地震の2次被害|揺れがおさまったら警戒すべきこと

地震は最も甚大な被害をもたらす自然災害として知られています。その理由は地震による揺れは地上にあるものすべてに影響を与えるということにあります。
ビル等の建築物、人工物はもちろんのこと、山や海、地面を大きく揺らし、山体崩壊、津波、地割れといった被害をもたらします。
もちろんそれだけではありません。家が倒壊したときに起こる火災、インフラの停止など人の生活に直結する問題も発生してしまいます。

これら、地震の揺れによってもたらされた他の災害を二次災害と呼んでいますが、大きな地震が発生したあとにこそ起こる二次災害のポイントについて覚えておきましょう。
二次災害の恐ろしさを正しく知ることで、その後の対策に大きな差が出るようになります。生きるための知識としておさえておきたいところです。

地震の後に発生するのは火災、と心得る

1.地震の後に発生するのは火災、と心得る

日本国内で発生する大地震の後で一番起こりやすい二次災害は火災です。特に都市密集地における火災発生率は非常に高く、時間帯によって飛躍的に火災件数が増加することもあります。
1923年に発生した関東大震災では、地震が発生したのがちょうどお昼ということもあり、火を扱っていた家庭が多かったため、全死者数の約9割が火災で命を落とされています。
その後の震災でも関東大震災ほどではないにせよ、火災はほとんどの地震で発生していることから、大きな揺れを感じた際は「差し迫った危険がないことがわかればガスの元栓は閉めてから脱出する」程度で考えておいたほうがいいでしょう。
また、もし人口密集地で地震による火災が発生してしまった際は、危険な場所からの脱出にかなり難しい場面に迫られることがあります。
その理由は、以下のようなものです。

  • 住宅密集地の場合、火の回りが早いことがある
  • 倒壊してしまった家などが道を塞いでいることがある
  • 普段目にしている風景が一変するため、現在地の把握に戸惑う

これらのことから大きな地震の後の火災は、普通の火事とは違う、という認識で臨まなければいけません。
火の回りが早いことがある、というのは想像しやすい話かもしれませんが、大きな地震の後、自分の家が大丈夫でも脱出ルート上にある道が家屋倒壊によって塞がれてしまうケースがあります。
そして一番怖いのは、それによってどこに逃げればいいのか混乱し、正しい判断ができなくなるという点にあります。
阪神淡路大震災でも火災が発生しましたが、このことが理由で命を落とされた方がいらっしゃることがわかったという研究報告もあり、普段から地震が起こった際に、どういったルートで逃げるべきかをシミュレートしておく必要があります。

津波の恐れがあったら、ただちに高台に逃げる

2.津波の恐れがあったら、ただちに高台に逃げる

2011年に発生した東日本大震災による記憶は今もなお生々しく残っている方が多いかもしれませんが、地震が津波を引き起こすことは知られていたにも関わらず、どれほどの被害をもたらすのかが知られたのは、皮肉なことに実際に津波が発生してからのことでした。多くの日本人にとってはこれが初めて直面(またはそう感じた)した津波災害です。
津波で一番良く誤解されるのが、高い波が断続的にやってくると思われている点です。これはただの高波のことですが、津波のポイントは一気に海面上昇し、その海面がそのまま地上に到達するというものです。
例えば人間の膝下程度の30cmの津波の場合、大したことないのでは?と考える人も少なくありませんが、水は質量を持っています。大量の水が一気に足元に流れ込めば、歩行が困難になるばかりか転倒したあと、そのまま波にさらわれることもあるので、とても危険です。気象庁では0.2m以上の津波が発生する可能性がある場合は、津波注意報を発令するということから、わずか数十cmであってもその危険性が伺えます。
このことから、特に沿岸部に住んでいる方は大きな地震があった場合に備え、どのルートで高台に逃げるか、ということは考えておいたほうがいいでしょう。
また東日本大震災の教訓として、津波で逃げ惑う人々の車で道が渋滞してしまい、逃げるのが遅れてしまった、ということもわかっています。命を守るために、どういう逃げ方で高台を目指すのかしっかりと計画を作っておきましょう。

埋立地は液状化現象に注意

3.埋立地は液状化現象に注意

特に埋立地のような水分を多く含む地盤の土地は、非常に軟弱であることは知られていますが、地震による強い振動を受けると地盤全体が液体のように変化してしまいます。

地盤を形成する砂と水分が振動によって分離することで、地盤全体が泥沼のようになってしまう現象のことですが、これが液状化現象と呼ばれるものです。
地面の下には、下水管が埋まっていたり、建物の基礎部分もありますが、液状化現象が起きると、ビルが沈んだり、傾いたりしますし、下水管が浮き上がってくるなど、ライフラインにも影響を与えます。

外の状況は安全ではない、ということに留意する

4.外の状況は安全ではない、ということに留意する

先述の火災の話でも触れていますが、大災害となるような大きな地震が発生した際、あわてて外に逃げ出す人も少なくありません。もちろん緊急を要する場面において、仕方のないことかもしれませんが、危険なのは家の中だけでなく外も危ないことに変わりはありません。ただただ考えもなしに外に逃げることは、少なくとも安全行動とは言い切れません。
2018年6月18日に発生した大阪北部を中心とする最大震度6弱の地震では、都心の直下型地震とも言われており、壁が剥がれたり、瓦やガラスが散乱するなど道路上は危険な状況になってしまいました。また、違法建築の可能性があるブロック塀が倒れ、不幸なことに小学生の女の子が命を落とすなどの問題も発生しています。
余震などが発生した時に、同様の被害も考えられることから、外に逃げたときはどこが安全か、身を護るためには何が必要かをあらかじめ考えた上での行動が必要になります。もし、地震が発生するまでにそうしたことを考えることができなかったとしても、古い家の壁や窓には近づかない(倒壊時に巻き込まれる可能性)、ガラスが散乱しているような道は歩かない(怪我の可能性)といったことくらいは頭においておきましょう。

落ち着いて行動を

地震は、台風など他の災害と違って、広い地域で不意に発生し、二次災害の被害が大きいことが特徴です。人々の不安感は増長して、パニック状態になることもありますし、盗難などの犯罪も発生してきます。
日ごろから、防災に対する知識を高めておくことと、地震発生時に正しい情報収集ができるか、そして、落ち着いて行動できるかが大切です。

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