部屋の壁や天井にカビが生えているのを見て、ショックを受けた経験はありませんか?とくに、換気をしにくい部屋には、カビが発生しやすくなります。
湿気の多い時期はもちろん、暖房や加湿器を多く使用する冬でも、天井に発生するカビには注意が必要です。
カビは放置しておくと広範囲に広がり、胞子をまき散らして体調不良の原因となることもあります。
この記事ではカビについての基本的な知識を紹介します。カビについて理解を深めたうえで、カビの除去や予防方法を知って役立てましょう。
住居内に発生するカビの種類
住居の中に発生するカビは、約60種類といわれています。ここではその中でも代表的なカビを紹介します。
クロカビ
主な発生場所・・・水回り、エアコン内部、加湿器内部、洗濯機内部、ビニールクロス、畳など
黒い斑点状のカビです。湿気を好み、住宅のいたるところに繁殖します。
アレルギーの原因にもなることがあるカビですが、アルコールなどを利用した消毒剤には比較的弱く除菌しやすいです。
ススカビ
主な発生場所・・・水回り、布団、結露部分、ビニールクロス、シャワーカーテン、エアコン内部など
黒い煤(スス)状のカビです。壁やタイルなどに塗料が塗られた部分の表面やプラスチック面などによく発生します。アレルギーの原因や気管支ぜん息・肺炎などを引き起こすこともあります。
深く根を張ると除去が難しく、再発しやすいです。
コウジカビ
主な発生場所・・・食品、皮革製品、カーペット、畳、壁、木材、床下など
白色、黒色、黄色、緑色などさまざまな色に変化する、まだら模様のカビです。酒や味噌、薬品などの醸造にも使われるカビです。
肺に入ると「アレルギー性気管支肺アスペルギルス症」という病気を引き起こすため大変危険です。アレルギー性気管支肺アスペルギルス症とは、ぜん息患者に発症する病気で、症状はぜん息と同様に咳や痰が主ですが、重症化すると発熱や血痰、喀血(かっけつ)を伴うことがあります。
アカカビ
主な発生場所・・・水回り(台所の排水口などのヌメリが見られる部分)、畳、壁など
土壌や汚水、河川、空中、室内まであらゆる場所に分布するカビです。褐色や赤色、紫色、黄色、白色と発生する場所によって色が変わります。
食中毒や角膜真菌症と呼ばれる目の病気の原因ともなります。
天井に生えるカビの原因
カビは高い湿度を好みます。
部屋の湿度が60%を超えるとカビが繁殖始め、湿度が80%にもなるとさらに大繁殖します。
カビが好む温度は25~30℃なので、温度・湿度が高くなる春から夏にかけてはカビの要注意時期といえます。
しかし、比較的湿度の低い秋冬の時期も油断してはいけません。
寒い時期は暖房器具や加湿器を利用する頻度が高くなり、換気が少なめになります。部屋の天井付近などは加湿された空気がたまりやすく、温度も高く保たれやすいです。先述の通り、温度・湿度が高めの場所はカビにとって、繁殖しやすい環境なのです。
部屋に溜まるホコリもカビの繁殖の原因となります。壁紙は静電気でホコリを引き寄せる性質があるので、部屋の隅・天井の隅には要注意です。
寒い時期、窓ガラスやその周辺に発生する結露も、カビの増加の一因となります。夜から明け方にかけて発生した結露を丁寧に拭き取ること、こまめな換気を心がけることで対策しましょう。
カビを放置するとどうなる?
