屋根塗装の費用やタイミングがわかる!塗料選びなどポイントも解説!

毎日日差しや雨風にさらされている屋根は、住まいのなかでも劣化が気になる部分です。
住まいの寿命を長くするためには、屋根の劣化状況や材質に応じて、適切な時期に、適したメンテナンスは必要不可欠です。
でも、「そろそろメンテナンスの時期かな?」と思っても、どのタイミングでどんなメンテナンスをしたらいいか、どのくらい費用がかかるのか不安になりますよね。
今回は、屋根塗装について、費用・相場から適切な時期、塗料の種類などについてお伝えします。
住まいの屋根にピッタリのメンテナンスができるように、参考にしてください。

屋根塗装の費用・相場

屋根塗装の費用は、使われる塗料や屋根の材質、劣化状況によって異なります。
相場は、35坪程度の一般的な広さの木造住宅の場合、40万~80万円です。
塗料別の費用・相場を確認しましょう。

塗料の種類 相場 耐用年数
ウレタン系 33万~50万円 5~7年
シリコン系 36万~55万円 10~13年
ラジカル制御型 40万~60万円 10~15年
フッ素系 42万~63万円 15~20年
遮熱系 42万~63万円 15~20年
無機系 50万~75万円 20~25年

※建坪35坪・足場費用15万円・屋根面積70平方メートルを想定しています。

塗料のグレードによって、相場は異なりますが、塗料の持つ機能性や耐用年数を考慮すると、住まいが寿命を全うするまでのトータル的なメンテナンス費用が抑えられることがあります。
予算や求める性能によって適したものを選びましょう。

塗装が必要な屋根と必要ない屋根

屋根の種類によって、塗装メンテナンスが必要な場合と、必要ない場合があります。
それぞれ解説します。

塗装が必要な屋根の種類

塗装が必要な屋根の種類と、必要な理由について確認しましょう。

セメント瓦 瓦自体に防水性がないため、定期的な塗装で防水性を保つ必要があります。
モニエル瓦(着色スラリー層のあるセメント瓦) 瓦自体に防水性がないため、定期的な塗装で防水性を保つ必要があります。「スラリー層」という表面の着色層を完全に落としてから施工します。
化粧スレート(セメントに繊維質を混ぜ、板状に加工した屋根材。コロニアル・カラーベストとも呼ばれます) 美観と防水性能維持のために塗装が必要です。
金属屋根 美観と表面の保護のために塗装が必要です。

 

塗装が必要ない屋根の種類

塗装が必要ない屋根材には、粘土瓦(日本瓦)と銅板などがあります。
材料自体の耐久性が高く、劣化・美観の変化がないため、塗装は必要ありません。
ただし、粘土瓦の場合、漆喰(しっくい)の補修や瓦のズレ直し、野地板補修などのメンテナンスは必要です。
銅板の場合、銅板のめくれやサビが発見され次第、都度メンテナンスが必要になります。

屋根塗装の目的

屋根塗装はなぜ必要になるのでしょうか?確認しましょう。

なぜ屋根塗装をするのか?

屋根塗装が必要な目的は、屋根の材質によって異なりますが、屋根材の保護を一番の目的としています。
塗装をすることで、屋根自体の美観を保ち、防水性や、耐候性を維持することができます。
また、屋根は普段簡単には上がることができず、状況がわかりにくい場所です。
適切な時期にメンテナンスを行うことで、雨漏りなどのトラブルに気づくきっかけにもなり、住まいの安全を守ることにもつながります。

塗装しないとどうなる?

