瓦の撤去にかかる費用はいくら?|葺き替え・補修の目安や費用もお知らせします

震災や台風のニュースで、瓦屋根の家が崩れたり、瓦が飛ばされて屋根にブルーシートがかかっていたりする映像を目にしたことはないでしょうか。これらの映像を見ると、
「瓦屋根の家は災害に弱いのではないか」
「瓦を撤去してほかの屋根材に葺き替えた方がいいのか」
と心配になりますね。

しかし、すべての瓦屋根が災害に弱いわけではなく、瓦屋根の家の大半は地震や台風が来ても安全です。瓦の撤去には高い費用がかかります。瓦以外の屋根材などへの葺き替えを行うか、補修などのメンテナンスをすべきかの見極めが重要でしょう。

この記事では、瓦の撤去にかかる費用の目安をお伝えするとともに、瓦屋根を補修する目安をご紹介します。この記事を読んで、必要なタイミングで適切な屋根の補修を行う参考にしてくださいね。

瓦の撤去にかかる費用

まずは、既存屋根の瓦を撤去するのにかかる費用をみていきましょう。瓦の撤去に付随してかかる費用も紹介します。

瓦の撤去費用

瓦の撤去費用の目安は、1平方メートルあたり2.500~5,000円程度です。30坪の一般家屋の屋根(屋根面積55~65平方メートル前後で計算)では約160,000~280,000円ほどかかると考えられます。
ただし、屋根面積は屋根の勾配(こうばい/屋根の傾斜のこと)によって異なるため、実際の屋根面積は家の図面などを元に屋根の補修業者に計算してもらいましょう。
瓦の撤去費用には、撤去した瓦の廃棄費用も含まれることが大半です。しかし、屋根の修理業者によっては廃棄費用を別途計上している場合もあるため、注意しましょう。

瓦の撤去に付随してかかる費用

瓦を撤去するにあたっては、撤去に付随する作業の費用がかかります。ここでは、平均的な30坪の一戸建てで計算しています。

足場代

屋根など高所での作業に際しては、作業員の安全を確保するための足場の設置が義務づけられています。足場代は、約100,000~300,000円前後です。

新しい屋根材に葺き替える費用

瓦を撤去したら、新しい屋根材で葺き替える必要があります。葺き替え費用は屋根材の種類によって異なります。

  • スレート瓦(コロニアル):約220,000円~(単価約4,000円/平方メートル)
  • ガルバリウム鋼板:約330,000円~(単価約6,000円/平方メートル)

下地補修費

屋根材の下には、雨水が屋根本体に浸み込まないように防水シートが張ってあります。瓦を撤去して新しい屋根材に葺き替える場合はこの屋根材も新しくします。下地補修の費用は、約30,000~100,000円です。

諸経費

家のリフォーム工事では、屋根業者の運営費(人件費、事務管理費、宣伝費など)全般が諸経費という名目で工事費に加算されることが大半です。
諸経費は工事費用の10%前後が相場といわれています。

そのほか

瓦を撤去するときに下地の不具合が見つかった場合、不具合の程度に応じて補修する必要があります。

瓦屋根は重ね葺きができない

ここまでご紹介したとおり、瓦の撤去にはかなりの費用がかかります。「瓦を撤去せずに上から別の屋根材で覆えばいいのでは?」と考えた人もいるのではないでしょうか。
しかし、瓦屋根は、別の屋根材を重ねる「重ね葺き」ができません。これは、瓦は他の屋根材よりも重量があるためです。重い瓦屋根の上をさらに他の屋根材で覆うと、家の基礎にかかる負荷が増え、家屋の耐震性に影響するおそれがあるのです。

その瓦、本当に今が撤去や葺き替えのタイミング?

瓦は本来、耐久性がとても高い屋根材です。問題のない瓦屋根を他の屋根材で葺き替えるのはもったいないかもしれません。瓦を撤去するべきか、それともメンテナンスを行えば十分住まいの安全を保てるかを確認する必要があります。

瓦は本当に台風などの災害に弱い?

