エアコンは、日本の厳しい夏の暑さ・冬の寒さをしのぐために、もはや無くてはならない電化製品になりました。
20年前(2018年4月時点より)には50%弱だったエアコンの家庭普及率も、2017年の調査では約91%にまで上昇しています。
※参考:ガベージニュース
よく使う電化製品だからこそ、電気代も気になりますよね。
この記事では、エアコンの冷房・暖房使用時にどのくらいの電気代を費やしているのか、正しい節約方法は何かなど、エアコンの電気代に関してタメになる情報をお伝えします。
目次
暖房の電気代
暖房は、一般的に冷房使用時よりも費用がかかるといわれています。なぜなら、エアコンは室内温度を設定温度にするまでが一番電力を消費するからです。
ここでは、暖房にどれくらい電気代がかかっているのかお伝えします。
「2、冷房の電気代」と合わせて順にご覧ください。
電気代の計算方法
電気代の計算は以下のことが分かれば、誰でも簡単に行うことができます。
1 エアコンの暖房時の消費電力
2 エアコンの使用時間
3 電力使用量料金
1はご使用エアコンのカタログに、「暖房消費電力」という形で記載されています。
3は契約している電気会社のホームページなどを参考にしてください。
ここで、消費電力をW(ワット)、使用時間をh(時間)、電力使用量料金を円/kW・hとします。
W 、h、 円/kW・h /1000で電気代を計算することができます。
1日あたりの電気代
上の方法で実際に計算してみましょう。
一般的な6〜10畳タイプのエアコンを想定し、使用時間を1日8時間、電力使用量料金を26円/kW・hとして計算します。(東京電力参立、DAIKIN、Toshibaなど人気なエアコンの平均数値を使用すると、約150〜2000Wになります。
1日あたりの電気代は、150W〜2000W×8h×26円/kW・hで、31〜416円です。
1ヶ月あたりの電気代
1ヶ月間毎日上記の頻度で使用すると、毎日31円〜416円×30日で、930円〜12480円です。
冷房の電気代
電気代の計算方法
暖房の場合と同様で、電気代は消費電力W(ワット)×使用時間h(時間)×電力使用量料金円/kW・h×1/1000で計算することができます。
1日あたりの電気代
一般的な6〜10畳タイプのエアコンを想定し、使用時間を1日8時間、電力使用量料金を26円/kW・hとして計算します。(東京電力:26円)
- 中部電力:25.08円
- 関西電力:26.19円
- 北海道電力:29.72円
- 東北電力: 24.87円
- 北陸電力:21.33円
- 中国電力:26.96円
- 四国電力:26.5円
- 九州電力:22.69円
- 沖縄電力:27.97円
- 東京ガス:23.45円
- 大阪ガス:22.85円(平均値)
※引用元:testpage.jp
日立、DAIKIN、Toshibaなどの人気のエアコンの平均数値を使用すると、約150W〜1000Wになります。
1日あたりの電気代は、150W〜1000W×8h×26円/kW・h×1/1000で、31円〜208円です。
1ヶ月あたりの電気代
1ヶ月間毎日上記の頻度で使用すると、31円〜208円×30で930円〜6240円です。
除湿との電気代の差
エアコンには、部屋を涼しくする機能として冷房の他に除湿(ドライ)機能もあります。
それぞれの特徴と、電気代の違いについて解説します。
それぞれの特徴
- エアコン:温度を下げる
- 除湿(ドライ):湿度を下げる
また、除湿には再熱除湿と弱冷房除湿の2種類があります。
- 再熱除湿:湿度を下げる機能+部屋の温度を下げにくくする機能
- 弱冷房除湿:湿度を下げる+冷房(室内の温度を下げる)機能
冷房、再熱除湿、弱冷房除湿で電気代が最も安いのは?
