家庭で使用した生活用水が下水道へと流れるときに通る、排水桝(はいすいます)。
「敷地内のどこに排水桝があるのか知らない」「今まで掃除したことがない」という人も多いでしょう。
今回は排水桝の掃除についてくわしく解説。自分で掃除する方法や注意点、業者に依頼する場合の相場やメリットも説明します。
一戸建てであれば、自分で排水桝のメンテナンスを行わなければなりません。排水桝が詰まると家の敷地内に汚水があふれて、周囲に悪臭が漂います。ご近所トラブルに発展する恐れもあるのです。「そもそも排水桝がどのような設備かわからない」という人にもわかりやすく説明するので、まだ掃除をしたことが無い人も、ぜひ参考にしてください。
目次
排水桝とは?掃除しないとどうなる?
はじめに排水桝とはどのような設備なのか、くわしく説明します。
排水桝の種類と役割
家の敷地内の「雨水」や「おすい」と書かれたマンホールのようなフタのなかにある設備が、排水桝です。円柱形や四角柱の形状をしており、排水管同士をつないで家の敷地から出る排水を公共下水道へと流します。排水桝の種類と役割を説明します。
排水桝の種類
排水桝は大きく分けると、個人で設置・管理する「雨水桝(うすいます)」と「汚水桝」、公共の設備である「公共桝」の3種類があります。
- 1. 雨水桝
- 2. 汚水桝
- 3. 公共桝
雨水桝は、雨樋を伝って流れる雨水を集め、排水するための設備です。雨水に混ざる砂ぼこりや葉などを雨水桝の底に沈殿させて、雨水だけを排出します。
雨水桝には、家に降った雨水を地面から地中に染み込ませて処理する浸透式と、下水道につながる排水管に雨水を流して処理する非浸透式の2種類があります。
汚水桝は、台所やトイレ、浴室などから出る排水を下水道へと流すための設備です。インバート桝とも呼ばれ、台所、トイレなど、水回りごとに対応する汚水桝が設置されています。
排水に含まれる食材カスや石鹸(せっけん)カスなどの汚れを汚水桝の底に沈殿させて、汚水だけを排水します。
雨水や汚水が公共下水道に合流する前に、最後に異物を取り除くための排水桝。家から公道に一番近い位置に設置されています。
排水桝の役割
排水桝の主な役割は、以下の2つです。
- 住宅からの排水に混ざるゴミを底にためること
- メンテナンス時の点検口であること
1つめの役割が、住宅からの排水に混ざる異物を取り除き、汚水だけを下水設備に流すこと。住宅の水回りから出る排水には油汚れや食材カス、石鹸カスなどの汚れが、屋根や雨樋を伝って集まる雨水には葉やほこりなどの汚れが混ざります。これらの異物を排水桝の底に沈殿させて、公共下水道に汚水だけを流すのです。
2つめの役割は、メンテナンスの際の点検口であること。点検口がないと、地面に埋められている排水管にトラブルが生じるたびに、地面を掘って排水管を露出しなければなりません。排水桝があることで、メンテナンスや点検をすぐに行うことができます。
排水桝を掃除しないことのリスク
排水桝を掃除しないと、以下のようなトラブルが起きる可能性があります。
- 異物がたまり続け、やがて詰まる
- 詰まりで排水されず、排水桝から家の敷地内に汚水があふれる
- 排水管から臭いが上がってきて、室内に悪臭が漂う
- 排水桝周辺に悪臭が漂う
- 悪臭やあふれた汚水が原因でご近所トラブルに発展する
- 排水桝にゴキブリやネズミなどの害虫・害獣が住み着き、不衛生な状態になる
排水桝は、汚水に混ざる汚れが底にたまる仕組みです。底にたまった汚れは自然に解消されることなく、蓄積していきます。トラブルを防ぐには、排水桝を掃除しなければなりません。
さらに掃除の際は、排水桝に異常がないか点検することも大切です。排水桝が劣化して、ひび割れや破損が起きていないかを確認します。木の根が排水桝内に侵入していないかの確認も重要です。排水桝の不具合を放置した結果、排水管まで劣化がおよび、地面を掘り起こして排水管の交換が必要になることもあります。
排水桝を自分で掃除する方法
