家の敷地内に鳩の巣ができると、フン汚れや鳴き声などに悩まされる可能性があります。「すぐに巣を撤去したい」という人もいるでしょう。
今回は鳩の巣の撤去についてくわしく解説。自分で鳩の巣を撤去する方法や、撤去する際の注意点をわかりやすく説明します。さらに鳩の巣撤去を業者に頼む場合の依頼先や費用相場も確認しましょう。
鳩の巣を撤去するには、事前に自治体の許可が必要なケースもあります。場合によっては、法律違反となることもあるため、この記事を参考に、鳩の巣の撤去についてくわしく知りましょう。
目次
鳩の巣の撤去が法律違反になる場合とならない場合
鳩の巣の撤去は、法律違反になる場合とならない場合があります。
- 法律違反になる:卵やヒナがいる巣を撤去する場合
- 法律違反にならない:卵やヒナがいない空の巣を撤去する場合
鳩の卵やヒナのいる巣を撤去した場合は、「鳥獣保護法」という法律に違反します。違反すると、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。卵やヒナを移動させることも禁止なため、卵やヒナがいる巣は、ヒナの巣立ちを待ってから巣を撤去しなければなりません。
どうしても巣立ちを待たずに巣を撤去したい場合は、自治体に相談してみましょう。家の状況や自治体にもよりますが、捕獲許可を申請して審査に通ると、卵やヒナのいる巣でも撤去ができます。
参考:鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(環境省)
鳩の巣を見つけたときにまずやること
鳩の巣を見つけたら、撤去できるか調べるために、まずは巣の中に卵やヒナがいるかを確認しましょう。
巣の中に卵やヒナがいるかいないかで、その後の対応が変わってきます。
巣に卵やヒナがいない場合
作りかけの巣、卵が産まれる前の巣、ヒナが巣立った後の巣は、自治体への申請は不要で撤去できます。ただし、鳩の巣には病原菌や寄生虫などがいるため、安易に撤去してはいけません。鳩の巣を撤去するくわしい方法や注意点は、次の章でくわしく説明します。
巣に卵やヒナがいる場合
巣に卵がある場合や、ヒナがいる場合は、鳥獣保護法違反となるため、勝手に巣を撤去してはいけません。ヒナの巣立ちを待ってからの撤去となり、巣作りを始めてから巣立ちまでに約70日かかるでしょう。どうしても巣を撤去したい場合は、役所に申請して捕獲許可を取る必要があります。
鳩の巣を自分で撤去する方法と注意点
巣に鳩の卵やヒナがいない場合は、許可など不要で巣を撤去できます。自分で鳩の巣を撤去しようと考えている人は、事前に撤去方法と注意点を確認しましょう。
自分で鳩の巣を撤去する方法
自分で鳩の巣を撤去する道具と、撤去の方法は以下です。
準備する道具
- ダニ駆除スプレー
- 消毒用アルコールスプレー
- ビニール袋
- 新聞紙やキッチンペーパー
- 掃除用のブラシ
- 水をかけるためのホースやバケツなど
撤去方法
撤去方法の大まかな流れは以下になります。
- 巣と周辺に、ダニ駆除スプレーをまんべんなく吹きかける
- 巣と周辺に、消毒用アルコールスプレーをまんべんなく吹きかける
- 巣を撤去し、新聞紙に包んでビニール袋に入れる
- フンや汚れを水でふやかし、汚れが柔らかくなったらキッチンペーパーや新聞で拭き取る
- ブラシで汚れを掃除して、水で洗い流す
- 巣があった場所に再度、ダニ駆除スプレーと消毒用アルコールスプレーを吹きかける
- 掃除の際に使ったマスクや古新聞などは巣と一緒にゴミ袋に入れて密閉し、捨てる
自分で鳩の巣を撤去する際の注意点
自分で鳩の巣を撤去する場合は、以下の点に注意してください。自分での撤去が難しいと感じる場合は、無理をせずに業者に依頼する方が、ケガをする恐れもなく安心です。
病気やケガをしないように気をつける
