ブレーカーの仕組みと落ちる原因!対策や復旧方法、故障サインも解説は?|種類ごとに徹底解説

ブレーカーが落ちたとき、「頻繁にブレーカーが落ちるのはなぜ?」「電気の使いすぎ以外に理由はある?」などでお悩みではないでしょうか。

ブレーカーには種類があり、それぞれに役割があります。しかし、ブレーカーにはどんなものがあるか、分電盤内をよく見て確認した経験がある人は少ないでしょう。突然ブレーカーが落ちて慌ててスイッチを動作しようと思っても難しく、やみくもに触ると危険な場合もあります。

この記事では、ブレーカーの仕組みや落ちる原因を解説します。急にブレーカーが落ちる前にブレーカーの仕組みや役割を知っておき、慌てず対応できるようにしておきましょう。また、ブレーカー落ちの予防策についても説明するので、ぜひ、この機会にお役立てください。

ブレーカーの3つの種類とは

ブレーカーは、「分電盤」と呼ばれる装置の中にあるスイッチひとつひとつのことを指します。
ブレーカーには、以下の3つの種類があります。

  • アンペアブレーカー
  • 漏電ブレーカー
  • 安全ブレーカー

ブレーカーの役割は、住宅内の電気回路に異常が起きたとき、自動的に電流を遮断することです。突然ブレーカーが落ちると、番組のよいシーンを見逃したり、家事を中断したりと面倒ですが「安全装置が作動している」と思ってくださいね。

次でブレーカーのそれぞれの種類について、くわしく説明します。

契約の電気量を管理するアンペアブレーカー

アンペアブレーカー

分電盤に向かって左側に配置されることが多いアンペアブレーカー は、住宅へ供給する電気が契約アンペアを超えた際に、自動的に作動し回路を遮断します。

スマートメーター を設置している家庭では、アンペアブレーカーがないケースがあります。

スマートメーターとは、電力使用量を30分ごとに自動で計測し、搭載された通信機能により遠隔操作可能なメーターです。スマートメーターにアンペアブレーカーが内蔵されているため、分電盤にアンペアブレーカーがなくても問題ないためです。

漏電を検知する漏電ブレーカー

漏電ブレーカー

漏電ブレーカーは、その多くが分電盤の中央に配置されています。住宅内の漏電を検知すると、漏電ブレーカーが電気の流れを遮断します。

漏電が起きている可能性がある状態で、漏電ブレーカーを元に戻してしまうと、漏電箇所で火災発生や感電の危険性が高まります。3つのブレーカーの中で、最も元に戻す際の取り扱いに注意が必要なブレーカー です
。漏電ブレーカーは、「主幹ブレーカー」とも呼ばれています。

一部の使いすぎを遮断する安全ブレーカー

安全ブレーカー

安全ブレーカーは、分電盤に向かって右側に配置されることが多いです。

安全ブレーカーは、各部屋や場所ごとに分かれており、部屋や場所それぞれの電気供給をコントロールしています。ある部屋・場所に一定以上の電流が流れるなどすると、該当する箇所のブレーカーのみが落ちます。

安全ブレーカーは、別名「分岐ブレーカー」とも呼ばれます。

アンペアブレーカーの仕組みと役割

住宅には、電気事業者の電気を「引き込み線」という電線を使って引き込みます。 引き込まれた電線は、屋外に設置された電気メーターを経由して、屋内の分電盤に接続されます。

分電盤から各部屋への配線により家庭に電気が供給され、住宅内の電気使用量が契約より上回るとアンペアブレーカーが落ちる仕組みです。

アンペアブレーカーの仕組み

アンペアブレーカーの役割は、電気の契約プランの上限を超えた量の電気が使われるのを防ぐことです。

電気は、電気事業者との契約プランで使用量が定められており、電気事業者との契約次第で容量の変更が可能です。
アンペアブレーカーが頻繁に落ちる場合は、契約内容が合っていないため、プランの見直しが必要と考えられます。

