屋根が破損したら、雨漏りが起きないか心配ですよね。すぐに修理したいところですが、心配なのは修理費用です。今回は屋根修理にかかる費用を紹介します。相場を知り、優良な業者を選べるようにポイントや注意点を確認しましょう。場合によっては、火災保険や各自治体による助成金が適用になる可能性もあります。
目次
【まず確認】自宅の屋根はどんな屋根?
自宅に使われている屋根の材料を答えられる人は、案外少ないものです。修理を始める前に、まずは自宅の屋根材が何か把握しておきましょう。
現在使われている代表的な屋根材は「スレート屋根」「瓦屋根」「金属屋根」の3種類です。種類ごとの特徴と屋根材の確認方法をチェックしましょう。
スレート屋根
スレート屋根は、セメントを主原料とした、薄く平らに加工した屋根材です。スレート屋根の多くは、表面に塗装が施してあります。商品名から「カラーベスト」「コロニアル」と呼ばれることもあります。価格が安く軽量で、カラーバリエーションが豊富なことから、現在もっとも普及している屋根材です。
薄くて割れやすく、塗装により防水しているため、塗装などの定期的なメンテナンスを要します。耐用年数は20年ほどです。
瓦屋根
瓦は古くから日本で使用されている屋根材です。原料により「粘土瓦」や「セメント瓦」などに分かれます。
粘土瓦は、粘土を高温で焼いて作られる瓦です。耐火性、耐水性に優れ、定期的に点検・補修を行えば耐用年数は50年以上といわれています。
セメント・水・砂を混ぜて成形して作られるセメント瓦は、価格が安く製造しやすいことから1970年頃の高度成長期に広く普及した屋根材です。時が経つにつれて、塗膜(塗装によって塗料が固まり生成される塗料の膜)が剥げたり色あせしたり、瓦の内部に雨水が染み込むことによりセメント瓦自体の劣化が起こります。耐用年数は約30~40年で、塗装など定期的なメンテナンスが必要です。
金属屋根
以前は「金属屋根」といえばトタン屋根が一般的でした。軽量で低価格なために、高度成長期に普及しましたが、錆びやすく約10年で塗装などのメンテナンスが必要になります。塗装では、表面のサビ汚れを擦り落として塗料の密着性を高める「ケレン」を行い、サビ止め用塗料を塗った後に塗装を行います。サビや穴など傷みがひどい場合は、張り替えや重ね葺き、葺き替えが必要です。
耐久性が低いトタンに変わり、現在は腐食に強く耐用年数が約30年のガルバリウム鋼板が普及しています。ガルバリウム鋼板は、鉄の周りをガルバリウムという合金でメッキした屋根材です。トタンと同じように、ケレンを行い、サビ止め用塗料を塗ってから塗装を行うメンテナンスを行います。
屋根材の確認方法
自宅近くに屋根を見下ろせる建物や道路、坂道などがあれば、安全に屋根を確認できます。可能であれば屋根の状況も確認し、破損箇所や汚れ具合をチェックしましょう。
見下ろせる場所がない場合は、家の外観が見渡せる少し離れた位置から望遠鏡などを使って、屋根を観察します。観察の際は車や通行人に気をつけましょう。
はしごを使って実際に屋根へ上るのは、落下してケガをする恐れがあり、大変危険です。ドローンなどを使って屋根の状況を確認するのも、操作に失敗して屋根を傷つける可能性があるため、おすすめしません。
【種類別】屋根の修理費用の目安
屋根修理の相場は、屋根材により異なります。上記で紹介した主な屋根材の修理方法や費用を確認しましょう。
スレート屋根の修理費用
新築時のスレート屋根は、表面の塗膜が雨水を弾きます。しかし、紫外線や雨風にさらされ続けることで塗膜が劣化すると、剥がれて防水性が低下し、ひび割れが起こりやすくなります。
スレート瓦に生じた小さなひび割れは、シーリング剤といわれるゴム状の目地材でひびを埋めるように充てんして補修します。相場は1mあたり約1,000円です。
0.3mm以上のひび割れやスレート瓦のズレ・めくれ・割れが生じた場合は、新しい瓦と差し替えます。相場は1枚あたり約5,000~3万円です。
瓦屋根の修理費用(粘土瓦)
耐用年数が50年以上と非常に長い粘土瓦ですが、定期的なメンテナンスは必要です。
瓦を土台部分に固定するために塗られている漆喰(しっくい)は、雨風などの影響でひび割れや崩れが起こります。約10~15年が漆喰のメンテナンスの目安で、漆喰の埋め直しを行います。1mあたり約4,000~7,000円が相場です。
また、粘土瓦は地震や台風などの自然災害により、割れることがあります。瓦が割れたりずれたりした場合は、新しい瓦と交換します。1枚当たり1万~5万円が相場です。
瓦屋根の修理費用(セメント瓦)
セメント瓦が色あせていたら、メンテナンスの時期です。セメント瓦は現在生産されていないため、代替品が無く部分補修できない可能性が高いです。
補修する場合は塗装、または粘土瓦やガルバリウム鋼板など他の屋根材に葺き替え(ふきかえ)をします。塗装や葺き替えについては次の章でくわしく説明します。
金属屋根(トタン)の修理費用
金属屋根のトタンは、紫外線や雨風の影響で劣化し、色あせやサビが発生しやすいのが特徴です。劣化で屋根が剥がれたりサビが進んで穴が開いたりしたら、新しいトタンと交換します。部分補修の相場は1平方メートルあたり4,000~1万円が相場です。
金属屋根(ガルバリウム鋼板)の修理費用
