神社仏閣などでは60年以上も使用されている瓦があることから、瓦屋根は他の屋根材と比べて耐久性があるといえます。それでも、修理が必要になることがあります。自宅の屋根の様子を見る機会はそう多くありませんが、たまたま見えたときに割れていたりズレていたりする部分を目にすることもあるでしょう。
そのようなときに気になるのが、瓦屋根の修理費用です。修理費用の相場を把握しておくことで、高すぎる業者を避けられるでしょう。ここでは瓦屋根の修理費用についてくわしく解説していきます。
目次
瓦屋根の修理費用の相場
瓦屋根の状態により、部分修理ですむ場合と全体修理が必要になる場合があります。
多くの場合別途足場代がかかります。
部分修理
部分修理をするときの費用相場について見ていきましょう。
割れている瓦の交換
割れている瓦が見つかった場合には、その部分だけ新しいものに交換にします。交換する瓦の数により差がありますが、相場は1万~10万円程度です。
ズレている瓦の補修
ズレている瓦が見つかった場合には、補修作業を行います。こちらも作業する範囲によって費用に差があり、1万~10万円程度が相場です。
棟(むね)部分の修理
棟部分とは、屋根のもっとも高い位置にある部分を指します。この棟部分の修理は割れやズレの修理と比べると高価で、1メートルあたり15,000円程度が相場です。主に棟板金や棟瓦を交換するなどの作業を行います。ただし、棟部を破損している場合には漆喰(しっくい)の詰め直しなども同時に行うことが多いです。
漆喰の詰め直し
漆喰は雨水の浸入を防止するために棟部分に詰められています。瓦屋根が割れたりズレたりするくらいに劣化していると、漆喰も同じように劣化している可能性が高いです。その場合には新しい漆喰に詰め直します。漆喰の詰め直しにかかる費用は20万~40万円程度が相場です。
雨樋
雨樋は屋根に溜まった雨水を排出する役割を果たしています。経年劣化により錆びたりクギが外れていたりしていれば修理が必要です。部分的な修理の場合には1万~3万円程度ですが、全体を交換する場合には10万~30万円程度かかります。
雪止め
雪止めは屋根からの落雪を防止するための設備です。曲がるなどして、その機能を果たさなくなってしまった場合には交換が必要になります。
瓦屋根の家に雪止めを設置したり交換したりする費用の相場は、10万~20万円程度です。
全体工事(リフォーム)
屋根全体のリフォームが必要になる場合には、主に次のような工事を行います。
屋根塗装
伝統的な日本瓦の場合には基本的に塗装は行いません。しかし、セメント瓦の場合には定期的な塗装が必要です。その場合の相場は塗料によって変わりますが、1平方メートルあたり2,000~3,000円程度です。
葺き替え工事
屋根の葺き替えは現在設置されている瓦をすべて撤去して、新しい屋根材に替える内容の屋根リフォーム工事です。大掛かりな工事になるため、70万~200万円程度と高額な費用がかかります。
カバー工法(重ね葺き)
カバー工法は既存の屋根材の上から新しい屋根材を重ねる形で設置する工事です。瓦屋根ではできないわけではありませんが、現実的に難しいためあまり行われていません。
瓦屋根でカバー工法を行うと屋根全体が重くなりすぎて耐震性が弱くなってしまうためです。
屋根の名称と瓦屋根の構造
屋根に使われている建材の名称と屋根の構造について紹介します。
屋根材
屋根材とは、屋根の一番上の部分に使用する建材を指します。瓦屋根の場合には、瓦が屋根材です。
瓦以外の屋根材としては、ガリバリウム鋼板やトタン、スレートなどがあります。
漆喰
漆喰は消石灰を主原料とする建材で、瓦屋根の棟部分に使用されています。棟部分の下部と下に積まれている瓦の隙間を埋める役割を果たしているものです。漆喰があることで、葺き土の流出や隙間からの雨水の浸入を防止できます。
葺き土とは野地板の上に敷かれている粘土の層のことです。主に雨水を吸収する目的で使用されています。
棟板金
棟板金は、棟部分のてっぺんに使用されている建材です。主に金属屋根に使用されています。瓦屋根の場合には棟瓦と呼ばれる瓦を使用することが多いです。
瓦屋根の構造
瓦屋根は三層構造になっています。下地として野地板という板が敷かれており、その上に防水シート、桟木(さんぎ)という角材が入っています。この桟木に瓦を引っ掛けるようにして固定している構造です。
