暑さや寒さの厳しい季節を快適に過ごすために、なくてはならないエアコンです。
シーズン中はエアコンを毎日使うことになるという方は多いと思いますが、その際に気になるのは電気代ですね。
省エネ性能に優れた新しいタイプの機種であれば、あまり心配はありませんが、新しいタイプの機種でなくても、エアコンはその使い方次第で電気代を抑えることができるのです。
この記事では、エアコンをより省エネに使いこなすための方法や、そのために必要不可欠なメンテナンス方法をお伝えします。
エアコンの電気代について
まず、エアコンの電気代を節約するために知っておきたいエアコンの電気代について、基本的な事からお伝えします。
冷房より暖房の方が高くなるわけ
夏と冬では、冬の方がエアコンの電気代が高くなってしまうことは、家計を管理する多くの方が気づくことかもしれません。
その理由は、外の気温と室内の気温の差が関係しています。
エアコンを使用する際にもっとも電気代がかかるのは、エアコンのスイッチをつけてから室内の温度を設定温度にするまでの時間です。
外の気温と室内の温度の差が大きいほど、エアコンは電力を使うことになります。
夏、設定温度が26℃の場合、外の気温が30℃であればその温度差は4℃になります。
対して、冬は外の気温が1℃、設定温度が20℃となるとその温度差は19℃になります。
夏は4℃分の温度調節しか必要がありませんが、冬は19℃分の温度調整が必要になるのです。
そのため、電気代は夏よりも冬の方が高くなってしまうのです。
つけっぱなしと必要な時だけの電気代の違い
エアコンをつけっぱなしにするのと、必要な時だけつけるのはどちらが省エネになるのでしょうか。
エアコンを使用する際に、もっとも電気代がかかるのはエアコンのスイッチをつけてから室内の温度を設定温度にするまでということをお伝えしましたが、その際に消費する電力は機種によって異なりますが、約1000Wにも達します。
設定温度に達した際の安定運転時には100~200Wの消費電力になるため、その差は10倍にもなるのです。
設定温度に達するまでに1時間かかると仮定して電気代を計算してみると、以下のように考えることができます。
1000W×1時間×電気料金(25円/kW)=25.0円
エアコンのスイッチを入れてから設定温度に達するまでの1時間の電気代は、25円となります。
次に、室内温度が設定温度に達してからの安定運転の消費電力を計算すると、以下のようになります。
100W×1時間×電気料金(25円/kW)=2.5円
安定運転の場合、1時間あたりの電気代は2.5円となります。
この前提の上で、つけっぱなしの場合と必要な時だけつける場合の電気代を確認してみましょう。
24時間つけっぱなしの場合
24時間つけっぱなしの場合の電気代は、以下のように考えることができます。
1000W×1時間×電気料金(25円/kW)=25.0円
100W×23時間×電気料金(25円/kW)=57.5円
電気会社の電気プランなどを考慮せずに単純に考えると1日あたり82.5円となります。
必要な時だけつける場合
次に、必要な時だけエアコンをつける場合の電気代を確認してみましょう。
朝2時間、夜6時間だけつける場合は以下のように考えることができます。
朝:(1000W×1時間×電気料金(25円/kW))+(100W×1時間×電気料金(25円/kW))=27.5円
夜:(1000W×1時間×電気料金(25円/kW))+(100W×6時間×電気料金(25円/kW))=40円
電気会社の電気プラン等を考慮せずに単純に考えると、1日あたり67.5円となります。
最後に、朝2時間、昼2時間、夜6時間3回にわけてスイッチを入れた場合を確認してみましょう。
朝:(1000W×1時間×電気料金(25円/kW))+(100W×1時間×電気料金(25円/kW))=27.5円
昼:(1000W×1時間×電気料金(25円/kW))+(100W×1時間×電気料金(25円/kW))=27.5円
夜:(1000W×1時間×電気料金(25円/kW))+(100W×6時間×電気料金(25円/kW))=40円