屋根塗装が必要な屋根材に、適切な時期に塗装メンテナンスをしないと、次の不具合が生じます。

  • 見た目が悪くなる

屋根が劣化してコケやカビが生えたり、錆びたりするため、見た目が悪くなり、家自体が古く傷んだ印象になります。

  • 雨漏りの原因になる

塗膜(塗料の乾燥により形成される塗料の膜)の劣化により防水性能が衰えると屋根材は、屋根に降り注いだ雨水を吸い込むようになり、放っておくと雨漏りの原因になります。

  • 塗装できない場合、メンテナンス費用が高額になることも

本来メンテナンスが必要な時期に塗装を行わないと、屋根の劣化は進む一方です。
塗装ができないほど傷んでしまっていた場合、屋根の上から新しい屋根材を施工する「カバー工法」や、既存の屋根を全部はがして新しい屋根材を張る「葺き替え」工事でなければ対応できなくなってしまいます。
その場合、塗装工事より工事費は高額になります。
また、屋根の補修だけでは対応できなくなると、建て替えになることもあります。

屋根塗装、適正時期の目安

屋根塗装の適正時期について、屋根材別に確認しましょう。

屋根の種類 塗装の適正時期(新築から)
スレート 5~10年
トタン屋根 7~10年
セメント系瓦 10~15年
ガルバリウム鋼板(丈夫なガルバリウム合金でメッキされた鉄製の屋根材 15~20年
アスファルトシングル(ガラスを基材として、アスファルトを浸透させ、表面に石粒を吹き付け付けた屋根材) 15~20年

2回目以降の塗装については、塗料の種類や耐用年数によって前後します。

屋根の塗装や補修のサイン

屋根塗装を検討する場合、屋根材に応じた目安年数以外にも、確認したい補修のタイミングがあります。

色あせ

セメント瓦色あせ

新築当時や、塗装したての頃に比べてツヤがなくなったり、色が薄くなったりした場合は、塗膜が劣化しはじめたサイン。
急を要する訳ではありませんが、この時点で塗装メンテナンスをしておくと、浸水や雨漏りなどの劣化が進む心配が少なくなります。

チョーキング

チョーキング現象

屋根の表面を手でなでると白い粉がつく現象を「チョーキング」といいます。
塗料に含まれる顔料が表面に浮き出して、変質しているサイン。
色あせ同様に塗装の検討をはじめましょう。

屋根材の塗膜剥がれ

屋根塗膜はがれ

塗料の防水性が損なわれていますので、屋根材が水分を含む恐れがあります。
また、剥がれた塗膜が風などで飛ばされ、近隣の迷惑になることも。
早めに塗装メンテナンスを行いましょう。

コケ・カビが生える

カビ苔屋根

コケやカビは、屋根材の防水性が損なわれているサイン。
周囲や家の中がなんとなくカビ臭くなります。
高圧洗浄でしっかり取り除くだけでもきれいになる場合がありますが、防水性を保つためには塗装もした方が安心です。

雨漏り、破損、屋根材のズレなど

天井雨漏りイラスト

災害にあったり、屋根の劣化が進んだりすると、雨漏りや屋根材の破損、ひび割れ、屋根材のズレなどが起きることがあります。
この場合、塗装では修理しきれない場合もありますが、全体を塗装しなくても、部分補修で修理できる場合があります。
早めに業者に相談しましょう。

屋根塗装の工程

屋根塗装の工程を解説します。

事前準備

既存屋根の点検、道路使用許可など、事前に必要な手続きを行います。
期間:10~15日

近隣へのあいさつ

既存屋根の点検、近隣住人の方へのあいさつ、道路使用許可など必要な手続きや準備を行います。
塗装工事は、臭いや足場組みの際の騒音など、近隣に迷惑をかけることがありますので、ご近所へのあいさつは大切な工程です。
一般的に、施主と業者で行います。

足場組み 期間:半日~1日

足場

足場の運搬、組み立て、飛散防止シート(メッシュシート)の取り付けを行います。
工事を安全に行うために、とても大切な工程です。
足場組みの工程は、塗装工事のなかで最も騒音が出ます。
施主宅や近隣の車、エアコンの室外機などの塗料がはねると困る部分も、ビニールシートで覆って養生します。ただし、ビニールシートの養生は、下塗りの直前に行うこともあります。