鳩の巣にはダニや病原菌などがついているため、撤去の際は肌の露出を抑えた服装にしましょう。また、薬剤なども使うため、作業を始める前に家の窓をしっかり閉めておきましょう。
鳩の巣を撤去する際の基本装備は以下のとおりです。
- 長袖長ズボン(動きやすく汚れてもよい服装)
- 動きやすい靴
- 軍手
- マスク
- ゴーグル
鳩におとなしそうな印象を持つ人もいるかもしれません。しかし、鳩は執着心や縄張り意識が強く、巣に人が接近すると、羽や口ばしで攻撃することもあります。安易に近づかないように注意しましょう。
高所にある巣を撤去する際は、二人一組で作業する
高所に巣があり、はしごや脚立を使う場合は、二人一組で作業をしましょう。一人はヘルメットを着用して脚立に上がり、撤去作業をします。もう一人は地上から道具の受け渡しなどをサポートし、転落時はすぐに対応できるようにしましょう。
鳥獣保護法に違反しないように気をつける
卵やヒナがいる巣を撤去すると鳥獣保護法に違反しますが、卵やヒナがいない巣の撤去時も注意が必要です。下記のように、うっかり法律違反をしないように気をつけてください。
- 追い払う際に鳩の体を傷つける
- 鳥獣保護区域(鳥獣を保護するために指定された地域)で鳩を捕獲する
- 鳥獣保護区域で罠などを設置する
鳩の巣の撤去の依頼先は専門業者
鳩の巣の撤去は、以下の4つの理由から、専門業者に依頼するのがおすすめです。
- 素人判断の作業では、鳥獣保護法に違反することがあるため
- 病原菌や寄生虫による被害を受けないため
- 撤去作業中に転落やケガなどをしないため
- 自己流で対策すると巣作りが再発する恐れがあるため
安全に撤去し、巣の再発を防ぐためには、プロに依頼しましょう。依頼先は、ハウスクリーニング業者や害虫駆除業者、便利屋さんなどです。
自治体や公的機関では、鳩など鳥の巣撤去に対応していません。気をつけましょう。
業者の鳩の巣の撤去の費用
鳩の巣の撤去を業者に依頼した場合にかかる費用は、3万円程度が相場です。
被害面積や巣のある場所、フンの量などで撤去にかかる費用は変わり、10万円以上かかるケースもあります。また、再発防止策の有無や、依頼する業者によっても大きく異なるため、価格は目安として参考にしてください。別途出張費がかかる場合もあるので、業者に頼む際は契約内容をよく確認してから、依頼しましょう。
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鳩の巣による被害
家の敷地内に鳩の巣ができると、次のような被害に遭う可能性があります。
- フン害
- 騒音
- ノミやダニの侵入
- 建物や設備のトラブル
フン害
鳩の巣の周辺では、次のようなフン害が発生する恐れがあります。
汚れと悪臭
鳩のフンはすぐに乾燥して固まるため、外壁やベランダ、洗濯物など、巣の周辺が汚れてしまいます。
さらに鳩のフンは湿っていても乾いていても、独特な悪臭がします。とくに夏場は強い悪臭が漂うでしょう。
病原菌
鳩のフンは乾くと菌が空気中に舞い上がり、人が吸い込むことでアレルギー症状や喘息、感染症などの健康被害を引き起こすことがあります。
さらにフンをエサとするダニやゴキブリなどの害虫が集まり、家に侵入する恐れがあります。
金属やコンクリートの腐食
鳩のフンは酸性で、長く放置すると、フンが付着した部分の金属やコンクリートが腐食します。サビや劣化が早まり、ベランダの床や車がボロボロになることもあるのです。
騒音
鳩の巣の周辺では、鳩の鳴き声、羽音や足音などの騒音が起きます。
鳩がとくによく鳴くのは早朝で、繁殖期や縄張りを主張したいとき大きな声で鳴くのが特徴です。鳴き声で目が覚めてしまう人もいます。また、巣のヒナは眠っている時間以外は鳴くため、ヒナの鳴き声が1日中聞こえるのが苦痛になる人もいます。
親鳥やヒナの羽音、手すりや屋根の上など、鳩が手すりや屋根の上を歩く足音もストレスになる恐れがあります。
