建築基準法とは
地震等による災害で一番懸念されるのが、建築物の損壊や倒壊による国民の生命や財産への被害です。
そもそも日本に限らず法整備が整っている文明国においては、災害時だけでなく通常時においても建築部の安全性を確保するために、建築物の新築や増築、または改築を行う際には建造物に対しての最低限度の基準が設けられています。
そして、日本におけるその基準とされているのが建築基準法です。
建築基準法は昭和25年5月24日に制定された国民の生命や健康、財産保護を目的に、建築物の敷地や設備、構造、用途などの最低基準を定めた法律であり、大正8年に制定された市街地建築物法を前身として年月の経過とともに改正を伴い現在に至っています。
耐震基準とは
建築基準法には建築物の建造時の様々な基準が定められているのですが、その中の一つが耐震基準です。
耐震基準とは、その名のとおり地震時における建築物の耐震性を確保するために設けられた基準です。
日本において耐震基準が設けられたのは大正時代に起こった関東大震災がきっかけとなりました。
関東大震災はマグニチュード7.9の大地震で、その被害は約10万5千人もの死亡者と行方不明者を含む190万人が被災し、建物全壊が約10万9千戸、全焼が約21万2000戸にも上りました。
特に人命への建築物の損壊や倒壊による被害は甚大で、これを重く見た政府によって地震時の建築物の耐震性が重要視されたことによって、耐震基準が設けられることとなったのです。
この際に設けられた耐震基準は、昭和56年に大改正が行われるまで長らく日本の建築物の耐震性を計るための基準とされることとなるのです。
新耐震基準
大正時代に制定された耐震基準は多少の改正が行われはしましたが、抜本的な大改正は行われることなく昭和に入っても建築時の認可判断として利用されていました。
しかし、昭和53年に発生した宮城県沖大地震によって大改正が検討されることとなりました。
宮城県沖大地震はマグニチュード7.5と関東大震災時よりも揺れは少なかったにも関わらず、その被害は死者28名を含む負傷者は1万人にも上り、7400戸の建物が全半壊しました。
これによって現行の耐震基準の脆弱さが露見することとなったのです。
そして大改正されたのが現在用いられている建築基準です。
この建築基準は第改正以前のものを旧耐震基準と呼ぶのに対して、新耐震基準と呼ばれていますが、旧耐震基準と比べ大きく変わったのが耐震強度面です。
旧耐震基準はマグニチュード5.0強程度の地震で建物が倒壊せず、補修することによって生活可能な構造基準とされていました。
しかし、新耐震基準では、マグニチュード6.0~7.0程度の地震でも建物が倒壊しないことが構造基準とされるようになりました。
つまり、旧耐震基準では今後発生しうる大地震への建築物被害は対応できないと再考されたというわけなのです。