部屋の隅や浴室の天井など、掃除がしにくい場所にもカビは発生します。手の届かない場所やあまり目につかない場所のお手入れは、怠ってしまいがちですよね。
しかし、発生したカビは放置していても消えてくれません。それどころか、健康被害や住居のさまざまなトラブルを引き起こす原因にもなるのです。
この章ではカビを放置した際の害についてまとめました。
体調不良
周知の通り、食べ物に発生したカビは食中毒の原因となり、アレルギーの原因物質にもなります。
カビは目に見えない状態で胞子として空気中を漂い、鼻や喉を通って体内に入ってきます。これが肺や気管支、肝臓などの病気にもつながる恐れがあるのです。
部屋全体に広がってしまう
カビは放置していると、部屋をどんどん侵食していきます。掃除を怠っていると、最初は一か所にしかなかったカビも次第にその範囲を広げ、気が付いたときには部屋全体にカビが広がるのです。
こうなると、自力での洗浄や除去は難しくなります。健康への悪影響も免れません。
建物の内部にもカビが広がる
表面にカビが生えた壁や天井、家具の裏側には、表側よりもさらに多くのカビがはびこっていることもあります。
床下や天井裏は空気がよどみ、ホコリや湿気もたまりやすい場所であるため、カビが繁殖しやすいのです。
普段の掃除ではなかなかチェックが難しい場所でもあるため、知らず知らずのうちにカビに侵食され、建材そのものがダメージを受けることもあります。建材までカビが侵食した場合、大掛かりなリフォームが必要となるのです。
菌糸(カビの根っこ)や胞子からの完全な根絶のためには、壁紙や天井、家具なども含めたリフォームが必要となります。
仮に6畳1間の部屋でカビの除去、防カビのリフォーム工事を行った場合、100,000円以上の費用がかかることもあるのです。
雨漏り
天井のカビを放置すると、カビが広がって天井の建材を傷めることがあります。傷んだ建材から雨水が侵入して、雨漏りが引き起こされる恐れがあるのです。
雨漏りがひどい状態では、建材が壁紙ごと剥がれ落ちて穴が空いたりすることもあり危険です。
賃貸物件では…
賃貸物件の場合は、退去時に修繕費を請求されることがあります。程度にもよりますが、あまりにも程度のひどいカビ汚れがあった場合は、高額の除去費用を請求されるかもしれません。
「壁紙クロスやフローリングの張り替え費用として」、「原状回復費用として」、約50,000円~80,000円を請求された人もいます。
※参考:CHINTAI 情報局
天井のカビの除去方法
ここでは、気になる天井のカビの除去方法を紹介します。しつこく落としにくい汚れとして知られているカビですが、こまめに掃除することで繁殖を防ぐことができます。
天井の掃除は、床や棚の掃除とは少し違ったアプローチが必要です。天井の掃除に必要なポイントをしっかりおさえて、効果的な掃除でカビを撃退しましょう。
カビ取りに必要な洗剤&注意点
カビといえば、カビキラーなどのカビ取り用洗剤です。カビ取りには塩素系の洗剤がよく使われます。
塩素系のカビ取り用洗剤には、大きく分けて「塩素系カビ取り剤」と「塩素系漂白剤」があります。どちらもカビを除去する効果のある洗剤ですが、この2種類の洗剤には違いがあります。
1 塩素系カビ取り剤
カビ取り剤には、安全のため濃度の基準が設けられています。そのため、比較的濃度が低めのものが多いです。
カビ取り剤よりも漂白剤の方が、濃度が高い(強力である)です。
2 塩素系漂白剤
塩素系漂白剤は強い漂白力と殺菌力があります。頑固なカビ退治には有効ですが、その強力さから扱いには注意が必要です。
1、2の洗剤に含まれる塩素は、大量に吸い込むと気分が悪くなるなどの健康被害を受ける恐れがあるため危険です。濃度の高い漂白剤は、必要最低限の範囲内での使用にとどめるのが無難でしょう。
3 消毒用エタノール
塩素系の洗剤の代わりに、消毒用エタノールを使う掃除方法もおすすめです。エタノールに含まれるアルコールには消毒効果があり、カビの胞子を死滅させる作用があります。
