洗面所で手を洗ったり、顔を洗ったりしていると、以前より水の流れが遅いと感じることはないでしょうか。これは、髪の毛や皮脂汚れが洗面所の中で溜まって詰まりとなってしまっていることが原因かもしれません。
排水の流れが遅いと感じたときにすぐに対処しないと、排水口から汚水が逆流してあふれるといった危険があります。
今回は、洗面所の排水口の詰まりの原因や詰まりの解消法、防止法など丁寧に解説します。
対策や解決法を知れば、「汚水があふれるかも」という不安から解放され、穏やかな生活が送れることでしょう。
洗面所の排水口はなぜ詰まる?
洗面所の排水口はなぜ詰まるのでしょうか?
実は、排水口の詰まりは髪の毛や石けんカスなど、洗面所を使った時に出る汚れが元となっていることがほとんどです。
排水口の汚れの原因には、以下のようなものがあります。
- 髪の毛
- 石けんカス
- 水垢
- ぬめり
- その他
髪の毛
洗面所の詰まりとしてもっとも多く見られるのが、髪の毛によるものです。
洗面所の排水口にはヘアキャッチャーがついていますが、髪の毛はその間をくぐり抜けて流れ、排水トラップなどに蓄積することで詰まりの原因となります。
また、洗面所でヒゲ剃りをする男性がいる場合、ヒゲも髪の毛と同じく詰まりの原因となります。
石けんカス
石けんカスも詰まりの原因となるため、石けんを使って手洗いした後などは、いつも以上にしっかり水を流すことが重要です。
石けんカスが排水口から流れて排水トラップなどに溜まっていくと、後で落とすのも大変です。蓄積していくと水の通りも悪くなります。
水垢
皮脂などから雑菌が繁殖すると、後に水垢となり、それが排水トラップなどに溜まると排水口の詰まりの原因となります。
石けんカスと同様、蓄積した水垢は除去するのが大変です。
ぬめり
水垢や石けんカスと一緒にピンク色のぬめりが発生します。このぬめりはロドトルラと呼ばれる酵母菌の一種で、カビよりもさらに繁殖能力が高く、洗っても数日後にはまた繁殖するのです。
その他
その他、排水口に何かを落とすことで詰まりの原因となることがあります。洗面所でよくあるのが、歯磨き粉のキャップやピアスなどアクセサリー類を落としてしまったことによる詰まりです。
こうした固形物は、通常ヘアキャッチャーで食い止められますが、古い洗面台の中にはヘアキャッチャーがないこともあるのです。
流れてしまった後は、それ以上水を流すと奥深くまで流れて取り出せなくなる可能性があるため、排水口の下を分解して早く取り出す必要があります。
洗面所の排水口の構造
洗面所の排水口の詰まりの原因を追求するためには、洗面所の排水口の構造を理解する必要があります。
洗面台の下を確認しよう
洗面台の下は配管がむき出しになっている場合もありますが、タオルや洗剤を入れるための収納がついている形の方が一般的でしょう。
収納の扉を開けてみると、奥に配管が見えるはずです。
実際に確認してみると、配管は、Sの字やPの字のように曲がりくねっているでしょう。
これは、排水トラップと呼ばれるもので、形によってS字トラップやP字トラップなどと呼ばれます。
排水トラップには常に水が入っており、下水の臭いが上がってこないようにするのと、外からの虫やゴミの侵入を防ぐようになっています。
排水トラップの基礎知識
排水トラップは、悪臭や虫が上がってこないように複雑な形をしています。この形状により、排水口から流れた水の一部が排水パイプ内に残り、排水管内の空気の通り道を防ぐことで部屋まで悪臭や虫が上がってこない仕組みとなっているのです。
この水を封水といい、水のフタのような役割を担います。
なお、この排水トラップはキッチンやお風呂などの水回りには必ず施されています。
逆に排水トラップがないと、部屋中が虫だらけになり、悪臭が充満することになるのです。
このように排水トラップは非常に重要な役割を担っています。
一方、排水トラップはその形状から、詰まりの原因となることが少なくありません。水を流したときに、汚れが流れきれず水を貯めるところに蓄積してしまうことがあるからです。
とはいえ、詰まりやすいからといって、排水トラップをなくすわけにはいきません。
そこで、排水トラップには掃除口が設けられていたり、キャップナット(ドライバーで回すところのないネジ=モンキーレンチで回します)を取り外すことで取り付けが容易にできたりと、誰でも簡単に掃除できるような仕組みが施されているのです。
