毒を持ち、驚異的な繁殖力を見せる「ヒアリ」が、日本でも発見されました。
ヒアリってどんな生物?もしヒアリに遭遇してしまったら?と不安が募りますよね。
しかし、ヒアリに遭遇しないために外出を控える、アリ駆除剤を撒き散らすなど過敏になりすぎるのもよくありません。
まずはこの記事を読み、ヒアリの生態や刺されないための予防法、見つけたとき・刺されたときの対処法をあらかじめ知ることで、少しでも安全に生活できるようにしていきましょう!
目次
ヒアリの生態とは?
ヒアリは、体長2~6mm、体色は赤褐色、腹部は暗色をした、南アメリカ大陸原産のアリの一種です。花蜜や樹液、種子、昆虫、トカゲなどさまざまなものを餌とし、動物の死体を主に食物とする腐肉食者であるため、固形食糧よりも液体食料を好む傾向にあります。
ヒアリは獲物の捕獲や自己防衛のために毒をもちます。この毒が人体に影響を及ぼすため、長年にわたり世界中で危険視されている生物なのです。
またヒアリは強い繁殖力を持ちます。日本の住宅地でもよく見られるクロオオアリの女王アリが1日1~5個の卵を産むのに比べ、ヒアリの女王アリは1日に約2,000個もの卵を産卵します。通常1集団の中で育てられる女王アリは1匹ですが、ヒアリの場合は10~20匹、多い場合には100匹いることも確認されています。また10キロ程度の距離を飛ぶことができることも、繁殖力の強さにつながっているのです。
集団行動力の高さもヒアリの特徴の1つです。主に湿地に生息するヒアリは、洪水が発生した際などに集団で腕を組んだりまとまったりしながら柱やイカダの形を形成し、女王アリを守ります。指示を出す個体がいるわけではなく、ヒアリがもつ本能が生存するための集団行動を自然と駆り立て、柔軟な構造を作り上げているようです。
ヒアリが生息しやすい場所とは?
ヒアリはもともと南アメリカ大陸中部に生息し、貨物等に紛れるなどして現在はアメリカや中国、台湾、オーストラリアなど環太平洋諸国に分布が広がっています。2017年に日本でも発見されています。
ヒアリは基本的に土の中に巣をつくります。直径20~60㎝、高さ15~50㎝ほどの大きさで、蟻塚と呼ばれるドーム型の巣です。
したがって、土のある公園や芝地、草地、庭などに生息している可能性が高いです。
土のある場所以外では、コンクリートやアスファルトの欠けた部分に巣をつくる場合もあります。また、湿った場所を好むため、川岸や池の周辺も生息しているのです。
田んぼや畑、庭、公園などはヒアリに遭遇しやすい環境といえます。これらの場所で遊んだり作業をしたりする場合は十分に注意しましょう。
恐ろしいヒアリの毒 もし刺されてしまったら?
スズメバチ上科のヒアリは、スズメバチに近い毒性を持っています。強い繁殖力は毒グモとして有名なセアカゴケグモと同様ですが、攻撃性のないセアカゴケグモに比べ、ヒアリは相手を問わず攻撃します。集団となって野生動物や家畜を襲うなど、農業関係での被害も甚大です。
また、建物や道の下に巣をつくって構造物を倒壊させたり、電気設備に侵入して漏電や火災を招いたりした事例もあります。
ヒアリが人間を刺した時の症状は個人差が大きく、軽度のものから重度のものまであります。
軽度の場合、熱いという感覚に近い痛みやかゆみがみられ、10時間ほどたつと膿んできます。
中度の場合、かゆみを伴うじん麻疹が部分的または全身に現れます。
症状が重度になると、声の枯れや激しい動悸、めまいなどが起き、さらには呼吸困難、血液低下、昏睡状態となる場合もあります。アナフィラキシーショックを起こしてしまった場合、命の危険も伴います。
もしヒアリに刺されてしまった場合は、20~30分は安静にし体調の変化がないか注意して観察します。容態が急変したらすぐに病院へ行ってください。症状の悪化がみられなければ、ゆっくり病院を受診しましょう。
また、毒針が体内に入ることを防ぐため、叩いたり掻いたりすることは避けてください。
ヒアリの天敵とは?
