瓦工事の見積もり書のチェックポイント

お住まいの屋根瓦にズレや破損を発見した場合は、瓦が落下したり雨漏りしたりする前に補修することが大切です。まずは複数の業者に相見積もりを依頼し、見積もり書を比較・検討しましょう。
今回は瓦工事の見積もり書の見方について紹介します。瓦工事では優良な業者と契約することが非常に重要です。この記事を参考に、業者ごとに見積もり書を見比べれば、より優良な業者を見極めることができます。

瓦工事の種類と相場

瓦工事の種類とその相場は、屋根の被害状況により大きく変わります。破損箇所が小さい場合は部分修理で済みますが、被害が大きい場合は葺き直しなど屋根全体を修理しなければなりません。
くわしい修理内容と相場について確認しましょう。

瓦の部分修理の種類と相場

瓦の一部だけ破損している場合は、部分的な補修で対応できます。ただし、足場を組む必要がある場合は、さらに足場代が必要です。30坪の一軒家の場合は、15万~20万円ほど追加でかかります。

コーキング:1カ所につき5,000円程度

棟瓦コーキング

屋根にできた小さな隙間や穴、ひび割れには「コーキング」といわれる補修剤を充てんします。コーキングは応急処置となる補修方法です。いずれは新しい部材へ交換する必要があるので、他の部材の劣化具合をみながらあわせてメンテナンスをしましょう。

瓦の差し替え:1万~5万円程度

瓦差し替え

一部分だけ破損しており被害が小さい場合は、破損箇所の瓦を差し替えて補修します。差し替える範囲の広さにより相場が変わり、1万~5万円程度です。業者によっては瓦1枚から差し替え可能な場合もあり、さらに安価に修理することができます。

屋根修理の種類と相場

瓦だけではなく、屋根のほかの部材や屋根全体に破損が見られる場合は、修理費用も高くなります。約30坪の建物の平均相場は以下のとおりです。高所での作業となるため、以下の料金に加えて足場代が15万~20万円ほど必要となるケースが多いです。

漆喰(しっくい)の詰め直し(漆喰補修):3万~50万円程度

漆喰詰め直し

屋根の漆喰は、瓦と瓦の隙間を埋めるように塗られており、瓦を屋根に接着し安定させる役割があります。漆喰は、雨風や紫外線にさらされ続けることで劣化して剥がれます。そのため、定期的なメンテナンスが必要です。瓦の落下や雨漏りを防ぐためにも、漆喰に不具合が起きたらすぐに修理しましょう。
漆喰を詰め直す範囲により、かかる費用は大きく変わります。

谷板金の交換:10万~30万円程度

谷板金は屋根と屋根とが出会う谷部分に設置された板金のことで、「谷樋(たにとい)」とも呼ばれます。屋根に降った雨水は谷板金へ集まって流れ落ち、排水されます。
谷板金に穴が空いたりゆがんだり、腐食したりした場合は新しい谷板金と交換しなければなりません。相場は10万~30万円程度です。

棟瓦(むねがわら)の交換:数万~30万円程度

棟瓦交換

瓦屋根の頂点に設置される瓦を棟瓦といいます。雨風や紫外線の影響を直接受けるため破損しやすく、定期的なメンテナンスが必要な部材です。ゆがみやズレ、傾きなどが起きた場合は土台の漆喰からやり直して補修します。
補修範囲や使用する部材のグレードにより費用が大きく変わります。

瓦の葺き替え・葺き直し:70万~150万円程度

瓦葺き直し

既存の屋根瓦をすべて取り外し、下地からメンテンナンスする方法です。新しい瓦と交換することを「葺き替え」、既存の瓦を再利用して補修することを「葺き直し」といいます。葺き直しの方が多少費用は抑えられますが、葺き替え・葺き直しともに大規模な工事で高額になるケースがほとんどです。

瓦の葺き替え工事についてくわしくは、以下のコラムをご参照ください。

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瓦屋根に重ね葺きは難しい

重ね葺きはカバー工法ともいわれ、既存の屋根に新しい屋根材を重ねる屋根のメンテナンス方法です。工期が短い、工事費用が安いなどのメリットがあります。
しかし重量のある瓦屋根は重ね葺きができません。重ね葺きをするとさらに屋根が重たくなるため、耐震性が低下してしまうからです。

見積もり書のチェックポイント

瓦工事は、優良な業者と契約することが非常に重要です。見積もり時の業者の対応をよく観察しながら、見積もり書も細部までチェックしましょう。

現地調査

業者は見積もり書を作成するために、はじめに屋根へ上がって現状を確認する「現地調査」を行います。中には短時間で現地調査を済ませたり、屋根に上がることなく見積もり書を提出したりする業者もいます。現地調査の際は業者の様子をしっかりチェックし、時間をかけてていねいに調査しているか確認しましょう。
屋根の状態は下から眺めただけではわかりづらいものです。屋根に上がることができない依頼者のために、写真や動画を使って説明してくれる親切な業者を選びましょう。