まず、瓦の撤去を検討している理由が「台風や震災などの災害に弱そう」ということであれば、それは誤解です。

「ガイドライン工法」に従っていれば大きな被害が起きる可能性は低い

瓦工事業者の団体「全日本瓦工事業連盟」では、瓦屋根の施工について耐震性能や耐風性能を確保するための統一基準を設けています。それが「瓦屋根標準設計・施工ガイドライン」で、このガイドラインに沿った施工を「ガイドライン工法」といいます。
ガイドライン工法で施工された瓦屋根は、台風で新幹線並み(時速250km)の強風でも瓦がずれたり飛散したりしない強度があります※1。各地で大きな被害をもたらした2019年の台風15号の際も、ガイドライン工法で施工された家屋では瓦の飛散は確認されませんでした※2。また、阪神淡路大震災クラスの震度7相当の地震でも瓦が崩れないことが実証実験で確認されています※3。

※1:ガイドライン工法なら台風の強い風にも安心(一般社団法人全日本瓦工事業連盟)
※2:令和元年台風第15号による被害と瓦屋根の安全性について(一般社団法人全日本瓦工事業連盟)
※3:数々の実験で証明される「耐震性」(一般社団法人全日本瓦工事業連盟)

地震による家屋の倒壊は、住宅そのものの耐震性能によるところが大きい

瓦は重量があるので震災に弱いと思っている人も多いのではないでしょうか。
実際には、1981年・2000年の建築基準法改正によって住宅の耐震性能は大幅に強化されています。瓦屋根の住宅は、屋根の重さに耐えられる強度の壁にすることが義務づけられているので、瓦屋根だから他の屋根材より地震に弱いということはありません。
前項でも紹介した全日本瓦工事業連盟が行った瓦の耐震性を測る実験では、耐震基準を満たしていない住宅は倒壊するものの、ガイドライン工法で施工された瓦屋根に崩れはみられませんでした。この実験からも、「地震で家が崩れるのは瓦のせい」というイメージは誤解だといえるでしょう。

こんな屋根の瓦は要注意

ザ瓦屋根

ガイドライン工法に準拠していない葺き方の瓦

ガイドライン工法で施工されていない場合、瓦の状態によっては地震や台風で瓦が崩れたり飛散したりするおそれがあります。

コンクリート瓦、セメント瓦

セメント瓦屋根

1970年代から1980年代頃、コンクリートやセメントを瓦の形に成型し、塗料を塗って見た目は粘土瓦のように仕上げた瓦が流通していたことがあります。これらの瓦は、見た目は粘土で成型し釉薬をかけ高温で焼成した粘土瓦と似ていますが、耐久性は劣ります。瓦の防水性を維持するためには10~15年ごとに再塗装が必要で、定期的に高額な補修費用がかかることになります。すでに製造されていない型番も多くありますので、古いコンクリート瓦やセメント瓦は葺き替えを検討するのもひとつの方法です。

1981年以前に建てられた家の屋根瓦

1981年の建築基準法改正以前施工以前に施工された住宅は、耐震性能が不十分である場合があり、瓦屋根の重さに家屋が耐えられないおそれがあります。
自治体によっては、1981年以前に建てられた住宅の耐震診断や耐震改修に補助金制度が利用できます。屋根に限らず、住宅全体の耐震性を確認し、安全性を確保するとよいでしょう。

瓦屋根のメリット

「瓦屋根が災害に弱い」は誤解であるとお伝えしてきました。瓦は、多くの長所がある優れた屋根材です。瓦を撤去することを検討している人には、瓦のメリットを知った上で判断することをおすすめします。

耐久性が高い

釉薬をかけ高温で焼成した瓦は、高い耐久性を誇る屋根材です。直射日光にさらされ続けても劣化せず、途中で塗装する必要もありません。適切なメンテナンスを行っていれば50年以上長持ちするといわれています。

断熱性・防音性が高い

瓦には厚みと重量があり、そのため熱伝導率が低い屋根材です。瓦屋根は、夏の直射日光や高温、冬の外気の冷たさを伝えにくいので、室内の温度変化が緩やかです。
音は厚みと重量がある素材のほうが伝わりにくくなるため、瓦屋根は防音性も高いです。

凍害が起きにくい

瓦は吸水性が低い素材であるため、屋根材内部の水分が凍結・融解を繰り返すことで生じる割れや欠けが起きにくいです。

重厚感がある

和風の住宅には、瓦で葺いた重厚感のある屋根がよく似合います。

瓦屋根にはデメリットもある

長所が多い瓦ですが、欠点としては割れやすい点が挙げられます。ガイドライン工法で強風でも飛ばされないように施工した瓦でも、飛来物がぶつかると割れることがあります。
また、瓦の重量を支える強度が壁に求められるため、ガルバリウムやトタンなどの軽い屋根材から瓦に葺き替える際には壁の強度も上げる必要があります。

瓦屋根のメリット・デメリットはこちらの記事で詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

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屋根の修理や張り替え(葺き替え)工事の費用や支払いは?

