屋根に降った雨水を集めて、地上へと速やかに排水する役割のある雨樋。水漏れが発生すると、スムーズに排水できなくなり、大切な住まいにさまざまなトラブルを招く恐れがあります。
今回は、雨樋に水漏れが起きる原因と、その解決方法を解説します。さらに自分で補修する方法や、業者に依頼しなければならないケースについても紹介。
現在雨樋から水漏れしている人や、自分で水漏れを修理できるか知りたい人は、ぜひ参考にしてください。
目次
雨樋の水漏れの原因
雨樋から水漏れが起きる主な原因は、以下の3種類です。
適切に対処するためにも、自宅の雨樋からなぜ水漏れが発生したのかを把握しましょう。
傾斜の歪み
雨水をスムーズに排水するために、雨樋は適切な勾配をつけて設置されています。雨樋の傾斜が歪むことでも、雨樋に水漏れが生じます。
以下のような理由で傾斜角度が正常ではなくなると、雨水はうまく排水されません。その結果、歪みや曲がってしまった部分から、水漏れが発生します。
- 積雪や地震などの影響を受けて雨樋が歪んだ
- 雨樋を支えるための支持金具が歪み、勾配不良になった
- 雨樋が詰まり、蓄積した汚れの重みで雨樋が曲がった
破損・外れ
雨樋にひび割れや穴があくなどの破損、部材の外れが生じると、そこから水漏れが生じます。
破損や外れが生じる理由は以下のとおりです。自然災害や飛来物の衝撃、経年劣化によって不具合が生じます。
- 雨樋や支持金具が経年劣化し、耐久性が低下した
- パーツのつなぎ目の接着剤が劣化して隙間ができた
- 飛来物が当たり、割れた
- 地震や積雪の影響で破損・外れた
紫外線や雨風の影響を受け続ける雨樋は、年月が経つにつれて劣化します。雨樋の素材や立地環境、メンテナンスの頻度によっても変わりますが、雨樋の寿命は20年程度です。耐久性が低下すると、少しの衝撃でも破損しやすくなるため、注意が必要です。
詰まり
雨樋のパイプ内に生じる詰まりも、水漏れの原因のひとつです。
屋外に設置されている雨樋には、以下のような、さまざまな汚れがたまります。汚れが蓄積すると、雨樋のパイプの中はやがて詰まってしまいます。
- 落ち葉、花びら
- 飛んできたゴミ、ボール
- 虫の死がい、鳥の巣
- 砂、ほこり
雨樋のパイプ内に詰まりが生じると、地上まで雨水をスムーズに排水することができません。詰まりによってせき止められた雨水は行き場を無くし、雨樋のパーツのつなぎ目などから漏れ出てしまうのです。
ただし雨樋の詰まりによるトラブルは、水漏れだけではなく、水があふれているケースもあることを知っておきましょう。
水漏れか水のあふれかを調べるには、雨の日にどこから雨水がこぼれているかを観察します。水漏れではなく、軒樋や集水器から雨水があふれている場合は、詰まりを解消することであふれを解消できます。トングなどを使って雨樋にたまったゴミを取り除き、それでも詰まりが解消しない場合は、業者に依頼しましょう。
雨樋の水漏れをDIYで解決する方法
雨樋の水漏れをDIYで対処したい人もいるでしょう。つづいて症状に合わせた解決方法を説明します。
ただし、DIYでの補修はあくまでも応急処置であり、補修してもすぐに水漏れが再発する可能性が高いです。とくに20年以上雨樋を使用している場合は、雨樋全体の耐久性が低下しているため、業者に依頼して新しい部材と交換する方がよいでしょう。
アルミテープによる補修
小さなひびや穴は、耐久性や耐水性に優れるアルミテープを使って補修できます。テープを貼るだけで簡単に補修可能ですが、補修箇所が目立つのがデメリットです。
用意するものは以下になります。
- アルミテープ(屋外設備の補修に使用でき、耐水性(防水性)があるもの)
- 雑巾
補修手順は以下です。
1.補修する箇所を掃除する
補修する箇所やその周りの汚れを落とします。雨樋にたまったゴミを取り除き、ぬれた雑巾で汚れを拭いた後、しっかりと乾燥させましょう。