※引用:リビラック
S字トラップ
※引用:カクダイ
S字トラップは排水パイプがアルファベットのSのような形をしているものです。
S字トラップは洗面台の他、キッチンやトイレの手洗いなどにも用いられることが多いです。
細かな仕組みや形はさまざまです。S字トラップの下の方にキャップナットがついているタイプでは、排水パイプを取り外したり分解したりすることはありません。キャップナットを取り外すだけで溜まった汚れを簡単に掃除することができます。
P字トラップ
※引用:カクダイ
P字トラップは。排水パイプがアルファベットのPの字のような形をしたもので、Pを横向きに倒して、Pの膨らんだ部分が下向きになっています。
洗面所から流れた水は、P字トラップを通るとき、Pの膨らんだ部分を上下し、地面とほぼ水平に流れていきますが、このとき流れきれなかった水が排水パイプ内に残るのです。
P字トラップもS字トラップと同様、水が流れるときに、汚れが流れきれずトラップ部分に蓄積することで、詰まりの原因となることがあります。
そのため、キャップナットを取り外すことで簡単に掃除できる仕組みになっています。
下水臭が上がってくる理由
排水トラップ内の封水により、下水臭が上がってこないことは分かりました。しかし、それでも下水臭が上がってきてしまうときは、どのような原因が考えられるのでしょうか。
封水の蒸発
家を長期間空けていると、排水トラップに溜まっていた水が蒸発し、排水トラップがその役目を果たさなくなるのです。こうなると、臭いや虫が配管を通って家の中に入ってきてしまいます。
家を長期間空けるときには、水を流して排水トラップにできるだけ多くの水を残しておきましょう。また、蒸発防止と虫の侵入を防ぐために、排水口に新聞紙を敷いて、その上にお皿を乗せるなどして蓋をすると効果的です。
排水パイプの破損
排水パイプが割れているなどの破損により、排水内の臭いが漏れてしまうことがあります。
排水パイプの破損が見られたら、新しいものと交換しましょう。
防臭ゴム、防臭プレート
排水パイプと下水管との繋ぎ目には、防臭ゴムや防臭プレートが取り付けられているのが通常です。しかし、これが取り付けられていないか、破損していることが原因で臭いが上がってくることがあります。
防臭ゴムや防臭プレートを取り付けるか、新しいものと交換するようにしましょう。
洗面所の排水口の詰まり解消法と予防法
ここでは、排水口が詰まってしまったときの詰まり解消法と、再発しないための予防法を紹介します。
排水口詰まりの解消法
STEP1.ヘアキャッチャーの清掃
最初に、ヘアキャッチャーに髪の毛や汚れが溜まっていないか確認し、必要に応じて除去、清掃しましょう。
水栓キャップがついている場合には、キャップを外して掃除します。ただし、キャップにもぬめりや水垢が発生していることがあるので、キャップも掃除するようにしましょう。
STEP2.排水トラップの清掃
洗面台の下には、先程紹介したように排水トラップ(S字トラップやP字トラップ)があります。
排水トラップで、掃除口のあるタイプであればキャップナットを回して、掃除口から排水パイプ内のゴミを取り除くことができます。
なお、キャップナットを外すと封水の水がこぼれるので、バケツを下に置くとよいでしょう。
掃除口がないタイプの場合は、キャップナットを取り外して排水パイプを分解しながら掃除を進める必要があります。
髪の毛の塊などが排水パイプ内にある場合は、キャップナットを外しただけでは取り出せないので、割り箸などを使って取り除く必要があります。
ピアスやアクセサリーなどの固形物を落とした場合は、排水トラップのトラップ部分に引っ掛かっていることが多いので、取り除いておきましょう。
STEP3.排水パイプを洗う
割り箸などで汚れをうまく取り除けず、キャップナットや掃除口がないときは排水パイプを分解して掃除を進める必要があります。
このとき、排水パイプに汚れが蓄積していれば、パイプ本体を掃除しましょう。
ただし、排水パイプを解体してから元に戻せなくなると大変なので、よく注意して進めましょう。不安であれば、ここから先は業者にお願いした方がよいです。
