対応についても教えてくれます。
どうすれば良いか分からないときは、とりあえず市の水道局に連絡をしてみましょう。
設備会社による点検
水漏れについて連絡をすると、設備会社が自宅まで来て、水道管回りの点検を行ってくれます。寒い日の凍結だと、他に多くの場所で水道管破裂が起こっていることがあり、設備会社の対応が翌日以降になることもあるので、注意が必要です。
設備会社による点検では、水道管が破裂しているのかどうか、どこで破裂しているのかなどの報告を受けます。
設備会社による見積り
点検の結果、必要な工事内容とそれにかかる修理費用が提示されます。急を要することのため、相見積もりを取っている暇のあることは少ないでしょう。
事前に、電話連絡の段階で水道管のおおよそ分かる症状とそれに対する修理内容を聞いておくことをオススメします。
設備会社による修理
見積もりに問題がなければそのまま修理に入ってもらいます。破損の程度にもよりますが、漏水修理工事自体は15~60分程度で終わります。
水道管の経年劣化が原因であれば、ついでに水道管の交換なども検討するとよいでしょう。
漏水の調査方法
水道管が破裂しているかどうかを最初に知るのは、漏水であることが少なくありません。
少しでも異常が感じたら、以下の手順で漏水があるかどうか確認しましょう。
- 家中の蛇口を閉める
- 水道メーターのパイロット(小さいプロペラが付いている箇所)を確認する
- パイロットが回っていたら、漏水している可能性が高い
- 3が確認できたら、トイレやキッチンなどの水道管を確認する
- 4で漏水の場所が確認できない場合は業者に漏水調査の相談をする
水道管の修理費用はどのくらい?
ところで、水道管の修理費用はどのくらいなのでしょうか?
水道管破裂といっても、キッチン・トイレなど場所によっても修理費用が異なります。また、少量の漏水程度なのか、複数箇所で破裂が起こって大量に水漏れしているかなど、被害状況によって料金は異なります。
さらに、業者によって「スピード対応」や「夜間対応」、「アフターサポ―ト」などをしてくれるかどうかでも金額が変わるのです。
とはいえ、ある程度の目安を知っておくことは大切なので、以下で一般的な相場をお伝えしていきます。
水道管修理費用の相場
水道管の修理工事の相場ですが、屋内で水道管が破裂したときの相場は以下の通りです。
- 屋内での水道管破裂:2万円程度~
- 天井裏や床下など隠れた箇所での破裂:3~5万円程度
- 壁の中で水道管が破裂した場合:上記に加え、壁を壊す費用と修理費用
水道管破裂による水道料金の減免制度もある
水道管破裂による修理では、市の上下水道局指定の業者を選ぶことで、水道料金の減免制度を受けることができます。水道料金の減免制度は、水道管が破裂し漏水したときの水道料金を補助してもらえる制度で、凍結破裂など故意でない水道管の損傷が条件である必要があります。
減免できる水度料金は自治体によって異なり、細かな規定があるため、各自治体に問い合わせて確認しましょう。
水道料金の減免制度の適用を受けるためには、市の上下水道指定業者が修理に来た際に申請書が必要であることを伝える必要があります。
なお、業者によっては申請書の作成~提出まで行ってくれることもあります。
代行してくれない場合は、業者から受け取った申請書に必要事項を記入し、水道局に持っていきましょう。申請が通るかどうかには審査があり、通れば翌月の水道料金が減額されます。
水道管の凍結は火災保険が適用される?
火災保険には火災による損害だけでなく、さまざまなタイプの損害を補償することができます。その中の1つに「水道管が凍結した際の修理」も含まれるのです。
保険会社や選んだプランにより、補償対象となるかどうか変わりますが、補償対象となっている場合には「水道管凍結修理費用保険金」といった形で約款に表記されています。
火災保険の補償内容
火災保険の補償内容のうち、凍結による水道管破裂に使えるのは、「水濡れ補償」と「水道管凍結修理費用保険金」の2つが一般的です。
この2つは入っているものと入っていないものがあり、どちらか一方が入っている場合には補償の対象が異なるため注意が必要です。
「水濡れ補償」と「水道管凍結修理費用保険金」
水濡れ補償 | 水道管が凍結など給排水設備の事故によって破裂し、建物や家財が水浸しになって使いものにならなくなったような場合に対象となる可能性がある |
水道管凍結修理費用保険金 | 水道管が凍結により壊れた場合に、その修理費用が支払われる ※1事故あたりの保険金支払い額に制約を受けることもある |
水道管凍結修理費用保険金は、7~8年前の保険には含まれていない可能性がありますので、注意が必要です。
※引用元:大家の味方
水道管破裂しないように日頃からメンテナンスしよう
水道管は、家に住み続ける限り経年劣化が進み、一般に築10年を過ぎたころから不具合が出始めます。経年劣化していれば、凍結や地震など少しの変化や衝撃で破裂しやすくなってしまうため、日頃からメンテナンスをしておくことが大切です。
適切に対処していれば、築50年が経っても破裂することなく使い続けることもできるでしょう。
水道管のメンテナンス
水道管のメンテナンスは、業者に定期的に依頼するのが1番よいですが、自分でできることもあります。それは、冬場の凍結対策です。
天気予報を見て、寒波が来ることが予想されるのであれば、その前日には水道の元栓を閉めた上で、蛇口をひねって水道管の中にある水を全部出しておけば、水道管が凍ることはありません。
水道管のメンテナンス周期
水道管のメンテナンス周期ですが、3年に1度程の周期で水道管を洗浄することをオススメします。水道管の経年劣化の原因は赤サビであることが多いですが、サビは新しい水道管でも1~2年で発生してしまいます。
赤サビが5~10年経つと赤サビのかたまりがコブをつくり、管が詰まりやすくなるのです。
まとめ
水道管破裂の原因や症状、対処法についてお伝えしてきました。
水道管の破裂は、素人で対処できることがあまり多くなく、下手に手を出すと被害が広がる可能性もあるため、応急処置をした上で業者の到着を待つのが一番無難です。
ただ、漏水は場合によっては床下浸水したり、マンションであれば下の階にも被害を及ぼしたりして、損害額が大きくなることがあります。
水道管が破裂しないよう、日頃から定期的なメンテナンスを受けておくことが大切です。