最近では、住宅の省エネ化が広く普及しています。
住宅の省エネ化というと、
- 窓の断熱化
- 外壁の断熱化
- 省エネ機器の導入
- 塗料による断熱化
など、多大な労力と初期コストがかかるものをイメージしてしまうかもしれません。
しかし、白熱電球を使っている家であれば、LED電球に交換するだけで、年間数万円のコスト低下を実現することができます。
この記事では、LED電球について、以下の項目を解説していきます。
- LED電球の一般知識
- 白熱電球との違い
- 白熱電球からLED電球に交換する方法
やることは単純です。
ただ、電球を交換するだけ。
それだけで得られる絶大な効果を、あなたも今すぐ手に入れてください。
目次
LED電球とは
LED電球とは、発光ダイオード(LED)を使った電球です。
白熱電球や蛍光灯に代わる「エコな照明器具」として、近年幅広く活用されるようになりました。
家庭向けの気になる特徴としては、
- 低消費電力
- 長寿命
が挙げられますが、より詳しい特徴について白熱電球と比較しながら見ていきます。
LED電球と白熱電球の比較
白熱電球を比較すると、LED電球には以下のような特徴があります。
- 寿命が長い
- 交換コストが低い
- 消費電力が少ない
- 総コストが低い
- あまり熱を放出しない
- 直線的な明かり(指向性がある)
- 人体・環境に優しい
- 衝撃に強い
- 特定の虫がほとんど寄り付かない
それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
寿命が長い
LED電球は白熱電球のおよそ20倍~40倍長持ちします。
白熱電球の寿命は、1,000時間〜2,000時間です。
1日12時間の点灯で、80日〜160日前後(およそ3ヶ月〜半年)使うことができます。
LED電球の寿命は、40,000時間です。
1日12時間の点灯で、3,300日前後(およそ10年)使うことができます。
交換コストが低い
白熱電球に比べて、LED電球は、圧倒的に交換コストが低くなります。
1個のLED電球が寿命を迎えるまで(40,000時間)に、白熱電球は20個〜40個取り替える必要があります。
平均的な白熱電球の価格は300円~500円であるため、LED電球1個が寿命を迎えるまでの40,000時間に、白熱電球は交換コストが10,000円~20,000円かかることになります。
対して、平均的なLED電球の価格は1,000円〜2,000円であるため、40,000時間の使用につきかかる交換コストは1,000円~2,000円です。
LED電球は、白熱電球のおよそ10分の1しか交換コストがかからず、コストの差は圧倒的です。
消費電力が少ない
白熱電球に比べて、LED電球は圧倒的に消費電力が少なくなります。
白熱電球の消費電力は「54W」です。
1Kwhにつき27円(1,000Wを1時間使うと27円かかるということ)と仮定して計算したとき、白熱電球は1日12時間の点灯で17.5円の電気代がかかります。
対して、LED電球の消費電力は「8W」です。
同じ条件で計算すると、LED電球の電気代は、2.5円です。
白熱電球とLED電球の1日あたりの電気代を比べると、1日12時間の点灯で15円の差があることになります(1日あたり)。
つまり、年間5,475円の差が生まれます。
LED電球を寿命(40,000時間)まで使った場合、電気代は8,333円です。
LED電球の寿命(40,000時間)分、白熱電球を使用した場合、電気代は58,333円です。
LED電球との差額は50,000円にもなります。
総コストが低い
白熱電球に比べて、LED電球は、総コストが圧倒的に低くなります。
LED電球と白熱電球の総コストを比べると、以下の表のようになります。
LED電球 | 白熱電球 | |
初期コスト | 2,000円 | 500円 |
交換個数(および金額) | 0個 (0円) |
39個 (19,500円) |
電気代(40,000時間分) | 8,333円 | 54,333円 |
総コスト | 10,333円 | 74,333円 |
40,000時間の使用において、LED電球の総コストは白熱電球より64,000円も安くなります。
あまり熱を放出しない
白熱電球に比べて、LED電球は熱の放出が少ないです。
LED電球は、ほとんどのエネルギーを発光(明るくするため)に使います。
一方で白熱電球は、エネルギーを発熱(熱くするため)に使っている場合が多いのです。
結果、LED電球は白熱電球に比べて、熱くなりにくくなります。
観葉植物などを近距離で照らしたいときには、LED電球が向いています。
直線的な明かり(指向性がある)
光には、
- 指向性
- 周光性
