普段の生活ではほとんど注意して見ることがない雨樋(あまどい)。ゴミが詰まったり壊れたりして雨水があふれるまで、詰まりや破損に気付かないことも多いでしょう。
雨樋の不具合を放置すると、家の周りが水浸しになったり外壁にかかる雨水が雨漏りの原因になったりするので、できるだけ早急に修理を行う必要があります。
雨樋は比較的簡単な構造をしているので、脚立に乗って作業できる場所ならDIYでの補修も可能です。必要な材料はホームセンターでそろうので、この記事を読んで必要な材料や工具をそろえ、万全な準備で修理に臨みましょう。
この記事を読めば、雨樋修理の前にそろえておくべき材料や工具などが分かり、スムーズに修理ができます。ぜひご一読ください。
目次
雨樋の部品をホームセンターで買うとき知っておきたいこと
雨樋修理に必要な部品は、たいていのものはホームセンターでそろえられます。
ただし、部品には形状や材質によってさまざまな種類があるため、まずは雨樋の構造と部品の名称、種類などを確認しましょう。
雨樋の構造と部位の名称
雨樋の構造と部位の名称を以下の図で確認しましょう。
- 軒樋(のきどい):地面に対して水平に設置された樋。「横樋」とも呼ばれる
- 竪樋(たてどい):地面に対して垂直に設置された樋。軒樋から排水口までつながる
- 継手(つぎて):雨樋同士をつなげる部材
- 曲がり:軒樋同士を屋根の角の部分でつなげるための部材
- 支持金具:軒樋や竪樋を軒や壁に固定するための金具。軒樋用、竪樋用で種類が異なる
- 集水器:軒樋と竪樋をつなぐ部材
- エルボ:まっすぐな竪樋を、角度をつけてつなぐ際に使用する。竪樋を曲げる角度に応じたエルボを選ぶ必要がある
どの部材も、サイズや材質によりさまざまな種類があるため、元の雨樋に適合する部材を準備することが重要です。
雨樋の形状の種類
雨樋の形状は、大きく分けると以下の4種に分類できます。
半円型
最も一般的で、昔からあるタイプの雨樋です。古い住宅の大半でこの半円型の雨樋が設置されています。一般的な家庭用のサイズは、幅75mm、105mm、120mmのいずれかです。
角型
断面が四角になるタイプの雨樋です。半円型よりも流水量が多いので降雨量が多い地域に向きます。近年増加しているゲリラ豪雨にも対応できるよう、片側がせりあがったタイプもあります。
リバーシブル型
一方が角形、もう一方が半円型をしている雨樋です。どちらを前面にするかによりデザインの使い分けができます。半円型のデザインが好みだが流水量も確保したい場合などに使用します。
特殊型
積雪や雪かきの際に雪の重量で雨樋が破損しないように角度をつけたカバーがついている雨樋です。雪が多い地域で採用されています。形状が複雑なので他の雨樋よりも高額になります。
雨樋の材質の種類
雨樋の材質にも複数あり、代表的なものは以下の6種類です。
塩化ビニール
軽量で施工しやすく、価格が安いことが特徴です。最もポピュラーな素材ですが、耐久性があまり高くないため、劣化や破損が起こりやすいデメリットがあります。耐用年数は15~20年といわれていますが、設置場所の環境にもよります。
塩化ビニール以外の合成樹脂
合成樹脂製ですが、紫外線劣化防止機能を持たせるなどの特殊加工により塩化ビニールよりも耐久性があります。
ガルバリウム鋼板
アルミニウムと亜鉛の合金でメッキをしたスチールの薄板でできた雨樋です。さびにくく耐久性が高いメリットがありますが、塩化ビニールや合成樹脂の雨樋より高価です。耐用年数は長めで、20~30年前後です。
ステンレス
耐久性が高くさびにくいですが、ガルバリウム鋼板よりさらに高価です。切断などの加工が難しいためDIYでの補修には向きません。
アルミニウム
軽量でサビに強い金属です。気温の上下による体積変化が少なく、たわみや反りが生じにくいです。しかし、高価であるため一般住宅で使用されることはほとんどありません。
銅
神社仏閣や純和風住宅で用いられます。年月が経つに従って赤銅色が青銅色に変化する様子も楽しめます。
