瓦屋根の修理方法とは?|費用、業者の選び方も解説!

和の住まいによく映える日本瓦は、耐久性が高い点が長所のひとつです。
しかし、「瓦屋根は耐久性が高いからリフォームは不要」という考えは正しくありません。
確かに、瓦は定期的な塗装などのリフォームこそ必要ないですが、割れたりズレが生じたりすることはあります。それらの不具合は、瓦が飛ばされたりすき間から浸入した雨水で雨漏りしたりなど、より大きなトラブルにつながりかねないため、注意が必要です。

この記事では、瓦屋根の修理を検討している人が知りたい、修理のタイミングや費用の目安をご紹介します。さらに、火災保険を使って修理費用が0円になる例や、信頼できる瓦屋根修理業者の選び方も解説します。
この記事を読めば、雨漏りの原因となるトラブルを瓦の修理で未然に防ぎ、大切な住まいを長持ちさせられるようになります。

瓦屋根の修理はどんな時に必要となる?

耐久性が高いことで知られる日本瓦(粘土瓦)ですが、どのようなタイミングで点検やリフォームが必要となるのでしょうか。

台風や強風の後

瓦はがして補修

まず、築年数が新しくても注意すべきなのが、台風や強風の後です。
台風や強風の際には屋根瓦が飛ばされたり、飛来物で屋根瓦が割れたりする場合があります。屋根に設置したアンテナが倒れて屋根瓦が割れるケースもあります。
補修のタイミング:台風や強風の後

棟瓦の漆喰(しっくい)が剥がれてくる

棟瓦漆喰はがれ

屋根の一番高い部分は棟(むね)といいます。雨や風の影響を受けやすいため、土や漆喰で固め、棟瓦(むねがわら)をかぶせて保護しています。
この漆喰は、年月の経過とともに劣化し、剥がれてきます。そのまま放置していると内側の土が崩れ、野地板(のじいた)など屋根の内部まで雨水が浸入するおそれがあります。
補修のタイミング:築後20年前後

瓦を固定しているクギが浮いてくる

瓦クギ浮き

屋根瓦は、風で飛ばされたりずれたりしないようにクギで固定されています。このクギが、年月が経つと次第に浮いてくることがあります。これは、クギを打ちつけてある木製の骨組みが劣化している徴候です。クギが浮いてクギ穴から雨水が浸入すると、さらに内部の木材の腐食が進行することにもつながります。
クギが浮いて瓦がしっかり固定されていないと、屋根瓦がズレたり風で飛ばされたりしやすくなります。
補修のタイミング:築後20年前後

ルーフィング(防水層)の劣化

ルーフィング補修

屋根瓦の下にある野地板(木製の屋根下地)はルーフィングと呼ばれる防水シートを使用して雨水の浸入を防いでいます。
このルーフィングの寿命は瓦ほど長くありません。ルーフィングが劣化して破れると雨漏りがしたり、野地板が腐食したりするなど、大がかりな雨漏り修理が必要となるおそれがあります。
ルーフィングの耐用年数は素材によって幅がありますが、15年前後で補修を検討するのが安心です。
補修のタイミング:築後15年前後~

瓦表面の色あせや塗膜の剥がれ

色あせた瓦

高温で焼成した日本瓦(粘土瓦)は、直射日光や風雨にさらされてもあまり劣化せず、耐久年数は50年以上です。しかし、瓦の形をしていても材質が異なるために日本瓦ほどの耐久性がない屋根材もあります。
セメント瓦、モニエル瓦といった瓦型の屋根材は素材自体には防水性がなく、表面の塗装で防水性を保っています。時間の経過とともに表面の色あせや塗膜の剥がれなどがみられるようになったら、塗り替えを行う必要があるのです。
補修のタイミング:築後10年前後

屋根の不具合を放置しているとどうなる?