洗剤はいきなり汚れに吹き付けるのではなく、目立たない場所でテストしてから使うようにしましょう。壁紙クロスの素材が洗剤と合わなかった場合、変色などのアクシデントが起こるかもしれないからです。
また、洗剤が肌についてしまった場合はすぐに水で洗い流してください。水で洗い流さないでおくと、肌荒れやかぶれ、痛みなどを引き起こす場合があります。
とくに塩素系の洗剤には注意が必要です。掃除を開始する前に、しっかりパッケージの注意書きを読みこんでおくと安心です。
浴室のカビ掃除のポイント
浴室でのカビ掃除は、水分をしっかり乾かした状態で取り掛かるのがポイントです。カビの発生した壁や天井に水分が残っていると、カビ取り用洗剤を薄めて使用することになり、あまり効率的ではありません。
寝室のカビ掃除のポイント
暖房や加湿器の影響により、寒い時期でも寝室にカビが生えることがあります。住宅用洗剤を使って汚れを浮かせた後、雑巾で拭き取ってからエタノールなどを吹きつけて掃除しましょう。
リビング(フローリング)のカビ掃除のポイント
リビングや玄関のフローリングにカビが生えると、フローリングのすき間にも入り込んで根を張っていきます。歯ブラシやつまようじを使ってかき出すことで、再発防止に役立ちます。
天井のカビの掃除方法
天井は床などと違い頭上にある分、洗剤の液だれが激しいのが悩みどころです。塩素系の洗剤を使用する場合は、滴ってきた洗剤が体に触れてしまう危険もあります。
フード付きのレインコートやゴーグル、マスク、そしてゴム手袋などを用意して、洗剤が体に触れるのを防ぎましょう。
天井のカビ取りに効果的なのが、フローリングなどの掃除によく使われるフロアワイパーを使った掃除方法です。
- 洗剤を染み込ませたシートをフロアワイパーの本体に装着し、カビ部分に天井に洗剤を行き渡らせます
- カビと洗剤をなじませるため5分から10分ほど放置してから、洗い流します
- フロアワイパーに乾いたシートを装着して天井の水気を拭き取ります
浴室での掃除はシャワーを使って洗い流すことができますが、それ以外の部屋(寝室やリビングなど)では、濡らした雑巾やフロアワイパーを使って水拭きします。
換気扇を回し、可能であれば窓やドアを開け放してしっかり乾燥させましょう。
天井のカビ予防方法
せっかく掃除しても、繰り返し発生するのがカビの厄介なところです。
ここでは、カビの増殖を防ぐために大切なポイントをまとめました。普段からしっかりカビを予防して、少しでもカビが増殖しにくい環境を作っていきましょう。
湿気対策
カビは高温多湿の環境を好みます。長時間窓やドアを閉めたままにしていると、室内にはどうしても湿気がこもり、空気がよどんでしまうのです。
こまめな換気を心がけるだけで、カビの発生を抑制できます。夏場だけでなく、秋冬の換気も忘れずに行いましょう。
浴室やキッチンなど、換気扇がある部屋では換気扇を活用できます。
重曹を使った予防法
環境に優しい掃除グッズとして親しまれている重曹は、カビの予防にも効果があります。
重曹には、カビなどの雑菌が増殖するのを抑える静菌効果があります。重曹と水を混ぜた「重曹水」を気になる箇所にスプレーすることで、効果が得られます。
重曹水は、使う水の量に対して5%程度の重曹を入れるのが目安です。
たとえば、100mlの水には小さじ1杯(5g)の重曹を入れます。
留守にしている間は?
仕事や旅行で長期間家を空けるときは、定期的な換気や掃除は行えません。その場合は、市販の防カビ剤の使用がおすすめです。
浴室の壁や天井に取り付けてカビの増殖を抑えるものや、煙を使って浴室内のカビを抑える「防カビくん煙剤」といった製品もあります。
まとめ
いかがでしたか?天井に発生したしつこいカビも、その特徴や対策法を知って正しく対処すれば怖くありません。
カビの程度があまりにもひどいとき、自分では対処しきれないと思ったときにはプロの手を借りることも一つの方法です。
イエコマでは、天井のカビを始め雨漏りや屋根の不具合にも対応いたします。少しでも気になることやお困りのことがあれば、ぜひ相談してください。
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