個人で管理・掃除しなければならない排水桝は、雨水桝と汚水桝です。それぞれの排水桝を自分で掃除する方法を説明します。
雨水桝の掃除方法
雨水に混ざる異物がたまる雨水桝の掃除方法を説明します。大雨が降る梅雨や台風の時期よりも前に掃除するのがおすすめです。
用意するもの
雨水桝の掃除に必要な道具は以下のとおりです。いずれも100円ショップやホームセンターなどで購入できます。
- 1. ゴム手袋、マスク
- 2. スコップ
- 3. トング
- 4. ざる
- 5. バケツや散水ホース
- 6. ゴミ袋
掃除方法
スコップやトング、ざるを使って、雨水桝の底にたまる泥や葉を取り除きます。掃除の際は、ゴム手袋とマスクを着用しましょう。
- 1.両手で持ち上げるように、雨水桝のふたを開ける
- 2.スコップやトング、ざるを使って、底にたまっているゴミや汚れを取り除く
- 3.底が見えにくい場合は、バケツや散水ホースを使って、水を足しながら作業する
- 4.ふたを元に戻す
- 5.取れたゴミはざるで水気を切り、乾燥させて処分する
汚水桝の掃除方法
キッチンや洗面所から出た排水に混ざるゴミがたまる、汚水桝の掃除方法を説明します。
用意するもの
汚水桝の掃除に必要な道具は以下のとおりです。いずれも100円ショップやホームセンターなどで購入できます。
- 1. ゴム手袋、マスク
- 2. スコップ
- 3. トング
- 4. ざる
- 5. バケツや散水ホース
- 6. ゴミ袋
- 7. ブラシ
掃除方法
スコップやトング、ざるを使って、汚水桝の底にたまる汚れを取り除きます。掃除の際に、強烈な悪臭が伴うため、ゴム手袋とマスクを着用しましょう。
汚水桝はトイレ、洗面所、浴室、キッチンなどの水回りごとに設置されており、それぞれの桝を洗浄します。とくに油汚れが出るキッチンの排水桝は、頑固な汚れがたまりやすいです。
- 1.汚水桝のふたにあるそれぞれの隙間にマイナスドライバーを差し込む
- 2.ふたを浮かせてから開ける
- 3.表面に浮いている汚れを、スコップやざるを使って取り除く
- 4.エルボを外して、付着している汚れを落とす
- 5.スコップやトング、ざるを使って、汚水桝の底にたまっている汚れを取り除く
- 6.散水ホースやブラシを使って、排水桝の汚れを落とす
- 7.エルボを戻し、ふたを元に戻す
- 8.取れたゴミはざるをつかって水気を切り、乾燥させて処分する
排水桝を自分で掃除する場合の注意点
排水桝を掃除する際には、注意点があります。
汚れてもよい服装で掃除する
排水桝を掃除する際は、汚れてもよい服装で作業しましょう。
排水桝には腐敗した汚れが蓄積している可能性があり、洗浄には強烈な臭いが伴います。肌や着衣に汚れが付くと、洗っても臭いが取れない可能性があるのです。
ゴム手袋やマスクどを装着し、長袖長ズボンで汚れてもよい服装で掃除します。できれば作業後に捨てても構わない服を選ぶのがおすすめです。
また、掃除の際に着用した服は一度水洗いをしてから、個別に洗濯しましょう。ほかの服に臭いがつく恐れがあります。
素人が高圧洗浄機を使うのはおすすめしない
高圧洗浄機を持っているからといって、作業に慣れていない人が排水桝の洗浄に使用するのはおすすめしません。
プロは高圧洗浄機を使用して、高水圧で水を噴射することで、頑固な汚れを落とします。高圧洗浄機を使用しての排水桝掃除には技術力が必要で、きれいに掃除するのは簡単ではありません。
素人が高圧洗浄機を使っても、ほとんど汚れが落ちないばかりか、使い方を誤って排水桝や排水管を壊す恐れもあります。
近隣への配慮も必要
汚水桝の掃除は、周囲に汚れや洗浄水が飛び散ったり、悪臭も漂ったりする恐れがあるため、近隣への配慮が必要です。塀にシミができたり、洗濯物や干している布団に臭いが付いたりすることで、ご近所トラブルに発展する可能性があります。
排水桝と隣家の塀などの距離が近い場合は、掃除の旨を隣家に事前にお知らせし、汚れる恐れがあるものをビニールシートで保護するなどの配慮をしましょう。
賃貸住宅の場合は事前に管理会社や大家さんに相談する