瓦を留めているクギがゆるんだままにしていると、台風や強風で瓦が飛ばされるおそれがあります。瓦が飛ばされれば瓦を交換するなどの補修が必要です。また、飛ばされた瓦が近隣の家や車などに当たって損害を与えたり、人に当たってケガをさせたりするなどのトラブルが発生する危険性もあります。
瓦の不具合が生じた部分から雨水が浸入すれば、雨漏りが起こりやすくなります。木造住宅は水で濡れると腐食し大がかりな改修につながるでしょう。雨水が浸入しないように早めに点検・メンテナンスを行い、雨水の浸入を防ぐ必要があるのです。

瓦屋根の修理方法と費用・相場

瓦屋根の修理や補修をするにあたって、工事の方法と大まかな相場をご紹介します。

割れた屋根瓦の補修

割れ剥がれ瓦

割れた瓦は撤去し、新しい瓦に交換します。
費用の目安:1枚あたり10,000円前後

漆喰の塗り直し・棟の取り直し

棟瓦漆喰詰め直し

漆喰の塗り直し

棟瓦の下に詰められている漆喰が劣化し、剥がれ始めた際に行う補修です。剥がれかけている漆喰を除去し、新しい漆喰を塗り直します。
費用目安:棟1mあたり5,000~10,000円程度

棟の取り直し

棟がゆがんだりズレたりした影響で、雨水が棟の内部まで浸透している場合は、漆喰の塗り直しだけでは対応できません。一旦棟瓦を取り外し、葺き土を詰め直す必要があります。
棟の取り直しは、台風や地震で棟がズレたり崩れたりした場合にも行います。
費用目安:棟1mあたり15,000~30,000円程度

瓦の葺き替え

瓦葺き直し中

瓦を固定している木の骨組みやルーフィングまで不具合が及んでいる場合、いったん瓦を撤去して下地を作り直し、また瓦で葺く工事を行います。割れたりしてなければまた利用できる点は、耐久性が高い日本瓦ならではです。
費用目安:1平方メートルあたり10,000円~

瓦の修理にかかる付帯的な費用

瓦を修理する工程そのものにかかる費用だけでなく、工事を行うにあたって必要な作業にかかる費用も忘れてはいけません。

足場代

屋根の修理は高所で行うので、作業者の安全を守るために足場の設置が義務づけられています※。
足場の単価はリーズナブルにみえますが、家の周囲を囲むように設置するため総額は大きな金額になります。見積もりを取る際には、足場代を含めて総工事費がいくらになるのかを確認しましょう。
費用の目安:1平方メートルあたり1,000円~1,500円(30坪の一般的な住宅で20万円前後)

※参考:労働安全衛生規則 第二編 第十章 通路、足場等

諸経費

瓦の補修作業に直接は関係なくても、業者が工事を行うにあたって必要となる費用があります。広告宣伝費や人件費、車両代などがそれに当たり、諸経費の名目で加算されます。
諸費用は、工事総額の何%、という形で加算されることが大半で、割合は業者によって異なります。
100万円の工事の諸経費が10%と20%では10万円もの差が出てくるので、諸経費は安ければ安いほどいい、と思う人もいるかもしれません。しかし、諸経費は安く見せかけて他の工事費を割高に設定することもありえます。瓦の修理業者を選ぶ際は、必ず工事費の総額を比較するようにしましょう。
費用の目安:工事費用の10~20%程度

なお、屋根工事にかかる修理費用はこちらの記事でもくわしく解説しています。

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瓦屋根の修理費用を抑えるオススメの方法

瓦の工事費用を知ると、思ったより高額だと感じる人も多いのではないでしょうか。工事費は少しでも安くなればうれしいですが、瓦工事が0円になる場合もあります。以下の情報をぜひ参考にしてください。

火災保険に加入していれば瓦の修理費用を0円にすることも可能⁉

「火災」とついているので火事の際にしか利用できないと思いがちな火災保険ですが、実は天災による家屋の被害でも補償を請求できる場合があります。

火災保険で修理費用が補償される被害の例

火災保険で補償されるのは、天災による被害です。具体的には、風速20m以上の台風や強風、雪やひょう、落雷などです。風による飛来物で瓦が破損した場合も対象となるので、意外と対象となるケースは多いのです。
ただし注意点として、人為的なミスや経年劣化による破損は補償の対象にならないことを覚えておきましょう。

火災保険による補償を受けるには

以下に、火災保険による補償を申請する場合の手順の概略を説明します。

  1. 保険会社に連絡し、保険の申請方法や必要書類を確認する
  2. 加入している保険の補償範囲や補償の申請方法、必要書類などを確認します。
    ポイントは、火災保険を利用したいと保険会社に電話した時点で保険申請は開始となる点です。被害状況の説明などが不十分であると、電話連絡の時点で保険申請を却下されるおそれもあります。確実に保険の申請を行いたいなら、火災保険による屋根修理の実績が豊富な業者にまず相談し、対策を行いましょう。