安さの順でいうと、弱冷房除湿、冷房、再熱除湿です。
再熱除湿は水分を取り除いたあとに、空気を暖め直してから放出する過程があるので、その分費用がかかります。
家のエアコンの除湿機能が弱冷房除湿なのか、再熱除湿なのか確認しておきましょう。
エアコン・電気ストーブ・ファンヒーター・オイルヒーター 最も安いのは?
冬の暖房器具はさまざまです。
エアコン、電気ストーブ、ファンヒーター、オイルストーブなど、種類が豊富です。
しかし、聞いたことはあっても、どれを使うのが本当によいのか分からない人も多いでしょう。
ここでは、それぞれどこがどう違うのか、電気代が安いのはどれなのかを解説していきます。
それぞれの特徴
エアコンの特徴
エアコンは空間全体を温風の循環で暖めます。広い範囲で部屋を暖めるのに適しています。
ファンヒーターの特徴
エアコン同様に空間を温風の循環で暖めます。狭い部屋内を暖めるのに適しています。
電気ストーブの特徴
本体から発する熱エネルギー(赤外線・遠赤外線)によって前方の物体を温めます。近くの物体を温めるのに即効性がある反面、空気を暖める力は弱いです。
オイルストーブの特徴
本体の放熱によって起きる空気の自然対流によって暖めます。エアコン同様に空間全体を暖めるのに適しています。
即効性は低いですが、空気が乾燥しにくい利点があります。
それぞれの電気代
※以下の金額は目安です。
エアコンの暖房 | 31円〜416円/日(第一章記) |
ファンヒーター | 強208円/日 弱104円/日(強を1000W、弱を500Wとして計算) |
電気ストーブ | 強208円 /日 中 139円/日 弱 68円/日(強を1000W、中を670W、弱を330Wとして計算) |
オイルストーブ | 強 250円/日 中 146円/日 弱 104円/日(強を1200W、中を700W、弱を500Wとして計算) |
計算してみると、どの暖房器具も最高電気代には大差がないことがわかります。
重要なことは、それぞれの暖房器具の特徴をよく理解してそれぞれの状況において適した器具を使用することです。
例えば、エアコンで全体が暖まるまで即効性のある電気ストーブを弱で用いることで、電気代を節約することができます。
冷房・暖房の節約方法
エアコンは工夫次第で大きく電気代を節約することができます。方法もたくさんあるので、実践しやすい節約方法から心がけましょう。
自動運転にしておく
節電をしようと思って最初から弱運転モードに設定してしまう人もいるかもいますが、逆効果です。なぜなら、エアコンが一番電力を消費するのは、設定温度までに上げる(下げる)ときだからです。
自動運転モードに設定しておけば、最初に一気に設定温度まで近づけてくれるので、だらだらとムダな電力を使う必要がありません。温度が設定温度に近づいてからは、自動で弱・微風運転モードに切り替わるので、余分な電力を省くことができます。
冬の場合は、ストーブでひとまず部屋を適度な温度まで暖めておいてから、暖房を自動運転で稼働させるのもよいでしょう。
設定温度を上げる(下げる)
環境省は冷房時の室温の目安を28度に、暖房時では20度に推奨しています。
※引用元:環境省報道発表資料「平成29年度「ウォームビズ」について」
※引用元:環境省報道発表資料「平成29年度「クールビズ」について」
1日10時間冷暖房を利用する場合、設定温度を冷房時ではたった1度上げる(暖房時では1度下げる)だけで、元々の設定温度で利用したときに比べ、月で約10%の節約が期待できるのです。
扇風機・サーキュレーターなどを併用する
冷たい空気は下に、暖かい空気は上にたまる性質があるので、冷房使用の際には風向を上、暖房使用の際には下に設定しましょう。
扇風機やサーキュレーターなどを併用して解決しましょう。
扇風機とサーキュレーターの違いは、以下の通りです。
- 扇風機:広範囲に送風する
- サーキュレーター:一点に集中して送風
空気を循環させる点でいえば、サーキュレーターの方がおすすめです。
