家庭内の汚れが流れ込む排水管の中は、汚れがだんだんと蓄積して、ぬめりや不快な匂いを発生させます。排水管が詰まれば、汚水が部屋にあふれだすことも起こりえます。
排水管の掃除を正しく行うことは、大きなトラブルの予防につながるのです。
しかし、
「排水管の掃除はDIYのみで大丈夫だろうか」
「専門業者に依頼する方がよいだろうか」
と疑問に思う人もいるかもしれません。
この記事では、排水管掃除に必要な道具や方法のほか、専門業者に依頼するタイミングについてもお伝えします。排水管のお手入れ方法を知って、快適な暮らしを手に入れましょう。
目次
排水管の汚れが気になる場所
家庭の中で排水管の汚れが気になる場所といえば、水回りです。とくに、台所や浴室、洗面台は、汚れによって詰まりが生じやすい場所でもあります。
それぞれ、次のような詰まりの原因があります。
台所の詰まり
台所の排水管の詰まりは、料理の際に出る食材のクズや、食べ残しが原因となります。食材のクズや食べ残しなどを餌にして雑菌が繁殖し、ぬめりや黒ずみなどが排水管に付着します。
また、水に溶けない油も原因のひとつです。調理の際に使う油だけではなく、肉や魚、乳製品、ドレッシングなど、食べ残しや調理器具にも油が含まれています。特に牛や豚などの肉に含まれる油は、熱い間は液体ですが、常温くらいの温度まで冷えると固体になります。排水管に流れ込んだあとに固体になって付着し、排水管を詰まらせる原因になるのです。
浴室・洗面台の詰まり
浴室や洗面台の排水管では、詰まりの大きな原因は髪の毛や皮脂です。また、浴室や洗面所は空気が流れ込みやすいため、ホコリがたまりやすい場所でもあります。浴室乾燥を使用している家庭では、衣類からのホコリも落ちやすくなります。
石けんやシャンプーのカスも詰まりの原因になります。石けんやシャンプーも冷えれば固まり、毎日少しずつ積み重なっていくことで詰まりが生じるのです。
排水管の掃除を自分で行うための道具と方法は?
排水管の汚れや詰まりの原因を取り除くための道具や方法には次のようなものがあります。
化学的な方法で汚れを溶かす
化学的な方法とは、薬品(洗剤)を使って汚れを分解する方法です。あとで紹介する「物理的な方法」の補助的な役割で使われます。
市販のパイプクリーナー
※引用:ミツエイ
排水管の流れをスムーズにするためのパイプクリーナーは、液体タイプと粉末タイプがあります。ホームセンターやドラッグストア、スーパーなど身近な場所で購入できるでしょう。
塩素や水酸化ナトリウムが、排水管に付着した油やぬめりを溶かして、水と一緒に流れやすくします。
一般的な使用方法は次のとおりです。
- 排水口のフタや、汚れを受ける皿など外せるものは外します。
- 液体タイプは規定量を流し入れます。
粉末タイプは粉を排水管にふりかけた後、規定量の水を流し込みます。 - 15〜30分程度放置した後、水でよく流します。
いずれも、商品によって細かな使い方が異なります。説明や注意書きはよく読みましょう。
重曹やクエン酸
※引用:マルフク
アルカリ性の重曹と、酸性のクエン酸を組み合わせることで、石けんのカスや皮脂、油汚れを溶かして汚れを落ちやすくします。いずれも、ドラッグストアやホームセンターなどで購入できます。
一般的な使用方法は次のとおりです。
- 排水口のフタや、汚れを受ける皿など外せるものは外します。
- 重曹を100g排水口にふりかけます。
- 上から50gのクエン酸の粉をふりかけ、コップ1杯程度のぬるま湯を流し込みます。
- ブクブク泡立つ間(約5分)放置したあと、ブラシやスポンジなどで洗います。
業務用の薬品
ホームセンターやインターネットを利用すれば、一般的な洗浄剤のほかに、専用業者が使うような薬品も購入できます。
業務用の薬品は、一般的な製品に比べて高性能です。しかし、強い成分が含まれていることがあるため、十分な注意が必要です。
それぞれの製品の説明や注意書きをよく読んで使用しましょう。
物理的な方法で汚れを取り除く
物理的な方法とは、こすったり、けずったりして力を加えることで、汚れを排水管の表面から剥がす方法です。
ブラシやスポンジでこする
ブラシやスポンジ、たわしなどの道具を使って、汚れをこすって剥がします。長めのワイヤータイプのブラシであれば、排水管の奥の方までこすれるでしょう。
また、電動または手動でワイヤーを回転させて排水管の中を掃除できる、ハンディタイプの排水管清掃機もあります。