同じ金属屋根のトタンと比べると錆びにくいガルバリウム鋼板ですが、色あせやサビ、汚れの付着などは起こります。約10~15年おきに塗装のメンテナンスが必要です。凹みや傷がある場合も塗装で補修します。塗装の相場は次の章で説明します。
雨漏りの修理費用
屋根から雨漏りが生じた場合は、被害の大きさにより修理費用も大きく変わります。
部分補修で直る場合は数万円ほどで修理できる場合が多いです。しかし、屋根の下の基礎部分まで腐食している場合は、100万円以上と高額になるケースも少なくありません。
雨漏り修理は原因となる場所を特定するのが難しい作業です。そのため、熟練の職人でも、修理後に雨漏りを繰り返すことがあります。万が一雨漏りが再発したときでも、しっかりとしたアフターフォローが受けられる業者と契約することが大切です。
雨漏りの修理費用についてくわしくはこちらの記事をご参照ください。
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屋根まわりの付帯部分の修理費用の目安
雨戸や配管などの、建物本体に付帯している部分を「付帯部分」といいます。屋根や外壁と同じように、付帯部分も紫外線や雨風の影響を直接受けて劣化しやすい場所です。
屋根まわりの付帯部分には、下記のようなものがあります。
- 屋根の頂上にある「棟(むね)板金」
- 屋根の側面にある「破風(はふ)板」
- 屋根の裏側にある「軒天(のきてん)」
- 屋根に降った雨水を集めて排水する役割のある「雨樋(あまどい)」
棟板金の補修
棟板金は、スレート屋根や金属屋根の頂点にある、とがった板金です。経年劣化でクギの抜けや浮き、棟板金の剥がれなどが起こります。新しくクギを打ち、クギが抜けないようクギ頭をコーキングで留める場合は約1万~3万円、新しい棟板金と交換する場合は20万円以上が相場です。
破風板・軒天の補修
破風板や軒天は塗装して補修します。数万円ほどで塗装できますが、足場を組む必要があり、足場代が15万~20万円ほどかかります。外壁や屋根の塗装とあわせて行うことが多いです。
破損している場合は新しい部材と交換します。屋根周りの破風板や軒天を交換する場合も足場を組まなければなりません。足場代も含めて、破風板や軒天の交換には20万~30万円ほどかかります。
雨樋の補修
小さなひび割れや穴が開いている場合は、雨樋補修用のテープで簡単に修理できます。ただし、一時的な応急処置なので、きれいに修理したい場合や高所の雨樋を修理する場合、全体的に色あせや破損などの劣化が見られる場合は、業者に依頼しましょう。部分補修の場合は、1カ所につき約1万~3万円が相場です。
部分修理ではなく全体工事(リフォーム)の選択肢も
以下のような場合は、部分修理ではなく、全体的なリフォーム工事を検討しましょう。
- 被害が大きい
- 全体的に劣化している
- メンテナンスの時期が近い
部分的な修理を繰り返すと、かえって金額がかさむこともあります。早めに全体的なメンテナンスを行うことで家の寿命を永く保つことができます。雪止め金具を取り付けたい場合や付帯部分の補修をしたい場合は、リフォームで足場を組む機会に同時に施工するといいでしょう。
塗装
屋根を塗り替えると見た目が美しくなるだけではなく、防水性、耐久性を高めることができます。高圧洗浄機で汚れを洗い流し、破損個所の修復をした後に重ねて塗装することで耐久性を高める方法です。
スレート屋根や金属屋根、セメント屋根には定期的な塗装が必要です。塗装ではカバーしきれないほど劣化している場合は、重ね葺きや葺き替えが必要になります。
塗料の単価や屋根の面積により変わりますが、30万~80万円ほどが相場です。
重ね葺き(カバー工法)
重ね葺き(カバー工法)は既存の屋根材の上から防水シートと新しい屋根材を取り付ける工法です。既存の屋根を取り外して新しい屋根材に葺き替えるよりも手間がかからず、費用が抑えられます。屋根全体の重量が増すため耐震性が低下する点がデメリットで、瓦屋根や内部まで腐食が進み修繕が必要な屋根には向かない工法です。
屋根の面積や屋根材により変わりますが、80万~120万円ほどが相場です。
葺き替え
既存の屋根を撤去して新しい屋根材に替える方法です。既存の屋根を取り除くため重ね葺きよりも工期や費用がかかりますが、屋根が新築時と同じ状態に生まれ変わります。
下記のような場合は、葺き替えを検討した方がいいでしょう。
- 経年劣化により屋根が寿命を迎えた場合
- 不具合が多く報告されている屋根材が使用されている場合(ニチハの「パミール」など)
屋根の面積や劣化具合、屋根材により費用が変わり、100万~200万円ほどが相場です。
古いセメント瓦や2006年以前に製造されたスレートのなかにはアスベストを含んでいるものもあります。そのため撤去する際はあつかいに注意を要し、廃棄するには高額な処分費用が必要です。屋根の形状や面積にもよりますが、一般的な大きさの住宅(30坪)で20万円以上が目安になります。
くわしくはこちらの記事をご参照ください。
「劣化してきた家の屋根が心配」と、リフォームを検討しているご… 屋根の葺き替えの費用や流れを解説!メンテナンスしないとどうな…
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屋根の修理/メンテナンスの時期はいつ?修理しないとどうなる?