冷房時は、エアコンの風向を水平向きに設定し、サーキュレーターを天井向きに回すと、空気の循環サイクルを作ることができ、ムラなく部屋を冷やすことができます。
サーキュレーターの併用を実践すれば、冷房の高い設定温度でも冷たく感じられ、上記の「設定温度を下げる(上げる)」の節電にもつながります。
サーキュレーターを併用した場合、エアコンのみの電気代に比べて、1日で10円程度節約できるデータもあります。
※参考:タイナビSwit
こまめに切らない
エアコンは起動する際に大きな電力を使います。そのため、こまめに電源を切ることは、かえって電気代をかけることにつながるのです。
24時間つけっぱなしにしたときの電気代と、8時間ごとに切ったときの電気代を考えてみましょう。
24時間冷房をつけっぱなしにしたときと8時間ごとに切ったとき
立ち上がりの1時間を最高電力、それ以降を最低電力として計算します。
数字は第二章で計算したものを用います。
・24時間つけっぱなしにしたときの電気代
(1000W×1h×26円/kW・h +150W×23h×26円/kW・h)×1/1000=115円
・8時間ごとに切ったときの電気代
(1000W×1h×26円/kW・h +150W×7h×26円/kW・h)×3×1/1000=160円
24時間暖房をつけっぱなしにした時と8時間ごとに切ったとき
立ち上がりの1時間を最高電力、それ以降を最低電力として計算します。
数字は第一章で計算したものを用います。
・24時間つけっぱなしにしたときの電気代
(2000W×1h×26円/kW・h +150W×23h×26円/kW・h)×1/1000=142円
・8時間ごとに切ったときの電気代
(2000W×1h×26円/kW・h +150W×7h×26円/kW・h)×3×1/1000=238円
このように、立ち上がりの1時間に大きな電気代を費やすエアコンは、つけっぱなしにしておく方が断然安いことが分かります。
窓の断熱をする
窓の断熱は夏も冬も重要です。
窓はガラス1枚で薄いために外の冷気や暖気を取り入れやすく、せっかくエアコンで快適な温度にしても、すぐに元の温度に戻ってしまいます。
断熱方法には以下の方法があります。
- 二重窓にする
- 窓ガラスを「断熱ガラスにする」
- 厚手のカーテンや断熱カーテンを設置する
- 天候が悪い日はブラインドやカーテンを閉め、暗くなったら早めにカーテンを閉めるようにする
- 断熱シートや断熱フィルムを窓ガラスに貼る
- 断熱ボードを窓際に立て掛ける
また、せっかく冷ました(暖めた)空気が外に逃げてしまわないように、窓の開閉をできるだけ少なくしましょう。
直射日光を防ぐ
夏は、日の光も部屋の温度を上げる原因になります。カーテンやブラインドを閉めて直射日光を防ぎましょう。
室外機の効率を上げる
室外機は周りの外気を吸い込んで、吹き出すことで熱交換しています。
吸い込み口・吹き出し口の付近に障害物があると、熱交換の効率が悪くなり、電気代のムダにつながるのです。
室外機の周りの雑草なども、吸い込み・吹き出しの障害になることがあります。ファンに巻きついて故障の原因になることもあるので、室外機周りのこまめな点検は欠かせません。
また、夏場に室外機に日光が当たり高温になったり、冬場に気温が下がって著しく低温になったりすると運転効率が下がります。
夏場は日陰に、冬場は日なたに室外機を移動させましょう。
こまめな掃除をする
エアコンのフィルターにはゴミが多くたまります。フィルターは少なくとも1ヶ月に1度水洗いをしましょう。
もし、フィルターにゴミがたまった状態で使用を続けると、送風がうまくできず、ムダな電力の消費につながります。
また、汚い空気が送風されてしまうため、身体にも悪影響です。
掃除方法
・フィルターの掃除方法
エアコンのフィルターを取り外します。掃除機でフィルターのホコリを吸い取り、お風呂場などで水洗いします。