屋根の修理や葺き替えにかかる費用や、工事費の支払い方法、業者とトラブルになった場合の対処法をまとめました。

屋根の修理や張り替え(葺き替え)工事にかかる費用

葺き替え

瓦葺き職人

新しい屋根材の価格によって葺き替え費用は変わってきますが、30坪前後の平均的な広さの戸建ての場合で100万円以上かかることを見込んでおきましょう。

アスベストを含むスレートの葺き替え

スレートとは、セメントに繊維状の原料を混ぜて薄板状に成型し表面を塗装した屋根材です。日本の一般家屋で広く採用されている屋根材ではありますが、2004年に法律で禁止されるまで原料にアスベスト(石綿)が使用されていた点に注意が必要です。
アスベスト入りのスレートも、屋根材として利用している間は健康被害を心配する必要はありません。ただし、撤去の際にはアスベストの飛散を防止する必要があるため、追加費用が発生します。
アスベストを含むスレートを葺き替える際には、上記の葺き替え費用とは別に約30万~50万円前後の費用がかかると見込んでおきましょう。

重ね葺き

重ね葺きとは、既存屋根の上に新しい屋根材を重ねる工法です。新しい屋根材には軽量なガルバリウム鋼板を使用するのが一般的です。費用は、30坪前後の平均的な広さの戸建ての場合で80万~120万円前後かかります。

塗装

スレートやセメント瓦、コンクリート瓦は屋根材自体には防水性がないため、定期的(10~15年ごと)な塗装で屋根材の防水性を維持する必要があります。費用は、30坪前後の平均的な広さの戸建てで50万~70万円ほどです。
金属屋根は吸水性がないので防水性が高い屋根材ですが、錆を防ぐために定期的な塗装が必要です。ガルバリウム鋼板の屋根なら10~20年ごと、とくに錆びやすいトタン屋根なら7~10年ごとの塗装が必要となります。
金属屋根の塗装では、サビや古い塗膜を除去するケレンという作業が必要です。屋根の状態に応じて1平方メートルあたり600~2,000円の費用がかかります。つまり、上で紹介した屋根の塗装費用(50万~70万円)に加えて、5万~15万円は余分にかかると見込んでおきましょう。

瓦の補修

瓦屋根チェック

瓦やスレートは衝撃に弱く、台風や強風で飛来物がぶつかると割れることがあります。放置すると雨漏りなどの原因になるので、早めに補修しましょう。割れた瓦を数枚交換する程度の補修であれば、費用は1万~5万円前後です。

屋根修理に関する基礎知識はこちら

屋根を修理する際のチェック内容や修理内容など、くわしい情報をこちらの記事で紹介しています。ぜひ参考にしてください。

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屋根を修理しておかないとどうなる?

屋根の修理費用が高額なので驚いた人も多いのではないでしょうか。しかし、屋根の修理を後回しにすると深刻なトラブルに見舞われるおそれがあります。

雨漏り

雨漏り見つめる女性イラスト

屋根材のヒビや割れなどの不具合を放置すると、やがて屋根材の下の防水層も傷み、雨漏りの原因となります。すぐに雨漏りに気づかなかった場合、屋根や壁の木材が腐敗して強度が損なわれたり、シロアリが発生したりする原因にもなりえます。
また、電気機器類や配線内部に雨水が浸入して漏電を引き起こし、感電したり火災が起こったりすることも考えられます。

飛散した瓦でトラブルになるおそれ

正しい工法で施工されている瓦であれば台風や地震などの災害でも大きく崩れることはありません。しかし、瓦がきちんと固定できていない場合には、瓦が落ちるなどのトラブルが起こることがあります。
屋根に被害が出るだけでなく、近隣の家にぶつかって傷をつけたり、通行人にぶつかって怪我をさせたりすることもあるのです。

屋根修理費用の支払い方法

瓦数枚の交換であれば数万円で済む屋根修理ですが、塗装や葺き替えを行うと数十万円以上かかりその費用は高額になります。この章を読み、費用を支払うタイミングや支払い方法、万が一修理業者とトラブルになった場合の対処法を確認しておきましょう。

屋根修理工事の費用を支払うタイミング

屋根修理の費用を支払うタイミングは、以下の4つが考えられます。

  • ①修理前に全額支払う
  • ②修理前に着手金を支払い、修理後に残りを支払う
  • ③修理前に着手金を支払い、残りは工事中、工事完了後に分けて支払う
  • ④修理が完成後に全額支払う

どのタイミングでの支払いになるかは業者によって異なりますが、工事の着手前に全額支払うのは不安がありますね。先払いすることによって、工事に不備や手抜きがあっても金額交渉が難しくなることも考えられます。
修理業者の事業規模によっては難しい場合もありますが、可能な限り④の全額工事完成後の支払いを交渉してみましょう。

屋根修理工事費用の支払い方法は?