純銅製の雨樋は酸性雨に弱い欠点があるため、近年では内側をステンレスにして耐久性を高めた製品が主流です。
雨樋の曲がりの種類
雨樋の「曲がり」は、接続する樋の形状やサイズにより異なります。加えて、軒樋を設置する軒の曲がり方によって以下のような種類があります。
- 軒の角が家の外に向かっている場合に使用する「外曲がり(出曲がり)」
- 軒の角が家に向かっている場合に使用する「内曲がり(入り曲がり)」
半円型で角度が90度であれば外曲がりも内曲がりも共通して使用できますが、90度以外の角度の場合にはそれに合わせた曲がりを使用する必要があります。
軒樋の支持金具の種類
軒樋の支持金具には大きく分けて以下の2種類があり、形状も取り付け方も大きく異なります。
受け金具
軒樋を下から受けて支えるタイプの支持金具です。
雨樋を支える金具が外側に出るため、家の外観で雨樋を目立たせてしまう欠点があります。
一方、雨樋の上に金具がかからないため、掃除はしやすいです。
半円型やリバーシブル型の雨樋では、受け金具で施工します。
吊り金具
雨樋の上から両端をはさんで固定するタイプの支持金具です。
雨樋本体に金具がかからないため雨樋が目立ちにくく、家の外観がすっきりした印象になります。
雨樋の上に金具がかかるため、雨樋の内部に落ち葉やホコリが詰まった時に掃除がしにくい難点があります。
竪樋の支持金具の種類
竪樋の支持金具は、外壁に固定する方法によって形状が異なります。
トンボ
外壁に固定する部分がタケトンボのようなT字型をしています。
タケトンボの羽に当たる部分にビスを打って固定します。
でんでん
外壁に固定する部分がとがったクギ型をしています。
外壁にこのクギ型の部分を3cm以上打ち込んで固定します。
出典:フクショウgarden カラーキャッチャー 60 住宅用雨樋金具たてとい用 打ち込み控金 でんでん
角型・リバーシブル型・特殊型は型番が同じものを準備しよう
雨樋は一見、どれも同じに見えますね。半円型や角型など、型とサイズが合う部品を探せばいいだろうと誤解しがちです。
角型・リバーシブル型・特殊型の雨樋では、型番ごとに形状が異なります。同一メーカーの同一型番の部品を選ばないと、元の雨樋に接続できません。雨樋本体だけでなく支持金具を選ぶ際も、自宅の雨樋の型番に適合していることを確認してから購入しましょう。
雨樋のメーカー名や型番は、雨樋を取り付けた際の見積もりや使用部材の明細書などで確認するのが確実です。これらの書類がない場合は雨樋現物を見て確認する必要があります。
「止まり」と呼ばれる雨樋の端の部分や、雨樋のジョイント部分などに刻印もしくは印字されていることが多いです。外側ではなく内側にある場合もあるので、安全確保に注意しながら確認しましょう。
メーカー名や型番が見つけられない場合は、断面のサイズを細かく測り、雨樋メーカーのカタログでサイズが合う製品を探します。ただし、古い雨樋は廃盤になっていることも多いです。その場合はメーカーに後継品や互換性がある商品を問い合わせてみるとよいでしょう。
一方で、半円型の雨樋は汎用性があり、サイズが合っていればメーカーや型番が違っていても部材同士の接続が可能です。支持金具も、サイズが合っていればどのメーカーのものでも使用できます。自宅の雨樋のサイズを測り、同じサイズの雨樋を購入しましょう。
ネット通販も活用しよう
ホームセンターはさまざまな部品や道具が販売されていて便利ですが、欲しい商品が最寄りのホームセンターで扱っていないこともあります。そこで活用したいのがネット通販です。
ネット通販なら、雨樋のサイズや型番が分かっていれば自宅でゆっくり商品探しや注文ができます。また、店舗での受け取りサービスを利用すれば送料がかからないサイトも多いです。
ホームセンターの実店舗とネット通販を賢く使い分けて、効率的に雨樋修理の準備をしていきましょう。
雨樋をホームセンターで買うときの価格帯は?