という性質があります。
指向性とは、放射された光線が一定の方向に集中する性質です。
指向性のある光は、スポットライトのように狭いエリアを強く照らします。
周光性とは、放射された光線が様々な方向に拡散する性質です。
周光性のある光は、やんわりと包み込むように空間全体を照らします。
LED電球の明かり(光線)は、指向性があり、直線的な明かりになります。
LED電球の配光角(明かりが照らす角度)は、120度前後でしかありません。
白熱電球の明かり(光線)は、周光性があり、包み込むような明かりになります。
白熱電球の配光角は、330度前後にも及びます。
ただし、近年の技術革新により、LED電球の配光角は350度前後にまで向上しています。
(※市販されているLED電球は、配光角120度前後のものがある。)
人体および環境に優しい
LED電球は、人体および環境に優しい照明器具です。
LED電球では、RoHS(ロス)で指定されている有害物質を一切使用していません。
RoHS(ロス)とは、電子・電気機器における特定有害物質の使用制限に関する指令で、環境配慮に厳しい欧州の基準です。
RoHt(ロス)で指定している物質は、
- 鉛
- 水銀
- カドミウム
- 六価クロム
- ポリ臭化ビフェニル
- ポリ臭化ジフェニルエーテル
があり、LED電球ではこれらを一切使用していません。
衝撃に強い
白熱電球に比べて、LED電球は、落下などの衝撃に強いです。
白熱電球は構造上、ガラスを使わなければいけないので、落下などの衝撃に弱くなります。
LED電球はガラスを使用する必要がなく、プラスチックを活用できるので、落下などの衝撃にも強くなります。
そのため、落としてしまったときにガラス片が飛散し、危険な目にあう恐れが低いのです。
ただし精密機器を使用しているため、落下による故障がないわけではありません。
特定の虫がほとんど寄り付かない
白熱電球に比べて、LED電球は特定の虫がほとんど寄り付きません。
LED電球は紫外線を放出しないからです。
このため紫外線を好む虫(ほとんどの虫が好む)には、魅力のない明かりであり、特定の虫はほとんど寄り付かなくなります。
かつてLED電球の欠点とされていたこと
かつてLED電球には、
- 初期コストが高い
- 直線的な明かり(指向性がある)しか演出できない
- 調光機能がない
- 色温度の幅が狭い
などの欠点がありました。
これらの欠点について、技術革新によりどのように改善されたのか紹介します。
初期コストが高い
かつて、LED電球は「初期コストが高い」といわれていました。
LED電球が市場に登場した当初は、LED電球1個あたり10,000円前後したこともあったのです。
しかし2018年現在、LED電球の価格は1個あたり1,000円〜2,000円にまで価格が下がりました。
ですので、
- 寿命による交換回数の少なさ
- 低消費電力による電気代の安さ
を考えると、LED電球の総コストは、白熱電球に比べて圧倒的に低くなりました。
指向性により直線的な光しか出せなかった
かつて、LED電球は、指向性により、直線的な光しか出せなかったといわれていました。
そのため、リビングのように部屋全体を照らしたいときには、向いていませんでした。
LED電球が市場に登場した当初は、LED電球の配光角は120度前後で、白熱電球の配光角330度前後に比べると大幅に劣っていました。
しかし現在では、配光角350度前後のLED電球も登場しており、白熱電球に劣らない性能を発揮しています。
結果、空間を選ばずに使える照明になりました。
調光機能がない
かつてLED電球は、調光機能に対応することができませんでした。
調光機能があると、光の強さを「弱・中・強」のように段階的に調節することができます。
たとえば、寝室での使用であれば、
- 着替えのときには、「強」を使い、明るくする
- 本を読むときには、「中」を使い、入眠を誘う
- 夜中に部屋をでるときには、「弱」を使い、睡眠を邪魔しない
といった使い分けができます。
以前は、調光機能に対応できなかったLED電球も、近年の技術革新により、調光機能対応のものが登場しています。
色温度の幅が狭い
かつてLED電球は、発することができる光の色の種類が少なく、明かりの演出が苦手とされていました。
LED電球が市場に登場した当初は、暖色(3,000K)の色温度を演出することができませんでした。
しかし、近年の技術革新により、暖色のみならず、昼光色まで幅広い色温度を演出することが可能になりました。
水草水槽のような植物を育てる(光合成をさせる)ために強い光を必要とするシーンでも注目を浴び、大活躍しています。
白熱電球からLED電球に交換するときのポイント
白熱電球からLED電球に交換するときには、