ラバーカップ
ゴム製のカップに柄がついている道具で、カップ部分はトイレ用や排水管用など、いくつかの形状があります。
「スッポン」「ガッポン」「吸盤」など、さまざまな名称で呼ばれることがあります。
学校や施設のトイレなどに置いてあるものを見たことがある人もいるでしょう。
排水口にカップを押し当ててラバーカップの中の空気を抜いてから外すことで、詰まったものを引っ張りだし、詰まりを解消します。
高圧洗浄機
※引用:ケルヒャー
高圧洗浄機は、水に圧力をかけて勢いよく噴き出すことで、こびりついた汚れを剥がします。家庭用としては、ドイツのメーカーの「ケルヒャー」がよく知られています。インターネット販売のほか、大型ホームセンターや家電販売店でも手に入れることができるでしょう。
大まかな使い方は、次のようになります。
- 水道のホースを本体に接続して電源をONにします。
- 銃のような形状のノズルを洗いたい場所に向けて、トリガー(指をかけて手前に引く部分)を引くと水が吹き出します。
- 使用後は電源をOFFにして、水道栓を閉めます。
- トリガーを何度か握って、本体内部に残っている圧力を抜きます。
その後電源をONにして、残っている水も抜きます。 - 水道ホースを外し、電源コードも抜きます。
使い終わったら、本体の中に残っている圧力や水を抜くことが、製品を長く使うためには大切です。
排水口や排水管を分解して掃除する
排水口や排水管の詰まりや、ひどい汚れが目に見える場所にあるとは限りません。排水管のより深い場所を掃除するためには、排水管を分解して掃除することが必要なケースもあります。
しかし、排水管から汚水が流れだしたり、たとえきれいになったとしても、正しく排水管を組み立てられなかったりすれば、水漏れの原因になります。分解して掃除をする際には、正しい知識と、自分で行っても問題ないかどうかを十分に検討することが必要です。
家庭用の高圧洗浄機と業務用の高圧洗浄機は全く違う
「せっかく掃除をするなら」と、業務用の高圧洗浄機の購入を検討する人がいるかもしれませんが、安易な購入には注意が必要です。
専門業者が使用する業務用の高圧洗浄機は、家庭用に比べて高価格ですが高性能です。業務用の高圧洗浄機は家庭用のものに比べて非常に高い洗浄力を発揮します。
しかし、強い水圧を使用するため、安全に配慮して正しく使用しなければ大きな事故の原因にもなります。洗浄箇所の破損のほか、過去には人に向けて発射されたことで、大きな事故も起こっています。
骨折や、肌に直接あてたために皮膚がめくれたといったケースのほか、死亡事故も発生しているのです。
洗浄力だけに注目して、安易に業務用を選択することは危険です。
※参考:J-CASTニュース 同僚に向け高圧洗浄機噴射!「仕事遅いんだよ」皮膚めくれ上がった背中
排水管掃除を専門業者に依頼するときの注意点
「自分で掃除をしても効果を感じられなかった」
「DIYで掃除をするのは排水管を破損させそうで怖くて業者にお願いしたい」
「すぐに汚れを解消したい」
など、専門業者に依頼する基準は人それぞれです。しかし、次のような点には注意をしましょう。
賃貸やマンションの場合はまずは管理会社に連絡をする
賃貸住宅のほか、マンションなどの集合住宅に住んでいる場合には、まずは大家や管理会社に連絡をしましょう
排水管の詰まりの原因によっては、住宅全体の排水管の点検や清掃が必要となります。個人からの依頼だけでは、専門業者も対応ができないでしょう。
また、点検も含めて管理会社が独自に契約をしている排水管掃除の専門業者があることもあります。管理会社の承諾を得ずに業者に依頼をして、トラブルが大きくなったときには、管理会社から責任を問われる可能性があります。
不要なトラブルを避けるために、必ず業者に依頼する前に大家や管理会社に連絡をしましょう。
複数業者に見積もりをとろう
業者に依頼する場合、複数の業者に見積もりをとりましょう。早くトラブルを解消したいからと、焦って契約をしてしまい、相場より高い金額を請求されたり、あとで追加料金を請求されたりといったことが起こる可能性があります。
いくつかの業者に相談し、作業内容、追加料金の発生について、万が一のときのアフターフォローなどについても確認しておきましょう。
排水管高圧洗浄の相場
排水管高圧洗浄を専門業者に依頼する際の費用は、業者によって異なります。中には法外な金額を提示するなどの悪質な業者も存在しています。