一度分解して元に戻したときに、パッキンがしっかりはまっていなかったり、締め込みが甘かったりすると、水漏れの原因となってしまいます。
STEP4.さらに下の配管を確認する
ここまでやっても詰まりが改善されないときは、さらに下の配管が詰まっている可能性があります。その場合は、奥の下水管が見えるまで部品を外す必要があります。
下水管が見える状態まで部品を取り外したら、一度水を流して流れていくか確認しましょう。もし流れなければ、流れの止まったところが詰まりの原因と判断できます。
STEP5.高圧洗浄機で詰まりを除去する
下水管は、高圧洗浄機があれば高圧洗浄で詰まりの原因を剥がしていきます。
家庭用の高圧洗浄機を持っていればよいです。持っていない人は、高価なものになるため、ここまできて詰まりが解決されないようであれば、業者に依頼してもよいでしょう。
排水口詰まりを解消できるアイテム
排水口詰まりを解消するアイテムとして、ワイヤーブラシがあります。
※引用:SOWAKA
ワイヤーブラシは、排水口からワイヤーを突っ込んでいき、止まったところでワイヤーを回してゴミを削っていくようにすることで、トラップや排水管の汚れを取ることができます。
根気よく削っていけば徐々に詰まりを解消できるはずです。
ラバーカップを使って詰まりを直そう
洗面所の排水口が詰まったときは、ラバーカップを用いて詰まりを解消する方法もあります。
※引用:山崎産業
ラバーカップで排水口を掃除するときは、周辺を新聞紙で覆うなどして養生しておきます。養生しないと、排水パイプ内に溜まった汚れが飛び出してきてしまうのです。
また、洗面台にはオーバーフローという穴があります。この穴が空いていると、圧が逃げてラバーカップの効き目が落ちるため、濡らした雑巾をドライバーでねじ込むなどして塞ぎます。
※引用:セラトレーディング株式会社
これらの準備が済んだら、洗面台に水を溜めてラバーカップを排水口にあてて押す、引くを繰り返しましょう。
ピーピースルーを活用しよう
ピーピースルーは、業者も活用する強力な薬剤で、一部の商品はホームセンターで購入できます。
※引用:和協産業
ピーピースルーを利用すれば強力な汚れも一気に溶かすことができます。しかし、強力すぎるため、利用時にはゴム手袋とマスクを着用するなど十分注意する必要があります。
ピーピースルーを使った掃除法は、排水口の周りにピーピースルーをまき、薬剤に沿って温水を注ぎ、一晩そのままにした後水で流すだけで、手間もかかりません。
詰まりの予防法
ここまでで、洗面所の排水口がすでに詰まってしまったときの対処法についてお伝えしました。しかしベストなのは、排水口が詰まる前に予防することです。
ここでは、排水口の定期的なメンテナンス法として、パイプクリーナーを使う方法と、重曹とクエン酸を混ぜて使う方法、排水口フィルターを使う方法の3つをお伝えします。
パイプクリーナーを使う
パイプクリーナーはパイプのなかの汚れを分解し流し落とす洗剤のことで、成分は塩素系漂白剤に近く雑菌によるぬめりや水垢を効果的に分解してくれます。
使い方は簡単で、パイプクリーナーを排水口に流し、30分から1時間後に再び水を流すだけです。
これを2週間に1回程度使うだけで、後々の詰まりの原因となるぬめりや水垢、髪の毛を簡単に流すことができます。
重曹とクエン酸を使う
パイプクリーナーが自宅にない場合、重曹とクエン酸を用いてパイプをメンテナンスすることができます。
重曹とクエン酸を使うことで、水垢やカルキ成分を分離するだけでなく、悪臭を抑えたり、雑菌の繁殖を防いだりする効果があるのです。
クエン酸はお酢で代用することもできます。
使い方は、重曹2:クエン酸1の割合で材料を用意し、排水口に重曹を振りかけ、しばらく経ってからクエン酸とお湯をかけるだけです。
クエン酸とお湯をかけると、シュワシュワと泡が立ち、パイプの内部の汚れを除去してくれます。
排水口フィルターを使う
排水口フィルターは、排水口のゴミ受けにフィルターをつけることで、排水管にゴミが流れるのを防ぐ役目を果たします。
排水口フィルターは設置が容易で、高い効果も期待できます。しかし、フィルターにゴミが溜まったまま使い続けると、フィルターから溜まったゴミが流れていってしまうことがあります。そのため、定期的に取り替えしないと効果がないことに注意が必要です。
洗濯機の排水口も詰まる?