漏電ブレーカーの仕組みと役割

漏電ブレーカーは、回路内の電気の行きと帰りの「電流の差」を検知します。電流に差があると、漏電が起こっている可能性が非常に高いため、漏電ブレーカーが落ちて遮断される仕組みです。

漏電ブレーカーの仕組み

漏電ブレーカーの役割は、漏電による感電事故や発火を防ぐことです。放置を続けると命に関わる危険性があるため、正しい対応が求められます。

また、漏電ブレーカーは、安全ブレーカーと同じように電流の容量が超えた場合でも反応します。漏電なのか電気使用量が超えたのかわかりにくいため、漏電ブレーカーには、『漏電表示ボタン』がついています。漏電が起きるとボタンが飛び出るようになっているため、ブレーカーが落ちた際は、はじめに確認しましょう

漏電表示ボタン

安全ブレーカーの仕組みと役割

安全ブレーカーは、過電流を検知したときに、回路を遮断する仕組みです。

過電流とは、一箇所で多くの電化製品を使用することで、電線や器具の許容量の範囲を超えた多くの電気が流れてしまうことです。
たとえば、タコ足配線や、電気が決められた回路を通らずに近道をするショートなどが原因で、過電流が起こります。

安全ブレーカー

過電流のときに電気を強制的に止めることで、安全ブレーカーは以下の役割を果たします。

  • 一箇所の回路を遮断し、家全体の電気を止めないようにする
  • 配線が溶けることを防止する
  • 発火が原因の火災を防止する

一般的に安全ブレーカーは、家庭で分電盤から各場所へ20A(アンペア)以上の電気が流れた場合、該当する回路のみを遮断しブレーカーが落ちます 。

各種ブレーカーが落ちる原因と対策、復旧方法

ブレーカーの落ちる原因は、ブレーカーの種類によって異なります。それぞれの主な原因について、解説します。

アンペアブレーカー

アンペアブレーカーが落ちる主な原因は、電気の使い過ぎです。電気事業者との契約アンペア数以上の電気が使用されると、ブレーカーが落ちる仕組みになっています。

家族全員がそれぞれ家電を使用したり、エアコンや電子レンジなど消費電力の大きな電化製品 を同時に使用したりすると、アンペアブレーカーが落ちることがあります。

この場合は、使用していた家電の電源を切り、手動でブレーカーを上げることで復旧が可能です。 アンペアブレーカーを落とさないための対策として、日ごろから下記の3つのことを意識してください。

  • 電化製品を同時に使い過ぎない
  • 使っていない電化製品のコンセントを抜く
  • 契約アンペア数の見直し(落ちる頻度が改善されない場合)

コンセント

スマートメーターの家庭は、ブレーカーが落ちた際の操作は不要で、約10秒で自動復旧します。ただし、30分以内に10回停電を繰り返すと、安全確保のため自動復旧しなくなるので注意してください。

漏電ブレーカー

漏電ブレーカーが落ちた場合、住宅内で漏電が発生していることが考えられます。漏電は、火災や感電事故の原因になるため、素早い対応が必要です。すぐに電気事業者や電気工事会社、不動産管理会社などに点検を依頼してください。

電気トラブルの駆けつけサービスを提供している電気事業者もありますが、それまで電気が使えない状態が続くのは不便です。漏電箇所を特定し、該当しないブレーカーを上げて、一時的に電気を使用する方法もあります。
具体的な方法は、こちらのコラムをご確認ください。

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しかし、感電や火災など思わぬ事故 を招く恐れがあります。電気事業者へ点検依頼をする際に、該当しないブレーカーを上げて一時的に電気を使用する方法も一緒に確認すると安心ですね 。