葺き替えや塗り替えなど、時には100万円を超える屋根の修理費用。現金ですぐに支払うのが難しい場合もあるでしょう。
修理業者によってはクレジットカードでの支払いが可能な場合もあります。事前に支払い方法を確認しておきましょう。
また、高額なリフォームではリフォームローンを利用するのもひとつの方法です。事前に審査が必要で金利もかかる点に注意が必要ですが、工事費の支払いに不安がある場合は検討してみるとよいでしょう。

屋根修理の業者とトラブルになってしまったら

カラフルエプロンで困る女性

公益団体である住宅リフォーム・紛争処理支援センターによると、住宅リフォームに関するクレームや相談は年々増加傾向にあり、2018年には11,744件もの相談がありました。
工事業者が瑕疵(かし)保険に加入していれば、工事内容に欠陥やミスが認められた場合は保険会社から保険金を支払ってもらえるので安心です。リフォーム会社が瑕疵保険に加入しているかどうかは、住宅瑕疵担保責任保険協会のホームページで確認できます。屋根の修理やリフォームを依頼する業者を選ぶ際には住宅瑕疵担保責任保険協会の「登録事業者等の検索サイト」も参考にすると、万が一の場合にも安心です。
保険加入の有無に関わらず、工事業者にクレームを申し立てたり交渉したりするのは負担が大きいものです。信頼できる修理業者を選ぶことでトラブルの可能性は格段に低くなるので、実績や利用者の口コミなども参考に、優良業者を選ぶようにしましょう。

※参考:住宅相談統計年報2019(公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター)

優良な屋根修理業者を見つけるには?

屋根の修理をしたのに不具合が改善しなかったり、あとから高額な追加費用を請求されたりすることは避けたいものです。適正な価格で、希望したとおりの工事がきちんと実施されてこそ、満足できる屋根修理工事といえるでしょう。そのためには、優良な屋根修理業者を見つけることが重要です。どのような点に注意して業者を選べばよいかを以下にまとめました。

屋根工事の実績が豊富

屋根工事と一口にいっても、屋根材によってその特性は異なります。屋根の工事を数多くこなしている実績があるのはもちろんのこと、たとえば瓦の葺き替えができるかなど、自宅の屋根材に精通した業者を選ぶとよいでしょう。

瑕疵保険加入業者である

前章で紹介した瑕疵担保保険の加入業者であれば、万が一のトラブルがあった場合でも安心です。

見積もり前の現地調査をきちんとしている

現地調査をきちんと行わなければ、正しい見積もりを作成できない上、不具合を見落とすおそれもあります。屋根の修理なのに屋根の状態も確認せずに見積もりを出す業者は避けるほうが無難でしょう。

見積もりの内容が詳細でわかりやすい

工事内容が思っていたのと違っていた、などのトラブルは、きちんとした見積もり書があれば防ぐことができます。優良な工事業者は、見積もりを工程ごとに細かく分け、それぞれにいくらかかるのか内訳を明確にしているものです。
「屋根工事一式」など、工事一括の金額しか提示せず、明細も添付しない業者は避けましょう。

訪問販売のリフォーム業者は避ける

リフォームに関するトラブルの多くが訪問販売のリフォーム業者によるものです。国民生活センターでも、訪問販売によるリフォーム工事や点検商法への注意喚起を行っています。すべての訪問販売業者に問題があるわけではありませんが、注意するに越したことはないでしょう。

※参考:独立行政法人国民生活センター 訪問販売によるリフォーム工事・点検商法

まとめ

瓦の撤去は費用がかかるので、まず撤去が本当に必要かどうかの見極めが重要であること、瓦の撤去をはじめとする屋根の工事をする際に注意していただきたい点をまとめました。この記事が、あなたが屋根工事をする際の参考になれば幸いです。

瓦を撤去する前に、まずは瓦屋根の点検を行ってみましょう。簡単な修理で十分な場合もあります。瓦屋根の点検や修理であれば、イエコマの「瓦の差し替え・ズレ補修」がおすすめです。

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