- 口金のサイズを確認する
- 光量(形とルーメン)を選ぶ
- 光の広がり方を選ぶ
- 光の色温度を選ぶ
- 器具ごとの特徴を確認する
に注意する必要があります。
口金のサイズを確認する
白熱電球からLED電球に交換するときには、口金のサイズを確認してください。
口金とは、設置するところの形状を指します。
口金のサイズ(直径)が合っていないと、電球を取り付けることができません。
一般的には、
- E17
- E26
のいずれかになっていることが多いです。
光量(形とルーメン)を選ぶ
白熱電球からLED電球に交換するときには、光量に注意してください。
白熱電球は「形(W)」によって光量が表記されています。
LED電球は「ルーメン」によって光量が表記されています。
以前と同じ明かりにするためには、形(W)とルーメンを対応させる必要があります。
E17口金の場合、
白熱電球 | 25形(W) | 40形(W) | 60形(W) | 100形(W) |
LED電球 | 230ルーメン | 440ルーメン | 760ルーメン | 1430ルーメン |
となります。
E26口金の場合、
白熱電球 | 20形(W) | 30形(W) | 40形(W) | 60形(W) | 100形(W) |
LED電球 | 170ルーメン | 325ルーメン | 485ルーメン | 810ルーメン | 1520ルーメン |
となります。
光の広がり方を選ぶ
使う場所や用途に合わせて、
- 全方向型
- 下方向型
を選んでください。
全方向型は、配光角が広く、やんわりと全体的に明るくなります。
寝室やリビングに向いている明かりです。
下方向型は、配光角が狭く、真下ほど明るくなります。
読書をするときなどに向いている明かりです。
光の色温度を選ぶ
好みに合わせて、
- 白熱電球相当(暖色・3,000K)
オレンジがかった優しい色味を演出したいとき
- 太陽光相当(昼白色・5,500K)
自然な明るさを演出したいとき
- より明るいもの(昼光色・6,500K)
青白い寒色系の明るさを演出したいとき
を選んでください。
器具ごとの特徴を確認する
照明器具によっては、
- 調光機能付き器具
- 密閉型器具
- 断熱材施工器具
など、特徴を備えていることがあります。
それぞれの機能に対応しているLED電球を選びましょう。
とくに「断熱材施工器具」には注意が必要です。
断熱材施工器具の場合には、電球を覆う部分(天井側)に断熱材が敷き詰められています。
そのため、断熱材施工器具に対応していないLED電球を選ぶと、熱がうまく逃げなくなり、火災の危険性が高まります。
電球の取り付け口付近に「Sマーク」が記載されていたら、断熱材施工器具です。
LED電球を使うと、電球1個あたり年間5,000円〜6,500円も電気代が安くなる可能性も!
白熱電球と比べると、LED電球のコストパフォーマンスは圧倒的です。
白熱電球に比べると、
- 寿命が長い
- 交換回数が少ない
- 消費電力が少ない
という特徴をLED電球は備えています。
LED電球と白熱電球の総コストを比べると、
LED電球 | 白熱電球 | |
初期コスト | 2,000円 | 500円 |
交換個数(および金額) | 0個 (0円) |
39個 (19,500円) |
電気代(40,000時間分) | 8,333円 | 54,333円 |
総コスト | 10,333円 | 74,333円 |
となるので、電球1個あたり、白熱電球に比べて、LED電球は年間5,000円〜6,500円も電気代が安くなる可能性があります。
ほかにも、白熱電球に比べて、
- あまり熱を放出しない
- 人体・環境に優しい
- 衝撃に強い
- 特定の虫がほとんど寄り付かない
などのメリットがあり、導入しない理由がありません。
かつては、
- 初期コストが高い
- 直線的な明かり(指向性がある)しか演出できない
- 調光機能がない
- 色温度の幅が狭い
などの欠点がLED電球にもありましたが、今では技術の進歩により、ほとんどが解消されています。
白熱電球からLED電球に交換するときには、
- 口金のサイズを確認する
- 光量(形とルーメン)を選ぶ
- 光の広がり方を選ぶ
- 光の色温度を選ぶ
- 器具ごとの特徴を確認する
に注意する必要がありますが、それだけのことで電球1個あたり年間5,000円〜6,500円も電気代が節約できる可能性があるのです。
もしも電球の取り替えについて、
- どれを選んだらいいのかわからない
- 間違ったものをつけて火事になったら不安
- 高所での作業に不安がある
などの心配がある場合には、便利な電球交換サービス(初回限定割引あり)などを活用してみてはいかがでしょうか。