2.アルミテープを貼る
補修箇所よりも少し大きめのサイズにテープをカットして、破損している部分を覆うように貼ります。雨樋にテープを巻き付ける場合は、下方向から上方向に向けて貼ると、水漏れを防げるでしょう。
コーキング修理
建材同士のつなぎ目の隙間を埋める「コーキング剤」を使った補修方法です。固まるとゴム状になり、小さなひび割れや隙間を埋めたい場合に効果的です。
雨樋の色に近いカラーのコーキングを選ぶことで、補修箇所が目立ちにくくなります。
用意するものは以下になります。
- コーキング剤(雨樋など屋外設備に使えるタイプ)
- プライマー(下地材)
- 雑巾
- マスキングテープ
- ヘラ
- (あれば作業しやすい)コーキングガン
補修手順は以下です。
1.補修する箇所の掃除
ゴミを取り除き、ぬれた雑巾で汚れを拭いた後、しっかりと乾燥させましょう。雨樋にゴミや汚れが付着したまま補修をすると、コーキングが剥がれやすくなります。
2.養生
マスキングテープで補修部分を囲むように養生します。周りにコーキング剤が付着するのを防ぎ、きれいに仕上げるための工程です。
3.プライマーの塗布・乾燥
プライマーと呼ばれる下地材を塗ります。次の工程で充填するコーキングをしっかりと密着させるためには、プライマーの塗布が欠かせません。しっかりと乾燥させることも大切です。
4.コーキング剤を充填・成形・乾燥
コーキングガン※を使って、隙間を埋めるようにコーキングを充填します。ヘラで均等にならして成形し、しっかりと乾燥させます。
※コーキングガン:カートリッジに入ったコーキング材を使用する際に必要な工具。手動式・エアー式・電動式の3種類がある。
5.養生を剥がす
コーキングが乾燥したら、マスキングテープを剥がして完了です。
雨樋の水漏れにDIYで対処可能な条件
雨樋の水漏れ修理は、自分で対処できるケースとできないケースがあります。
雨樋修理がDIY可能なのは、以下の2つの条件をどちらも満たす場合のみです。それ以外の場合は、素人での対処が難しいため、業者に依頼しましょう。
- 修理箇所の高さが3m程度までであること
- 部分的な修理で、破損が1~2カ所であること
修理箇所の高さが3m程度までであること
DIYで雨樋修理が可能なのは、修理箇所が3m程度までの高さです。
厚生労働省から発行された「労働安全衛生規則」では、2m以上の場所に立っての作業は、足場を組むなどの安全策を講じることが義務付けられています。2m未満の高さに立って手の届く高さとなると、雨樋修理でDIYが可能な高さは「3m程度まで」といえるでしょう。それ以上の高さでの作業は、転落すると大ケガをする恐れがあるため危険です。
戸建て住宅の1階屋根の軒先の高さは3m前後のケースが多いですが、住宅によっては4m以上の場合もあります。2階以上だけではなく、1階部分でも作業箇所が3m程度よりも高い場合は、自分で対処せずに業者へ依頼しましょう。
部分的な修理で、破損が1~2カ所であること
DIYできるのは、部分的な雨樋修理のみで、破損が1~2カ所である場合です。以下を目安に、DIYが可能か確認しましょう。
- 脚立を使う場合:補修範囲が作業者の肩幅までの大きさ以内
- 地上から立って作業する場合:補修範囲が作業者の立つ場所から手が届く範囲の大きさ以内
- 補修箇所が複数ある場合は雨樋が劣化しているので、業者へ依頼を
補修範囲が広いほど技術力が必要で、水漏れが悪化するなど、素人では失敗する恐れがあります。また、うっかり脚立から身を乗り出して転落し、大ケガをする恐れも。無理に自分で対処しようとせずに、業者に修理を依頼しましょう。
また部分的な補修であっても、複数の破損がある場合は、雨樋が全体的に劣化しているかもしれません。せっかく応急処置をしても、すぐに別の箇所から破損が生じる可能性があります。業者に依頼し、新しいパーツと交換するのがおすすめです。
