住宅の耐久性はどの外壁材を使用するかによっても決まり、重要なポイントのひとつです。さまざまな外壁材がありますが、ALCという外壁材が世界各国で使用されています。日本語名で「軽量気泡コンクリートパネル」といい、多機能であることから近年注目を集めているのです。
この記事では、ALCの基礎知識から、メリット・デメリットなどを紹介していきます。外壁のリフォームを考えている方、ALCのメンテナンス方法を知りたい方などは、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ALCとは
ALCとは、Autoclaved Lightweight aerated Concreteの略で、高温高圧蒸気養生された軽量気泡コンクリートという意味です。珪石(けっせき)、石灰、セメントなど自然の素材を元に高温高圧の蒸気をかけて作ります。珪石というのはケイ酸質の鉱物や岩石の総称で、ガラスやセメントなどの材料としても利用されています。ALCの主成分は人体に害がなく、リサイクルも可能な環境にやさしい建築資材です。
生成されたコンクリートには無数の気泡が形成されるため、軽量でかつ耐久性、耐火性など多くの優れた性能があります。
そのためALCは、高性能外壁材として一般住宅から高層ビルまでさまざまな建物に利用されています。
ALCのメリット
多くの性能があるALCについて、メリットを詳しく見ていきましょう。
軽量
ALCはコンクリートですが、内部に形成された気泡により、水に浮くほど軽量です。普通のコンクリートと比べると、4分の1ほどの重さになります。
外壁材が軽量であうと、建物自体への負担が軽くなります。また家を建てるときに運搬や取り付け作業などが楽になり施工がしやすくなるので、工期が短く済みコストも削減できますよ。
耐火性、防火性
ALCは国土交通省により耐火構造の認定を取得するほど、耐火性に優れています。火災が発生しても燃えにくく、火災による被害が拡大するのを抑える機能もあります。
さらに原料が無機質なため、万が一火災が起こった場合も、有毒ガスが発生しません。
断熱性
内部にあるたくさんの気泡が、外気からの熱の伝わりを抑えてくれます。夏の暑さや冬の寒さから守り、室内の温度を快適に保ってくれるのです。
屋内の冷暖房の伝わり方も早いので、省エネにもなりそうですね。ALCにすることで1年を通して快適に暮らすことができますよ。
遮音性
音の反射が大きく、音を通しにくい構造になっています。ALCの内部にある気泡が音を吸収してくれるのです。駅の防音壁として使われるほど、遮音性に優れています。
調湿性
吸水性が高く乾燥しやすい性質があり、湿度を調整する機能が備わっています。湿度の多い日は空気中の水分を吸収し、湿度が低いときは空気中に水分を放出します。ALCは日本の気候に合った壁材と言えるでしょう。
耐久性
外壁は風雨にさらされるため、経年劣化や自然災害により、ダメージを受けやすいものです。そのため定期的なメンテナンスに加えて劣化が進んだ場合は、張り替えが必要になります。
しかしALCの場合は、伸縮やひび割れ、反りが起こることがほとんどありません。定期的なメンテナンスは必要ですが、50~60年ほど耐久性があると言われています。
ALCのデメリット
多くのメリットがあるALCですが、デメリットもあります。
水に弱い
ALCは吸水性が高く、水に弱い性質があります。長時間水にさらされると、内部の気泡に水が浸みこんでしまいます。冬の寒い日に内部に水が浸透して凍ると、膨張して外壁がひび割れを起こす可能性もあります。
継ぎ目が多い
ALCは設計の自由度を上げるため、小さめの造りになっています。そのため、建物に継ぎ目が増えてしまい、外観はイマイチです。
また、継ぎ目の老朽化により防水性が落ちて、雨漏りする可能性もあります。さらに継ぎ目から漏れた雨水が、外壁の内側にも浸みてしまいます。ALCは水に弱いので雨水が浸みると劣化してしまうので、注意が必要です。
外壁の素材をALCにしたときの注意点
メリットの多いALCはとても魅力的ですが、吸水性が高いというデメリットが気になりますよね。
水に弱いというデメリットは、きちんと塗装することで克服できます。防水性の高い塗料を塗ると、水の浸透を防ぐことができますよ。
また耐久性に優れるALCですが、定期的なメンテナンスも必要です。10年を目安に行いましょう。このとき、外壁の継ぎ目であるコーキングもしっかりチェックしてもらいましょう。コーキングはシーリングとも言われていて、外壁のボードとボードをつなぐゴム状の継ぎ目のことです。5年程でひび割れや剥がれなどが起こり、寿命は短く10年程で工事が必要になります。
まとめ
多機能で軽いALCは、注目を集めている外壁材です。さまざまなメリットがある反面、水に弱いというデメリットもあり注意が必要です。耐水性に優れる塗料を塗ると、防水することもできます。外壁にALCを使う場合は、防水性の高い塗料を選ぶように気をつけましょう。
また、定期的なメンテナンスも必要です。このとき、ALCパネルの継ぎ目も劣化していないか、しっかりチェックしてもらいましょう。
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