洗浄 期間:半日~1日

高圧洗浄

高圧洗浄機をつかって、屋根全体の汚れや剥がれた塗膜などを洗い流し、屋根をきれいにします。
塗装をきれいに仕上げるために、高圧洗浄機を使用できない部分はブラシなどを使って手作業します。

下地処理 期間:半日~1日

ケレンイラスト

既存の屋根の傷んでいる部分を直し、下地調整して塗装ができる状態にする工程です。
傷みがあるまま塗装すると、雨漏りなど重大な壊れの原因になります。
ひび割れなど傷んでいる箇所がある場合、屋根材の一部を交換・補修します。
金属屋根でサビがある場合は、サビを削る「ケレン」を行います。

下塗り 期間:1日

スレート塗装濃グレー

一般的に、塗装は下塗り・中塗り・上塗りの3回で行われます。
下塗りは、中塗り・上塗りで使用する塗料が屋根材に定着するように行います。
「シーラー塗り」「プライマー処理」などと表現されることもあります。
棟板金など鉄部の下塗りもこの工程で行われます。

タスペーサー設置 期間:半日~1日

タスペーサー

※引用:セイム

スレート屋根の場合、屋根材と屋根材の間の縁を切り、隙間をつくるために「タスペーサー」とよばれる器具を設置します。
塗装によってスレート材同士が密着するのを防ぐ役割があります。
この縁切りを行わないと、屋根材の隙間に浸入した雨水が排出されません。湿気がこもったり、雨漏りしたり、屋根材や下地材が腐食してしまうので、とても大切な工程になります。

中塗り 期間:1日

下塗りが完全に乾いたことを確認したら、中塗りを行います。
上塗りと同じ塗料を塗ります。

上塗り 期間:1日

スレート上塗り

中塗りが完全に乾いたところで、上塗りを行います。
2回塗ることで、ツヤが出ます。

完成点検、手直し 期間:半日~1日

屋根点検

塗り残しがないか、不具合、気になる点がないか確認し、必要に応じて手直しを行います。
施主と業者が立ち会って行う場合と、より厳密な点検のために、第三者が入る場合もあります。
「社内点検」と表現されることもあります。

足場解体 期間:半日~1日

足場バラし

工事が完了したところで足場の解体、工事で出た産業廃棄物の撤去、現場と周辺の清掃を行います。

一般的に、すべての作業が完了し、施主の確認を受けたところで請求書が渡されます。

屋根塗装のポイント

屋根塗装を成功させるためのポイントをお伝えします。

外壁塗装と一緒に行うと足場代がお得

外壁塗装でも屋根塗装でも、施工の際には足場が必要になります。
足場だけでも10万~20万円はかかりますので、メンテナンス時期が一致すれば、一緒に行う方がお得ですよ。

屋根は外壁より耐用年数の長い塗料を使おう

外壁工事と一緒に行う場合、なんとなく同じグレードの塗料を選びがちです。
しかし、屋根の方が紫外線や強い雨にさらされるため、耐用年数は短くなるものです。
次回のメンテナンス時期を一致させるためにも、予算が許す限り、屋根は外壁よりも耐用年数の長いものを選びましょう。

火災保険が適用される場合がある

屋根の塗装工事は、お金がかかるものです。
なるべく安くできたらうれしいですよね。
強風、落雷、豪雨、雪災、雹(ひょう)災、飛来物による被害で雨漏りした場合などは、火災保険によって屋根の補修ができる場合があります。

地元の優良企業に依頼する

工事は、お住まいの地域で活躍する優良企業に依頼しましょう。
近い方が交通費や移動時間がかからず、諸経費の節約にもなります。
地元の優良企業を見極めるために、以下の項目をチェックしましょう。

  • 地域に根付いた企業
  • 相場金額の見積もり
  • 対応がていねい
  • 見積もり書の内訳が詳細
  • 契約書など書類を発行してくれる

屋根塗装の注意点

屋根塗装で失敗しないための、注意点を解説します。

高圧洗浄をして大丈夫か?

