「シロアリ」について詳しく知っている人はどれぐらいいるでしょうか。
実際にシロアリの被害を経験した人もいれば、一度もシロアリを見たことがない人もいるでしょう。
いずれにしても、シロアリに対する共通のイメージは、主要な柱や基礎などを食い荒らし、家屋の強度を低下させる恐ろしい「害虫」でしょう。発生したときに対策や駆除をする以外、特に詳しく調べようと思わないのではないでしょうか。
シロアリに関する知識を深めれば、予防や対策に生かすこともできます。つまり「まず敵を知る」ことが大切なのです。
シロアリは、ほぼ日本全土に発生する可能性があります。たとえ今被害がなくても、予備知識として持っておいて損はありません。
※当ページで記述しているシロアリの大きさは目安です
シロアリの生態
シロアリは、見た目はアリに似た白色や茶褐色の昆虫です。その歴史は長く、約3億年前に出現したといわれており、現在では日本を含む多くの地域に生息しています。大きさは種類によって異なり、日本でよく見かけるシロアリは4~8mmで、その「女王」は数十mmに達します。
シロアリは積極的に採集したり飼ったりする昆虫ではないので、生態を知らない人が多いのではないでしょうか。理解を深めるために、詳しく見てみましょう。
実はゴキブリに近い
名前と見た目からアリの一種だと思いがちですが、実はゴキブリと同じ「ゴキブリ目」に分類されます。
シロアリの食事
シロアリの栄養源は炭水化物のセルロースで、主に枯れた植物を食べますが、基本的にはほとんど何でも食す可能性があります。たとえば、ガラスはシロアリへの抵抗性が高いといわれますが、動物の死骸やプラスチック、発泡スチロール、コンクリートなどは食べてしまいます。
シロアリのすみか
シロアリのすみかは木材、地中、樹木などで、場所はシロアリの種類や環境によって異なりますが、基本的にはコロニー(巣・集団)を作って生活します。
コロニーは、いわば家族のようなものです。コロニー内のシロアリの数は、ヤマトシロアリであれば数千から数万匹、イエシロアリであれば数百万匹ともいわれています。
特に、イエシロアリは大きな本巣のほかに支店の位置付けとなる分巣も作り、コロニー全体の範囲は半径100mに及ぶこともあります。
乾燥した草原などでは、アリ塚が作られることもあります。アリ塚は土や排せつ物などを盛り上げて作った塚で、中にいる数万匹のシロアリを暑さや乾燥から守る役割を果たすのです。
蟻(ぎ)道
蟻道とは、文字通りアリが通る道のことです。
シロアリは厳密にいうとアリではありませんが、普通のアリと同じく蟻道を作って通行します(作らない種類もいます)。
トンネル状の蟻道は餌場につながっていて、巣との行き来に使用します。蟻道の材料には土や餌の食べかすなどが使われます。作られる場所はさまざまですが、家屋の土台などにも見られます。
蟻道は家への侵入経路であり、シロアリ被害確認の目印にもなります。
シロアリの家族形態
シロアリは社会性を持って集団生活をしていると考えられており、社会性昆虫と呼ばれます。形成するコロニーでの家族形態は階級型で、女王(王)を頂点としてそれぞれ役割が分かれています。
女王(王)アリ
最上位に当たる女王(王)アリの役割は産卵です。女王アリは大きな卵巣を持ち、部屋(王室)で王アリと交尾を続けて毎日たくさんの卵を産みます。
寿命は、種類によっては30年ほど生きる場合もあります。産卵のために自分で動き回ることは難しく、働きアリが世話役を担います。
副女王(副王)アリ
2番目の階級である副女王(副王)アリの役割は、女王(王)が病気などで死んでしまった場合に代わりを務めることで、いわば跡継ぎのような立場です。
ニンフ
シロアリには羽が生えた「羽アリ」がいます。巣の規模が大きくなると、羽アリが独立のために飛び立ちます。ニンフとは、この羽アリになるシロアリのことです。
働きアリとして活動しますが、翅芽(しが)という羽が生える所を持っています。
兵隊アリ
兵隊アリには、その名の通り巣を外敵から守る役割があります。戦うために存在しているからか、餌を採るなどの働きはせず待機します。
見た目は種類によって異なりますが、顎や牙が大きいといった戦いに特化した特徴を持っています。
働きアリ
シロアリの集団内で多数を占めるのが働きアリです。餌の調達や巣作りから女王、卵、幼虫の世話まで、幅広い役割を担います。
自分で餌を採らない兵隊アリに栄養を与えるのも働きアリです。
シロアリの羽アリ
シロアリは、子孫繁栄のために新たな環境を探し、増殖する必要があるため、羽アリになって巣から飛び立ちます。羽アリは群れで飛び立つので、家の周辺で大量に出たときは驚くかもしれません。
飛び立つ時期や時間帯は種類によって異なりますが、春から夏頃が中心で、時間帯も日中から夜に飛び立つ傾向があります。
羽アリはクロアリの場合もある
羽アリが発生しても、シロアリと断定はできません。一般的なクロアリの可能性もあります。
シロアリとクロアリの羽アリの違いは多く、特に羽の大きさ、体、発生時期に見分けるポイントがあります。
種類 | シロアリ | クロアリ |
羽の生え方 | 前羽と後羽の形と大きさがほとんど同じ | 前羽の方が大きい |
形 | 寸胴形 | 腹の部分にくびれ |
発生時期 | 春から夏が中心 | 11月頃まで発生 |
秋の終わりから冬にかけて発生した場合はクロアリの可能性が高いということです。
羽アリが発生した家はすでに被害を受けているかも?