この結果、1日あたりの電気代は95円となり、10時間しか稼動していないのに24時間つけっぱなしの場合よりも電気代がかかってしまうことになります。
この仮定の状況からの差を見ると、エアコンの電気代を節約するために大切なのは、スイッチを入れてからの電力を大量に消費する回数を減らすことだということがわかりますね。
エアコンのメンテナンスでも電気代は変わる
エアコンは、日々のお手入れによっても省エネ性能に差が出てきます。
代表的なのがフィルターのメンテナンスで、ホコリなどによってフィルターが目詰まりすることで、余計な電気代を消費してしまうことに繋がります。
2週間に1度のペースでフィルターの掃除を行うことで、エアコンの性能を正常に保ち、電気代の節約に貢献することができます。
室外機の周りに物を置かない
エアコンの室外機周りの環境も、省エネに関係します。
室外機の周りに物が置いてあることや、雪が積もってしまうことでもエアコンは正常の運転を行えず、余計な電力を消費してしまうことに繋がります。
室外機周りは物を置かず、雪が内部に入り込むことや、周辺に積もらないような対策を行いましょう。
省エネの基本は自動運転
エアコンの電気代を節約することを意識するあまり、最初から弱運転モードにしてしまう方も多いと思います。
前にお伝えしたように、エアコンはスイッチを入れてから室内の温度を設定温度にするまでに一番電力消費するという特徴があります。そのため、初めから弱運転モードの場合は安定運転になるまでに時間がかかり、いつまでも電気代が高い状態が続いてしまいます。
エアコンの電気代を一番節約できるのは、自動運転モードです。自動運転の場合、一般的にはスイッチを入れると一気に室温を上げる強運転になり、その後安定運転に切り替わります。
よほどの理由がない限り、エアコンは自動運転で使用しましょう。
エアコンの補助機器を活用する
扇風機やサーキュレーターなどをエアコンと併用することで、電気代を節約することができます。
扇風機やサーキュレーターの役割は空気を循環させることなので、エアコンの補助を担うことになります。
より少ない電力で効率的に空気を循環させることができるので、特に広い部屋でエアコンを使用する際は活用したいですね。
エアコンのメンテナンスについて
エアコンのメンテナンスは、エアコンの電気代を節約することに繋がるということをお伝えしましたが、具体的にどのようなメンテナンスが効果的なのか確認してみましょう。
フィルター掃除
一番簡単で、まめに行いたいメンテナンスがフィルターの掃除です。
シーズン中は2週間に一度は行いましょう。
準備するもの
・掃除機
・踏み台や脚立
・必要に応じてエアコンの説明書
手順
- エアコンの前カバーを開きます
- エアコンのフィルターを取り外します
- 掃除機でホコリを吸い取る
- フィルターを元に戻し、前カバーを閉める
掃除機でホコリを取り除いた後に、水で洗う方法も効果的です。
掃除機では取り除ききれない細かい汚れやカビを洗い流すことができます。
吹出し口の掃除
エアコンの風が出る部分である吹出し口は、カビが生えていることが少なくありません。
シーズン中はフィルターの掃除と合わせて、2週間に一度は掃除したいですね。
準備するもの
・湿らせた雑巾やフィルター掃除ブラシ
・踏み台や脚立
・必要に応じてエアコンの説明書
手順
- 安全のためにエアコンの電源プラグを抜く
- 雑巾や掃除ブラシで丁寧に吹き出し口とルーバーを掃除する
- きれいな布で吹き出し口全体を拭う
目に見える部分なので、気になった際には小まめに掃除できるといいですね。
内部の掃除
エアコンから出る風から嫌なにおいがする場合、エアコンの内部でカビや雑菌が繁殖していることが考えられます。
そのままにしておくと、エアコンの性能が落ちることはもちろんですが、室内の空気が汚染され、家族の健康にも悪影響を及ぼします。年に1度はエアコン内部のクリーニングを行うことで、省エネ性能と家族の健康を守ることができます。
ここからのメンテナンスはプロに依頼したい領域になります。自分で行う場合は、主にフィルター奥のファン部分を掃除することになります。
