ガルバリウム鋼板屋根を分析!他の屋根材と徹底比較

近年、ガルバリウム鋼板屋根の人気が高まっています。その人気の理由はどこにあるのでしょうか。
家を建てたりリフォームしたりしたことがなければ、「ガルバリウム鋼板って何?」という人もいると思います。

この記事では、そのような人にもわかるように、ガルバリウム鋼板屋根の特徴やメリット・デメリットについて詳しく紹介します。

ガルバリウム鋼板とは

ガルバリウム鋼板とは、芯材である鋼板の腐食を防ぐために「亜鉛43.4%、アルミニウム55%、シリコン1.6%」で構成されたメッキ鋼板のことです。
よく金属の種類と思われがちですが、正式には製品名です。

デザイン性が高く、ストレート型や瓦型などさまざまな形状にデザインできることも人気の理由です。
金属系の材質で耐久年数が長く、環境にもよりますが寿命は25~30年程度といわれています。
軽量で安価な上に、日本瓦並みの強度があることも大きな特徴です。

ガルバリウム鋼板屋根の種類

ガルバリウム鋼板屋根の種類は100以上あるといわれています。
中でも特に人気があるのが「横葺(ぶ)き 」「縦葺き」「瓦調葺き」の3つです。
それぞれの種類を紹介します。

横葺き

ガルバリウム鋼板屋根の中で最も多いのがこのタイプです。
横葺きが選ばれる一番の理由は見た目の美しさで、デザイン性重視の人にはおすすめです。
ただし、勾配が緩い屋根では施工が難しいケースがあるので、その場合は別のタイプを選ぶようにしましょう。

横葺き

縦葺きタイプも人気のあるデザインの1つです。
人気の理由はシンプルでスタイリッシュなデザイン性です。
凝ったデザインの屋根よりも、すっきりとした屋根を好む人に選ばれています。
横葺きと違い勾配の緩い屋根にも施工可能で、屋根の勾配を気にする必要がありません。

瓦調葺き

瓦の形をしたデザインを瓦調葺きといいます。
金属系の材質なのに瓦の形にもできるのが、ガルバリウム鋼板の特徴の1つです。
瓦とそっくりの見た目をもちながら、瓦よりも軽量で割れる心配もないため、瓦屋根が好きな人にも選ばれています。

ガルバリウム鋼板屋根のメリット

ガルバリウム鋼板屋根の導入には、多くの魅力的なメリットがあります。
まず、比較的安価で財布に優しいところです。
「良いものを安く」は多くの人に共通のテーマなので、安価な製品が多いことは大きなメリットといえます。
安さに加えて、25~30年といわれる耐久年数の長さも魅力的なポイントです。
瓦のように割れる心配のないガルバリウム鋼板は、金属系の屋根材の中では比較的サビに強い素材としても知られています。

ただし、屋根は屋根材よりも下地が先に傷むケースが多いため、施工後10年程度を目安に、専門業者にメンテナンスが必要か確認してもらうとよいでしょう 。

薄くて軽いガルバリウム鋼板屋根は耐震性にも優れ、その性質から加工もしやすいため、多くのデザインに対応できるのもメリットです。

ガルバリウム鋼板屋根のデメリット

メリットだけ見るとガルバリウム鋼板屋根は無敵の屋根材のように思われますが、当然ながらデメリットも少なからず存在します。

まず挙げられるのは、防音性と断熱性の低さです。
これらは金属系の材質そのものが持つ弱点であり、ガルバリウム鋼板も例外ではありません。
ガルバリウム鋼板屋根にした人の感想でも、雨音が家の中に響くという話をよく聞きます。
また、金属は熱伝導率が高いため、どうしても断熱性は弱くなってしまいます。
屋根材が熱をもちやすいので、室内の温度も上昇しやすくなります。
これらのデメリットは「カバー工法」や「自然石粒仕上げ」といった特殊加工によって対策できますが、別途費用がかかってしまうことが難点です。

ガルバリウム鋼板屋根は薄くて軽いことが魅力ですが、その一方で傷が付きやすいという弱点もあります。
新しい素材のため、こうした不測の事態にもスムーズに対応できる技術力の高い職人さんがまだ少ないことも不安が残るポイントです。

ガルバリウム鋼板屋根の導入を検討する際は、上記のデメリットも考慮することをおすすめします。

ガルバリウム鋼板屋根の劣化のサイン(前兆)