ノミやダニの侵入
鳩には、ノミやダニなどのさまざまな寄生虫がついています。体やフンだけではなく、巣材や抜けた羽毛にもダニやノミが付着しています。家の周辺に巣があると、人や洗濯物などにくっついて、ノミやダニなどが家の中に侵入することがあるのです。
ノミやダニは、ペットや人を刺したり、吸血したりします。痛みやかゆみが生じるだけではなく、死がいはアレルギー症状の原因になります。ペットの場合は、皮膚炎や感染症にかかることもあるでしょう。
建物や設備のトラブル
鳩は建物のさまざまな場所に巣を作ります。とくに多いのが、天井裏、室外機の裏、雨樋、太陽光パネルの下など、雨風をしのげる場所です。
鳩の巣周辺はフンや羽毛、木の枝などでひどく汚れます。さらにその汚れが雨水を含むと、巣の周辺の部材は腐食しやすくなるでしょう。鳩の巣が原因で、家の建物や設備に以下のようなトラブルが生じることもあります。
- 屋根や雨樋からの雨漏り
- 太陽光パネルの故障
- 換気扇や室外機周辺に巣ができて設備が使えない
鳩の卵・ヒナの駆除の許可を取る手順
巣立ちを待たずに、自分で鳩の卵やヒナのいる巣を撤去したい場合は、お住まいの市区町村の役所へ申請して、捕獲許可を取る必要があります。無許可で撤去をすると、鳥獣保護法に違反するため、注意しましょう。
鳩の卵・ヒナのいる巣の撤去の許可を取る手順は以下です。
- 必要書類を提出する
- 役所で審査を受ける
- 許可書が発行される
以下に申請手順をくわしく解説します。審査には1~2週間ほど日数がかかることもあるため、スケジュールに余裕を持って申請しましょう。
また、狩猟免許を保有していない人は、審査に落ちる可能性が高い点にも注意が必要です。市区町村によって提出書類や申請方法などは異なるため、くわしくはお住まいの役所に問い合わせてください。
1.必要書類を提出する
捕獲許可の申請に必要な書類をそろえて、役場に提出します。窓口となる部署名は自治体ごとに異なるため、ホームページや役場の総合案内で確認しましょう。必ず提出するのは以下の2種類の書類です。
- 鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可申請書
- 鳥獣の捕獲等及び鳥類の卵の採取等の許可申請者(複数人で捕獲する場合に必要)
さらに自治体によっては、以下のような書類の提出が必要な場合もあります。自治体ごとに必要書類や書類様式は異なるため、くわしくはお住まいの役所で確認してください。
- 捕獲実施計画書
- 被害状況調査書
2.役所で審査を受ける
提出した書類を基に、環境大臣または都道府県知事が定める基準で審査が行われます。狩猟免許を保有していない人は審査に落ちる可能性が高いため、注意しましょう。
3.捕獲許証が発行される
審査に通ると、捕獲許可証が発行されます。鳩の巣を撤去する際は、この許可証を携行する義務があるため、紛失しないように気をつけましょう。また捕獲後は、捕獲報告書を提出し、許可証を返納する必要もあります。
鳩の巣作りを防ぐための知識と方法
鳩の巣作りを防ぐための知識と予防策を説明します。鳩が居ついた巣を撤去するのは大変な作業のため、巣を作り始める前に対策するのが非常に重要です。
鳩が巣を作る時期と場所
鳩の巣作りを効果的に予防するためにも、鳩の習性について知りましょう。
鳩が巣を作る時期と場所
鳩は繁殖能力が高く、1年中卵を産むことができます。とくに巣作りが多い時期は、暖かくなる3月~5月です。さらに生まれてから半年ほどで繁殖期を迎えるため、春に生まれたヒナが新たに巣作りを始める9月ごろも多いです。
鳩は雨風が当たらない高所を巣作りの場所に選びます。とくに外敵に見つかりづらい入り組んだ場所や、水や木の実などのエサが豊富な場所を好みます。家の敷地内では、天井裏、ベランダ、室外機の裏、雨樋周辺、太陽光パネルの下などに作ることが多いでしょう。