賃貸住宅に住んでいる場合は、排水桝の洗浄をする前に、管理会社や大家さんに相談しましょう。勝手に掃除をした場合は、後からトラブルになる可能性があります。
詰まりが生じた場合も同じように、まずは管理会社へ連絡をしましょう。
排水桝掃除を業者に依頼するメリット
排水桝掃除は、専門の業者に依頼すると安心です。具体的なメリットを説明します。
自分で掃除しなくていい
排水桝の掃除を業者に依頼すると、以下の手間がかかりません。
- 道具をそろえる手間
- 排水桝を掃除する手間
- 悪臭や汚れが付いた道具・衣類を片付ける手間
排水桝掃除でとくに大変なのは、不衛生な場所で強烈な悪臭が伴う場所を掃除しなければならない点です。長年蓄積し腐敗した汚れは、頑固で簡単に落ちません。
業者に依頼すれば不快な思いをすることなく、手間もかからずに排水桝のメンテナンスが可能です。道具をそろえたり片付けたりの手間もかからず、臭いが残る掃除道具を保管しておく必要もありません。
高圧洗浄機でより確実に汚れが落ちる
業者は業務用の高圧洗浄機を使い、高圧の水流を噴出させながら、排水桝に付着した頑固な汚れを落とします。
排水桝をきれいに掃除するには、技術力が必要です。高圧洗浄機を持っていても、素人では長年蓄積された頑固な汚れを落としきることはできないでしょう。自分ではきれいに掃除できたと思っても、実際は不十分で、詰まりが解消されないケースも少なくありません。
結局、業者に依頼することになると、そろえた道具や掃除にかかった手間が無駄になります。排水桝の汚れを確実にスピーディーに落としたい場合は、最初からプロに依頼する方がおすすめです。
排水管まで掃除してもらえる
汚水桝の洗浄をプロに依頼すると、家庭のキッチンや浴室などの排水口からつづく排水管洗浄も同時に行っているケースが多いです。
排水管と排水管をつなぐ排水桝が汚れている場合、排水管にも汚れが蓄積している可能性があります。家庭の水回りを清潔に保ち、スムーズに排水されるように、汚水桝と合わせて排水管の洗浄も行うのがおすすめです。
優良な業者であれば、排水桝の劣化具合もチェックし、メンテナンスをしてくれます。排水桝にひび割れや破損がある場合は、補修もしましょう。
業者の排水桝・排水管掃除の相場は2~3万円
一戸建て全体の排水管と汚水桝の洗浄をする場合の相場は、2~3万円が目安です。
汚水桝の洗浄を依頼する場合、一戸建て全体の排水管洗浄も合わせて行う業者が多いです。排水口側からも高圧洗浄機を使って、排水管を掃除します。
なお、雨水桝の洗浄の相場は1~2万円前後になります。
ただし、費用は汚れ具合や業者によって大きく異なるため、あくまで目安として参考にしてください。
イエコマの排水桝・排水管清掃の道具や流れ、実際の料金
イエコマは、プロ仕様の高圧洗浄機を用いた排水桝・排水管の清掃を承っております。
作業の基本的な流れは以下になります。
※お客様の住宅の状況などにより、作業の内容や順序が変わることもあります。
1、排水桝の位置を確認
まずは排水桝の位置を確認します。
2、排水桝のふたを開ける
マイナスドライバーなどを使って、排水桝のふたを開けます。
このとき、洗浄時に邪魔になりそうな細かい部品(エルボなど)を取り除くなど、高圧洗浄の前準備をします。
※エルボとは、L字型の短いパイプのことです。
3、排水桝と排水管を洗浄
高圧洗浄機を使って、排水桝の内部と、排水管の入り口付近を洗浄します。
事前に取り出しておいた部品もまとめて洗浄です。
上の写真のように長さがあり曲げやすいホース状の部品を高圧洗浄機に接続し、ホース状の部分を排水管の奥まで入れて水圧で洗浄する作業も行います。
排水管の奥から排水桝近くの入り口、細かい部品まで、くまなくしっかり洗浄します。
4、屋内の排水口から排水管内を洗浄
次は屋内の排水口からホースを差しいれて、排水管内の洗浄です。
キッチン、浴室、洗面所、洗濯機の排水口から、高圧洗浄機につなげたホース状の部分を差し入れ、排水口付近はもちろん、手では届かない奥まで洗浄します。
5、終了!