耐久性の高いガルバリウム鋼板屋根も、長年使用していれば経年劣化は避けられません。
劣化が進んでいるかどうかは、どう判断すればよいのでしょうか。
ガルバリウム鋼板屋根の劣化のサインは、色あせや浮き上がり、サビなどです。
劣化の状態ごとに説明します。

色あせ

パッと見て最もわかりやすい劣化が色あせです。
施工直後と比べて徐々に色あせていきますが、明らかに色あせてきたことがわかるようになったら塗り替え時といえるでしょう。

屋根材の浮き上がり

ガルバリウム鋼板が浮き上がってくると、雨漏れの原因となります。
よく見ないと発見が遅れ、葺き替えやカバー工法によるリフォームが必要になります。

サビ

ガルバリウム鋼板は比較的サビにくいといわれていますが、まったくサビないわけではありません。
サビにくいはずのガルバリウム鋼板がサビているとすれば、それだけ劣化が進んでいるといえます。
サビの種類には「赤サビ」「白サビ」「もらいサビ」などがあり、対処法は基本的に、サビを取り除いてその上から塗装することで共通しています。

ガルバリウム鋼板屋根の費用目安

ガルバリウム鋼板屋根の費用は、保証年数やコーティング材の種類、役物に純正品を使うかなどによって変わりますが、基本的な費用の目安は次のようになります。
・10年保証:5,000~8,000円/m2
・20年保証:7,000~10,000円/m2(フッ素鋼板)
・30年保証:10,000~14,000円/m2(天然石粒金属)

当然ながら、特殊加工を施し保証年数が長くなるにつれて価格は上がります。
少しでも安く上げたい場合は、役物をメーカー純正品ではなく現場加工品にすれば費用を抑えられます。
業者によっても変わるので、複数の業者から見積もりを取って比較することをおすすめします。

ガルバリウム鋼板の選び方

ガルバリウム鋼板は好きな色を選べますが、どの色がいいかの基準がわからない人も多いと思います。
おすすめは、色によって光の反射率が変わるため、住んでいる地域に合った色を選ぶことです。

例えば東北や北陸など、冬の寒気が厳しい地域では黒や濃いめの茶色を選ぶと、日中の日差しを利用して家の中を暖める効果が期待できます。
逆に遮熱性を高くしたいのであれば、白系の淡い色が良いでしょう。

ただ、機能性だけで選ぶと外壁の色とのバランスが悪くなる可能性もあります。色のバランスと機能の両面を満たす色が選べれば理想的です。

ガルバリウム鋼板屋根と他の屋根との比較

ガルバリウム鋼板屋根の特徴を理解するには、他の屋根材と比較するのがわかりやすいと思います。
代表的な屋根材と比較して、ガルバリウム鋼板はどう違うのかを解説します。

スレート屋根との比較

スレート屋根は日本の一般住宅で非常に多く使用されている屋根材です。
2004年以前につくられたスレート材にはアスベストが使用されていたため、軽くて丈夫なことがメリットでした。2004年に、健康被害を理由にアスベストの使用が禁止されてからは、強度が下がっています。
そのため、耐久性の面ではガルバリウム鋼板の方が優れているといえます。
一方、カラーバリエーションの豊富さや断熱性の面ではスレート屋根が勝っているといえるでしょう。

トタン屋根との比較

トタン屋根も金属系の屋根材ですが、防錆(せい) 面やメンテナンス頻度の面でガルバリウム鋼板の方が優れています。
防音性や断熱性はガルバリウム鋼板と同じく高いとはいえませんが、非常に軽量なので耐震性は高いといえます。
この2つは似ている部分も多いのですが、全体的に見てガルバリウム鋼板屋根の方が多くの面で勝っているといえるでしょう。

セメント瓦との比較

セメントと砂を練って加圧成形し、乾燥させたものをセメント瓦といいます。
金属ではないためサビることがありません。
防音性や断熱性の高さはガルバリウム鋼板よりも優れています。
しかし、ガルバリウム鋼板に比べてかなり重くなるため、耐震性の面ではガルバリウム鋼板の方が優れているといえるでしょう。

日本瓦との比較

日本瓦は、私たち日本人にとって最も身近な屋根材といえます。
日本の気候に最適な屋根材ともいわれ、耐久性はガルバリウム鋼板よりも優れています。
しかし瓦は性質上どうしても重くなるため、耐震性の低さが唯一の弱点です。
耐震性以外はほとんどの面でガルバリウム鋼板に勝ります。

