住宅の「劣化」とは?住宅性能とメンテナンス

住み始めたときには新しくきれいだった住宅も、年を経るごとに徐々に劣化していくことは避けられません。
では、劣化とは具体的にどういうことを指し、どのように対策をとればよいのでしょうか。
これから住宅を購入する方も、既に住宅をお持ちの方も、気になるテーマではないでしょうか。

建物の劣化には、「物理的劣化」、「機能的劣化」、「社会的劣化」の3つがあります。
それぞれの「劣化」について、見ていきましょう。

目次

1、物理的劣化
2、機能的劣化
3、社会的劣化

1、物理的劣化

物理的劣化とは、経年使用により建物に化学的変化、物理的変化が生じるためにおこる劣化です。
要は「物質自体が古く変質して使えなくなる」ことです。
外装材の変色や破損、構造材の腐食や変形、壁材や床材の傷や汚れなどがこれに該当します。

気になるのは、一般的に住宅はどれくらいでこの物理的劣化に耐えられなくなるのかということです。
これには「住宅というものの特性上、耐用試験などができない上に個体差もあるためはっきりとした回答はない」と言わざるをえません。

日本の住宅寿命は30年くらいという説を耳にされたことがあるかもしれませんが、これは国土交通省の公表する「前年に建物滅却つまり解体した建物の建築年」を基にした資料が示す数字から広まったものでしょう。
このデータは日本の様々な住宅事情も反映したものですから、現代の住宅の物理的寿命を正しく表したものではありません。

また、建物の資産価値に関わる法定耐用年数なども、イコール物理的な寿命ではありません。
近年は「100年コンクリート」や「長寿命住宅」などの言葉もよく聞かれますし、現代の建設技術の進歩を考えれば、住宅の実際の物理的寿命は私達が持っているイメージ以上に長いと思われます。

もちろん、住宅の物理的劣化を遅らせる方法として、日頃の手入れや定期的なメンテナンスを怠らないことが重要であることは言うまでもありません。

2、機能的劣化

機能的劣化とは、技術の進歩によりそれまでよりも優れた機能を持つものが現れたために、比較して古いものの価値が下がることです。
「使えないわけではないが機能が見劣りする、不便に感じる」ということですね。

住宅では特にお風呂やトイレ、キッチンなどの設備機器に関して、この劣化を実感することが多いのではないでしょうか。
家族が頻繁に使用する水回りは、住宅の中でもっとも機能性を意識する場所です。

気づきにくいところでは窓などの建具も見逃せません。サッシや窓ガラスなどの最新の製品は断熱機能が昔よりも大きく向上しているため、取り入れられれば省エネ効果に優れた住宅づくりに一役買うことでしょう。

こうした設備機器や建材の技術革新のスピードは非常に速いため、一般的に建築物の劣化は先述の物理的劣化よりも機能的劣化の方が早く進むものです。
そのため、リフォームやメンテナンスで要所の設備の更新をおこなうことには大きな効果があり、古い住宅を新築同様に感じさせることも可能なのです。

3、社会的劣化

車椅子に乗っている女性

社会的劣化とは、使用者の生活スタイル、要求水準に変化が生じ、それまでの建物の在り方では対応できなくなることです。
具体的な例を挙げれば、「子供の人数が増えて家が手狭になった」、「夫婦が高齢になり、階段の昇降や高いところの収納をつかうのがつらい」、「車椅子を利用し始めたら廊下の幅や段差に不都合を感じた」、といったことなどが該当します。つまりは住宅と住み手のミスマッチです。

社会的劣化への対応として私たちが主におこなっているのが、住み替えとリフォームの二つです。
住み替えはミスマッチの解消に手っ取り早い手段ですが、今の住まいに長く住みたいという要求に答えるものではありません。
これから住まいと長くつきあいたいのであれば、どこかでリフォームが必要になるかも知れません。
専門業者に今の間取りについて相談したり、リフォーム事例を教えてもらったりしてもよいでしょう。

将来の生活スタイルの見通しを立てづらいというのであれば、はじめからリフォームしやすい家をつくる、というのも手です。
例えば個室とリビングの間仕切りを将来撤去できるようにした間取りはよく見かけます。

また、個室を壁でかっちりと分断するのではなく、折り畳み扉や障子のような建具で仕切り、必要に応じて部屋同士を区切ったりつなげたりするプランであれば変化に対応しやすいものです。
戸建に比べてリフォームがしづらそうな分譲マンションにも、スケルトンインフィルという構造体以外の間仕切りなどを自由に改装できるタイプのものがあります。

また、生活の変化の中でも自身の高齢化はほぼ間違いなく訪れるものですから、廊下や出入口などは将来のバリアフリー対応が可能かを注意して考えておくことをおすすめします。

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