工事内容

見積もり書が提出されたら、工事内容が詳細に書かれているか、どのような工事を行うのか内容を確認します。
「工事一式○○万円」のみ記載された見積もり書は、工事内容が不明瞭です。手抜き工事や追加費用が生じる可能性があり、注意が必要です。
またあまりにもくわしく多くの項目が書かれすぎている場合も注意しましょう。「素人だしわからないだろう」と不必要な工事を含んでいるケースもあります。複数の業者に見積もりを依頼する相見積もりを取って見積もり書を見比べ、不明瞭な工事がないかよく確認することが大切です。

費用

見積もり額が適切な価格であるか確認します。相見積もりを取れば、修理費用の大体の相場がわかるはずです。
費用は屋根面積と商品の単価によって計算されるため、項目ごとに工事費用の内訳が記されているか確認します。使用する建材のグレード、単価が適切か、屋根面積を適切に算出しているかを確認しましょう。
見積もりが高すぎる場合は、不必要な工事をしたり高額な材料を使用したりしていることがあります。下請けのために中間マージンを上乗せしている可能性もあります。
不自然な値引きにも注意しましょう。お得だと思わせるために、最初から高めの見積もり額を提示して、大幅に値引きするケースがあります。
逆に、見積もり額が低すぎる場合も注意が必要です。手抜き工事をされたり追加費用が発生したりする恐れがあります。

見積もり項目

見積もり書にはさまざまな項目が記載されます。とくに「屋根材」「板金」「ルーフィング」「下地調整」の項目に注意して見積もり書をチェックしましょう。

屋根材

屋根材はさまざまなメーカーから販売されており、同じメーカーでも商品によって特徴や品質が異なります。見積もり書に記載されている屋根材の耐用年数や特徴を確認し、金額は妥当であるかチェックしましょう。

板金

屋根に設置される板金には、棟板金・谷樋板金・水切り板金があります。板金もさまざまなメーカーから多くの種類が販売されているので、使用される板金について確認しましょう。
中にはメーカーの純正品ではなく、汎用品を使用する業者もあります。価格が抑えられる汎用品ですが、純正品でない場合は不具合が起きても保証してもらえません。板金は雨風や紫外線の影響を受けやすい場所なので、純正品を選ぶことが大切です。

ルーフィング

ルーフィングは瓦やスレート、ガルバリウム鋼板屋根などの屋根材の下に敷く防水シートです。種類が豊富で、グレードがあり、耐用年数は10年ほどのものから50年程度持つタイプまで大きく差があります。屋根材などに不具合が起きたときに、最終的に雨漏りを防ぐのがルーフィングの役目です。重要な部材なので、どの商品を使うか必ず確認しましょう。

下地調整

屋根を塗装する場合は、塗装前に屋根を高圧洗浄して汚れを落としたり、ひび割れをコーキングしたりする「下地調整」を行います。塗料をより密着させて塗るためにも重要な工程で、下地調整をきちんとすることで塗膜の耐久性が向上します。
また屋根の葺き替え工事でも下地調整が必要で、屋根の下地に使われる野地板のゆがみを直さなければなりません。
屋根塗装や葺き替え工事の際は、見積もり書に下地調整の項目が記載されているか確認しましょう。

瓦工事に火災保険や補助金が使える?

強風や豪雨、落雷などの影響で屋根に破損があった場合は、火災保険が適応されるケースもあります。雨漏りによって被害を受けた家財なども補償される可能性があるため、台風などで被災した場合は保険会社へ連絡してみましょう。
火災保険が適応できるケースについてくわしくは、以下のコラムをご覧ください。

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また多くの自治体では、家の耐震性を高めるためのリフォームに対して助成をしています。自治体によって助成金は異なるため、お住まいの自治体の制度について調べてみましょう。

リフォームに関する自治体の助成金については、以下のコラムでくわしく説明しています。

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費用の支払いにローンは使える?

クレカ4枚

屋根の工事をする場合、ローンを利用してリフォームを行うことができます。すでに住宅ローンを組んでいる金融機関やリフォームローンのある銀行・クレジット会社などを調べてみましょう。
屋根の破損が大きいほど、瓦工事にかかる費用も高額になります。しかし工事を先延ばしすれば、さらに被害が拡大して工事も大規模になります。火災保険や自治体の助成が利用できるかも合わせて確認しながら、ローンの利用も検討しましょう。

優良業者の見分け方

瓦工事は必ず相見積もりを取り、見積もり書を比較・検討しましょう。以下のポイントを参考にすると優良業者を見極めることができます。

見積もり書の説明がていねい

提出された見積もり書に沿って、ていねいに説明してくれるか確認しましょう。
屋根は地上から見上げただけでは様子が見えにくい場所で、工事内容も素人にはわかりづらいものです。写真などを使って親切ていねいに説明してくれるかチェックしましょう。