故障する可能性があることを念頭に入れて、あくまで自己責任で行いましょう。
準備するもの
・養生用品(大きいポリ袋、養生テープ、バケツ)
・エアコン用洗剤
・掃除ブラシ、スポンジ
・ゴム手袋
・霧吹き
手順
- 安全のためエアコンの電源プラグを抜く
- エアコン表面の付属品をすべて取り外す
- 汚れた水が床や壁に付着しないように養生する
- ファン全体にエアコン用洗剤を万遍なくスプレーする
- 規定の時間放置して汚れを浮かせる
- 掃除用ブラシとスポンジで浮き上がった汚れを取り除く
- 汚れがすべて取り除けた上でもう一度エアコン用洗剤を満遍なくスプレーし、放置する
- 再び浮き上がった汚れをブラシやスポンジで取り除く
- 霧吹きで水をかけながら泡や汚れをすべて落とす
- 水気をふき取る
- フィルターや取り外した付属品を洗浄し、乾かす
- フィルターや付属品を装着して、充分に水気が乾くまで待つ
自身で掃除を行う場合の故障の原因の多くは、基盤部分に水をかけてしまうことです。
故障には十分に注意しながら作業を行いましょう。
室外機の掃除
エアコンの室外機は、掃除しなくても衛生的に問題はありませんが、きれいに保つことで汚れた状態よりもエアコンの省エネに繋がります。
半年に一度は掃除したいですね。
準備するもの
・掃除機
・ほうき
・掃除用ブラシ
手順
- ほうきで表面や周辺のゴミを取り除く
- 掃除機で表面や奥の汚れを吸い取る
- 裏側のフィン部分の汚れを掃除機で優しく吸い取る
- ブラシで細かい汚れを取り除く
- 水抜きのドレン管内部をチェックし、詰まりがある場合は取り除く
室外機裏側の金属は、とても繊細な部分です。
傷つけることや、破損させることがないように丁寧に作業を行いましょう。
配管のメンテナンス
エアコンには、室外機と室内機を繋ぐ配管がありますが、その内部にはガスが充填されているため、配管内部の洗浄やメンテナンスが必要な場合は必ずプロに依頼する必要がありますが、一般的に配管内部の洗浄が必要になることはありません。
配管のメンテナンスが必要になるのは、配管の表面に劣化が見られる場合です。
紫外線がよく当たる場所や、雨風によるダメージの受けやすい場所に配管が施されている場合は注意しましょう。表面の劣化については、テープの巻き直しやカバーの設置等で対応をすることになります。
自分でエアコンのメンテナンスをするには
エアコンのメンテナンスは、自分で行う場合は故障を念頭に入れて、自己責任で行う必要があることをお伝えしました。
そのことも踏まえて、自分でエアコンをメンテナンスする際の注意点や方法を確認してみましょう。
エアコン内部の掃除
エアコンのフィルターの掃除については日常的に自分で行いたい部分ではあります。
その他の吹き出し口の掃除や、内部の掃除、室外機の掃除は、自分で行う場合は完全に汚れを取り除ききるのは難しい部分です。
繊細な部品に触れる作業でもありますので、自分で行う掃除は応急処置に過ぎず、プロに任せた方が安心で安全といえます。
自分で行う場合は無理をせず、プロのクリーニング業者に依頼をする費用と自分で行う場合にかかる労力を比較して検討してみましょう。
配管のテープの巻き直し
外壁に沿って配管されているエアコンの配管のテープが劣化している場合、自分で巻き直しを行うことができます。
準備するもの
・脚立や踏み台
・専用幅広ビニールテープ(キャンパステープ)
・ビニールテープ
手順
- 室外機を外壁から可能な限り遠ざける
- 壁に密着している配管をテープが巻けるように壁から離す
- テープの表面のみが劣化している場合、上から幅広のビニールテープを巻く
断熱材や配管自体が劣化している場合は、作業を中断して必ず専門業者に相談しましょう。
自分でテープの巻き直しを行う場合も、配管の劣化を見落としている可能性が十分にありますのであくまで応急処置として行いましょう。
賃貸で備え付けのエアコンの場合
賃貸に入居した際に、エアコンが備え付けられている場合があります。
その場合のクリーニングやメンテナンスについて確認してみましょう。