ガルバリウム鋼板屋根のおすすめの施工方法

自宅の屋根をリフォームするのであれば、葺(ふ)き替えよりもカバー工法がおすすめです。
カバー工法とは、現在の屋根の上から新たな屋根材を重ねて葺く工法のことです。
葺き替え工事ができればそれに越したことはありませんが、葺き替えリフォームは100万円以上かかる高額な施工方法です。
予算の問題だけでなく工期の長さや、スレート屋根の場合はアスベストの問題も出てきます。

どうしても葺き替えリフォームにしたい理由がある場合や、カバー工法が使えない屋根の場合などを除き、基本的にはカバー工法によるリフォームをおすすめします。
カバー工法はスレート屋根やトタン屋根のように、表面が平らな屋根に施工できます。日本瓦や波型スレートのように、表面がデコボコしている屋根材の場合は施工が難しくなるので注意が必要です。

屋根の葺き替えを依頼する際の業者の適切な選び方

屋根の葺き替えリフォームをしたいとき、施工を依頼する業者選びはなかなか難しいものです。
良心的な業者が多い一方で、自分たちの利益ばかり重視している業者も存在するため、その見極めが重要になります。
毎日のように紫外線や雨風にさらされる屋根だけに、しっかりした技術やノウハウのある業者を選びたいですよね。
ガルバリウム鋼板屋根の施工は特に技術力の差が出やすいため、業者選びにあたっては次の2つのポイントを重視するとよいでしょう。

金属屋根工事業者

1つ目のポイントは、「金属屋根工事業者」を選ぶことです。
金属屋根とはガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板、瓦棒などを指します。
金属屋根工事業者であれば、ガルバリウム鋼板は専門ですし、主にリフォーム工事を中心に行っているので葺き替え工事の経験も豊富です。

直接工事業者

もう1つ重視したいのが、「直接工事」の業者を選ぶことです。
ハウスメーカーなどは基本的に工事を請け負うだけで、自社で施工を行いません。
施工は各専門業者の下請けに発注しているため、ハウスメーカーや総合リフォーム業者に依頼するメリットは少ないといえます。中間マージンが発生しない分、実際に施工を行う専門業者に直接依頼した方が価格面でメリットがあり、意思疎通もスムーズです。

直接工事を行う業者の見分け方は、自社の資材置き場があるかどうかです。
直接工事を行っていれば、材料の仕入れなどで自社の資材置き場が必要となるため、そのような倉庫の有無によって判断できます。
気になる業者がいれば、まずは一度問い合わせてみましょう。

ガルバリウム鋼板のメーカー一覧

ガルバリウム鋼板は多くのメーカーが製造しており、それぞれデザインの種類などが異なります。
その中から、主要な企業を以下に挙げます。

・アイジー工業株式会社(https://www.igkogyo.co.jp/)
・日鉄住金鋼板株式会社(http://www.nisc-s.co.jp/)
・旭トステム外装株式会社(https://www.asahitostem.co.jp/)
・日新製鋼株式会社(http://www.nisshin-steel.co.jp/)
・株式会社淀川製鋼所(http://www.yodoko.co.jp/)
・稲垣商事株式会社(http://www.inagakishoji.co.jp/)
・ニチハ株式会社(http://www.nichiha.co.jp/)
・月星商事株式会社(http://www.tsukiboshi-shoji.co.jp/)
・JFE鋼板株式会社(http://www.jfe-kouhan.co.jp/)
・株式会社セキノ興産(http://www.sekino.co.jp/)
・福泉工業株式会社(http://www.fukuizumi.co.jp/)
・東海カラー株式会社(http://www.tokaicolor.co.jp/)
・YKK AP株式会社(http://www.ykkap.co.jp/)
・東邦シートフレーム株式会社(https://www.toho-sf.co.jp/)
・北海鋼機株式会社(http://www.hkoki.co.jp/)

まとめ

現代住宅で人気の高いガルバリウム鋼板屋根には、メリット・デメリットの両方が存在します。
屋根材を選ぶときは、良い部分ばかり見るのではなく、弱点もしっかり理解した上で検討することが大切です。

そして、屋根材選びよりも大切なのが施工業者選びです。
事前にしっかりリサーチを行い、納得のいく施工や対応をしてもらえる優良業者に出会えるまで、粘り強く探すことをおすすめします。

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