以上が、イエコマの排水管洗浄の作業内容です。
イエコマの排水管高圧洗浄は、「屋外の排水桝からの洗浄+屋内の排水口からの洗浄」で一式10,780円(税込)!
- もう何年も高圧洗浄をしていないので、排水管の状態が心配
- そういえば、掃除をしているはずなのに、最近排水の流れが悪い気がする
上記のようにお悩みの方は、イエコマまでお気軽にお問い合わせください。
業者の排水桝掃除の頻度は3~5年に1度
業者に排水桝掃除を依頼する頻度は、3~5年に1度が目安です。
DIYでの排水桝掃除は、汚れをきれいに落としきることができません。定期的にプロへ依頼して、きれいに排水桝を洗浄してもらいましょう。
排水桝の洗浄は、トラブルが起きる前に行うことが大切です。とくにトラブルが無い場合も、新築一戸建ての場合は住み始めてから7~10年を目安に1度洗浄をしましょう。それ以降は3~5年に1度を目安に洗浄を行います。
排水桝詰まりの防止にできること
排水桝が詰まるのを防ぐためには、排水桝へとつながる排水口や排水管に汚れをためないことが重要です。水回りを清潔な状態に保つためにも、普段からできる対策を行いましょう。
油汚れをそのまま流さない
キッチンで洗いものをする際は、食器や調理器具に付着した油汚れをあらかじめ、拭き取ってから洗いましょう。
油汚れはベタベタとしていて、冷えると固まる性質があります。排水管や排水桝に付着しやすい汚れです。キッチンペーパーなどを使って油汚れを拭き取り、排水口から流さないことが大切です。
また排水管に油汚れを付着させないために、洗いものの最後に1分ほど50度程度のお湯を流すのもおすすめです。
排水口や排水管の掃除を定期的に行う
排水桝や排水管にゴミを流さないために、排水口にたまるゴミの掃除はこまめに行いましょう。
キッチンであれば食材カス、洗面所や浴室では髪の毛などのごみがたまります。そのまま放置すると、ゴミ受けやヘアキャッチャーをすり抜けて、排水管へと流れてしまいます。
排水口にゴミをためないように注意し、以下を目安に掃除をしましょう。
- 排水口のごみ取り:毎日
- 排水口の掃除:週に1度
- 排水管の掃除:月に1~2回
まとめ
排水桝を掃除しないまま長期間放置すると、詰まりなどが起き、生活に支障が出ることがあります。定期的に掃除しておくと安心です。
とはいえ、個人が自分でできる掃除には限りがあります。また、排水桝は比較的キレイに掃除できても、手の届かない排水管内の奥を掃除するのは困難です。
このため、3~5年に1度ほどの頻度で、業者に洗浄をしてもらうのが望ましいです。
イエコマは、戸建て住宅の排水管高圧洗浄を、一式10,780円(税込)で承っております。追加料金は一切かかりません。
「そういえば、我が家の排水桝・排水管洗浄をしていないなあ」という方は、お気軽にご相談ください。
排水管保守クリーニングならイエコマ
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※トイレ不可
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