ある程度の相場を知っておくことは、悪質な業者を見極めるためにも役立ちます。
排水管高圧洗浄の相場については、次の記事を参考にしてみてください。
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排水管高圧洗浄の相場は〇〇円!見積もったその金額…法外な金額…
排水管の流れが悪いと思ったら、高圧洗浄が必要かもしれません。…
2023.3.17イエコマ編集部
業者に排水管を洗浄してもらう必要性
専門業者に依頼する必要性については、それぞれ判断基準は異なるでしょう。しかし、建物の状態を長期的に考えて専門業者の力を借りることが必要です。
専門業者に排水管洗浄を依頼する必要性について、次のようなポイントを理解しておきましょう。
身近な道具で歯が立たないときは無理をしない
排水管の掃除は、身近なところで購入できる道具や洗浄剤を使うことでも、ある程度の汚れを落とすことができます。
しかし、排水管に強い力を加えるなど無理に掃除しようとすれば、排水管を傷つけたり、被害が大きくなったりしてしまうことがあります。
自分で何もかも行おうとすると、意外に費用や時間が必要です。
身近な道具で歯が立たない汚れは、専門業者に依頼をした方が確実に掃除してもらえる上、安価で早く作業が終わることもあります。
見積もりだけでも業者に相談してみましょう。無料で相談や見積もりをしてくれる業者もあります。
専門業者による排水管掃除も必要
こまめに掃除をしていれば、専門業者による排水管掃除が全く必要ないわけではありません。定期的に自分で掃除をしていたとしても、排水管の奥深くには汚れが蓄積していってしまうものです。
一般社団法人全国管洗浄協会によると、半年に一度程度、排水管の点検や高圧洗浄を行うことが推奨されています。
※参考:一般社団法人 全国管洗浄協会
しかし、個人の家庭で半年に一度のペースで高圧洗浄を行うことは、時間や労力・金銭面でも負担が大きいです。
一般に、戸建て住宅の排水管高圧洗浄は、新築後は7〜8年経過時に行い、その後は3〜5年程度の間隔で行うとよいでしょう。
また、マンションなどの集合住宅では、管理会社によって定期的に排水管洗浄が行われるところが多いです。
専門業者による排水管高圧洗浄を5年以上行っていない場合は、まずは管理会社に問い合わせて行う予定があるのかどうかや、自分で専門業者に依頼をすることが可能かどうかを確認してみましょう。
きれいになった排水管を維持するためにすべきこと
DIYや専門業者の掃除によってきれいになった排水管は、汚れがひどくならないように予防しましょう。また、こまめに排水管を手入れをしたりして、快適な状態をできるだけ維持しましょう。
ゴミが流れないように予防
排水管の詰まりの原因となる食べカスや髪の毛などが、排水管の奥深くまで流れ込まないようにしましょう。
排水口にはめる、ゴミが中央にまとまるように工夫されたプレートやネット、スポンジといった便利グッズがあれば、ゴミが排水管に流れ込むことを防げます。いずれも100円ショップやホームセンター、ドラッグストアなど身近な場所で購入できます。
汚れがひどくなる前に掃除をする習慣をつけよう
汚れがひどくなればなるほど、強力な洗剤や専門の道具が必要になり、掃除の時間もかかります。汚れが軽いうちに掃除をしましょう。
たとえば、排水口ネットを交換するときに、新しいネットに洗剤を含ませてササッとこするように洗えば、軽い力で汚れが落とせます。また、市販のパイプクリーナーや重曹、クエン酸なども手にとりやすい場所に置き、定期的にお手入れをしましょう。
まとめ
毎日の生活汚れが流れ込む台所や浴室などの排水管は、汚れが蓄積しやすい場所です。匂いや詰まりを予防するためには、身近な場所で手に入る道具で、日々のお手入れが欠かせません。
しかし、どんなにお手入れをしていても、汚れはたまっていきます。
排水管の機能を維持するためには、専門業者による排水管掃除も必要です。プロに頼んで確実に掃除をしてもらうことは、その後のお手入れを楽にすることにもつながります。
イエコマでは、信頼できる技術を持ったエキスパートを派遣します。関東1都6県の戸建て住宅と集合住宅のいずれにも対応します。
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