漏電ブレーカーを落とさないための対策として、アース線が付いている電子レンジや温水便座などの電化製品は、必ず「アース端子差し込み口」に接続してください。

アース線付き電源コード

また、ホコリが溜まりやすく、火災につながる恐れがあるタコ足配線の使用はできるだけ避けましょう。

安全ブレーカー

安全ブレーカーが落ちる原因は、対応する部屋や場所で集中して電気を使いすぎることです。

たとえば、以下のような家電をキッチンで同時に使用すると容量を超えてしまい、安全ブレーカーが作動する可能性が高くなります。

  • 電子レンジ
  • オーブン
  • 電気ケトル
  • 炊飯器
  • エアコン

台所

エアコンなどの大型電気機器は、専用回路にすることで落ちることを防止できるでしょう。

また、もう1つの原因として、電化製品が故障している場合があります。電化製品の電源コードに傷や焦げがあると大変危険なので、使用を避けなくてはいけません。ブレーカーを上げる前に、必ず該当する家電がないか確認するようにしましょう。

下記の記事で、ブレーカーが落ちたときの復旧方法や予防策について、くわしく解説しています。ぜひ、参考にしてください。

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ブレーカーと分電盤の故障サイン5選

分電盤の確認

電気の使い方に気をつけていたり、漏電が起きたりしていないのに、ブレーカーの落ちる頻度が高い場合は、分電盤・ブレーカーが故障しているかもしれません。

分電盤・ブレーカーには、電化製品と同じように寿命があります。分電盤が故障する前のサインとして、以下の5つが挙げられます。

  • 分電盤から「ジージー」や「カチカチ」といった音 がする
  • 分電盤が熱くなっている
  • 分電盤に焦げ跡がある
  • 電気使用量を超えていないのにブレーカーが落ちる
  • 普段よりも電気代が高くなっている

古い分電盤を使い続けると、経年劣化によって過負荷や回路のショートなどが発生しても、正しくブレーカーが作動しない可能性もあり危険です。

分電盤は、法定耐用年数が15年と定められているため、10年から15年が交換の目安になります。分電盤の状態や寿命が気になるようであれば、4年に1度の電気設備安全点検のとき、点検に来た専門業者に気になっていることを話してみるとよいでしょう。
※電気設備安全点検は電気事業法により義務付けられている点検です。無料で受けることができ、時期が近づくと家庭ごとに通知が送られます。

点検まで待てないような気になることがあれば、ご自身で依頼してください。
点検を依頼した場合は有料ですが、安全な状態かどうか確かめるために重要です。

分電盤関連の修理を行う際は、電気工事士法で定められた第一種または第二種電気工事士の資格が必要です。
電気工事士法とは、電気工事作業者へ資格を定め、電気工事の欠陥や災害発生を防止するための法律です。無資格者による電気工事は、「3万円以下の罰金、または3ヶ月以下の懲役」が科せられる違反行為にあたります。
決してご自身で判断せず、専門業者に依頼してください。

参考:e-GOV 法令検索 電気事業法
e-GOV法令検索 電気工事士法

まとめ

今回は、各種ブレーカーの仕組みと役割、落ちる原因について解説しました。

ブレーカーが落ちた時は、漏電による感電やコードのショートが原因の出火など、命にも関わる事故 へつながる可能性が高まります。慌てず、落ち着いて行動してください。

ブレーカーを元に戻す際に気をつけることは、以下の3つです。

  • 使用家電の電源は切ったか
  • 漏電している箇所はないか
  • 故障した電化製品はないか

分電盤とブレーカーは、住宅内に安全に電気を送り、使い過ぎや漏電などの問題があれば遮断する非常に重要な設備です。電力会社などは、電気事業法により、各家庭の電気設備が基準を満たしているかどうかの調査が義務付けられています。定期点検の通知が届いたら、必ず受けるようにしましょう。

また、近年、電力会社を装った不審なメール(SMS含む)が届くフィッシング詐欺なども発生しています。被害にあわないように電気工事や点検依頼などは、各社公式ホームページから問い合わせるようにしてください。

参考:e-GOV法令検索 電気事業法

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