網目が開かないように丁寧にブラシでこすり、乾燥させます。
・フィンとファンの掃除
エアコン内部のフィンとファンの掃除は難易度が高く、ミスをしてしまうと故障にもつながる部分なので、業者に頼む方がよいでしょう(第六章参照)。
※引用元:配管のすべてがわかる 【配管百科】
自力で行う際は、手の届く範囲で行いましょう。
- コンセントを抜きます。コンセントを抜かずにエアコンの内部に触れると感電や故障の恐れがあるので必ず抜きましょう
- 吹き出し口の部分を、中性洗剤を染み込ませたタオルを細くして拭きます
- 乾いたタオルで2で拭いた場所をもう一度拭きます
エアコンを買い換える
古いエアコンを新しいものへ買い換えることも有効な節電方法です。古いエアコンと最新のエアコンでは、1時間あたりの消費電力の差に大きな差があるからです。
(2018年4月現在)15年前のエアコンと最新のエアコンを比べてみます。(暖房使用時で比較)
- 15年前のエアコン(消費電力1000Wくらい):1時間あたりの電気代約27~28円
- 最新のエアコン(消費電力600Wくらい):1時間あたりの電気代約15円
※参考:ナビナビ
このデータを見ると、15年前のエアコンを新しいものに取り替えるだけで、約半分の電気代を節約できます。
1日8時間利用すると仮定すれば、金額にして1日あたり100円、1ヶ月あたり3000円もの節約が可能です。
当然、機種によって異なるので、自宅のエアコンの消費電力量を調べてみましょう。
電気代節約に貢献するおすすめのエアコン機種
エアコンはメーカーごとに特徴が異なります。
ここではメーカーごとの機能や、電気代節約に貢献する機種を紹介します。
パナソニック
室内の空気清浄と快適性に重点を置いた機種です。
エアコンの内部も自動洗浄機能がついているため、きれいが持続します。
ダイキン
設定温度までの到達時間を、従来のものと比べて20%短縮しました。高速で暖めることができるので、省エネに貢献します。
東芝
室内の空気清浄に力をいれているシリーズです。
またエアコン内部もフィルター洗浄機能がついています。
シャープ
プラズマクラスター効果で、エアコンを使用していないときでもカビを抑制することができます。
日立
凍結洗浄機能を搭載しているため、エアコン内部を常に快適な状態に保ちます。
人感センサーがついているので、最も快適な室温に自動で調整することができます。
三菱
AIが搭載されており、未来の体感温度を先読みして自動で快適な温度にします。
冷やしすぎ・暖めすぎもなく、省エネ機能も充実しています。
富士通
加熱除菌効果でエアコン内部を清潔に保ちます。
雑菌の除去に加え、カビの除去も行います。
エアコンの掃除を依頼する
エアコンの掃除は、消費電力を減らす重要な方法です。また、身体に負担のかからない生活をするうえでは欠かすことのできない作業です。
エアコンのフィルターの掃除は簡単にできるので、1ヶ月に1度程度はするようにしましょう。
ただし、内部のフィンやファンの掃除は難易度が高く、自力で行おうとすると故障の原因にもなります。無理をせず、専門業者に依頼するのが良いでしょう。
自力と専門業者の違いは、掃除できる範囲にあります。
専門業者は、エアコンを分解して高圧洗浄を行うので、すみずみまできれいにすることができます。
また、養生作業を一から行ってくれるので、部屋を汚す心配もありません。
所要時間は通常1〜2時間で、相場は10,000〜20,000円です。
まとめ
消費電力が気になるエアコンですが、上手に使用すれば電気代を大きく節約できる家電製品でもあります。エアコンの特徴をよく知り、賢い使い方をしてムダを減らしましょう。
また、紹介した節電方法は節約だけにとどまらず、快適な生活を送るためにも必要なことです。単に設定温度を上げ下げをしたり、掃除を怠ってしまったりすることは、健康にも良くありません。
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