羽アリは2、3日ほどで出尽くします。しかし、いなくなったから一安心ではありません。
シロアリの羽アリが出た家には、以前からシロアリがいたと考えられ、既に被害を受けている可能性があります。調査・点検した上で、場合によっては駆除しましょう。
シロアリの種類
シロアリは世界に約2,500種類いるといわれています。そのうち日本には22種類が生息し、特に人間と関わりが深いのは「ヤマトシロアリ」と「イエシロアリ」の2種類です。
近年はそれに、「アメリカカンザイシロアリ」と「ダイコクシロアリ」も加わるようになっています。
以下に、それぞれのシロアリの特徴を紹介します。
ヤマトシロアリ
ヤマトシロアリは暗く湿潤な場所を好むため、湿って腐りかけた木材や土の中などに生息します。山や林、住宅の床下や壁でも見かけます。
特定の場所に巣を作るわけではなく、餌場が巣を兼ねているため、餌場の環境が悪化すると次の餌場を求めて集団で移動します。
ヤマトシロアリの大きさは4~7mm、女王は最大で15mmです。見た目の特徴は、ほぼ円筒形で体長の約半分が頭部です。北海道北部を除いた日本全土に分布します。
イエシロアリ
イエシロアリは土の中や住宅の屋根裏、床下などに生息するシロアリです。光に集まる傾向があり、電灯の近くで見かけることもあります。
主な特徴は次の2つです。
- 大きな巣を作る
- 乾燥した環境でも水や湿った土を運んで生息できる
行動範囲は巣から100mともいわれ、被害が広範囲に及ぶ可能性のあるシロアリです。
イエシロアリの大きさは5~8mm、女王は最大で40mmです。
見た目の特徴は、卵形で体長の約1/3が頭部です。頭部の先からは乳白色の液が出ます。
神奈川県以西の海岸線沿いや小笠原諸島など、広い範囲に分布します。
アメリカカンザイシロアリ
アメリカカンザイシロアリは、名前の通り以前は日本にいなかった種類です。生息地は木材の中ですが、ヤマトシロアリやイエシロアリと違って比較的乾燥した環境でも生息できるため、乾いた家具などにも潜り込んでいます。
アメリカカンザイシロアリの大きさは5~8mm、女王は10 mm程度です。
見た目の特徴は、体長の約1/3の頭部を持ち、頭部はオレンジ色、体は茶色であることです。日本では山陽地方などに分布しますが限定されるわけではなく、東日本にも発生します。
ダイコクシロアリ
ダイコクシロアリは乾燥に強く、湿気を嫌う傾向があるシロアリです。家具や梱包材に紛れていたり、木材の中にいたりする可能性がありますが、遠くの場所には移動できません。
ダイコクシロアリの大きさは4~7mm、女王は10mm程度です。
見た目の特徴は、体の約1/4の大きさの発達した頭部です。寒さに弱いせいか奄美大島、沖縄、小笠原諸島など暖かい地域に分布し、本州では発見されていないといわれています。
砂粒状の糞(ふん)を出し、この糞が木材の周辺で見られることがあります。
その他のシロアリ
上記の4種類は人間の生活に関わりを持つ代表的なシロアリですが、日本には他の種類も生息しています。キノコを栽培し共生するタイワンシロアリや、樹木の上に大きくやわらかい巣を作るタカサゴシロアリなど、その数は10種類以上で、多くは南西諸島に分布しています。
なお、日本で最大のシロアリは、鹿児島県以南に生息するオオシロアリです。
人間とシロアリの関係
シロアリの種類が分かったところで、人間との関係について考えてみます。
シロアリは害虫というイメージ
多くの人が持つシロアリに対するイメージは、「家屋に被害をもたらす害虫」ではないでしょうか。
実際にシロアリは木材に生息し、その雑食性から住宅の至る所を食い荒らす可能性があります。侵食速度の速い種類もいて、気付かないうちに被害が大きくなる場合もあるので、人間にとって厄介な虫であることは確かです。
実は益虫ともいえるシロアリ
普段の生活では悪者扱いされやすいシロアリですが、地球環境で見ると役に立っている面もあります。