瓦屋根の構造についてくわしくはこちらに掲載しています。
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瓦屋根がどんな状態なら修理が必要か
修理が必要だと判断される瓦屋根の状態について見ていきましょう。
棟瓦が歪んでいる
棟瓦は本来まっすぐになっているはずです。もし歪んでいるようであれば、早めに修理しておきましょう。棟瓦を固定している漆喰が劣化しているときなどに歪みが生じやすいです。
棟瓦の歪みを放置すると少しずつ歪みが広がっていき、崩れてしまいます。
瓦が割れている箇所がある
強風で飛来物が当たったり、アンテナが倒れたりすると、その衝撃で瓦が割れることがあります。もし、少しでもひび割れなどがあるのを確認したら、その箇所の瓦を交換しておきましょう。
ひび割れの箇所から雨水が侵入することがあります。
瓦がズレている箇所がある
主に大きな地震や強風などの影響で瓦がズレることがあります。ズレた瓦はいつ落下してもおかしくはありません。ズレている箇所に隙間ができることもあります。
ズレてできた隙間からも雨水が侵入しやすいです。
クギが浮いている
瓦を固定するクギが浮いていると、そのうち外れてしまう可能性が高いです。クギ穴から雨水が浸入することもあります。
瓦が色あせている
日本瓦は耐用年数が非常に長く、50年~80年程度保ちます。セメント瓦も30年程度は使用可能です。ただ、それでも少しずつ劣化しているため、色あせているような場合には点検を実施しておきましょう。
瓦が色あせているくらいだと、その下にある防水シートや野地板などが劣化している可能性が高いです。目立たない箇所でクギの浮きやひび割れなどが見つかることもあります。
漆喰の状態
漆喰が剥がれると、そこに隙間ができます。隙間ができると屋根全体の耐久性が弱まり、雨水なども浸入しやすくなるため、早めに修理しておきましょう。
剥がれた漆喰は下に落ちることもあります。もし、コンクリート片のようなものを庭先などで見かけたら、剥がれた漆喰の可能性が高いです。
修理をせずに放置しておくとどうなるのか
修理が必要な状態にもかかわらず、修理せずに放置したおいた場合にどうなるのか見ていきましょう。
棟瓦が崩れてしまう
棟瓦の歪みを放置すると、どんどん歪みが大きくなっていきます。歪みが広がると、最終的には棟瓦そのものが崩れてしまうため注意が必要です。たとえ僅かな歪みでも軽視できません。
瓦が割れている・ズレている箇所から雨水が浸入
瓦が割れていたりズレていたりすると隙間ができるため、そこから雨水が浸入する可能性が高いです。
そうなると、雨漏りが発生して建物全体に影響が及びます。屋根だけでなく外壁や窓枠などの雨漏り修理が必要になることもあるでしょう。
割れやズレが隣接する瓦にも広がる
瓦屋根は、瓦が隙間なくピッタリ敷き詰められているためズレにくくなっています。そのため、いったん瓦が割れたりズレたりすると、その箇所だけにとどまらず、隣接する瓦がズレることも多いです。そこからさらに隣の瓦もという具合に、どんどんズレが広がります。
瓦が落下してしまう
割れたりズレたりした瓦は、通常屋根の上に残りますが、地震や強風で落下することもあります。落下時に人や車などに当たる可能性もあるので非常に危険です。
瓦屋根のメンテナンスに年数の目安はある?
寿命が長い瓦屋根でも、定期的にメンテナンスを行わなければなりません。漆喰は10~20年、野地板は30~40年で寿命を迎えます。
そのため、新築後7~10年程度経過した時点で1度点検を行いましょう。その後は5年に1度くらいを目安に点検を行い、問題がある箇所が見つかればその都度メンテナンスを行うことで、長く快適に使用できます。
瓦屋根の補修や工事で火災保険は適用されるか
風災や雪害などの自然災害で屋根が破損したような場合には、火災保険を使って修理できる場合もあります。火災保険が適用される可能性があれば、必ず申請しておきましょう。
瓦屋根の修理で火災保険が適用される場合に関して、くわしくはこちらに掲載しています。
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信頼できる屋根修理業者を選ぶには?