  3. 申請書類を作成する
  4. 保険会社によって異なりますが、以下の4点の書類が必要です。

    ・保険金請求書
    ・事故状況説明書
    ・修理見積もり書
    ・被害物の写真

    修理見積もり書は修理業者に依頼します。火災保険を利用した屋根修理の実績が豊富な修理業者であれば、保険金請求書や事故状況説明書の書き方のアドバイスを受けることができるでしょう。

  5. 保険会社に現地調査を依頼する
  6. 火災保険による補償の対象であるかどうかを、保険会社もしくは保険代理店が現地調査を行います。補償の対象と認められれば、現地調査から約7~10日後に保険利用の可否が確定します。

なお、瓦屋根の修理に保険を使う場合の注意点は、以下の記事でもくわしく解説しています。

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瓦の修理はDIYで行えば安くできる?

DIYが得意な人であれば、簡単な修理なら自分で修理したほうが安上がりだろうと考えるのではないでしょうか。
結論からいうと、屋根の修理作業は専門の修理業者に任せることをおすすめします。
一般家庭には、高所でも安全に作業できる足場や命綱などの準備がありません。万が一屋根から転落すれば、生命の危険にもつながりかねません。
また、不用意に瓦を踏んで瓦が割れ、さらに被害を拡大させてしまうこともあります。
さらに、目についた箇所だけ修理した結果、他の不具合を見落とし、被害が進行してしまう可能性もあるのです。
安全の面からも、確実に屋根の不具合を補修する面からも、屋根の工事はプロに任せることをおすすめします。

優良な屋根修理業者を見つけるには?

満足できる屋根修理工事を行いたいなら、まず優良な屋根修理業者を見つけることが重要です。良い業者、要注意の業者の特徴をそれぞれ3つずつ紹介します。

良い業者の特徴

胸に手をあてる作業員

瓦屋根の施工実績が豊富

屋根工事と一口にいっても、屋根材によってその特性は異なります。屋根の工事を数多くこなしている実績があるのはもちろんのこと、瓦の取り扱いに精通している業者を選ぶとよいでしょう。国家資格である「かわらぶき技能士」がいることも判断の目安になります。

※参考:技のとびら(中央職業能力開発協会)

見積もり前の現地調査をきちんとしている

現地調査をきちんと行わなければ、正しい見積もりを作成できない上、不具合を見落とすおそれもあります。屋根の修理なのに屋根の状態も確認せずに見積もりを出す業者は避けるほうが無難でしょう。

見積もりの内容が詳細でわかりやすい

工事内容が思っていたのと違っていた、などのトラブルは、きちんとした見積もり書があれば防ぐことができます。優良な工事業者は、見積もりを工程ごとに細かく分け、それぞれにいくらかかるのか内訳を明確にしてくれているものです。
「屋根工事一式」など、工事一括の金額しか提示しない業者では、どのような工事を行うのかわからず不安が残ります。

要注意業者の特徴

訪問販売のリフォーム業者は要注意

国民生活センターには「近所を通りかかりましたが、おたくの瓦屋根は修理したほうがいいですよ」などと声をかけて回る訪問販売のトラブルが報告されています。すべての訪問販売業者に問題があるわけではありませんが、信頼できる業者かを確認し、安易に契約しないよう注意しましょう。

※参考:独立行政法人国民生活センター 訪問販売によるリフォーム工事・点検商法

現地調査をしない、現地調査がいい加減

屋根の状態を確認する現地調査をしない業者は論外です。現地調査に来ても、下から眺めるだけでは屋根の状態がわからず、不具合が見落とされているかもしれません。現地調査がいい加減だと、工事を始めてから不具合が見つかり、想定外の追加費用を請求されることにもつながります。

見積もりが「屋根工事一式」などとなっていて工事内容がわからない

見積もりに工事内容や金額の内訳が記載されていないと、どのような作業を行うかを業者に任せることになります。当然やってくれるはず、と思っていた工程が省かれていても「その作業は契約に入っていない」と言われてしまえばそれまでです。
見積もり書や明細など、正式な書面で作業工程とその費用明細を出さない業者は要注意と考えていいでしょう。

まとめ

瓦の修理が必要になるタイミングや修理内容、修理にかかる費用相場、修理費用が0円になるかもしれない保険の活用方法などをご紹介しました。この記事で得た知識を活用して、安心できる住まいの維持を実現してくださいね。

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