世界に2,000種以上いるシロアリの中で、建物などに害を与えるのは100種程度であり、日本では4種にすぎません。つまり、ほとんどのシロアリは森林など自然の中に生息しています。
建物に害を与えないシロアリは基本的に落ち葉や枯れた木材などを餌とし、それを分解します。また、シロアリが地中に作るトンネルは、土壌を改良する役割も果たすのです。
このような地球環境への貢献度を考えると、間接的には人間にとっても益虫であるといえます。
シロアリ被害に遭いやすい家
シロアリ被害に遭う可能性が高くなる条件として、特に注意したいのは以下のような家です。
- 日が当たりにくい
- 周辺に池や川、森などの自然環境がある
- 庭に廃材が置かれている
- 床下の風の通りが悪い
- 風呂がタイル式である
- 押し入れが湿気でかびている
- 床や壁に雨漏り被害がある
自分で行うシロアリの調査・点検方法
シロアリの調査・点検は、慣れていないと判断が難しいですが、自分で確認できる場合もあります。
家周囲の植木のくい、廃材など木製の物を確認
シロアリは木製の物に生息しやすいので、家の周りとその付近にある該当物を確認します。もし蟻道があったら、崩してみるとシロアリが生息している可能性があります。
室内の床板、柱、壁などを確認
床板は、特にシロアリが好む湿気が発生しそうな洗面所などを確認します。浴室や玄関などの柱にも注意したいものです。
壁の状態なども確認します。床板を踏むとブカブカしたり、柱や壁に空洞音がしたりする場合は、被害を受けている可能性があります。
床下を確認
床下はシロアリの生息場所の候補の1つですが危険もあります。無理をせず、業者に依頼することも検討してみましょう。
床下の柱や基礎に蟻道があれば生息の可能性があり、場合によってはごみの下にいることも考えられます。
シロアリの対策
シロアリの被害が心配であれば、普段から対策をしておくべきです。専門的な方法ばかりでなく、自分でできる基本的な対策もあるので紹介します。
物の置き方に気を付ける
まず、庭にいろいろな物を置いているなら、できる限り撤去しましょう。特に、木材を置いているとシロアリを呼び込む原因になるので、注意が必要です。
木材に限らず家の基礎付近に物を置くときは、離して置くようにしましょう。基礎付近に暗がりを作ってしまうと、シロアリが蟻道を作りやすくなります。
湿気に気を付ける
シロアリは湿気の多い環境を好みます。日頃からできるだけ風通りを良くして湿気をためないようにしましょう。水漏れや雨漏りが発生した場合は放置せず、早めに対処することが大切です。
ごみや落ち葉を掃除する
シロアリの餌になるごみや落ち葉は、散乱させずに掃除しましょう。家の中に比べて外はおろそかになりがちですが、放っておくとシロアリのリスクが高まるので、小まめに掃除するのがよいでしょう。
シロアリの駆除
シロアリが見つかって自分で駆除したいときは、市販されている専用の駆除用品を使うのが一般的です。
駆除用品には、薬剤を被害箇所に注入して駆除するタイプもあれば、羽アリの発生場所や蟻道などに設置して食べさせることで巣ごと全滅させるタイプもあります。また、予防のために塗布するものや、防腐剤の効果を持つものもあります。
これらの駆除用品はホームセンターやインターネット通販などで手軽に購入でき、値段は1,000~1万円とさまざまです。
まとめ
シロアリの種類から、自分でできる対策までを紹介しました。シロアリに関する知識を深めることで、予防意識が高まったり対策しやすくなったりします。
とはいえ、自分で調査・点検や駆除を行うのは難しいでしょう。疑わしい場所を全て点検するのは時間がかかり、被害の有無を正確に判断できない可能性もあります。また、徹底的に駆除したつもりでも、見落としてしまうことも考えられるのです。
時間を節約し、確実なシロアリ対策を講じるには、プロの業者を利用するのも1つの手です。知識や経験に基づいた判断と作業が期待でき、自分では難しい床下の点検や駆除なども相談できます。
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