屋根修理業者のなかには、優良業者もいれば手抜き工事をする業者もいます。被害やトラブルに遭わないためには、業者の見極めが大切です。信頼できる業者を選ぶためのポイントを見ていきましょう。
現地調査をていねいに行うこと
屋根修理を依頼する際には、業者は現地調査を行ってから、見積もりを出します。この現地調査の様子をよく見ておきましょう。優良業者であれば、点検項目が多く30分以上かけて細かいところまでていねいにチェックし、写真撮影なども行います。
これに対して手抜き工事をするような業者は、現地調査もいい加減な方法で行うことが多いです。5~10分程度で済ませる業者や、屋根に上りすらしない業者もいます。
見積もり書が明瞭であること
見積もり書が明瞭だと、何にいくらかかっているのか分かるため安心して依頼できます。不明瞭な見積もり書を出す業者の場合には、不当に高い見積もりを出して、内訳をごまかしている可能性が高いです。
たとえば「工事代金一式」のような記載のみで具体的な内訳が記載されていないような場合には注意しましょう。
不安をあおって工事を急かすことがないこと
相場よりも料金が高い業者のなかには、不安をあおるようなことを言って契約を急かす業者もいます。工事の依頼が増えていることなどを理由に「今決めないと工期が長くなる」と言われることもあります。言われるがままに契約してしまい、他の業者の方がずっと安く修理できることを後から知るケースも多いです。
たしかに屋根の一部が破損していれば不安になるかもしれませんが、業者選びの際には冷静に判断しましょう。また、優良業者であれば、無理に急かすようなことはありません。
「0円/無料で修理ができる」と断言しないこと
火災保険が適用されそうな状況だと、最初から「0円で修理ができる」と断言する業者もいます。しかし、そのような業者は悪徳業者の可能性が高いため要注意です。
火災保険が適用されそうな事案でも、実際に適用されるかどうかは申請してみてからでないとわかりません。調査の結果、適用外と判断される場合もあります。はっきりと確定していないことを断言するような業者は、あまり信用できないと考えた方がいいでしょう。
優良業者の場合には、火災保険が適用されない可能性についても教えてくれることが多いです。
瓦以外の屋根の修理費用や屋根材の単価
瓦屋根以外の屋根材の、修理費用や屋根材の金額について簡単に見ていきましょう。
スレート屋根
スレート屋根はセメントを主原料とする屋根材です。
スレート屋根への葺き替え工事の場合には140万~180万円程度かかります。屋根材の単価の相場は1平方メートルあたり7,000~8000円程度です。
金属屋根(トタン・ガルバリウム)
金属屋根には、主にトタンやガルバリウム鋼板があります。
トタンは金属屋根のなかでは価格が安い部類に入り、1平方メートルあたり5,000円前後が相場です。トタン屋根への葺き替え工事をする場合には、65万~100万円程度かかります。
ガルバリウム鋼板は屋根材の単価がもう少し高く、1平方メートルあたり6,000~9,000円程度です。葺き替え工事をする場合には、160万~200万円程度かかります。
素人が自分で瓦屋根の修理をするのは可能?
屋根修理の工事費用は業者に依頼すると高いので、自分でできないかと考える人もいるかもしれません。屋根の状態などにもよりますが、DIYが得意な人なら自分で応急処置程度に屋根を修理できる場合もあります。しかし、素人が自分で屋根修理をするのはおすすめできません。
瓦を割ってしまうことも
素人が瓦屋根の上に上ると、瓦を割ってしまう可能性が高いです。プロは踏んではいけない箇所と踏んでも大丈夫な箇所がわかりますが、素人の場合にはそれがわかりません。
踏んではいけない箇所を踏んで瓦を割ってしまうと、修理する箇所が増えます。
また、古いセメント瓦の場合には、アスベストを含有している可能性もあるため、素人が不用意に踏んで瓦を割ってしまうようなことがあると大変危険です。
屋根の状態をかえって悪くしてしまうことも
屋根修理の素人が、ズレている箇所や割れている箇所を補修しようとしても、なかなか上手く補修できません。それどころか、瓦を補修しようとしたことが原因でかえって屋根の状態を悪くする可能性もあります。
ズレを補修しようとした結果、さらにズレがひどくなってしまうかもしれません。補修しようとした瓦に隣接する瓦がズレてしまう可能性もあります。
その場合には、結局業者に依頼することになるでしょう。状態が悪化した分だけ、業者が行う作業量が増えて修理費用も高くなってしまうかもしれません。
転落の危険性
自分で修理を行うのがおすすめできない一番の理由は、安全上の理由です。屋根に上って作業をするのは非常に危険です。慣れていない素人が屋根に上ると、転落して大怪我をすることがあります。
まとめ
瓦屋根の修理は、ズレや割れなどの補修であれば数万円程度で済みますが、漆喰の詰め直しが必要な場合には高額になりがちです。しかし、修理が必要な状態で放置しておくのは避けましょう。屋根の状態がどんどん悪化し、雨漏りのリスクも高まります。
そして、修理を依頼するなら業者選びは慎重にしなければなりません。よく吟味せずに決めてしまうと悪徳業者に当たってしまうこともあります。業者選びで迷っているのであれば、イエコマにおまかせください。
イエコマなら相場よりも安く瓦屋根の修理を依頼できて、ていねいに対応いたします。見積もりも明瞭でわかりやすいので安心です。
また、初回の利用に限り、5カ所以内の瓦の差し替えとズレ補修を、8,800円(税込)でお引き受けいたします。もちろん出張費などの追加費用はかかりません。
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