キッチンシンクの排水ホースが問題?

工事区分

システムキッチンなどのキッチンセットは、建築工事の中では本体工事とは別の扱いになっていることがほとんどで、一般的にキッチンのメーカーや販売会社の専門業者が設置工事を行います。
建築業者はキッチンの設置場所に必要な水道設備(給水、給湯、排水)の配管をするのですが、その位置は建築側とキッチン側が打合せをして図面に反映し、現場で施工されます。キッチンの排水口の位置と現場の排水管の位置を合わせるためですね。
ちなみに、建築工事側の責任範囲は排水管の立上げまで(給水と給湯は止水栓まで)、キッチン側は排水器具(トラップ部分)までとなっていて、その接続に関しては建築工事側の設備工事業者が行うことが多いようです。

直管でストレートに

シンクの排水器具と床から立ち上がっている排水管をつなぐには別に管が必要です。
シンクの排水口と床排水管の位置が合っていれば、その間の距離分のまっすぐな管でつなぎます。

使われるのは主に硬い塩化ビニール製のパイプです。硬くて曲がらず両方のつなぎ目をしっかりと密閉固定できるのが特長です。密閉度が高いため、大規模マンションなどでは必ず行われる排水管の高圧洗浄にも対応します。塩ビ管は厚みがあるので熱湯が流れても耐久性があり、内部は平滑なので汚れなどの付着が少ないということでキッチンの排水にはぴったりです。すべてのキッチンで採用したいですね。
しかし、排水の位置がずれていたら塩ビの直管は基本的に曲げられないので使えないというデメリットもあります(角度のある継ぎ手などを使って対応できる場合もあります)。

ジャバラ管で自由自在

何かの原因で排水の位置がずれてしまった場合、そして直管では対応できない場合は、やはり塩ビ製ですがジャバラ管というものを使います。
キッチンシンクの排水器具(ゴミ収納器付き排水トラップ)の下についているのを見たことはありませんか?

ジャバラ管はコイル状の鋼線を塩ビで被覆したもので主に簡易な排水管として使われています。コイル状なので自在に曲げることができ、排水の位置がずれていても簡単につなぐことができるのが長所です。排水の位置を厳格に守ることを必要としないので打合せの時間も減り、建築側にとっては工期やコストの削減につながるということもあります。
一般的に戸建住宅ではジャバラ管で良いというケースが多いようですが、マンションでは高圧洗浄に対応できないこともありNGです。

また、被覆が薄く高熱に弱い、ジャバラなので内部にも凹凸がありゴミなどが引っかかる可能性があるという欠点があります。
キッチンの排水に頻繁に熱いお湯を流していると塩ビの被覆の劣化が早くなり、放っておくと穴があいたなどということになりかねないので注意しましょう。
曲がったところにゴミや汚泥が溜まりやすくなるのも問題点です。つまりの原因になるのでこまめに掃除したほうがいいでしょう。

ジャバラ管は長所よりも短所の問題のほうが大きいので、キッチンの排水にはあまり適しているとは思えません。
できれば戸建住宅でも直管を使ってもらいたいと個人的には思う次第です。

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