洗面所の排水口と同様、洗濯機の排水口も水垢やぬめりで詰まってしまうことがあります。
日々のメンテナンスで排水口のトラブルを避けるようにしましょう。
洗濯機の排水口の掃除は洗面所と同じ
基本的に、洗濯機の排水口の掃除は洗面所の排水口の掃除と同じで、パイプクリーナーや重曹とクエン酸を活用した掃除が効果的です。
重曹とクエン酸で掃除しよう
まず、排水口の掃除の前に、洗濯機を掃除の邪魔にならない場所に移動しましょう。
洗濯機を移動させると、防水パンが見えてきます。防水パン近くの排水口にはフタがついているので、フタを外しましょう。
次に、排水口に重曹を振りかけたらクエン酸を溶かしたお湯を排水口にかけます。
重曹とクエン酸を使うと、泡が出てくるのでこの状態で30分~1時間程放置した後にお湯で流します。
これを定期的に行えば、排水口の詰まりの予防に効果的です。
洗濯機の排水口も定期的に掃除しよう
洗濯機の排水口も、洗面所の排水口と同様、2週間~1ヶ月に1回程度の頻度で定期的に掃除しましょう。
2~3ヶ月以上放置すると少しずつ汚れが蓄積し、簡単には汚れが落とせなくなってしまいます。
洗濯パンの設置で排水口の掃除も簡単に
最近の住宅では、洗濯パンが設置されていないことも少なくありません。洗濯パンを置くことで漏水対策や結露対策、防振対策になるだけなく、排水口の掃除が簡単になる効果もあります。
特に、洗濯パンの四隅が高いタイプのものを選べば、洗濯機の底面と洗濯パンとの間に隙間ができるため、排水口のお掃除がぐっと楽になるのです。
※引用:カクダイ
定期的に行う必要のある排水口のお掃除であるため、なるべく手間を減らしたいものです。
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洗面所や洗濯機の排水口を掃除するときの注意点
洗面所や洗濯機の排水口を掃除するときは、以下のような点に注意しましょう。
- 電気に気をつける
- 長期間放置しない
- 排水管の分解に気をつける
- 熱湯を使わない
電気に気をつける
洗面所や洗濯機の排水口を掃除するときは、必ずコンセントを抜いてから行いましょう。特に洗濯機は電圧が高いので注意が必要です。
確実に感電予防をしてから取り掛かるようにしましょう。
長期間放置しない
排水口の掃除では薬品や重曹+クエン酸を使って掃除します。しかし、1時間以上それぞれの掃除で必要な時間以上の時間放置しておくと、排水口が傷む可能性があるため注意が必要です。
排水管の分解に気をつける
排水口の掃除の際は、必要に応じて排水管を分解することもあります。しかし、一度分解すると元に戻したときに隙間ができ、水漏れや悪臭の原因となることもあるため、素人が行うことはあまりおすすめしません。
分解が必要なときは、できるだけ業者に依頼するようにしましょう。
熱湯は使わない
排水口の掃除の際はお湯を使うこともあります。ただし、熱湯を使うとパイプが変形することもあるため、必ず40℃程度以下にして使うようにしましょう。
まとめ
水回りの利用は毎日のことのため、排水口が詰まってしまうと生活する上で困ってしまいます。そのため、日頃からメンテナンスを心がけて排水口の詰まりを未然に防止することが大切です。
それでも詰まってしまった場合には、今回紹介した方法で詰まりの解消を試してみましょう。
それでほとんどの詰まりを解消することができるはずですが、それでも詰まりが解消できない場合や、対処方法に少しでも不安がある場合はプロである専門業者に頼むと安心です。
素人では比べものにならないぐらいきれいにしてくれて、別の場所に不具合がないかをもチェックしてもらういい機会です。
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