雨樋修理を業者に依頼するときの注意点
自分で雨樋修理の対応が難しい場合は、業者に依頼する必要があります。
このとき、業者選定は非常に重要なポイントです。業者選びに失敗すると、高額な料金を請求されたり、工事に不備がでたりするからです。
業者に依頼するときに気をつけたいポイントを紹介します。
悪徳業者に注意
国民生活センターには、雨樋工事に関する以下のような相談が寄せられています。
訪問してきた業者に雨どいが壊れていることを指摘され「火災保険の保険金で屋根の修繕ができる。自己負担は一切ない」と勧誘された。点検の結果、50万円の見積書を渡され、保険会社に保険金を請求し、下りた金額で工事をするという契約をした。保険会社からは8万円ほど下りることになったが、よく考えると50万円の見積もりなのに8万円で工事ができるのはおかしい。解約したい。(70歳代 男性)
出典:急増 保険金の利用を口実に自宅の修理を勧誘(国民生活センター)
雨樋修理をする業者の中には、高額請求や手抜き工事をする悪徳業者も存在します。
とくに、突然家を訪ねてくる訪問販売には注意が必要です。居住者の不安をあおる言葉で契約を急かしたり、契約するまで強引に居座ったりするなど、さまざまな手口で契約させようとします。
業者選びは慎重に行い、すぐに契約しないようにしましょう。
相見積もりを取り、比較する
雨樋修理は経験と知識が豊富で、誠実に対応してもらえる業者に依頼したいものです。まずは業者を2~3社に絞り、それぞれに見積もりを依頼して比較する「相見積もり」を取るのがおすすめです。
下記のようなポイントを比較することで、より優良な業者を見極められるでしょう。
- 見積もり金額が妥当
- どのような工事をするのか、わかりやすく、ていねいに説明してくれる
- 質問にも誠実に答えてくれる
- 見積書がわかりやすく、くわしく書かれている
- 実績豊富
雨樋修理の相場
一般的な20~30坪程度の戸建て住宅の場合、雨樋修理にかかる費用の相場は以下のとおりです。さらに足場が必要な場合は10~15万円ほど、廃材が出る場合は処分費用に2~5万円ほど必要になります。費用は業者によっても異なるため、目安として参考にしてください。
修理内容 | 費用相場 |
1カ所の修理・交換 | 1~3万円 |
全体的な塗装 | 4~8万円 |
全体的な交換 | 15~60万円 |
雨樋の水漏れが引き起こす被害
雨樋から水漏れが発生すると、大切な住まいが深刻なダメージを受ける恐れがあります。
家の周りが水浸しになる
雨樋から水漏れが起きると、雨が降るたびに漏れ出た雨水で家の周りが水浸しになります。さらにその水たまりに水漏れした雨水が落ち続けるため、生活するうえで以下のような支障が出るでしょう。
- 玄関周りに水たまりができて家の出入りが不便になる
- 庭の土がでこぼこになって見栄えが悪い
- あふれた雨水が落ちるたびに泥はねが飛んで外壁が汚れる、シミになる
- 雨水がバシャバシャと落ちて騒音が発生する
外壁や土台部分が傷む
正常に機能している雨樋は、建物に降った雨水を集めて、地面へと排水するように導きます。
しかし雨樋が水漏れするとスムーズに排水できず、漏れ出た雨水が外壁や家の土台部分に直接当たります。雨が降るたびに、外壁や土台部分はこぼれた雨水の衝撃を受け続けるでしょう。
直接、雨水が当たることで、外壁塗装が剥がれて防水機能が弱まる、土台部分にひび割れができて劣化が早まるなどのトラブルが生じます。
雨漏りが発生する
雨樋からあふれた雨水が、外壁のひび割れや建材のつなぎ目などから室内へ浸入すると、雨漏りが発生します。
雨漏りは放置すると、建物の基礎部分が腐食してしまい、家の耐久性が大きく低下することに。小さな地震でも家が倒壊するほど深刻なダメージを受ける恐れがあります。
シロアリ被害が発生する
さらに雨漏りによって引き起こされるのが、シロアリによる二次被害です。