見積もり額が相場に近い

見積もり額が高すぎたり低すぎたりせず、適正価格であるか確認します。複数の業者の見積もり書を比較することで、おおよその相場がわかるはずです。

質問にわかりやすく答えてくれる

依頼者の質問にわかりやすく親切に答えてくれる業者は、知識が豊富で、ていねいな施工をしてくれる可能性が高いです。屋根の困りごとや費用・スケジュールの相談にも親身に対応してくれる業者を選びましょう。

契約を急かさない

優良な業者は腕に自信があるため、契約を急かすことはありません。
逆に腕に自信のない業者は、他の業者と比較したり考えたりする時間を与えたくありません。「急いで修理しないと大変なことになる」と不安をあおって契約を急かしたり、「今契約すれば割引しますよ」などとうたって強引に契約させたりします。

大幅な値引きをしない

優良な業者は最初から適正価格で見積もりを提示するため、大幅な値引きすることがありません。大幅な値引きをする業者は、後から値引きしてお得に見せるために、最初からわざと高額な見積もり書を出している可能性があります。

相見積もりを取る

複数の業者に見積もりを取る相見積もりは非常に重要です。インターネットや近所の口コミなどを参考に業者を2~3社に選定してから見積もり依頼をしましょう。
業者を比べることで対応や雰囲気がわかり、見積もり書の明細を比較することもできます。

瓦屋根のメンテナンスは必要?時期の目安

釉薬瓦やいぶし瓦は瓦屋根の中でも長寿命といわれていますが、メンテナンスも必要なことを知っていますか?たとえメンテナンスフリーとうたわれていたとしても、定期的な補修が必要です。

瓦屋根も定期的なメンテナンスが必要

日本瓦といわれる、粘土を乾燥させて焼き固めて作る釉薬瓦やいぶし瓦は、耐用年数が非常に長いといわれています。しかし、台風や地震などの衝撃により破損やズレが生じる可能性もあるため、定期的なメンテナンスは必要です。瓦を支える漆喰などの屋根材の補修・点検も欠かせません。適切にメンテナンスをすることで、瓦屋根の寿命を長く保つことができます。

瓦屋根の種類ごとの補修方法やメンテナンスの目安については、以下のコラムを参考にしてください。

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瓦の破損やズレの放置はNG

長寿命といわれる瓦ですが、破損やズレが生じることはあります。とくに地震や台風の後は瓦の状態を確認し、破損を見つけた場合は速やかに修理をしましょう。放置すると家の内部まで雨漏り被害が進んだり、瓦が飛んでケガをさせたりする可能性があります。

瓦のズレや割れが生じる原因や、放置することで起きるトラブルについては、以下のコラムで説明します。

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悪徳業者に注意

瓦工事の業者の中には、手抜き工事をしたり高額な料金を請求したりする悪徳業者も存在します。「無料で点検しますよ」と突然、家に訪れる訪問販売には注意が必要です。不安をあおって不必要な契約をさせたり、長時間居座って強引に高額な契約をさせたりする被害は後を絶ちません。
とくに地震や台風などの災害後は、被害に遭った人の不安な気持ちにつけこむ詐欺や悪徳業者に注意が必要です。
国民生活センターには「ブルーシート掛けを頼んだら500万円近い屋根瓦葺き替えの契約を強引にさせられた」「無料点検で来たという瓦工事の業者から不要で高額な工事の契約をさせられた」などの相談が寄せられています。万が一業者とトラブルが起きたときは、消費生活センターなどの第三者機関へすぐに相談しましょう。
※参考:熊本地震消費者トラブル 110 番のまとめ(独立行政法人国民生活センター)

イエコマの瓦の差し替え・ズレ補修サービス

破損した瓦を放置すると、雨漏りして家の内部を腐食させたり、瓦が落下して住む人や通行人をケガさせたりします。耐用年数が長いといわれる瓦ですが、破損やズレが生じることがあるので定期的なメンテナンスを心がけましょう。また、瓦のズレや破損を発見した場合は、すぐに補修することが大切です。
住まいのトラブルを解決するエキスパート「イエコマ」では『瓦の差し替え・ズレ補修サービス』を承っております。経験と実績豊富な職人が瓦の状態を確認し、ていねいに補修を行います。ご自宅の屋根の状態が気になる方は、イエコマへどうぞお気軽にお問い合わせください。

まとめ

耐用年数が長いといわれる瓦も、長く寿命を保つためには定期的なメンテナンスが必要です。雨漏りなど深刻な被害に発展する前に、補修を行いましょう。
瓦工事を行う業者の中には、手抜き工事や不要な工事を行って高額請求をする悪徳業者も存在します。必ず複数の業者に見積もりをとり、今回紹介したポイントを参考に見積もり書を比較して優良業者を見極めましょう。

瓦工事の経験と実績豊富なイエコマでは、『瓦の差し替え・ズレ補修サービス』を承っております。お問い合わせフォームからもお気軽に相談可能です。屋根のメンテナンスを行いたい方は、イエコマへどうぞお気軽にお問い合わせください。

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