屋根材や塗料の種類により耐用年数が異なるため、屋根のメンテナンスの時期は住宅ごとに違います。
しかし、耐用年数を過ぎていないときでも、瓦の割れやズレが発生する可能性があります。とくに台風や地震の後は、住まいにトラブルが起こりやすく注意が必要です。
屋根の破損から発生した雨漏りを放置すると、家の基礎部分まで腐食する事態に発展します。
家の寿命を永く保つためにも、自宅の屋根のメンテナンスの時期を把握し、こまめに屋根の状況を確認しておくことが大切です。
屋根修理の注意点とポイント
屋根修理で大切なのは、破損や不具合を見つけたらすぐに修理をすることです。小さなひび割れや穴でも雨漏りが起きることがあり、放置すると被害が拡大します。
また、業者選びも非常に重要なポイントです。複数の業者に見積もりを依頼する相見積もりを行い、信頼できる業者と契約するようにしましょう。
雨漏りを放置することで起きる被害について、以下のコラムでくわしく知りましょう。
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屋根修理はどこに依頼する?
屋根の修理は、複数の業者に見積もり依頼をして見積もり書を比較・検討し、優良な業者と契約することが非常に重要です。
業者の種類
新築の引き渡しから10年以内で屋根が破損した場合は、住宅を建てた業者へ連絡しましょう。住宅瑕疵(かし)担保責任保険により、住宅に欠陥があった場合は補償してもらえます。
10年を超えた場合は、屋根修理の専門業者へ連絡しましょう。全体修理のみで、部分修理を受け付けていない業者もあります。全体修理は高額で100万円を超える可能性があります。
屋根全体が劣化していると全体修理を勧められることもありますが、部分修理が可能か質問してみましょう。部分的な処置で修繕できる場合にそれを説明し、快く部分補修に応じてくれる業者を選びましょう。
業者の選び方
雨漏りが発生したら、すぐに修理したい気持ちから焦って業者を選びがちです。しかし、なかには手抜き工事をしたり詐欺や高額請求をしたりする悪徳業者も存在します。飛び込み営業をする訪問販売のトラブルも後を絶ちません。
屋根修理は経験豊富で親切・ていねいな仕事をする業者と契約しましょう。相見積もりを取り、現地調査の際は優良な業者かどうか、担当者をよく観察することが大切です。
優良な雨漏り業者か見極めるポイントは、以下のコラムを参考にしてください。
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2020.10.26イエコマ編集部
屋根の修理に火災保険や補助金が使える?
リフォームローンも用意されているほど、屋根修理は高額なケースが多いです。しかし、支払えないからといって修理を先延ばしにすると、さらに被害が拡大して修繕費がより高くなることもあります。
実は無料で屋根の修理ができる可能性もあります。屋根の雨漏り修理に火災保険が適用されるケースがあるのをご存知ですか?強風や豪雨・雪災などが原因で屋根に破損が起きた場合は、修理費用が補償されるかもしれません。雨漏りにより被害を受けた家財も補償される可能性があります。
屋根修理に火災保険が適用される条件については、以下のコラムをご参照ください。
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2017.3.7イエコマ編集部
また、お住まいの地域によっては、屋根塗装や外壁塗装に自治体が補助金や助成金を出していることもあります。各自治体のホームページなどで、制度の有無や、制度の条件・内容を確認してみましょう。
屋根修理のDIYは危険!
屋根は高所にあるので、修理には危険が伴います。屋根の汚れ具合、突風などの天候条件によっては滑りやすく、傾斜やクギなどもあり足場は不安定です。一歩間違えると、落下して命に関わる事故が起きる危険性があります。
応急処置のつもりでDIYした結果、屋根の損傷を広げる可能性もあります。安易にDIYで屋根修理を行わないようにしましょう。
まとめ
雨漏りの原因にもなる屋根の破損は、早めに修理することが大切です。また、修理の際には優良な業者と契約することが非常に重要です。相見積もりを取り、今回紹介した屋根修理の相場を参考に見積もり書を比較してみましょう。
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