自分で雨樋を修理しようと思った時に気になるのが費用ですよね。
ここでは、雨樋の部品それぞれの大まかな金額を紹介します。
軒樋の価格帯
軒樋の大まかな価格帯は以下のとおりです。
形状と材質によって価格は異なります。
形状 | 材質 | 1mあたりの価格※ |
角型 | 合成樹脂 | 1,000円前後 |
ガルバリウム | 1,000~2,000円前後 | |
半円型 | 合成樹脂 | 350~500円前後 | ガルバリウム | 500~1,000円前後 |
※製品によって販売時の長さが異なるため、1mあたりで計算
ホームセンターで扱っている雨樋の種類には限りがあり、自宅と同じ型番の商品は扱っていないことも多い点に注意しましょう。
竪樋の価格帯
竪樋の大まかな価格帯は以下のとおりです。
形状 | 1mあたりの価格※ |
角型 | 400~700円前後 |
半円型 | 350~500円前後 |
※製品によって販売時の長さが異なるため、1mあたりで計算
ほとんどの竪樋は合成樹脂製です。耐久性の高い塩化ビニール以外の合成樹脂はやや高額になります。また、直径が大きいもののほうがより高くなります。
集水器の価格帯
集水器の価格は、樹脂製であれば1,000~3,000円前後です。
メーカーのブランド品や、材質がガルバリウム鋼板製のタイプは価格が高くなります。
エルボの価格帯
エルボの価格は、1個あたり500円前後です。雨樋を曲げたい角度によって選ぶエルボも変わってきます。
また、エルボの両側につなぐ樋が丸型なのか角型なのかによっても種類が異なるため、間違った種類のエルボを購入しないように注意が必要です。
継ぎ手
継ぎ手は1個につき、200~500円前後です。
曲がり
曲がりは1個につき800~2,000円前後です。
軒樋のサイズが大きい場合や角型の場合、一般的な半円型用の曲がりよりも費用は高くなります。
支持金具
支持金具は、形状によって費用が異なります。
使用する雨樋の形状 | 形状 | 1個あたりの価格 |
軒樋用 | 受け金具 | 100~200円前後 |
吊り金具 | 400~800円前後 | |
竪樋用 | でんでん | 100~250円前後 | トンボ | 200~250円前後 |
流水量が多い大型の樋を支える金具はさらに価格が高い場合もあります。
角形や特殊型の軒樋に使用する吊り金具は、軒樋の型番ごとに使用する金具が異なるため、ホームセンターでは販売していない場合も多いです。さらに、軒樋を取り付ける軒の形状などによっても使用する金具が異なります。
半円形以外(角型、リバーシブル型、特殊型)の交換は、正しい金具の型番が入手できたとしても、作業が難しく一般の人には対応できないことが多いです。無理をせず、業者に依頼することも検討しましょう。
雨樋の部品とあわせてホームセンターで購入すべきもの
この章では、DIYで雨樋の修理や交換をする際に必要となる道具について紹介します。
安全対策のためのアイテムも忘れずに準備をしてくださいね。
雨樋をカットする刃物
雨樋はどの材質であっても、屋外の直射日光や風雨に耐えられる強度を持っています。一般的なカッターやハサミではまったく歯が立たないので、専用の刃物を用意しましょう。
ホームセンターでは「パイプソー」「パイプ切り」などの製品名で販売されており、1本1,000~2,000円ほどで購入できます。
ただし、パイプ用の刃物は、製品によって切断可能な材質が異なります。金属製の雨樋をカットする場合は製品説明を確認し、金属のカットに使用できることを確認しましょう。
雨樋用の接着剤
雨樋用の接着剤は、軒樋と継手、エルボと竪樋など、雨樋の部品同士をつなぐ場所をしっかり接着し、すき間を埋めて水が漏れないようにするのに必要です。400~700円前後で購入できます。
電動ドライバー
支持金具の取り付けや交換に使用します。屋外で使用するため、有線タイプではなくバッテリーがついた充電タイプを購入しましょう。ホームセンターでは10,000~15,000円前後で販売されています。
雨樋の修理や交換は脚立を使うことがほとんどで、手動のドライバーは不安定な足場では力が入れにくいです。また、ねじ締めが不十分だと不具合の原因にもなるため、しっかり固定できる電動ドライバーを使いましょう。
脚立・ヘルメット
高所にある雨樋の修理や交換には脚立が必要です。イスなどで流用せず、安全に使用できる脚立を準備しましょう。
軒下周囲は、窓から庭に出やすいようにステップが設けられているなど、段差があることが多いです。軒下が平坦でない場合、価格は高くなりますが、アジャスター付きで脚の長さを変えられるタイプの脚立を選びましょう。
また、万が一脚立から落下した場合のことも想定し、ヘルメットも必ずかぶって作業します。
ホームセンターでは脚立は10,000~30,000円前後、ヘルメットは1,000~2,000円前後で販売されています。