屋根塗装をきれいに仕上げるために欠かせない「高圧洗浄」の工程ですが、劣化したスレート屋根に高圧洗浄をする場合は、割れる可能性があります。
年数が経ったスレート屋根で、高圧洗浄が計画されている場合、割れる恐れがないのか事前に確認すると安心ですよ。

スレート屋根には縁切り工程があるか

スレート屋根は、塗装後でも通気性を保つための「縁切り」工程がとても大切です。
スレート同士の縁を切るためのタスペーサーですが、知識のない業者は設置しないことや、設置手順を理解していないことがあります。
一般的に、タスペーサーを設置するのは、下塗り完了後です。
設置することは大前提として、どのタイミングで設置するのか、確認するといいでしょう。ちなみに、タスペーサーが普及する前は、塗装後にスレートとスレートの間を、一枚一枚カッターで塗膜を切っていく地道な作業が行われていました。

セメント瓦とモニエル瓦の見分けはついているか

瓦屋根のなかでも、塗装メンテナンスが欠かせないセメント瓦とモニエル瓦(コンクリート瓦)。
このふたつは、見た目がとても似ていますが、メンテナンス方法が異なるため注意が必要です。
セメント瓦は、瓦の小口が滑らかなのに対し、モニエル瓦は小口が粗く、凹凸が目立ちます。
住まいの屋根材がセメント瓦かモニエル瓦か明確でない場合、新築時の設計図を確認するか、当時の建設会社に問い合わせるなどして、確認すると安心です。
また、塗装業者も見分けがついているか確認しておきましょう。

悪徳業者に注意

屋根塗装を行う業者のなかには、悪徳業者と呼ばれる業者も存在します。
以下の項目に当てはまる業者は要注意です。

  • 訪問営業で声をかけてくる
  • 「大幅値引き」や「キャンペーン価格」という甘い言葉で契約を急かす
  • 屋根の状態で不安になることを言う
  • 「無料点検」と称して屋根に上る
  • 相場より極端に見積もり額が安い、高い

必ず2~3社から相見積もりをとって、対応や価格を比べた上で発注しましょう。

塗装以外の屋根工事・屋根補修

屋根は、塗装以外にも、カバー工法・葺き替えのメンテナンス工事があります。
順番に確認しましょう。

カバー工法

既存の屋根の上から、新しい屋根材をかぶせる工法で、屋根材の傷みがひどく、塗装替え工事では対応しきれない場合や、既存屋根材にアスベストが含まれている場合などに行われます。

以下の特徴があります。

  • 屋根材の撤去費用がかからない
  • 古い屋根がアスベストを含有している場合、解体時にアスベストが周囲に飛散する心配がない
  • 工期が短くすむ
  • 雨漏りのリスクが減る
  • 防音性が高まる

屋根勾配が緩い場合、既存屋根が瓦などで凹凸が大きい場合、既存下地が腐っている場合などはカバー工法ができない場合があります。

葺き替え

瓦葺き中

カバー工法ができない場合や、屋根全体が下地からひどく傷んでいる場合、屋根材の耐用年数が過ぎている場合など、屋根材をすべて交換する、葺き替え工事が行われます。

以下の特徴があります。

  • 屋根のメンテナンスとしては、最も高価
  • 工期が長くかかる
  • 雨漏りなどのトラブルを根本的に解消できる
  • 屋根材を軽くして、建物の負担を軽減できる

部分補修

棟瓦積み直し

屋根の補修工事は、板金の交換、屋根材の一部差し換え、瓦屋根の漆喰補修、雨漏り補修などがあります。
屋根の状態にあわせて、適切な部分補修を行うことで、屋根の寿命を延ばすことができますよ。
くわしくはこちらの記事をご確認ください!

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まとめ

屋根塗装について、費用・相場から適切な時期、塗料の種類についてお伝えしました。
屋根塗装は、外壁塗装や、部分補修ともあわせてメンテナンスを行うと、費用的にもお得です。
適切な時期を見極めて、住まいの美観と安全を長く保てるといいですね。

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