実は、ヒアリには天敵がいます。
1つは、アマゾンなどに生息するノミバエです。ノミバエはヒアリの出すフェロモンから巣の位置を特定し、腹部にあるトゲでヒアリを突き刺し卵を産み付けて、内部からヒアリを殺します。
アメリカでは、ノミバエをヒアリ対策として取り入れる方法を実践しているようです。
また、日本のアリもヒアリの天敵になりうるという説もあります。
縄張り意識が強いアリは、他種のアリが縄張りに入ってくると殺しにかかる習性があるのです。
ですので、むやみにアリ駆除剤を撒いて日本のアリまで駆除しないようにしましょうね。
ヒアリ被害の予防法
ヒアリによる被害を防ぐための方法を紹介します。
肌を露出しない
農作業や庭の手入れなどの作業をする際には、プラスチック製の手袋を着用するなどして肌を露出しないようにしましょう。
ベビーパウダーを靴やズボンにかける
ベビーパウダーを靴やズボンにかけることで、ヒアリが体を登りにくくなる効果があります。
サンダル等を外に置きっぱなしにしない
サンダルを外に放置すると、ヒアリが侵入する危険性があります。
生ごみを放置しない
生ごみはヒアリの餌になります。適切に処理し、放置しないようにしましょう。
ヒアリを見つけたらとるべき行動
ヒアリに似たアリを見つけた場合、環境省の地方環境事務所や保健所、警察に連絡してください。日本在来のアリでないかどうかの確認が行われます。
駆除方法としては、殺虫剤が一番簡単な方法となります。熱湯をかけたり、毒入りの餌であるベイト剤を使用したりする方法もあります。
日本でのヒアリ報道(2017年7月20日現在)
これまでに日本で報道された、ヒアリに関する情報を紹介します。
尼崎市で国内初のヒアリが確認される
2017年5月20日に中国の南沙港を出港したコンテナが、神戸のポートアイランドに陸揚げされました。
同月26日に、このコンテナの中身を尼崎市内で確認した際、大量のヒアリが発見され、日本国内で初のヒアリ確認となりました。確認されたヒアリはすべて駆除されています。
神戸に続き、名古屋でもヒアリが確認される
2017年6月27日に、名古屋港の鍋田ふ頭に陸揚げされていたコンテナから、7匹のヒアリが発見されました。このコンテナは同月15日に中国の南沙港を出港したコンテナで、発見されたヒアリはすべて殺虫処分されました。
東京港で100匹以上のヒアリが確認される
2017年7月3日、中国の三山港から出港し、東京都の大井ふ頭に陸揚げされたコンテナからアリが発見され、同月6日にヒアリであることが確認されました。
床板をはがすなどしてさらに調査したところ、同月7日に100匹以上のヒアリが新たに確認されました。コンテナ全体をビニールシートで覆っていぶす処理をし、さらに毒エサを仕掛けるなどして対処されています。
大阪港で国内初の女王アリが発見される
2017年7月4日、大阪南港に陸揚げされたコンテナからヒアリが発見されました。駆除後、回収された死骸50匹の中には女王アリも確認されており、国内初の女王アリ発見となりました。
春日井市で内陸部初のヒアリが確認される
2017年7月10日、春日井市で荷下ろしされた貨物からヒアリが発見されました。倉庫内で6匹程度のヒアリが確認されており、内陸部では初の発見となりました。確認されたヒアリは駆除され、確認地点周辺にはベイト剤が設置されています。
横浜港で700匹以上のヒアリが確認される
2017年7月14日、横浜港で700匹以上のヒアリが確認されました。コンテナヤード内のアスファルトの割れ目から発見され、中にはサナギと幼虫もそれぞれ100匹以上確認されています。女王アリは発見されていませんが、巣をつくって繁殖していた可能性が高いとみられています。
ヒアリに関する誤報
環境省のホームページに、「アメリカで年間100人程度の死亡例がある」とヒアリについて記載されていましたが、専門家からの指摘により死亡例が確認されていないことが判明しました。これにより、環境省はホームページ内の該当箇所の表現を削除しました。
しかし、7月19日にアメリカでヒアリによるアナフィラキシーショックで1人の少年が死亡したというニュースが報道されるなど、情報が錯綜している状態です。
まとめ
ヒアリの生態や、見つけたとき・刺されてしまったときの対処法を知ることで、少しでも安全に生活を送ることができます。
ニュースなどで最新の情報を常に得るようにし、ヒアリが生息しそうな場所に行くときには十分注意しましょう。
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