鳩の種類
日本に生息する鳩は主に7種類おり、中には天然記念物に指定されている種類もいます。町中でよく見かけるのは、ドバトまたはキジバトの2種類です。
ドバトは全体的に灰色で、首元に緑と紫の光沢がある色合いが特徴です。「クルック―」や「グルグル」などと鳴きます。
キジバトはドバトと比べて町中での生息数が少なく、茶褐色や灰色で翼にうろこのような模様が入っています。「ホーホーホッホー」とリズミカルに鳴くのが特徴です。
家の敷地内に巣を作るほとんどの鳩はドバトです。人間への警戒心が非常に薄いドバトに対して、キジバトは人間への警戒心が強く、木の上に巣を作ります。
巣を作りづらい環境を作る
鳩に巣作りしづらい環境であると思わせることは非常に重要です。鳩には高い帰巣本能があり、気に入った場所はしつこく何度も巣を作る習性があります。一度作られた巣を撤去するのは大変な作業のため、巣を作り始める前に鳩に安全な場所ではないと認識させて、追い払いましょう。
鳩が敷地内に長時間とまっている場合は、これから巣作りが始まる可能性が高いです。以下のような対策をして、鳩を追い払いましょう。ポイントは鳩が身を隠しやすい場所をなくし、こまめに掃除することです。
- 巣の材料となるハンガーや洗濯ネットを、外に出しっぱなしにしない
- ベランダなどへの出入りを多くして、鳩に人の気配を感じさせる・驚かせる
- 敷地内にある木をこまめに剪定する
- 鳩が身を隠しやすい、プランターやゴミ箱、段ボールなどの不要物を片付ける
- 鳩のフンはこまめに掃除する
鳩は自分のフンにも執着する習性があります。自分のフンで汚れた環境を好むため、こまめに掃除するよう心がけましょう。
ただし、鳥のフンには病原菌などが含まれるため、掃除の際は注意が必要です。くわしい掃除方法は、以下のコラムを参考にしてください。
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2023.3.15イエコマ編集部
鳩よけグッズを使う
市販されている鳩よけグッズを使った対策方法です。たとえば以下のようなアイテムが販売されています。
ホログラム | 光を反射させて、鳩に警戒させる。 |
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鳩よけスパイク | 上向きに何本もの針が付いた剣山。 針は鳩には刺さらないようになっており、鳩がその場に居つくことができなくなる。 |
忌避剤 | 鳩が嫌がる成分を含んだ薬剤。 スプレータイプ、ジェルタイプ、固形タイプなどさまざまなものがある。 |
防鳥ネット | 鳩の侵入を塞ぐネット。非常に効果的。 隙間があるとそこから侵入される可能性があるため、気をつける。 |
ただし鳩よけグッズは、最初は効果的でも、慣れて危害がないことがわかると、効果がなくなるケースもあります。設置後も安心せずに、定期的に鳩の巣ができていないか確認しましょう。
まとめ
鳩が居ついた巣を撤去するのは、大変な作業です。また鳩は帰巣本能があるため、巣立った後も、繰り返し巣に帰ってくる可能性があります。「最近、ベランダに鳩の姿をよく見かける」という場合は、巣を作り始める前に対策をすることが重要です。
鳩の巣を作られてしまった場合は、はじめに巣の中に卵やヒナがいないか確認しましょう。卵やヒナを見つけた場合は、自治体からの許可なく撤去ができません。むやみに撤去すると法律違反となるため、ヒナの巣立ちを待ってからの撤去になります。
卵やヒナがいない場合は、すぐに自分でも巣の撤去をすることができます。ただしケガや病気になる恐れがあるため、今回紹介した撤去方法と注意点を参考に、注意して作業をしてください。
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