雨漏りして木部に水が浸みた家の内部は、カビやコケなどが発生して、湿度の高い状態が続きます。このジメジメとした環境をシロアリは好み、古い木材や腐食した木材をエサにして繁殖します。シロアリが住み着いた家の基礎部分は、食い荒らされて耐久性が大きく低下します。シロアリ被害に気づいたときには、家の基礎部分がボロボロだったというケースもあるのです。
ご近所トラブルに発展する
雨樋の水漏れによるトラブルで困るのは、自宅だけではありません。雨樋からあふれた雨水が落ちるときの騒音や泥はねで、近隣にも迷惑をかける恐れがあるのです。
水漏れを対処しない限り、雨が降るたびに水漏れの被害は発生します。苦情が出るなど、ご近所トラブルに発展する可能性があるでしょう。
雨樋の水漏れ被害を防止する対策
雨樋から水漏れが発生すると、雨漏りやシロアリ被害などさまざまなトラブルを招く恐れがあります。水漏れ被害を防止するための対策を説明します。
雨樋の状態を目視で確認する
屋外に設置されているため、破損や詰まりに気づきにくい雨樋。定期的に不具合がないか、目視でチェックするのがおすすめです。
雨の日に外に出て、スムーズに地上まで雨水が排水されているかを確認します。
また、大きな地震が起きたあとや台風が通過したあとは不具合が生じやすいため、状態をチェックしましょう。破損がないか、歪みがないか、飛来物でゴミが詰まりかけていないかなどを調べます。
定期的に雨樋の状態を気にすることで、万が一雨漏りしても、被害が拡大する前に早めに対処できるでしょう。
定期的にメンテナンスする
雨樋の定期的なメンテナンスは、水漏れ対策に非常に効果的です。パイプ内を掃除することで詰まるのを防ぎます。
業者に依頼すれば、高圧洗浄機などを用いて、雨樋のパイプ内に付着した頑固な汚れもきれいに落とすことができます。また、雨樋の状態も合わせて点検してもらうと、劣化や破損に早めに対処できるでしょう。
雨樋のメンテナンスは年に1度の頻度で行うのが理想的ではありますが、他の場所の掃除などもあるため、なかなか計画通りにできない人もいるでしょう。忙しい方は、2~3年に1度を目安にメンテナンスしましょう。
雨樋の水漏れの修理に火災保険は使える?
台風や豪雪などの自然災害により、雨樋が破損して水漏れした場合は、ご自宅で加入している火災保険が適用される可能性があります。
自然災害による被害を受けたら、早めに申請することが大切です。まずは、加入している火災保険の内容を確認してみましょう。雨樋だけではなく、屋根やカーポートも補償対象である可能性があります。
まとめ
今回は雨樋の水漏れが起きる原因と、解決方法について解説しました。
雨樋からの水漏れは、放置すると雨漏りやシロアリ被害にまで拡大する恐れがあります。ご自宅の寿命を長く保つためにも、雨樋のメンテナンスを定期的に行い、水漏れに気づいたら早めに対処しましょう。
雨樋の水漏れは、場合によってはDIYで解決可能な場合もありますが、あくまでも応急処置です。高所での作業は転落する恐れもあるため、少しでも不安がある人は業者に依頼する方がおすすめです。
住まいのトラブルを解決するエキスパート『イエコマ』では、「雨樋修理サービス」を承っております。雨樋からの水漏れは、ご自宅の寿命を縮めることにつながります。雨の日になると家の周りが水浸しになる、雨樋から水が落ちて騒音が発生している、という方はイエコマへご相談ください。
またイエコマでは「雨どい保守サービス」も行っております。屋外にあり、不具合に気づきにくい雨樋は、定期的なメンテナンスが欠かせません。「雨樋のパイプの中をきれいに洗浄したい」「破損がないかチェックして欲しい」という方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
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