雨樋をホームセンターで購入する前の確認事項
修理箇所は2m以下の脚立で作業可能か
労働安全衛生規則によると、2m以上の高所で作業をする場合、足場を組む、墜落防止用の器具を装着する、などの安全対策を取る必要があります。プロの作業者ですら危険とされている高所での作業を一般の人が行うのは危険です。
高さ2m以下の脚立に立っても手が届かない雨樋の修理はプロに依頼しましょう。
自宅の雨樋や金具のサイズ、型番を確認しよう
一般的な半円型の雨樋は、開口部(半円の直径部分)のサイズが同一であれば、メーカーや型番が違っていても元の雨樋に合わせることができます。
一方、角型の雨樋は型番ごとにサイズが異なっているため、元の雨樋に合わせるためには正確な型番を調べる必要があります。
角型の雨樋では支持金具も型番が異なれば使用できないので注意しましょう。
雨樋修理の依頼先と、プロの雨樋修理の相場
雨樋修理をDIYでやってみようと考えている人に向けて、雨樋修理に必要となる部品やホームセンターでの部品購入費用などを紹介しました。
しかし、「高所での作業に自信がない」「自宅雨樋の型番が分からない」などの不安があれば、無理をせずにプロに雨樋修理を依頼しましょう。
雨樋修理の依頼先
雨樋修理は、家のリフォームや改修を行っている業者が対応しています。
具体的には以下の業者で雨樋修理を行っていることが多いです。
雨樋修理専門業者
雨樋修理を専門に扱う業者です。実際にはリフォーム会社や屋根・外壁修理業者であることが多いですが、雨樋修理の実績が豊富なので安心して依頼できます。
ただし、インターネットなどの広告では、最低料金しか掲示していない会社や出張料などの料金が別途かかることを大きく告知していない会社もあります。
工事の総額がいくらになるかを確認してから発注するようにしましょう。
屋根・外壁修理業者
外壁や屋根の塗装やリフォームを行っている会社であれば、雨樋修理を請け負っている場合が多いです。ただし、塗装専門の会社の場合、金属製の雨樋の扱いに慣れていない場合もあります。その会社が雨樋修理の実績や知識があることを確認してから工事を依頼するのがいいでしょう。
ハウスメーカー
新築時のハウスメーカーであれば、雨樋の型番や施工方法を熟知しているため、修理がスムーズに進むことが多いです。
ただし、実際の工事は下請けに依頼することも多く、費用は割高になることもあります。
リフォーム会社
リフォーム会社と一口にいっても、内装や水回りなどを得意とする業者の中には雨樋修理に対応していない場合もあります。雨樋修理の実績なども確認してみましょう。
ホームセンターの工事部
ホームセンターでは、雨樋の部品を扱っているだけでなく工事を請け負っている場合もあります。すべてのホームセンターで工事に対応しているわけではないため、事前に確認してみましょう。
雨樋修理の費用相場
雨樋修理を専門業者に依頼した場合の費用の目安は以下のとおりです。
修理内容 | 修理費用の目安 (30坪前後の一般的な2階建ての場合) |
雨樋の詰まり解消 | 1万~1万5,000円前後 |
部分的な修理 (足場を組まずに作業できる場合) |
1万~5万円前後 |
部分的な修理 (足場が必要な場合) |
10万~15万円前後 |
雨樋の全面的な交換 | 30万~60万円前後 |
雨樋の不具合がゴミや落ち葉などが原因の詰まりは清掃だけで解消できるため、業者に依頼しても比較的安価です。
耐用年数を経過している雨樋は、部分的な補修をしても不具合が続く恐れがあります。
足場を組む必要がある部分的な補修を繰り返すよりも、全面的に交換したほうがトータルで見れば安いかもしれません。
雨樋全体の状態を踏まえて部分修理か全面交換を判断するとよいでしょう。
雨樋修理の施工事例
ごく一部ですが、イエコマの雨樋修理の施工事例を紹介します。
事例① 歪んだ雨樋の交換
事例② 割れた雨樋の交換
事例③ 支持金具の交換
イエコマは、戸建て住宅の雨樋修理を承っております。
自宅の雨樋の歪みや破損、経年劣化などにお悩みの方は、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
雨樋は単純な構造をしている設備なので、必要な材料がそろえば、自身での修理や交換も可能です。
一方で、角型・リバーシブル型・特殊型はメーカーや型番によって規格が異なり、型番が異なる部品や金具は使用することができません。
雨樋交換を自分でやりたい人は、自宅の雨樋の種類や型番を正確に把握し、正しい部品を購入するように注意しましょう。
また、雨樋の修理は高所での作業となるため、自信がない場合に無理は禁物です。プロの業者に依頼することも含めて検討してください。
雨樋修理の業者をお探しなら、イエコマの雨樋修理サービスをぜひご検討ください。
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