メンテナンスは大家(管理会社)か自分か
賃貸に備え付けエアコンがあった場合、そのクリーニングをする際は、まず管理会社や大家さんに相談しましょう。
管理会社や大家さんによって対応は異なりますが、クリーニングやメンテナンスの費用を負担してくれ場合や、業者手配を行ってくれる場合があります。
しかし、大半は自己責任の上自己負担で行うことになるケースが多いようです。
万が一エアコンが故障してしまったら、弁償しなければならないこともありますので、メンテナンスやクリーニングを行う場合は、まず初めに管理会社や大家さんに連絡することから始めましょう。
連絡する場合は交渉する気持ちで
連絡する場合に大切なのは、規定があいまいである事が多い部分なので、問い合わせるというよりも交渉するという気持ちで連絡することです。
賃貸のエアコンのクリーニングを自己負担の上に自己責任で行うのは、借り手にとってあまりにリスクの高い行為です。
クリーニング代をできれば全額負担してもらうことや、何割か負担してもらうこと、故障の際のリスクを負わないことを念頭に交渉する気持ちで連絡をしましょう。
入居して間もなく連絡した方が、交渉が上手くいくことが多いようです。
プロと自分でする場合の違い
エアコンのメンテナンスは、自分で行うこともできますが、自分で行うことはあくまで応急処置に過ぎないということをお伝えしました。
ここでは、プロに依頼する場合と自分でする場合の違いについてお伝えします。
キャンバステープの巻き方
エアコンの配管に巻く、キャンパステープは、自分で巻くことができます。
キャンバステープは、ヨレることや、曲がることがないように微調整をしながらホースに巻きつける必要があります。
ホースの下部から上部に向かって巻くことでうまく巻くことができますが、テープをしっかり密着させ、浮きやヨレが生じないように巻いていかないと、雨やホコリや虫が進入し、テープやその奥の配管の劣化に繋がります。
プロが行う場合、確実に密着させてテープを巻いてもらうことが可能ですが、自分で行う場合はどうしても隙間ができやすい傾向にあります。
化粧カバー
化粧カバーは、エアコンの配管に取り付けるプラスチック製のカバーのことで、デザイン性、防護性に優れる特徴があります。
プロに取り付けを依頼した場合、曲がりや凹凸のある部分でも取り付けることができますが、自分で行う場合、曲がりや凹凸に沿ってカバーを取り付けることは難易度が高い作業になります。
また、直線作業の場合も、カバーを採寸して的確な長さに切断し、ねじ止めの際にも配管を傷つけないように気を使う必要があります。
不慣れな方の場合、寸足らずで格好悪い仕上がりになることや、カバーが浮いてしまうことなど見た目にも影響が出ますので、自分で行う場合は配管の経路と作業の難易度を見極めた上で行いましょう。
戸建ての場合の高所での作業
エアコンの室外機が1階の地面に据置されている場合は問題ありませんが、2階以上の階の場合、屋根の上にあることや、狭いベランダに据置されている場合もあります。
プロの場合、そのような状況には慣れているため、安全に配慮しながら事故のないように作業を行うことになるのですが、自分で行う場合は危険な状況に身を晒しながらの作業になることが考えられます。
その上でテープ巻きなどの神経を使う作業をする必要があるため、大変危険で、苦労の伴う作業になることは間違いありません。
エアコンの室外機や配管が高所にある場合、安全対策についても検討した上で落下や怪我の恐れがないように十分配慮しましょう。
まとめ
エアコンをより省エネに使いこなすための方法や、そのために必要不可欠なメンテナンス方法、プロに依頼する場合と自分で行う場合の違いや注意点についてお伝えしました。
エアコンのメンテナンスは、適度に行うことで省エネと家族の健康を守ることに繋がります。
今お使いのエアコンの性能を最大限に発揮させるためにも、エアコンを毎日使うシーズン前には必ずメンテナンスを行いたいですね。
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